「交わるはずのなかった、2つのシリーズの共演」
宇宙最大のお宝を手に入れるため、地球狭しと大冒険する6人の宇宙海賊!
宇宙の平和を守るため、宇宙警察より派遣された伝説の宇宙刑事!
出会うはずのなかった宇宙海賊と宇宙刑事が、今、相対する!
「海賊戦隊ゴーカイジャー」は、2011年に「スーパー戦隊シリーズ」35作記念として制作された特撮ヒーロー作品だ。過去に展開されてきた、「秘密戦隊ゴレンジャー」に端を発する34作のスーパー戦隊シリーズとのクロスオーバーを最大の特色としているこの作品は、過去に34のスーパー戦隊が地球を守り続けてきた、という世界観を前提として描かれた。
「海賊戦隊ゴーカイジャー」は、2011年に「スーパー戦隊シリーズ」35作記念として制作された特撮ヒーロー作品だ。過去に展開されてきた、「秘密戦隊ゴレンジャー」に端を発する34作のスーパー戦隊シリーズとのクロスオーバーを最大の特色としているこの作品は、過去に34のスーパー戦隊が地球を守り続けてきた、という世界観を前提として描かれた。
宇宙規模の組織であるザンギャックとの戦いで、歴代のスーパー戦隊から失われた力の結晶であるレンジャーキーを所有し、レンジャーキーの力で歴代戦士の「海賊版」に変身する能力を持った海賊戦隊ゴーカイジャーは、当初は「宇宙最大のお宝」を探すために、「宇宙最大のお宝」が眠るという地球にやってきただけの、正義のヒーローとは縁遠い存在だった。
しかし、地球でザンギャックとの戦いを展開し、地球人や、今は力を失った歴代のスーパー戦隊の戦士たちと交流していく中で、徐々に地球に守るべき価値を見出してきたゴーカイジャーは、歴代のスーパー戦隊の「大いなる力」を全て受け継ぎ、その果てに手に入れることが出来るという、「宇宙最大のお宝」をその手に掴むことを目指し、夢へ向かって前進していくのだった。
そんな「海賊戦隊ゴーカイジャー」では、スーパー戦隊シリーズ35作品記念作品として、2011年6月に「ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦」を映画作品として公開。34のスーパー戦隊が集い、ザンギャックと戦った「レジェンド大戦」を描き、前年のスーパー戦隊である「天装戦隊ゴセイジャー」の面々とゴーカイジャーの対立、そして和解と、全スーパー戦隊の力が集う最大のクライマックスを描いたこの作品は、ファンからの喝采をもって迎えられた。
そんな「海賊戦隊ゴーカイジャー」では、スーパー戦隊シリーズ35作品記念作品として、2011年6月に「ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦」を映画作品として公開。34のスーパー戦隊が集い、ザンギャックと戦った「レジェンド大戦」を描き、前年のスーパー戦隊である「天装戦隊ゴセイジャー」の面々とゴーカイジャーの対立、そして和解と、全スーパー戦隊の力が集う最大のクライマックスを描いたこの作品は、ファンからの喝采をもって迎えられた。
一方で、この作品でゴーカイジャーとゴセイジャーの共演が描かれたこともあり、「スーパー戦隊シリーズ」で定番となっている、前年の戦隊とのクロスオーバー作品「スーパー戦隊VSシリーズ」は、前年の戦隊との共演というパターンを破った作品が制作されることになる。
それが今回取り上げる「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」だ。
「宇宙刑事ギャバン」は1982年に制作された、「宇宙刑事」シリーズの祖となる作品である。
硬質な戦闘服を身に纏った、パワードスーツ的な革新的なビジュアルから連想された宇宙規模のスケールの大きな世界観と激しいアクション、そして血の通った生命を持つ者たちの「愛」をテーマにしたドラマが、幅広い世代からの支持を受け、今や伝説となった作品だ。
2012年に生誕30周年を迎えようとしていたこの作品は、それまでに何度も復活を意図した企画が立ち上がりながら、実現には至らず立ち消えになるという経緯を辿っていた。
2012年に生誕30周年を迎えようとしていたこの作品は、それまでに何度も復活を意図した企画が立ち上がりながら、実現には至らず立ち消えになるという経緯を辿っていた。
「海賊戦隊ゴーカイジャー」制作陣はこの伝説的なキャラクターと作品に目をつけ、「スーパー戦隊シリーズ」35作品記念と、「宇宙刑事シリーズ」30周年のダブルアニバーサリー作品として「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」を企画する。
こうして、かつてライバルとして切磋琢磨し、東映特撮ヒーローのレベルを高みへと押し上げた、異なる世界観を持つがゆえに本来交わるはずのない2つのシリーズが、電撃的なクロスオーバーを魅せる、未曾有の作品が生まれ落ちたのである。
こうして、かつてライバルとして切磋琢磨し、東映特撮ヒーローのレベルを高みへと押し上げた、異なる世界観を持つがゆえに本来交わるはずのない2つのシリーズが、電撃的なクロスオーバーを魅せる、未曾有の作品が生まれ落ちたのである。
「色褪せぬ、銀色の輝き」
静寂が支配する夜の街に、爆音が轟く。海賊戦隊ゴーカイジャーがその拠点とする空飛ぶ海賊船、ゴーカイガレオンが謎の宇宙円盤に追われ、襲撃を受けていたのだ。
巨大な龍へと姿を変えた円盤は、ゴーカイガレオンを不時着に追い込む。ガレオンを降りたゴーカイジャーの前に姿を表したのは、銀色に輝く強化服を纏った男、宇宙刑事ギャバンだった。
ゴーカイジャーを海賊行為の罪で逮捕する、と告げたギャバンに、ゴーカイジャーのアイムは、特捜戦隊デカレンジャーの調査で、ゴーカイジャーの罪はザンギャックの捏造であることが証明されたはずと訴えるが、ギャバンはそれに返答することなく、ゴーカイジャーに迫る。
やむなく豪快チェンジしたゴーカイジャーはギャバンに攻撃を仕掛けるが、歴戦の勇士であるギャバンはゴーカイジャー5人を圧倒。ゴーカイジャーが放った必殺のゴーカイスラッシュも、ギャバンのバリヤーで防がれてしまい、そのまま捕縛されてしまうのだった。
公開当時にして既に30年前のヒーローでありながら全く古びないコンバットスーツの秀逸なデザインと、ゴーカイジャー5人の猛攻を前に一歩も引かない歴戦の強さを見せたギャバン。
そのの勇姿は、ゴーカイジャーを応援する年少のファンに全く新しい鮮烈な印象を残し、かつてのギャバンの活躍を知る往年のファンには、伝説の宇宙刑事が健在であるところを見せつけた。
ゴーカイジャーを捕縛する際、ギャバンがレーザーブレードの光刃をムチのように変える新機能を新たに見せており、後輩の宇宙刑事、シャイダーが使用していた新型のレーザーブレードからのフィードバックも感じさせる描写も心にくい演出だ。
ゴーカイジャーを捕縛する際、ギャバンがレーザーブレードの光刃をムチのように変える新機能を新たに見せており、後輩の宇宙刑事、シャイダーが使用していた新型のレーザーブレードからのフィードバックも感じさせる描写も心にくい演出だ。
「魂なき輝き、ギャバンブートレグ」
ゴーカイジャーを捕縛したギャバンは、彼らの身柄を宇宙警察総裁ウィーバルに引き渡す。
しかし、ギャバンはゴーカイジャーが無実を訴えていることから、ゴーカイジャーの罪状を改めてウィーバルに問いただす。それに態度を豹変させたウィーバルは、ザンギャックに逆らったことこそが宇宙最大の罪であると告げ、ゴーカイジャーを処刑しようとする。
しかし、ギャバンはゴーカイジャーが無実を訴えていることから、ゴーカイジャーの罪状を改めてウィーバルに問いただす。それに態度を豹変させたウィーバルは、ザンギャックに逆らったことこそが宇宙最大の罪であると告げ、ゴーカイジャーを処刑しようとする。
それを目の当たりにしたギャバンは、ゴーカイジャーの枷を解く。ギャバンによるゴーカイジャーの逮捕劇は、ウィーバルの行動に疑問を感じたギャバンが仕掛けたブラフだった。
ウィーバル本人を引っ張り出し、その真意と正体を正すため、ゴーカイジャーを捕らえたのだ。
宇宙警察でありながらザンギャックに味方することをギャバンに糾弾されたウィーバルは、ザンギャックの魔空監獄・獄長、アシュラーダとしての正体を表す。
アシュラーダは、ウィーバルに化けて宇宙警察を乗っ取ろうとしていたのだ。
アシュラーダはギャバンによく似た姿を持つ銀色の戦士を召喚、ギャバンに向かわせる。
それは、宇宙警察の技術と、ザンギャックの技術を融合させ、ギャバンの能力や技を複製、さらにバージョンアップして作り上げた最強のロボット戦士、「ギャバンブートレグ」だった。
ギャバンは、ゴーカイジャーを宇宙警察の事件に巻き込んでしまったことを謝罪すると、たった1人でザンギャックの軍勢を引き受け、ゴーカイジャーをこの場から逃がそうとする。
1人でなんとかなる人数ではない、と言うゴーカイジャーに、ギャバンは「大丈夫、よろしく勇気だ!」と苦境に怯まない勇気を見せ、ザンギャックの軍勢に向かっていくのであった。その言葉を聞いたゴーカイレッド=キャプテン・マーベラスは、何かを思い出す。
自らと同等、もしくはそれ以上の能力を持つ「海賊版」に苦戦するギャバン。
一方、ザンギャック戦闘員のゴーミンたちに囲まれたゴーカイジャーたちは、1人買い出しに出ていて難を逃れていたゴーカイシルバーに助けられ、脱出に成功する。
しかしギャバンは、アシュラーダの命を受けたギャバンブートレグによって、かつて宇宙犯罪組織マクーが操った異空間・魔空空間へと引きずり込まれてしまうのであった。
ギャバンの能力を複製したロボット兵士、ギャバンブートレグは、以前企画が検討されていたギャバンの新作用にデザイン・造形されていたキャラクターを再利用したもの。
ギャバンの能力を複製したロボット兵士、ギャバンブートレグは、以前企画が検討されていたギャバンの新作用にデザイン・造形されていたキャラクターを再利用したもの。
そのコンバットスーツは、各部にギャバンを模したディテールを継承しながら、ツリ目のレーザースコープなどが悪役らしさを演出した、出色のデザインとなっている。
ギャバンと似て非なるものであることを一目で物語るデザインは、名前の通りのブートレグ=海賊版らしさを備えた、設定とデザインがリンクした秀逸なものだ。
ギャバンがゴーカイジャーに語った「よろしく勇気」は、「宇宙刑事ギャバン」主題歌から引用されたフレーズ。こうした主題歌からの「本歌取り」は、脚本の荒川稔久氏が得意とする手法。
ギャバンと似て非なるものであることを一目で物語るデザインは、名前の通りのブートレグ=海賊版らしさを備えた、設定とデザインがリンクした秀逸なものだ。
ギャバンがゴーカイジャーに語った「よろしく勇気」は、「宇宙刑事ギャバン」主題歌から引用されたフレーズ。こうした主題歌からの「本歌取り」は、脚本の荒川稔久氏が得意とする手法。
後に同氏が脚本を担当した「宇宙刑事シャリバン NEXT GENERATION」や、「宇宙刑事シャイダー NEXT GENERATION」でも同様の手法が取られており、ヒーローの精神性を歌った主題歌から引用された言葉を使うことで、そのヒーローの精神性を最短距離で表現する手法は、こうした映画作品やVシネマなどの限られた尺では、非常に有効であると言える。
特に「宇宙刑事シリーズ」の主題歌の作詞を担当した山川啓介氏によって紡がれた言葉は、楽曲を聴いている者に語りかけるようなフレーズも多く、こうしてキャラクターの台詞として引用されることでそのメッセージ性がさらに強調されている、とも言える。
「キャプテン・マーベラス、その原点」
ゴーカイガレオンに帰還したマーベラスは、ギャバンの言葉に記憶を呼び起こされ、幼き日にギャバンと会ったことがあるかもしれないことを仲間たちに打ち明ける。
マーベラスが幼い日、乗り込んでいた宇宙貨物船がザンギャックに襲われたことがあった。
火の海に包まれた船内の高所に取り残され、身動きの取れないマーベラスの前に、一人の男が現れる。自分の危険も顧みず、マーベラスを激励し続けるその男は、マーベラスに「素晴らしい未来を掴み取るために勇気を出せ。あばよ涙、よろしく勇気だ!」と言葉をかけた。
その言葉に勇気を奮い起こしたマーベラスは、意を決して男の胸に飛び込み、男はそんなマーベラスをしっかりと受け止める。そう、その男こそ、宇宙刑事ギャバン=一条寺烈だったのだ。
「よろしく勇気」という、「宇宙刑事ギャバン」主題歌が語った言葉が、宇宙を股にかける宇宙海賊、キャプテン・マーベラスの勇気を奮い起こし、その原点となったことは、かつて「宇宙刑事ギャバン」を見て育ち、その主題歌に励まされてきた年長のファンにとって胸を熱くする展開だ。
同時に、ゴーカイジャーの現役のファンである子供たちにも、ギャバンがあのマーベラスの勇気の原点となった男である、と実感させるに足るこのシーンは、ギャバンが強さだけでなく、真の勇気も兼ね備えた伝説のヒーローである、と見事に示したのである。
余談になるが、ここで幼いマーベラスを演じたのは、「ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」で既に特撮作品に参加しており、そして後年、立派な青年に成長し、「ウルトラマンジード」で見事主演の座を射止めた濱田龍臣氏である。
余談になるが、ここで幼いマーベラスを演じたのは、「ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」で既に特撮作品に参加しており、そして後年、立派な青年に成長し、「ウルトラマンジード」で見事主演の座を射止めた濱田龍臣氏である。
彼もまた、「素晴らしい未来」を掴み取ったのだ。
「幻?影?魔空監獄」
ギャバンがマーベラスの命の恩人であったことを知ったゴーカイジャーたち。
そんな時、マーベラスのモバイレーツに着信が入る。それはスーパー戦隊の大いなる力を巡って熾烈な死闘を繰り広げていた因縁の宿敵、バスコ・タ・ジョロキアからの連絡だった。
バスコに呼び出されたゴーカイジャーは、ギャバンが、2万6千年に渡り1人の脱獄者も出していない鉄壁の要塞監獄、魔空監獄に捕らえられているという情報をもたらされるのだった。
命の恩人であったギャバンの危機に苦しむマーベラスと、彼を慮るゴーカイジャーの面々の前に、ギャバンそっくりの顔をした男たちが姿を現す。それは、バトルフィーバーJのバトルケニアこと曙四郎と、電子戦隊デンジマンのデンジブルーこと青梅大五郎だった。
久しぶりに再会し旧交を温める、そっくりの顔を持つ曙四郎と青梅大五郎は、ギャバンが魔空監獄に捕らえられていることを知ると、自分たちのレンジャーキーの力を合わせれば、魔空空間へと突入できることをゴーカイジャーに教える。
宇宙刑事ギャバン=一条寺烈を演じた大葉健二氏が、ギャバン以前に「バトルフィーバーJ」でバトルケニア=曙四郎を、「電子戦隊デンジマン」でデンジブルー=青梅大五郎を演じたことを踏まえた、同一キャストのキャラクターが顔を合わせる夢の展開は、歴代のスーパー戦隊シリーズ全ての存在を前提とした世界観を持つ「海賊戦隊ゴーカイジャー」ならではのシーンだ。
久しぶりに再会し旧交を温める、そっくりの顔を持つ曙四郎と青梅大五郎は、ギャバンが魔空監獄に捕らえられていることを知ると、自分たちのレンジャーキーの力を合わせれば、魔空空間へと突入できることをゴーカイジャーに教える。
宇宙刑事ギャバン=一条寺烈を演じた大葉健二氏が、ギャバン以前に「バトルフィーバーJ」でバトルケニア=曙四郎を、「電子戦隊デンジマン」でデンジブルー=青梅大五郎を演じたことを踏まえた、同一キャストのキャラクターが顔を合わせる夢の展開は、歴代のスーパー戦隊シリーズ全ての存在を前提とした世界観を持つ「海賊戦隊ゴーカイジャー」ならではのシーンだ。
ゲーム「スーパーロボット大戦」シリーズなどでよく見られる、同じキャストが演じたキャラクター同士の関連付けをしたシーンは、オールスター作品ならではのファンサービスに満ちたシーンで、見ている我々を楽しませてくれる。
「史上初の脱獄」
「史上初の脱獄」
魔空監獄に捕らえられたギャバンは、アシュラーダとギャバンブートレグによる苛烈な拷問に耐え続けていた。マーベラスは過去に自分を助けた男が本当に宇宙刑事ギャバンだったのかを確かめるため、そしてその命を救い、かつての礼を言うために、魔空監獄への突入を決意する。
そしてゴーカイジャーの面々も、マーベラスの原点である、つまり自分たちの大いなる原点であるギャバンを助けるために、マーベラスと共に魔空空間へと突入するのであった。
魔空監獄へ侵入したゴーカイジャーたちは、そこで、ザンギャックに逆らった、歴代シリーズのキャラクターたちが投獄されているところに遭遇した。
かつて自分たちをも巻き込んで大騒動を起こしたジェラシットや、炎神戦隊ゴーオンジャーと戦ったガイアーク三大臣、轟轟戦隊ボウケンジャーと戦った風のシズカと幻のゲッコウ。
魔法戦隊マジレンジャーと戦った妖幻密使バンキュリア、獣拳戦隊ゲキレンジャーの戦いを実況していたバエ、爆竜戦隊アバレンジャーの仲間になったトリノイド、ヤツデンワニ…改心したことでザンギャックの不興を買い投獄された懐かしい顔ぶれが、それぞれ自分の喋りたいように喋るカオスな状況がゴーミンに発見されてしまい、ゴーカイジャーの魔空監獄への侵入が発覚してしまう。
ゴーカイジャーは投獄された面々を開放すると、そのままゴーミンとの戦いに突入する。
一方、地球では、ゴーカイジャーたちに魔空監獄の情報を与え、彼らを魔空監獄へと誘い出したバスコが、もぬけの殻になったゴーカイガレオンを奪おうとしていたが、そこに36番目のスーパー戦隊、「特命戦隊ゴーバスターズ」が駆けつけ、ゴーカイガレオンを守るのだった。
ゴーカイジャーたちはマーベラスを先に進ませるために、数名ずつに分かれ、次々襲いかかる刺客を足止め。異空間である魔空都市などに繋がっている魔空監獄に翻弄されながらも、ついにマーベラスは、ギャバンが捕らえられている魔空監獄最上階に辿り着く。
ゴーカイジャーたちはマーベラスを先に進ませるために、数名ずつに分かれ、次々襲いかかる刺客を足止め。異空間である魔空都市などに繋がっている魔空監獄に翻弄されながらも、ついにマーベラスは、ギャバンが捕らえられている魔空監獄最上階に辿り着く。
襲いかかるギャバンブートレグの猛威に苦戦しながらも、ギャバンブートレグの銃を逆に利用してギャバンの手枷を破壊したマーベラスは、自分の胸に飛び込み脱出するようにギャバンを促す。
ギャバンを捕らえていた装置の爆発から、間一髪飛び退き難を流れたギャバンを、マーベラスはしっかりと受け止めた。それは幼い日と立場を逆にした、マーベラスなりの「礼」であった。
ゴーカイジャーたちはそれぞれの階層の床に砲撃し、一つの大きな穴を作り上げる。
そして、次々にそこに飛び込んで魔空監獄を脱出し、ゴーカイガレオンバスターで魔空監獄を破壊する。ここに、魔空監獄史上初の脱獄は成功したのだった。
「海賊戦隊ゴーカイジャー」ならではの歴代敵キャラクターの共演や、かつての魔空空間を思わせる不条理な空間のつながりを見せる魔空監獄の描写など、ファンサービスに満ちた魔空監獄のシーンの中で白眉なのは、ギャバンブートレグの拷問に耐え続けるギャバンのシーンだろう。
かつて、「宇宙刑事ギャバン」の最終局面では、ギャバンの父、ボイサーが宇宙犯罪組織マクーに囚われ、宇宙の平和を揺るがしかねないホシノスペースカノン・レーザー増幅装置の秘密を守り抜くためにマクーの過酷な拷問に耐え続けた。ギャバンはボイサーを救出し、宇宙の平和のために拷問に耐え続けた父の姿から本当の勇気と優しさを学んだのである。
それに続いた「宇宙刑事シャリバン」の第15話「海鳴りの仕掛島」では、ボイサーが守り抜いたホシノスペースカノン・レーザー増幅装置の秘密を暴くため、宇宙犯罪組織マドーがギャバンを捕らえ、かつて父がそうしたように、宇宙の平和に殉じ過酷な拷問に耐えるギャバンの姿が描かれた。
そしてこの「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」でもまた、マクーの恨みを晴らそうとするアシュラーダによって苛烈な拷問を受ける絶望的な状況でありながら、その苦しみに耐え続ける、決して諦めない男・ギャバンの強い意志が描かれている。
この映画劇中では、ギャバンの父の存在は語られることはないが、苦境に絶望せず、悪の拷問に耐え続けるギャバンの姿からは、父・ボイサーから継承された、正義の意志を感じずにいられない。
シーンに込められた意図全てを劇中内で説明するのではなく、過去の作品と重なるようなシチュエーションを描くことで、過去の作品から継承されたメッセージ性を無言で演出する巧みな手法が、かつて「宇宙刑事ギャバン」を見て育ったファンにも大きな感動を呼び起こしている。
「原点との再会、そして共闘」
地球へと帰還したゴーカイジャーとギャバン。
なぜ自分を助けたのか、と問うギャバンに、マーベラスは「礼を言うため」と答える。
なぜ自分を助けたのか、と問うギャバンに、マーベラスは「礼を言うため」と答える。
その言葉に、ギャバンもまた、かつて自分が助けた少年が「未来を掴み取った」ことを知った。
だが、その再会を喜ぶ間もなく、ギャバン抹殺に執念を燃やすアシュラーダが、ギャバンブートレグとゴーミンたちを引き連れ、ゴーカイジャーたちの後を追ってきた。
ゴーカイジャーとギャバンはついに並び立つと、共にアシュラーダたちに立ち向かう。
だが、その再会を喜ぶ間もなく、ギャバン抹殺に執念を燃やすアシュラーダが、ギャバンブートレグとゴーミンたちを引き連れ、ゴーカイジャーたちの後を追ってきた。
ゴーカイジャーとギャバンはついに並び立つと、共にアシュラーダたちに立ち向かう。
ギャバンは壮絶な直接対決の果てに、ギャバンブートレグを打ち倒す。ただ能力だけを複製した「海賊版」が、人間の心を持つギャバンに勝てるわけがなかったのだ。
ゴーカイジャーも、苦戦しながら連続ゴーカイチェンジで逆転、アシュラーダを倒す。
だが、恨みの念を更に燃やしたアシュラーダは巨大化、魔空空間を拡大させた。
カンゼンゴーカイオーに乗り込んだゴーカイジャーは、ギャバンの指示でギャバンの駆る守護神、電子聖獣ドルの上に乗ると、同時攻撃でアシュラーダを圧倒。
カンゼンゴーカイオーに乗り込んだゴーカイジャーは、ギャバンの指示でギャバンの駆る守護神、電子聖獣ドルの上に乗ると、同時攻撃でアシュラーダを圧倒。
そして、カンゼンゴーカイオーから降りたマーベラスはギャバンと並び立ち、ギャバンとゴーカイレッド、そしてカンゼンゴーカイオーによる必殺の同時攻撃「ギャバンマーベラスダイナミック」を放ち、アシュラーダに引導を渡すのであった。
戦いは終わった。
戦いは終わった。
ギャバンは改めて、立派に成長し未来を掴み取り、立派な男になったマーベラスを讃える。
そして自らの原点に、あの時に学んだ勇気を胸に前進し続け、未来を掴み取った姿を見せることが出来たマーベラスも、万感の思いを込めた笑みを見せるのだった。
そこに曙四郎と青梅大五郎が姿を表し、ギャバンと対面。
そこに曙四郎と青梅大五郎が姿を表し、ギャバンと対面。
同じ顔をした伝説のヒーローが揃い踏みする中、何処となく天の声が響く。
かつての子どもたちが一度も見たことがない三人の同時変身を見せてやればどうだ、と。
3人の勇者はそれに応え、バトルケニア、デンジブルー、宇宙刑事ギャバンが並び立つ。
総裁が偽物にすり替わっていた、という大事件に混乱する宇宙警察を立て直すべく、伝説の宇宙刑事は、想いを交わした宇宙海賊と別れ、帰還する。
マーベラスは、その姿をゴーカイガレオンのマストの上から、いつまでも見送るのだった。
三人の英雄、が天の声に促され同時変身を披露し並び立つシーンは、「宇宙刑事シャイダー」第49話「3人の宇宙刑事 ギャバン シャリバン シャイダー大集合!!」での、史上初、3人の宇宙刑事が並び立ったシーンのオマージュとして取り入れられたものだ。
総裁が偽物にすり替わっていた、という大事件に混乱する宇宙警察を立て直すべく、伝説の宇宙刑事は、想いを交わした宇宙海賊と別れ、帰還する。
マーベラスは、その姿をゴーカイガレオンのマストの上から、いつまでも見送るのだった。
三人の英雄、が天の声に促され同時変身を披露し並び立つシーンは、「宇宙刑事シャイダー」第49話「3人の宇宙刑事 ギャバン シャリバン シャイダー大集合!!」での、史上初、3人の宇宙刑事が並び立ったシーンのオマージュとして取り入れられたものだ。
「スーパー戦隊シリーズ」初期の2作品「バトルフィーバーJ」「電子戦隊デンジマン」の人気を支え、「宇宙刑事シリーズ」を構築した「宇宙刑事ギャバン」を演じた大葉健二氏への、制作陣へのリスペクトを込めたシーンが、ファンサービスに満ちたこの作品を爽やかに締めくくっている。
全く互角、ギャバンブートレグとギャバンとの間の勝敗を分けた差、それは「人間の心」だった。
全く互角、ギャバンブートレグとギャバンとの間の勝敗を分けた差、それは「人間の心」だった。
この構図は、「宇宙刑事ギャバン」という作品が持つ、「人間の心」の暖かさを描いた情感あるドラマの魅力を伝えるものであり、「宇宙刑事」シリーズが人気を得た理由が、コンバットスーツの革新的なビジュアルだけではなく、メインライターを務めた上原正三氏を中心に描かれた、人間の血が通った「愛」を描いたドラマ作りがあったからこそだった、ということを示している。
ここに、制作陣の「宇宙刑事」シリーズへの理解の深さと、愛情を感じずにいられない。
ギャバンというヒーローが、ただ革新的なビジュアルを備えたかっこいいだけのヒーローだったら、話題にはなっても、こんなに長い間語り継がれる作品になったのかどうかはわからない。
鋼鉄のスーツの下の、血の通った人間が紡ぐ人間ドラマがあってこそ、「宇宙刑事ギャバン」は映画公開当時にして30年前のヒーローでありながら、現代まで残る作品となったのだろう。
「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」における、「人間の心」がギャバンの勝利の決め手となる展開は、「宇宙刑事」シリーズの勘所が、ヒーローの革新的なカッコよさだけでなく、「人間の心」の暖かさを描いたドラマにこそあることを語ったのである。
「親から子へ、そして次世代へと継承された『勇気』」
単なる伝説のキャラクターの再登場にとどまらず、「宇宙刑事」シリーズが備えていた魅力を現代に伝え直した「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」は、スーパー戦隊シリーズのファン、宇宙刑事シリーズのファン双方に喝采をもって迎えられた。
この作品を期に「宇宙刑事」シリーズの復活の機運は高まり、それは2012年10月に公開された、二代目ギャバンの誕生を描いた映画作品「宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」として結実。
それに続き、二代目ギャバンを中核とした「仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z」や「宇宙刑事シャリバン NEXT GENERATION」、「宇宙刑事シャイダー NEXT GENERATION」、「スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー」といった新世代の宇宙刑事シリーズを構築したことが、この作品の好評を物語っている。
一方で「海賊戦隊ゴーカイジャー」側も、ゴーカイレッド=キャプテン・マーベラスの原点を描いたこの映画が、公開時、クライマックスを迎えようとしていた彼らの物語をさらに盛り上げた。
一方で「海賊戦隊ゴーカイジャー」側も、ゴーカイレッド=キャプテン・マーベラスの原点を描いたこの映画が、公開時、クライマックスを迎えようとしていた彼らの物語をさらに盛り上げた。
劇中でゴーカイジャー自身の「大いなる力」として描かれた「夢を掴む力」の原動力となる、困難を恐れず未来を掴み取るために前進する「勇気」の原点がこの映画で描かれたことで、彼らが持つ「大いなる力」の強さもまた、強調されたのだ。
かつて、ギャバンは、宇宙の平和に殉じた父・ボイサーの姿から本当の勇気と優しさを学んだ。
そしてギャバンは、その勇気こそ、素晴らしい未来を掴み取るための力であると幼いマーベラスに伝え、マーベラスはその勇気を胸に刻み、見事に未来を掴み取った。
「宇宙刑事ギャバン」が描いた、父から子への「継承」のドラマを継承し、次世代のヒーローの代表たるゴーカイジャーにギャバンが勇気を伝えた「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」は、「宇宙刑事ギャバン」という作品のキャラクターと、作品の骨子を見事に現代に蘇らせ、「海賊戦隊ゴーカイジャー」という作品に深みを与えた名作として、東映特撮ヒーロー史に新たな歴史を刻んだのである。
「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」は2023年現在、東映特撮ファンクラブはもちろん、HuluやU-NEXTといった各種動画配信サイトにて有料見放題配信中だ。交わるはずのない宇宙海賊と宇宙刑事の出会いと、色褪せぬ輝きを秘めた伝説のヒーローが、若き宇宙海賊たちに伝えた勇気の心の継承のドラマを、ぜひその目でご覧いただきたい。
かつて、ギャバンは、宇宙の平和に殉じた父・ボイサーの姿から本当の勇気と優しさを学んだ。
そしてギャバンは、その勇気こそ、素晴らしい未来を掴み取るための力であると幼いマーベラスに伝え、マーベラスはその勇気を胸に刻み、見事に未来を掴み取った。
「宇宙刑事ギャバン」が描いた、父から子への「継承」のドラマを継承し、次世代のヒーローの代表たるゴーカイジャーにギャバンが勇気を伝えた「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」は、「宇宙刑事ギャバン」という作品のキャラクターと、作品の骨子を見事に現代に蘇らせ、「海賊戦隊ゴーカイジャー」という作品に深みを与えた名作として、東映特撮ヒーロー史に新たな歴史を刻んだのである。
「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」は2023年現在、東映特撮ファンクラブはもちろん、HuluやU-NEXTといった各種動画配信サイトにて有料見放題配信中だ。交わるはずのない宇宙海賊と宇宙刑事の出会いと、色褪せぬ輝きを秘めた伝説のヒーローが、若き宇宙海賊たちに伝えた勇気の心の継承のドラマを、ぜひその目でご覧いただきたい。