あらすじ
裏切り者の烙印を押され、ネロス軍団に追われるトップガンダー。
一方、メタルダーの前に戦闘ロボット軍団・豪将ガルドスが立ちふさがる。
ガルドスの超ヘビー級のハンマーパンチは、驚異的な破壊力を秘めていた。
創造主の思惑を超えた、戦士の友情の芽生え
メタルダーに命を助けられ、ゴーストバンクに戻ったトップガンダーは、ゴッドネロスの軍事裁判を受けていた。トップガンダーはメタルダー抹殺に失敗しただけでなく、仲間に発砲した反逆の罪で死刑を宣告される。何も言わず、粛々と判決を受け止めていたトップガンダーに、部下のモンスター軍団員がさんざん恥をかかされたゲルドリングはもう必要はないとトップガンダーの誇りである狙撃銃を奪い、激闘士ザケムボーの溶解液で狙撃銃を溶かしてしまった。
バルスキーは、部下であるトップガンダーの最後は戦闘ロボット軍団長である自分が見届けると、処刑場へトップガンダーを連行する。戦いの中でメタルダーの秘めた力を知ったトップガンダーはその脅威を他の軍団員に警告するが、敗者への嘲笑を受けるだけだった。
処刑場へ連行されたトップガンダーを、複雑な思いで見つめていたバルスキー。
そこに、処刑を実行する機甲軍団員も到着する。
トップガンダーへの惜別の念を禁じ得ず、誇り高き戦士への敬意を込め別れを告げるバルスキーに、感謝を伝えるトップガンダー。そんな麗しき師弟愛を揶揄し嘲笑うゲルドリングに、ついにトップガンダーの怒りが爆発した。素早い動きでゲルドリングを捕まえ、彼を人質に逃走、戦闘ロボット軍団員専用のバイクであるサーキュラダーの元に辿り着き、処刑場を脱出する。
さんざん恥をかかされてきたとはいえ、誇りを持って戦いに臨んだトップガンダーや、そんなトップガンダーを庇い、温情をかけたバルスキーを愚弄、トップガンダーの誇りである狙撃銃を破壊するゲルドリングの、絵に描いたような下衆な人格が印象深いシーンだ。
とはいえ、彼もゴッドネロスによってそういった下衆な人格を持った存在として生み出されてしまった存在であり、高潔な人格をインプットされて作られた戦闘ロボット軍団員やバルスキーなどと異なり、卑怯な行いで勝利を収める生き方しか知らないことを思うと哀れですらある。
またしてもトップガンダーに恥をかかされたゲルドリングは、怒りのままトップガンダー追跡を命令。バルスキーや戦闘ロボット軍団員は、複雑な思いでそれを見つめていた。
舞は、剣流星と初めて語らった湖を尋ね、剣流星との再会を果たしていた。
自然の美しさに触れ、そんな自然を破壊しようとするゴッドネロスへの怒りと、そんなゴッドネロスの謎を一向に掴めない状況に苛立ちを覚える剣流星の様子に、舞は困惑する。
一方、サーキュラダーを駆るトップガンダーを、機甲軍団のストローブとバーベリィが追跡。
ミサイル爆撃がサーキュラダーに命中し、トップガンダーは吹き飛ばされる。
その爆音を感知した剣流星は、舞を危険に巻き込ませないために早急に帰宅するように促すと、爆音が聞こえてきた方向へと急行する。
サーキュラダーを失い、傷ついた身体を森に隠し逃走を続けるトップガンダー。
そこに、ネロス帝国軍団員の熾烈な砲撃が撃ち込まれる。
大ダメージを負ったトップガンダーは、爆音の元へ駆けつけた剣流星と再会する。
トップガンダーがネロス帝国に追われていることを知った剣流星は、メタルダーに瞬転。
自らが囮となってネロス帝国を引き付ける。メタルダーを発見したネロス帝国軍団員はメタルダーに火力を集中。吊り橋を駆け抜けるメタルダーを派手な弾着が追うシーンは迫力満点だ。
次々に襲いかかるネロス帝国軍団員を、メタルダーは地形を利用し、森に隠れながらおびき寄せて各個撃破していく。幾多の戦いを経て戦士としての著しい成長を見せるメタルダーの戦闘センスが向上しているのを伺われるシーンだ。軍団員を蹴散らし、ストローブとバーベリィの追撃も躱したメタルダーは、トップガンダーを連れ森林地帯を脱出する。
トップガンダーは放っておけば確実に息絶えるほどのダメージを負っていた。
剣流星はそんなトップガンダーをシルバーカークスまで運び込む。
スプリンガーは敵であるトップガンダーが仲間割れをしたふりをしてシルバーカークスの位置を探る罠を仕掛けたのではないかと警戒するが、傷ついたトップガンダーを放っておけない剣流星の優しさと、罠だとしても責任は自らが取るという覚悟を尊重し、トップガンダーの修理を開始する。剣流星の意志を尊重して協力を惜しまないスプリンガーの優しさが垣間見えるシーンだ。
トップガンダーに逃げられ、メタルダーにいいように翻弄された軍団員に怒るゴッドネロス。
もしもトップガンダーの口からメタルダーにネロス帝国の秘密が漏れてしまえば、盤石のネロス帝国の瓦解に繋がりかねない。クールギンは戦闘ロボット軍団を率いるバルスキーにトップガンダーの反逆の責任を追求する。トップガンダーの人となりを知るバルスキーは、トップガンダーが秘密を漏らす真似はしないとトップガンダーを擁護し、自分がこの責任を取ってメタルダーを倒し、もしトップガンダーが本当に秘密を漏らしていればこの手で処断すると覚悟を見せる。
信頼した部下の人となりを理解して作戦を任せたがゆえに、その失敗の責任は自分で取ると宣言するバルスキーの実直な人柄が強調されていくと同時に、あくまで軍機を重要視して公正な判断の元処罰を決めるクールギンや、私怨での言動や卑劣な行動の指示を飛ばすゲルドリングの人となりもバルスキーの実直さ、部下思いな面との対比として描かれ、3人の剴聖の個性が印象付けられる作劇は、敵側のドラマに重点を置いた「超人機メタルダー」ならではの見どころだ。
そんなゴーストバンクに、機甲軍団からの報告が届く。
以前、メタルダーへの特攻を敢行したアグミスと同型であるアグミス2号が、ベーリング海で原子力潜水艦を沈める戦果を上げたというのだ。ゴッドネロスは東西陣営での戦争の混乱で世界を支配しようとする計画を進めており、戦争を勃発させるための火種として、原因不明の潜水艦沈没を起こすことで大国間に疑心暗鬼を生じさせようとしていた。
任務を終え秘密工場でメンテナンスを受けるアグミス2号。
ネロス帝国の地下工場やバイオテクノロジーで新たな戦闘員を作る設備が解説される。
シルバーカークスでは、剣流星が原因不明の原子力潜水艦の沈没と、その核燃料の流出のニュースを聞いていた。剣流星が感じていたゴッドネロスによって美しい自然が破壊されようとしているという危惧は、彼が知らないところで現実のものとなってしまっていたのだ。
修理を終えていたトップガンダーは、この潜水艦沈没はゴッドネロスの仕業であることを剣流星に伝える。反逆者ではあるが、ネロス帝国全体を裏切ったわけではない以上、ゴッドネロスの正体を剣流星に伝えるつもりはないと己のスタンスを示したトップガンダー。
しかしトップガンダーは、かつて決着の一撃として打ち込まれた古賀竜夫の形見である短剣を剣流星に返却すると、自らの命を2度までも救ったことへの恩義としてシルバーカークスの場所をネロス帝国に伝えることもしないと告げ、ゴッドネロスの謎を晴らしたいならば、古賀博士の足跡をたどるように助言する。
トップガンダーが怒り、反逆を見せたのは自分とメタルダーとの決闘を邪魔し、戦士の誇りを愚弄したモンスター軍団員やゲルドリングへの個人的な感情ではあるため、ネロス帝国全体を裏切ったわけではないとするのも、自分を信頼したバルスキーへ義理立てした感情なのだろう。
一方で、命を捨てることが美徳ではないことをメタルダーとの戦いで悟った今、敵である自らの助命のために命をかけネロス帝国軍団員と戦ったメタルダーへの恩義も何よりも重んじるようになったトップガンダーの成長も見られるシーンだ。
トップガンダーはネロス帝国に追われる今、誰も知らない土地に向かい、メタルダーとの再戦のために腕を磨くと宣言。剣流星もいつでも相手になると応える。直接対決で互いの実力と信念を認め合い、共感を得た2人の心ある機械の間には友情が芽生えていた。
一方、メタルダーとトップガンダーが姿を消した地点の付近を捜索するバルスキーに、彼の片腕である豪将ガルドスが姿を見せる。ガルドスは手負いのトップガンダーが何をするかわからないと警戒しており、軍団長に何かあってはいけないと自分が後の始末を引き受ける。
部下思いなバルスキーのことを、部下のガルドスもまた敬愛しバルスキーのために自らを犠牲にすることを厭わないという戦闘ロボット軍団の仲間意識の強さが強調される展開だ。
朝になり、ガルドスは剣流星とトップガンダーの姿を目撃。
ネロス帝国の追手がいないことを確認したトップガンダーは、剣流星に別れを告げる。
命を大切にするようにお互いを思い合う2人。
トップガンダーは、ネロス帝国の刺客はどれも一筋縄ではいかないことを警告すると、メタルダーとの再戦のために生き恥をさらし生き延びた自分の生きる希望もなくなるとメタルダーの無事を祈るのだった。敵と味方に分かれても友の心を知った2人は、別れ難い想いを抱いていた。
野兎や舞など、感情を獲得する過程で命ある友を得ていった剣流星だが、同じ心ある機械という出自を持つ友はトップガンダーが最初の存在であり、無二の存在だ。一方、かつて最も信頼していた仲間に裏切られたトップガンダーにとっても、正々堂々と自分にぶつかり、自分のことを思って命をかけた剣流星の存在が、裏切られて以降孤独を噛み締め続けた生の中での救いであったことは間違いない。再戦を期しながらも、2人の心ある機械は既に無二の友だった。
意を決して、トップガンダーは旅立つ。その背中に、剣流星は再会を誓うのだった。
シルバーカークスに帰還する剣流星の前に、ガルドスが姿を現した。
超パワーから繰り出されるパンチの一撃に、吹き飛ばされる剣流星はメタルダーに瞬転。
敵であるトップガンダーを救ったメタルダーの高潔さを、倒すには惜しい男であると認めるガルドス。しかしバルスキーに報いるために、情けを捨てて容赦のない攻撃を開始する。
ガルドスのパンチ力はメタルダーを遥かに上回っていた。
ボクシングにおけるフライ級とヘビー級の対決のような、力に雲泥の差がある対決。
ガルドスがパンチを空振りした隙を突き、背負い投げで地面に叩きつけるメタルダーだが、ガルドスは全くダメージを受けた様子もなく、倒れた状態からなおも強烈なパンチを炸裂させる。
強烈なパンチの連続にダメージが蓄積していき満身創痍の中、メタルダーは戦闘マニュアルコンピューターの分析でガルドスの弱点は頭部であることを突き止める。
メタルダーは跳躍、Gキックをガルドスの頭部に炸裂させる。
大ダメージを負ったガルドスは切り札である放電攻撃を行うが、メタルダーは的確な狙いで頭部に連続キックを命中させ、渾身のパンチでガルドスを機能停止に追い込んだ。
勝利を掴んだメタルダーだが、ガルドスのパンチで蓄積したダメージは大きかった、倒れ込み、崖から落下するメタルダー。彼を助けるものは誰もいなかった。
彼は一人で立ち上がらなければならない。それが彼の宿命なのだ。
一方、もう一人の宿命の男であるトップガンダーも、自分を鍛え、再び戦いを挑むために荒野に旅立った。何処へ行くのか、それは誰も知らない。
ゴーストバンクでは、ゴッドネロスが思案を重ねていた。
自分の感情が赴くまま、戦闘ロボット軍団に命を与えてきたゴッドネロス。
しかし、その一人であるトップガンダーは己の意志と感情を持ち、メタルダーと心の交流を持つに至った。絶対服従のはずの戦闘ロボットが自らの意志を持つ、自らの創造物が自分の思惑を超えた現象を起こしていることに、ゴッドネロスは戦慄する。
その頃、なんとか立ち上がりシルバーカークスへ帰還していたメタルダーは、トップガンダーに古賀博士の足跡を辿ることがゴッドネロスの謎を解く道であるという指針を与えられたことを思い返し、ゴッドネロスへ抗う意志を明確にしていた。
創造主であるゴッドネロスの思惑を超え、心ある機械としてメタルダーとの友情を芽生えさせ、ただ戦うために作られゴッドネロスの道具としての役割を逸脱し始めたトップガンダー。ナレーションに、メタルダーと並ぶ「もう一人の宿命の男」とまで称される彼は、信頼していた相手からの裏切り、メタルダーとの正々堂々とした勝負の中で明確に自分の感情を成長させている。
前回の感想記事で述べたが、苦難を乗り越え己の感情を成長させていき、自我を確立していくトップガンダーの姿は、メタルダーとどこか似ている。やはり、トップガンダーは偶発的にゴッドネロスが生み出してしまったもう一人の「超人機」なのかもしれない。
そして、ゴッドネロスがそんなトップガンダーやメタルダーの成長を恐れているのは、メタルダーの信念に触れた者たちが、トップガンダーのように自らの自我を成長させ、自らへの服従から脱した「超人機」へと次々に成長していく可能性を感じ取っているからだろう。
戦うために作られた機械だが、心を持って生まれ、自我を自分の力で成長させていくメタルダーの存在が、戦うことを強制されて生まれたネロス帝国軍団員たちの生き方を変えていく。
そんなメタルダーの生き方は、多くの人が戦うことを強制され命を散らした戦争の悲劇をもう二度と繰り返さないために、古賀博士が本来戦うための道具だった超人機に、自省回路を通して託した平和への願いを体現する生き方であると言えるだろう。