「バトルフィーバーJ」第19話「世界最強の美女!!」感想

2024年2月7日水曜日

バトルフィーバーJ 東映特撮YoutubeOfficial

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2023年12月5日より、東映特撮Youtube Officialで配信中の「バトルフィーバーJ」。
ブログを書く習慣をつけるため、配信に合わせて1話ずつ感想を書いていくことにします。
まずは第19話「世界最強の美女!!」。
秘密結社エゴスに、新たなる幹部サロメが加わる、敵組織のパワーアップ回だ。

あらすじ

エゴスのアメリカ支部から、世界最強の美女と目されるサロメがやってくる。
サロメは偽警官に扮して強盗する作戦を計画し、実行に移す。
次々と現金輸送車強奪事件が発生し、バトルフィーバー隊が調査に乗り出す。

脅威!!世界最強の美女と偽警官の強盗作戦

平和なスナック「ケニヤ」では、バトルフィーバー隊の連絡員であるケイコが、全教科のテストで0点という、野比のび太もびっくりの大記録を打ち立てた弟のマサルを叱っていた。
頭が悪いのは親譲りで仕方がないなどと悪態をつきながら、勉強もせずに遊び回っていたマサルは、偶然にも怪しい女が二人の警官を挑発するところに遭遇する。
警官を「ポリ公」と呼び挑発した女は、肩に手をかけた警官二人をあっという間に打ちのめし、気絶させると、ストッキングを被り変装した手下たちに制服や拳銃を奪わせた。
奪った装備を身に着けた手下たちは偽警官として現金輸送車を襲撃して現金を奪う。
その後も次々と現金が奪われる事件が多発し、街は恐怖に陥るのだった。

謎の女にして世界最強の美女、サロメを演じたのは、1979年までプロレスラーとして活動し、引退後、一時期女優として活動していたマキ上田氏だ。
その鍛え上げられた肉体と、プロレスで培った身のこなしからくるアクションのキレは本物で、警官2人をあっという間に倒すシーンは異様な迫力と迫真性に満ちている。

多発する現金強奪事件の捜査を開始したバトルフィーバー隊は、手がかりとなる謎の女を追い、謎の女を目撃したマサルに聞き込みを行う。どんな顔だったかと真面目に尋ねるジャパン、美人だったかを問うケニア、そして姉のケイコとどっちがいい女だった?と問うフランス。マサルはそれに、姉ちゃんなんか目じゃない、月とスッポンさ!と言い放つと、コサックはそれに同調するような返事をしてしまう。真面目な聞き込みのはずが、いつの間にか世界最強の美女の容姿の話に脱線していく、バトルフィーバー隊の各自の性格が出た軽妙なやり取りが楽しいシーンだ。
そんな話はさておき、ジャパンは謎の女の追跡のために、モンタージュ写真を作ろうとマサルに協力を依頼。でも勉強しないと…などと調子良くほざくマサルに、ケイコは仕方なく今日は勉強しないでいい、とモンタージュ写真への協力を許可すると、マサルはこれで安心して0点取れるぞ!などと喜ぶのだった。

モンタージュ写真の作成が急がれる中、謎の女とその一味は次々と現金強奪を実行。
銀行強盗を行い、やってきた警官たちを銃撃するその暴虐に、無辜の人々は怯えていた。
バトルフィーバー隊の指揮官、鉄山将軍にもその暴虐の報告は届く。
謎の女とその一味によって多数の死傷者が出ており、街から活気は失われていた。
マサルいわく、謎の女=サロメはアントニオ猪木やジャイアント馬場よりも強い。
これはこの後の展開で、戦闘服を着たバトルフィーバー隊が束でかかっても敵わない描写で圧倒的な説得力を持って演出されていく。

謎の女がエゴスなのでないかと疑うバトルフィーバー隊だったが、鉄山将軍はエゴスにプロレスラーのような女はいないはず、とその線を否定。
一方で、エゴスの首領、サタンエゴスもまた謎の女の正体が分かっていなかった。
バトルフィーバー隊でも、エゴスでもない第三勢力の出現ならば一大事、サタンエゴスはヘッダー指揮官に謎の女の正体を突き止めるように指示する。

ようやくモンタージュ写真が完成し、バトルフィーバー隊は女を指名手配。
口の減らないロボット九官鳥に悪態をつかれ、反論しようとしたフランスに、鉄山将軍はその女を探すのが先決だ、と釘を差すのだった。
しかし、この基本的に悪態をつくのが仕事のロボット九官鳥は、多忙な鉄山将軍が自分が不在の間のお目付け役として自ら作ったものなのだが、いくら自由人が多いバトルフィーバー隊のお目付け役にしても口が悪すぎる性格設計ではある。真面目な軍人である鉄山将軍が、内心に秘めた自由すぎるバトルフィーバー隊への本音を言っているようなものなのだろうか?

完全に余談だが、ゲーム「スーパーロボット大戦」シリーズに登場する「シュウ・シラカワ」の使い魔=ファミリアの小鳥・「チカ」が、冷静で口数の少ないシュウと対象的に、おしゃべりで毒舌を吐くイヤな性格という設定があり、ファミリアは主人の深層心理を反映した性格になる、という設定があった。毒舌のチカの存在で、普段はクールで人間離れしているシュウの内面には、毒舌を吐く人間的な一面もあるということを示唆した面白い設定だった。
スーパーロボット大戦シリーズのオリジナルキャラクターは、アニメ・特撮問わず多種多様な元ネタありきのオマージュ・パロディを行っていることを思うと、冷静な主人と口悪い使い魔、という構図は鉄山将軍とロボット九官鳥のイメージも投影されていたのかもしれない。

閑話休題。
エゴスはついに謎の女とその一味に接触。ヘッダー指揮官は謎の女のことを知っていた。
謎の女、サロメはヘッダー指揮官の愛弟子だった。
ヘッダー指揮官はエゴスのアジトにサロメを連れて行くと、サロメが自らの秘蔵の弟子であり、その剛力を振るい暴虐を尽くすことで、恐怖による人々を支配を目的に活動していたことをサタンエゴスに明かす。サロメはサタンエゴスへのお土産として、これまで強奪してきた10億円の現金を手渡す。活動資金と強力な戦力を同時に得たサタンエゴスはこれに大いに喜ぶのだった。

どこかの野原で寝転がるマサルは、勉強もスポーツも出来ない自分を叱るケイコの言葉を思い出し、たまには良いところを見せて見返してやりたい、などと考えていた。そんなマサルは、またも偶然にもサロメとその一味を目撃する。サロメたちの後をつけたマサルは、サロメたちがさらなる銀行強盗を目論んでいることを知り、ケイコにそれを伝える。ケイコはバトルフィーバー隊に連絡を入れ、ついにバトルフィーバー隊はサロメの居所を知るのだった。

銀行強盗に向かうサロメたちの前に、バトルフィーバー隊が出現。
サロメを捕らえることに成功したバトルフィーバー隊は、サロメの正体を突き止めるためにサロメを捕縛して基地へと連行し、尋問を開始するのだった。
撤退した戦闘員からサロメが捕まったことを知ったヘッダー指揮官は、サロメの持つ手鏡に搭載された発信器の反応を探知し、彼女を救出に向かう。
一方、バトルフィーバー隊の尋問にも、サロメは不遜な態度を崩さない。
それどころか、自らがエゴスアメリカ支部で暴虐を尽くし、アメリカで起こった数々の暗殺事件にも裏から関わっていたことを明かし、バトルフィーバー隊を戦慄させる。
さらに、バトルフィーバー隊の基地を探るためにあえて捕まったことを明かすと、捕縛していたロープをいともたやすく引きちぎり、ただ一人でアメリカを除く4人のバトルフィーバー隊を殴り飛ばすと逃亡する。
脱出したサロメはヘッダー指揮官と合流し、バトルフィーバー隊の基地を突き止めたことを誇るが、バトルフィーバー隊の基地が海底にあることを知るヘッダー指揮官は、バトルフィーバー隊に一杯食わされたことを悟る。
サロメがバトルフィーバー隊の基地を探るためにあえて捕まったなら、バトルフィーバー隊は万が一の保険をかけて本当の基地ではなく偽の基地で尋問を行っていたのだ。
このあたりの敵と味方の騙し合いの応酬は、スパイアクションものとして王道の展開。
「秘密戦隊ゴレンジャー」「ジャッカー電撃隊」より継承した、スパイアクションものとしての作劇が緊張感あるドラマを演出し、視聴者を引き付けるドラマ作りが行われている。

ヘッダー指揮官とサロメは追ってきたバトルフィーバー隊と戦闘を開始。
アメリカと合流したジャパンはヘッダー指揮官と、フランス・コサック・ケニアの三人はサロメと戦うものの、ジャパンとアメリカはヘッダー指揮官の振るう釵の猛攻をジャパンが振るうリーチの長い槍で抑えることに成功するが、フランス・コサック・ケニアの三人は三人がかりでもサロメの攻撃を抑えることが出来ず、次々と投げ飛ばされ、全く歯が立たない。
このサロメの圧倒的な強さは、元プロレスラーであるマキ上田氏の迫力あるアクションであまりにも説得力のある描写として演出されており、同時にそんな彼女が師と仰ぐヘッダー指揮官の底知れなさを演出することにも成功している。

サロメと合流したヘッダー指揮官は分身して釵を投げまくる猛攻を仕掛けるが、バトルフィーバー隊は対抗して必殺技・ペンタフォースを実行し、エゴスを撤退に追い込むことに成功する。
ヘッダー指揮官は手傷を負って撤退したが、サロメは無傷のままだった。
しかも、サロメはヘッダー指揮官を助けるためにヘッダー指揮官を物陰に押しやり庇うカタチでペンタフォースを受け止めたのだが、それでもなお無傷なのだ。
圧倒的な強さを持つサロメを迎え入れたことに上機嫌なサタンエゴスは、傷を負ったヘッダー指揮官を労り、大事にするように声をかける。そしてサロメは、妥当バトルフィーバー隊に闘志を燃やすのだった。

これまで幾多のエゴス怪人を粉砕してきたペンタフォースを、ヘッダー指揮官を庇うカタチで受けてもなお無傷のままであるサロメ。三人がかりでも敵わない攻撃力と鉄壁の防御力、非道をためらわない凶悪さと、まさにバトルフィーバー隊にとって最悪の敵がやってきた。
ラスト・カットがバトルフィーバー隊に闘志を燃やすサロメであるように、この回は完全にサロメが主人公である。冒頭から結末に至るまで、サロメという世界最強の美女のパワフルさを十全に演出しきったこの回は、新たなる強敵出現、というイベント編を見事に盛り上げていた。

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