「バトルフィーバーJ」第24話「涙!ダイアン倒る」感想

2024年2月21日水曜日

バトルフィーバーJ 東映特撮YoutubeOfficial

t f B! P L

あらすじ

ダイアンはアメリカにいるはずの妹・キャサリンが来日することを知る。
キャサリンを迎えに行くバトルフィーバー隊。
そんな中、ミスアメリカの正体を知ったエゴスは、キャサリンを誘拐する。
一人欠けてしまえばバトルフィーバー隊のペンタフォースは使えない。
ペンタフォースを封じるために、エゴスはダイアンを狙ったのだ。
ダイアンの危機を救ったのは、FBI捜査官・汀マリアだった。

狙われた姉妹の絆 継承される正義の意志

この回で、ダイアン・マーチンが退場。
アメリカを代表する勇者、ミスアメリカの称号は新たなる戦士に継承されることになる。

鉄山将軍に呼び出されたダイアンは、妹のキャサリンの写真を見せられる。
エゴスに殺された父・ボスナーの死後、ニューヨークでおばに引き取られていたキャサリンが、自分に会うために日本に来日すると知らされたダイアンは、久しぶりの再会に喜びを見せる。
鉄山将軍はキャサリンをホテルまで案内した客室乗務員の写真を見せると、かつてエゴスに殺されたボスナーの娘である以上、エゴスに狙われる可能性のあるキャサリンをホテルまで迎えに行くように命ずるのだった。これ以上エゴスの被害者を増やすまいとするだけでなく、エゴスに父を殺された姉妹を安全な場所で再会させたいという、鉄山将軍の心配りが垣間見えるシーンだ。

キャサリンの待つホテルに向かうバトルフィーバーを、エゴス戦闘員が急襲した。
サロメが密かにその様子を見つめる中、戦闘員を容易く蹴散らしたバトルフィーバーは、何故エゴスが自分たちがキャサリンを迎えに向かっていることを知っていたのか疑問を抱き、キャサリンがエゴスに狙われているという結論に至るのだった。
バトルフィーバーはホテルへと急行する。

一方、合流地点のホテルでは、一向にバトルフィーバー隊が迎えに来ないことを、客室乗務員が不審がっていた。そこに車椅子の老婆が姿を見せると、これ見よがしに通行人とぶつかって車椅子ごと転倒する。放っておけずに老婆を助けに向かった客室乗務員が目を離した隙に、エゴスがキャサリンを拉致してしまった。エゴスの車を追う客室乗務員。
道路に飛び出した客室乗務員はバトルフィーバー隊の前に飛び出してしまう。
コサックは彼女が鉄山将軍が見せた写真の客室乗務員であることに気づくと、彼女の口からバトルフィーバー隊はキャサリンが何者かに拉致されたことを知る。
コサックは客室乗務員が護衛の任務を果たせなかったことを責め、ケニアも一緒になって彼女がキャサリン誘拐に関わっているのではないかと疑いを見せる。女性を擁護するフランスに耳を貸さず、問い詰めようと肩を掴んだケニアを投げ飛ばす客室乗務員。
一触即発の空気の中、鉄山将軍から客室乗務員を基地へと連れてくるように連絡が入った。

鉄山将軍は、客室乗務員の正体がFBI捜査官の汀マリアであることを明かす。
いつの間にか修理されていたロボット九官鳥がおべっかを使う姿に笑顔を見せるマリア。
マリアは国防省からFBI出向し、ダイアンの父であるボスナーから指導を受けFBI捜査官となり、その縁からボスナーの娘であるキャサリンの護衛任務を務めていたのだ。
恩人であるボスナーの娘であるキャサリンを守れなかったことをダイアンに謝罪するマリアは、キャサリンの行方を突き止めることを約束。2人の戦士はキャサリン奪還のために結束する。

鉄山将軍はキャサリンを誘拐したのはエゴスのアメリカ支部ではないかと睨んでいた。
マリアはアメリカ本国だけでなく中南米にかけてエゴスアメリカ支部の仕業だと思われる誘拐事件が多発しており、被害者は身代金を奪われただけでなく、一滴残らず血液を抜き取られて死亡していた。FBIは独自の捜査でその犯人がサタンエゴスの御子の一人であるドラキュラ怪人ではないかと見ていたが、FBIをもってしてもその正体を掴めていなかった。
一方、キャサリンが囚われていたエゴスのアジトでは、サロメがキャサリンのペンダントを奪い、その中に収められていたダイアンの写真を確認する。
ドラキュラ怪人は独自にミスアメリカの正体がダイアンであることを突き止めると、その妹であるキャサリンをマークしていたのだ。サロメはキャサリンがダイアンの写真の入ったペンダントを持っていたことでその情報が事実であることを確信する。

ダイアンがミスアメリカの正体であることが露見し、家族が危険に巻き込まれる展開は、ダイアン以外のバトルフィーバー隊が互いを本名でなくコードネームで呼び合っているのは、エゴスに正体を隠すことで周囲の人々を危険に晒さないためでもあったのだろう、と感じさせる。
周囲の安全のために自らの出自の秘密を守らなくてはならないという、スパイ・アクション作品ならではの緊張感が作品のシリアスなムードを加速させていく。

エゴスはキャサリンを囮にミスアメリカを誘き寄せ、始末することでバトルフィーバーに欠員を出し、必殺武器のペンタフォースを封じようとしていた。
バトルフィーバー隊の元へ、国防省を通してエゴスからの連絡が入る。
妹を助けたければ新宿公演に一人で来いというダイアンへの呼び出し。
罠と知りつつ、ダイアンは妹の救援に向かうことを決意し、マリアもまたダイアンの護衛に志願する。バトルフィーバー隊も離れた場所から護衛につくことになり、バトルフィーバー隊とマリアはキャサリン救出に出撃し、新宿公園に到着した。
マリアはキャサリン拉致の現場にいた車椅子の老婆が、背後からダイアンに迫っていることに気づくが、時すでに遅くダイアンは老婆が変身したドラキュラ怪人に奇襲を受けてしまう。
危機を察知したバトルフィーバーもエゴス戦闘員に足止めされる危機の中、ドラキュラ怪人はダイアンの救援に向かったマリアをあしらい、ダイアンを拉致して逃走する。

独自にダイアンの正体を突き止めるばかりか、二度に渡って標的の拉致を達成するドラキュラ怪人は、FBIがその正体を突き止められなかったほどの手練れであるという演出が十全になされている。ダイアンが危機に陥るというエピソードに相応しい強豪怪人と言えるだろう。

エゴスのアジトで、ダイアンとキャサリンの姉妹は再会する。
サロメはダイアンに、姉妹揃って助かりたければバトルフィーバーの基地の場所を言うように尋問を開始した。父を殺したエゴスに協力しないと決然とした態度を取るダイアンに、ドラキュラ怪人は吸血トゲを突き刺し、ダイアンの血を身体から抜き取っていく。ドラキュラ怪人はこの吸血トゲで血を抜き取り、誘拐した人々を次々に殺害していたのだ。
苦しみながらも口を割らないダイアンに、ドラキュラ怪人は容赦なく吸血トゲを突き刺していく。無数の吸血トゲによって全身の血液を急激に失い、ダイアンの命は風前の灯火だった。

ダイアンは身につけているロケットにバトルフィーバーの基地の居場所が書いてあるとサロメを騙し、サロメがロケットを開いたところで仕込まれていた爆薬を爆破、さらにマリアに居場所を知らせるためのビーコンを撃ち上げる。ビーコンを発見し、急行するマリア。
多くの血液を抜き取られたダイアンは満足に動けないが、キャサリンと共に逃亡してなんとかマリアと合流を果たした。ダイアンたちを追うエゴス戦闘員は、マリアの後を追って到着したバトルフィーバーによって食い止められる。高所から銃撃するエゴス戦闘員に槍を投擲して撃ち落とし、銃を奪って反撃するジャパンや自ら高所へ跳躍してエゴス戦闘員を蹴散らすケニアやコサックの立体的な殺陣が見ごたえのある戦闘シーンを演出している。

そこにドラキュラ怪人も現れ、バトルフィーバーとの決戦が始まった。
しかし、バトルフィーバーは4人ではペンタフォースを使えず、ドラキュラ怪人を倒すことが出来ない。自分が行かなければ怪人を倒せないという使命感で変身しようとするダイアンだったが、多くの血液を奪われた身体は動くことも叶わなかった。
ダイアンは、父に教えを受けたマリアにバトルスーツを託し、自分の代わりにミスアメリカになって、バトルフィーバーの仲間たちを助けてほしいと頼む。
マリアはその願いを受け、強化服を受け継ぎミスアメリカへと変身する。

新生ミスアメリカを加え、5人揃ったバトルフィーバー。
ドラキュラ怪人はドラキュラロボを呼び出すが、5人揃ったバトルフィーバーのペンタフォースで倒される。残ったドラキュラロボを倒すために、「バトルフィーバー讃歌」をバックに、バトルシャークから出撃したバトルフィーバーロボが大地に降り立った。
バトルフィーバーロボは錫杖型の武器、ケーンノッカーでドラキュラロボを痛めつけると、クロスフィーバーからの電光剣唐竹割りで勝利した。
ケーンノッカーは「超合金バトルフィーバー」に付属する武器だが、作品での使用はこの第24話のみ。錫杖という珍しい武器だけに、もっと見てみたかった気もする。

一命をとりとめ、無事に回復したダイアン。
しかし、エゴスにバトルフィーバーであることが露見した今、日本にいては周囲を危険に巻き込むという危惧と、父を失った妹と一緒に安全なアメリカで暮らしたいという願いから、ダイアンはFBIとバトルフィーバー隊を除隊し、アメリカに帰国することになった。
別れを惜しむ戦士たち。そして、新生ミスアメリカとして加わったマリアに後を託し、ダイアンは去っていった。エゴス、何するものぞ。戦士たちの胸に新たな闘志が燃え上がった。

「バトルフィーバーJ」1度目のメンバー交代エピソード。
敵に素性が割れた今、前線で戦うことは周囲の人々や家族を危険に巻き込んでしまうというシビアな展開は、スパイ・アクション作品としてのハードな世界観を演出することに成功している。
あまり前線で捜査を行うエピソードもなく、主役回となるエピソードもなかったダイアンだが、海外からメンバーに加わったという経緯が、バトルフィーバーの世界各国から集まった勇者たちという設定を体現する存在だっただけに、その退場は残念ではある。
しかし彼女の持つ悪への怒り、正義の魂は劇的なドラマを持って汀マリアに継承され、新生ミスアメリカを加えたバトルフィーバー隊は新たな戦いへ向かうのだった。

QooQ