あらすじ
仮面ライダー1号、2号、V3、ライダーマン、そしてX。ショッカー、ゲルショッカー、デストロンの怪人軍団と壮絶な死闘を展開する5人の仮面ライダー。
歴代ライダーたちの活躍を藤兵衛が語り尽くす。
歴代ライダーたちの活躍を藤兵衛が語り尽くす。
知らなければならない。仮面ライダーという戦士たちの戦いを。
それまで、前作・前々作との世界観を共有する要素は立花藤兵衛と立花藤兵衛が話すデストロンや歴代ライダーの話だけで、比較的独立した作品世界を構築していた「仮面ライダーX」。
しかし、夏休みのスペシャルプログラムとして「東映まんがまつり」内の一作品として公開された「5人ライダー対キングダーク」と、このエピソードをきっかけにいよいよ歴代ライダー本人が作品中に登場。「仮面ライダーX」は、ここで急激に仮面ライダー5号=仮面ライダーXの活躍を描く「仮面ライダーシリーズ」の1作品として位置づけられていくことになる。
夏休みというかきいれ時に、喫茶店COLを臨時休業にしたおやじさんこと立花藤兵衛。
しかし、夏休みのスペシャルプログラムとして「東映まんがまつり」内の一作品として公開された「5人ライダー対キングダーク」と、このエピソードをきっかけにいよいよ歴代ライダー本人が作品中に登場。「仮面ライダーX」は、ここで急激に仮面ライダー5号=仮面ライダーXの活躍を描く「仮面ライダーシリーズ」の1作品として位置づけられていくことになる。
夏休みというかきいれ時に、喫茶店COLを臨時休業にしたおやじさんこと立花藤兵衛。
COLを訪ねた神敬介に、おやじさんはとあるチラシを見せる。それは講談師、田辺千鶴が開催する「夏休み少年講談の会・仮面ライダーは敵か味方か」の告知だった。歴代ライダーの歩みを見守ってきたおやじさんとしては、見逃せないイベントというわけだ。
さっそくチコとマコを引き連れ、最前列に陣取ったおやじさんは講談に耳を傾ける。
しかしそれは、信じがたい内容だった。
講談師が言うには、仮面ライダーは皆を騙して人気者になろうとしている、令和の今で言うところのSNSの迷惑インフルエンサーのような存在で、彼らに倒されている改造人間たちこそが被害者であるのだという。講談師はさらに続けて、1号ライダーはお金持ちなので金を渡して改造人間に負けたふりをしてもらっている弱虫で、2号ライダーはオートバイの運転が上手いと自慢しているが、これも嘘で改造人間にサポートしてもらっている、V3もカッコつけて変身ポーズをしているが、それもデストロンに教わったものだ…とデタラメばかりを連呼。
これにはさすがに怒り心頭のおやじさん。
講談師が言うには、仮面ライダーは皆を騙して人気者になろうとしている、令和の今で言うところのSNSの迷惑インフルエンサーのような存在で、彼らに倒されている改造人間たちこそが被害者であるのだという。講談師はさらに続けて、1号ライダーはお金持ちなので金を渡して改造人間に負けたふりをしてもらっている弱虫で、2号ライダーはオートバイの運転が上手いと自慢しているが、これも嘘で改造人間にサポートしてもらっている、V3もカッコつけて変身ポーズをしているが、それもデストロンに教わったものだ…とデタラメばかりを連呼。
これにはさすがに怒り心頭のおやじさん。
完全に余談だが、講談師が話す歴代ライダーについての嘘は、どこかで聞いたことがあるような内容ばかりだ。1号ライダーがお金持ち、という嘘は石ノ森章太郎先生が描いた萬画「仮面ライダー」版本郷猛が、本郷家の跡取りとして莫大な財産を相続し、後に私財を投げうってショッカーと戦う研究設備を構築したというエピソードのような話だ。
2号ライダーがオートバイの運転が上手いと嘘をついているのも、一文字隼人を演じた佐々木剛氏が当初はオートバイの免許を持っていなかったので、オートバイの運転シーンはオートバイをトラックの荷台に載せて撮影していた、というエピソードを連想させる。
V3の変身ポーズもデストロンに教わったもの、というのも、変身ポーズは風見志郎を演じた宮内弘氏と、デストロン怪人や戦闘員を演じていた大野剣友会の方々が話し合って作り上げたものであろう、ことを思うとどことなく現実とリンクしているような嘘だ。
嘘を信じさせるにはある程度真実と混ぜて話すのが効果的と言うが、このエピソードを練り上げる際、歴代ライダーについての嘘を設定する時に他媒体展開や撮影の裏話と絡めてみようというスタッフの遊び心があったのかもしれない。
閑話休題。
デタラメばかりの講談に熱が入る講談師に、とうとうキレたおやじさんは講談師を壇上から引きずり下ろすと、歴代ライダーの歩みの生き証人として自らが講談を開始する。
映像ソフトやサブスクリプションサービスが普及した今となってはそのありがたみが薄れているフシはある「総集編」という概念だが、映像ソフトが普及していない時代、歴代ライダーの戦いを改めて見ることが出来るというのは子供たちにとってのファンサービスに他ならない。
まずは「仮面ライダー」の系譜の始祖にあたる本郷猛の話を始めるおやじさん。
当初の本郷ライダーが変身ポーズではなくベルトの風車に風を受けて変身していたことに言及しているのが、さすがに生き証人である。そのまま流暢に本郷猛が海外に旅立ち、一文字隼人に日本を託したこと、ライダーガールズや滝和也の助力もあったことをテンポ良く紹介していく。
「仮面ライダー」ではないが、愛弟子の一人として数々の死線を共にくぐり抜けてきた滝和也の存在にも触れてくれているのが嬉しいところだ。
「仮面ライダー」ではないが、愛弟子の一人として数々の死線を共にくぐり抜けてきた滝和也の存在にも触れてくれているのが嬉しいところだ。
そしてダブルライダーの帰還、ショッカーの大幹部との死闘、ゲルショッカーの出現…数々の戦いの歴史の講談は、ゲルショッカーの壊滅を経て風見志郎の話へと移っていく。
1号2号の手によって生まれ変わった風見志郎が「仮面ライダーV3」となったことを、1号の「私達に良い後継者が出来た」という言葉と共に紹介しているのは、この後、1号2号の後継者である風見志郎の手でXライダーが生まれ変わり、「仮面ライダー」を継承する伏線にも思える。
1号2号の手によって生まれ変わった風見志郎が「仮面ライダーV3」となったことを、1号の「私達に良い後継者が出来た」という言葉と共に紹介しているのは、この後、1号2号の後継者である風見志郎の手でXライダーが生まれ変わり、「仮面ライダー」を継承する伏線にも思える。
V3の誕生を経て、デストロンとの戦いでの活躍シーンが流れていくが、それに合わせてBGMとして流れた「戦え!仮面ライダーV3」は、水木一郎氏が歌唱したNGバージョンから、子門真人氏が歌唱したNGバージョンが連続して流れる、貴重な音源が聞ける機会となっている。
このエピソードの姉妹編である「5人ライダー対キングダーク」でも、水木一郎氏が歌唱したNGバージョンの「戦え!仮面ライダーV3」が流れており、意図は不明だが面白い趣向だ。
これらのNGバージョンの音源は現在では「ETERNAL EDITION 仮面ライダー File No.4&5 仮面ライダーV3」で、「戦え!仮面ライダーV3 検討用コレクション」として聴くことが出来る。
このエピソードの姉妹編である「5人ライダー対キングダーク」でも、水木一郎氏が歌唱したNGバージョンの「戦え!仮面ライダーV3」が流れており、意図は不明だが面白い趣向だ。
これらのNGバージョンの音源は現在では「ETERNAL EDITION 仮面ライダー File No.4&5 仮面ライダーV3」で、「戦え!仮面ライダーV3 検討用コレクション」として聴くことが出来る。
ヒートアップするおやじさんの講談は、結城丈二=ライダーマンの話へ移行する。
おやじさんの呼びかけに応えた子供たちも、ライダーマンのことを「仮面ライダー」の一人と認知している描写が嬉しい。正義に目覚めながら、地球を守ろうと天国へ旅立ったライダーマンと、彼に「仮面ライダー4号」の名を贈るV3のシーンは、いつ見ても胸を熱くさせる。
おやじさんの独壇場となった講談会場に、サングラスをかけたいい男が姿を現す。
顔も見せないうちから服装だけで誰かわかるあたり、風見志郎のファッションセンスが卓越していて、一度見たら忘れられないほど印象に残っているんだな…と感慨深くなってしまった。
いよいよXライダーについての話になる過程で、ついさっき「天国へと旅立った」と自分で語ったライダーマンも「どっこい生きていた」とその生存を明かすおやじさん。
講談を盛り上げるために一旦ライダーマンの生存の事実を伏せ、命をかけて地球を救ったことを話してから生存の事実を明かすおやじさん、ミスリードが非常に上手く、話術が巧みだ。
おやじさんはXライダーが4人の先輩ライダーと並び立ち、GODと戦う姿を語る。
いよいよXライダーについての話になる過程で、ついさっき「天国へと旅立った」と自分で語ったライダーマンも「どっこい生きていた」とその生存を明かすおやじさん。
講談を盛り上げるために一旦ライダーマンの生存の事実を伏せ、命をかけて地球を救ったことを話してから生存の事実を明かすおやじさん、ミスリードが非常に上手く、話術が巧みだ。
おやじさんはXライダーが4人の先輩ライダーと並び立ち、GODと戦う姿を語る。
神敬介が歴代ライダーと共に正義のために戦う姿を想像している、ともとれるシーンだ。
ここで1号とXライダーのダブルライダーキックが披露され、夢の共演シーンを盛り上げる。
最高に盛り上がりを見せる会場だが、そこに壇上から引きずり下ろされた講談師がおやじさんにいちゃもんをつけ始め、挙げ句の果てにはおやじさんをぶん殴ってきた。
一方その頃、講談会場に到着した神敬介は講談の真意を確かめるためか、講談師の楽屋に訪ねていたが、そこでおやじさんと騒ぎを起こしているはずの講談師が楽屋で気絶しているのを発見。
仮面ライダーの嘘を広めようとした講談師は、GODが送り込んだ偽物だったのだ。
一方その頃、講談会場に到着した神敬介は講談の真意を確かめるためか、講談師の楽屋に訪ねていたが、そこでおやじさんと騒ぎを起こしているはずの講談師が楽屋で気絶しているのを発見。
仮面ライダーの嘘を広めようとした講談師は、GODが送り込んだ偽物だったのだ。
GODは偽の講談師を使って仮面ライダーについてのデマ情報を広め、その評判を落とそうとしていた。偽講談師の正体はGOD神話怪人の再生ネプチューンだった。
さらに再生怪人軍団も現れ混乱する会場に、今度はサングラスをかけたいい男が乱入。
男の正体は、久しぶりに日本に帰ってきた風見志郎だった。
デストロンとの戦いを終え海外に旅立った風見志郎は、GODの存在をそれまで知らなかったようだが、これは当初のGODが世界の3大大国が密約を交わして結成した日本を全滅させるための組織だったためだろう。日本だけを狙って作戦行動をしていたので、逆に海外にいた風見志郎はGODの存在を知らなかった、というわけだ。妙なところで設定の辻褄が合っている。
おやじさんの仲介で心を一つにしたV3とXライダーは、抜群の連携で再生怪人を撃破。
風見志郎と神敬介はお互いの健闘を称え合い、共に悪と戦う使命を共有する。
しかし、この一連の事件は、キングダークがXライダーの戦闘データを収集するために再生怪人を捨て石にした計画の一部だった。キングダークは本来想定外だったV3のデータまで収集できたことを喜ぶ。姉妹編とも言える「5人ライダー対キングダーク」でも、キングダークが同じように再生怪人たちを捨て石にしてXライダーのデータを収集、そのデータを反映させた怪人、コウモリフランケンを生み出しているので、時系列的にはこのエピソードの後に「5人ライダー対キングダーク」の事件が起こり、続く第28話へ続いていくと解釈すると、風見志郎がGODのことを知るに至る経緯や、Xライダーの変身方法まで含めて辻褄が合う、ようには思える。
悪の組織が仮面ライダーの評判を落とそうと行動するのは、後の「仮面ライダー(スカイライダー)」第48話「4人のスカイライダー 本物はだれだ?」において、ネオショッカーがドロリンゴをにせスカイライダーに変身させ、しょうもない悪事を働かせてスカイライダーに汚名を着せた作戦の萌芽と言えなくもない。ただ、最後まで見ると仮面ライダーの評判を落とすのはXライダーをおびき寄せるための罠で、本命はXライダーの戦闘データを取得することにあったようだ。
悪の組織が仮面ライダーの評判を落とそうと行動するのは、後の「仮面ライダー(スカイライダー)」第48話「4人のスカイライダー 本物はだれだ?」において、ネオショッカーがドロリンゴをにせスカイライダーに変身させ、しょうもない悪事を働かせてスカイライダーに汚名を着せた作戦の萌芽と言えなくもない。ただ、最後まで見ると仮面ライダーの評判を落とすのはXライダーをおびき寄せるための罠で、本命はXライダーの戦闘データを取得することにあったようだ。
このデマを撒き散らし仮面ライダーについての悪評を広める作戦は、一見しょうもない作戦のように思えるが、令和の今になって見ると、著名人がしょうもない悪事や失敗をうっかりとSNSに上げた結果、それが拡散されると同時に噂に尾ひれがついて悪評になり、著しく評判を落とすことが多々あることを思うと、意外と馬鹿にできない効果を発揮しそうではある。
この回と「5人ライダー対キングダーク」にて、ライダーマン=結城丈二の生存が判明した。
これはスタッフのもとにライダーマン復活を願うファンレターが殺到していたことを受けた、平山亨プロデューサーからの七夕のプレゼントとして実現した展開だ。
そして風見志郎との出会いで、神敬介が5人目の仮面ライダーとして認識される。
続くXライダーのパワーアップへの舞台が整い、物語は一層ヒートアップするのだった。
続くXライダーのパワーアップへの舞台が整い、物語は一層ヒートアップするのだった。