「仮面ライダーX」第30話「血がほしい―しびと沼のヒル怪人!!」感想

ドラキュラは悪人というか西洋妖怪のカテゴリな気もするが、フランケンシュタイン伯爵ではなくフランケンシュタインの怪物の方の化身だったコウモリフランケンと恐らくは同系列の怪人なのであろう、ヒルドラキュラ登場回。

吸血行為で人々を襲うドラキュラと、吸血ヒルの悪魔合体という、吸血コンボの怪人だ。

死人沼の滝のそばで、呪術的な儀式を行う謎の老婆。

その傍らには、巨大な吸血ヒルに襲われ白骨化した犠牲者の遺体が転がっていた。強烈な殺意のもと、儀式を続ける老婆は、ペットである吸血ヒルに若い女の血を吸わせようと目論んでいた。

何があったのかは不明だが、足を骨折して病院に入院していたチコは、入院していた部屋で巨大な吸血ヒルと、窓から覗く不気味な老婆を目撃する。看護師に恐怖を訴えるチコだが、そもそも病室は3階で、窓から覗くことなど不可能だと全く取り合ってもらえない。

その夜、病院の近くの通りで帰宅を急いでいた娘に、例の老婆が無料でトランプ占いをしてやろうと声をかけてきた。あまりに不気味なその様子に全く乗り気でなかった娘だが、仕方なくトランプを手に取ってしまい、吸血ヒルを目撃してしまう。老婆はGOD悪人軍団の怪人・ヒルドラキュラの正体を現すと吸血ヒルに娘の血を吸わせる。

悲鳴を聞きつけた神敬介が駆けつけるが、既にそこには誰もいなかった。

物陰から神敬介の様子を窺っていた老婆は、神敬介が去ったのを確認すると病院で夜勤をしていた看護師を吸血ヒルの餌食とし、悲鳴を聞きつけた他の看護師もヒルドラキュラに襲われ吸血ヒルに血を吸われ、血を求める吸血鬼となってしまう。

神敬介は、入院していたチコの気晴らしとして、おやじさんから頼まれラジオを持ってきていた。だが突然、ラジオから不気味な声が流れてくる。様子を窺うべく病室を出た神敬介に、吸血ヒルに血を吸われ吸血鬼と化した看護師たちが襲いかかってきた。

吸血鬼をけしかけてきた老婆の行方を追った神敬介は、老婆が呪いの儀式を行う霊園に到着。

老婆に気を取られていた隙に吸血ヒルに襲われる神敬介だが、苦しみながらもヒルをはねのけた神敬介は大変身。パワーアップした力でヒルドラキュラを圧倒し、長い舌で首を絞められながらも蹴りの一発でヒルドラキュラを撤退させた。見ている時は何も思わなかったが、カメレオンファントマから二話連続で長い舌を武器にする怪人が続いている。

一方、病院では吸血鬼と化した看護師たちが次々に病院内の人々を襲い、吸血鬼化させる地獄絵図が展開されていた。助けを求めるチコからの電話で事態を知ったおやじさんと神敬介。

そこに、COLのテレビ画面に巨大な吸血ヒルが映し出されていることにマコが気づく。

続いて老婆が、ねずみ算的に増えていく吸血鬼たちを元の人間に戻すのと引き換えに、神敬介が持つRS装置の設計図の欠片を全て渡すように要求してきた。

このあたりになると、GODも次々と神敬介が設計図の欠片を入手したのに危機感を覚え、一発逆転を目論んで人質と引き換えに設計図の欠片を渡す要求を行うように戦術を変えたようだ。

老婆は取引の場所を死人沼に指定した。

殺意をみなぎらせる老婆に応えるように、不気味に胎動する死人沼。

死人沼に現れた神敬介は設計図の欠片を全て渡してしまう。

それが本物と確認した老婆はヒルドラキュラの正体を現すと、吸血鬼にされた人々を助ける約束を反故にし、神敬介を決して抜け出せない底なし沼に蹴落とす。

前回のカメレオンファントマが慢心からか素直に約束を守って人質を解放した結果、力づくで設計図を取り返された反省もあるのか、ヒルドラキュラは約束を反故にした上で神敬介の動きを封じると、悪の軍団の尖兵としては適切な行動を取っている。

神敬介を始末する大金星を上げアジトへ帰還したヒルドラキュラを褒め称えるキングダーク。

無数の吸血鬼が徘徊する地獄となった病院では、チコが息を潜め身を隠していた。

だが物音を立ててしまいついに見つかったチコを、駆けつけたおやじさんが間一髪救出する。

古くは「恐怖蝙蝠男」から吸血怪人とそれに操られ吸血鬼と化した人々の対処をしてきただけに、骨折しているチコを連れ迷いなく逃亡できるおやじさんは前回に続いて歴戦の勇士らしい姿を見せている。神敬介一人だけでは詰んでいる状況が多いだけに、本当に頼れる味方だ。

追ってきた吸血鬼たちに、手当り次第に物を投げつけるおやじさん。

この行動が幸いし、偶然投げつけた塩が吸血ヒルの弱点であることが判明。

塩をぶつけられた人々が吸血鬼から人間に戻ったことを確認すると、神敬介を助けに向かう。

RS装置設計図を入手したヒルドラキュラを、他の悪人軍団の怪人たちに爪のアカでも飲ませてやりたいとまで大絶賛するキングダーク。特にカメレオンファントマには効果てきめんだろう。

だが、キングダークが設計図を確認すると、それは全て白紙だった。なんと神敬介が渡したのは、一定時間の経過で消えてしまう特殊インクで複写した偽の設計図だったのだ。

得意の絶頂から突き落とされ、大恥をかかされたヒルドラキュラは、神敬介の元へ向かう。

底なし沼に沈んだ神敬介は死んだと高をくくっていたヒルドラキュラ。

しかし、神敬介はヒルドラキュラが姿を見せると、水中から爆発と共に飛び出し大変身。

深海開発型改造人間・カイゾーグである神敬介を、水に沈めて始末しようとした判断がまずかったのだろう。Xライダーは、ヒルドラキュラがアジトにいた間におやじさんから届けられた塩でヒルドラキュラの吸血ヒルを無効化。死人沼近くの滝での死闘。

吸血ヒルを失った今、もはやヒルドラキュラはパワーアップしたXライダーの敵ではない。

舌を引きちぎり、連続パンチで打ちのめしたところにマーキュリーパワーを発動させたXライダーは、真空地獄車からの地獄車キックでヒルドラキュラを撃破。

今回は水辺での戦いで足場が悪かったためか、真空地獄車は組み付いて地面を転がるのではなく強烈なライダーキックを生む脚力で空中を高速回転して相手の力を奪う応用版となっている。

こうしてGODの吸血鬼怪人と、それを利用したRS装置設計図の強奪も阻止された。

今回は新たに設計図を託された科学者が登場せず、神敬介手持ちの設計図を狙うGODの吸血鬼作戦が軸となった。ヒルドラキュラは、少なくともカメレオンファントマよりはしっかりと任務を果たしていたが、約束を反故にされた時を考慮し一計を案じていた神敬介の方が一枚上手。

騙し騙されのRS装置設計図争奪戦は、いよいよ残り3枚を巡る終局へ向かおうとしていた。