「仮面ライダーX」第32話「対決!キングダーク対Xライダー」感想

2024年2月22日木曜日

仮面ライダーX 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

那須高原にいる神敬介に残りの設計図を届けようとする1人の女。
その後を追う怪人・アリカポネ。
そして、設計図を奪ったアリカポネの前に立ちはだかる仮面ライダーX。
那須山頂でライダーXの真空地獄車が炸裂する。

残忍卑劣なギャング・スター 親子の絆を守り抜け

アリカポネの見事な立ち回りが面白かったこともあり、見ている間は何とも思わなかったのだが、サブタイトルに反して別にキングダークとXライダーは対決していない。
それを言うなら「5人ライダー対キングダーク」も直接対決はしてはいないが…。

東京の立花コーヒーショップCOLを尋ねる一人の女性。臨時休業の張り紙を見て神敬介たちが那須高原にいることを知った女性の様子をGOD戦闘工作員が監視していた。
COLを尋ねた女性、野田幸子はRS装置を開発した南原博士の教え子であり、南原博士によって破られた9枚の設計図の欠片の1枚を持って、それを神敬介に託そうとしていたのだ。
GOD戦闘工作員の報告を受けたキングダークは、幸子から設計図の欠片を奪うことを命ずる。そこに現れた巨大なアリは、ダンディーな姿と声の紳士に姿を変えた。
キングダークの命を受けた紳士は、幸子の家に向かう。
幸子の家では、娘の七恵が父親の博にコーヒーを淹れていた。親子の団欒を邪魔するように、紳士の声が家に響き渡る。姿を現した紳士は、設計図の欠片を持つ幸子の行方を博に問い質すが、博は口を割らない。業を煮やした紳士は怪人アリカポネとしての姿を現すと、吹き矢の一撃で博を殺害してしまった。眼の前で父を殺された恐怖に怯える七恵は幸子が那須高原に向かったことを話してしまい、アリカポネは七恵を攫って那須高原へ向かう。

アリカポネは北アメリカの伝説的なギャング、アル・カポネの化身。
ヒルドラキュラやトカゲバイキングがやや苦しいモチーフだったのに対し、モチーフとなったアル・カポネの名前をたった一文字変えただけで、アリの改造人間の名前として成立させているのが凄い。あまりにも見事すぎるネーミングだったためか、新潮ムック「仮面ライダー熱闘伝」では逆にアル・カポネの誤植ではないという旨の但書がついているほどだ。

トカゲバイキングを倒し、那須高原で一時の平和を楽しんでいた立花コーヒーショップ一行。
那須ビューホテルのプールで、チコとマコとともに水泳を楽しんでいた神敬介は、おやじさんから女性が電話をかけてきたという連絡を受ける。電話をかけてきたのは幸子だった。
幸子は、南原グループが神敬介の存在を知り、設計図の欠片を託すことに決めたと話す。
南原博士の教え子たちは独自に連絡を取り合い神敬介の存在を知ったようだ。
目印として胸に赤い花をつけた幸子と合流するためにバイクを飛ばす神敬介を、GOD戦闘工作員が襲った。しかしそれは神敬介の作戦で、GODの襲撃を予期した神敬介がGODの目を引きつけている間に、おやじさんを別ルートから幸子の元に向かわせていたのだ。
幸子と合流するおやじさん。程よく時間を稼いだ神敬介も、合流するため移動を開始する。
だが、GODは更に一枚上手だった。GOD戦闘工作員が神敬介を襲撃し、騙されたふりをしてアリカポネをおやじさんのジムニーの元へ向かわせていたのだ。巨大なアリの姿でジムニーの後ろに張り付いていたアリカポネは、巨大なアリの姿から怪人態に変身すると、おやじさんに巨大アリを貼り付け、その意識を乗っ取ってコントロールしてしまう。
抵抗する幸子の胸から、目印だった赤い花が落ちた。コントロールされたおやじさんが運転するジムニーが走り去った後、神敬介は地面に落ちていた赤い花を発見。
神敬介はおやじさんの身に何かが起こったことを察知すると、ホテルで待機していたチコとマコに連絡し、おやじさんの鞄に入った追跡用レーダー装置でおやじさんの行方を追い、自分に連絡するように告げる。

神敬介たちとGODがお互いがお互いの裏をかかんとし、設計図の欠片を持つ幸子の身柄を確保しようとする熾烈な争奪戦は非常に見応えがある。これまでGODは神敬介に偽の設計図を用意されるなど出し抜かれ続けてきたが、今回はアリカポネの方が一枚上手。
ギャング・スターの化身らしい謀略と駆け引きに長けたアリカポネの脅威が見事な演出だ。

幸子の尋問を開始したアリカポネは、巨大なアリを体に這わせ、足元に蟻の大群を群がらせる。
アリカポネの巨大アリは、一匹に噛まれ血を吸われる程度なら催眠効果のある催眠アリに過ぎないが、複数に同時に噛まれれば命を失うほどに多量の血液を吸われてしまう殺人アリだった。幸子が恐怖に口を割りかけたその時、レーダー装置からの連絡を受けた神敬介が駆けつける。
神敬介は幸子を逃し、大変身。
アリカポネはXライダーと互角にやり合うほどの実力を見せ、このままでは決着がつかないと、コントロールしたおやじさんをXライダーに向かわせ足止めさせると撤退した。
Xライダーはおやじさんから巨大アリを引き剥がし正気に戻すが、幸子は行方を眩ませた。

幸子の行方を案ずる立花コーヒーショップ一行。
そこに、差出人不明のレストランシアターの招待状が届く。
ジャンボアフリカンショーが熱狂を見せるレストランシアターに到着した一行。
ジャンボアフリカンショーの描写に尺が割かれているのがタイアップロケ回ならではだ。
ジャンボアフリカンショーにはしゃぐチコとマコをよそに、幸子の行方を案じていた神敬介とおやじさんの前に、幸子が姿を現した。大勢の中でかえって目立たない場所としてレストランシアターを選んだ幸子が招待状を送っていたのだ。
幸子が改めて鞄から設計図を取り出そうとしたその時、ホテルの従業員に変装していたGOD戦闘工作員が鞄を奪った。神敬介はすかさずXライダーになると、逃げ惑うジャンボアフリカンショーのキャストの中でGOD戦闘工作員と戦う。幸子もGOD戦闘工作員に追い回されるが、ジャンボアフリカンショーのキャストの一人に助けられ、部屋の中に逃げ込んだ。

しかし、逃げ込んだ部屋ではアリカポネが待ち構えていた。
アリカポネは娘の七恵を人質に、設計図の欠片の在り処を教えるように要求。
娘の命を守るため、幸子はついに鞄の中に設計図の欠片があることを話してしまう。
アリカポネは、GOD戦闘工作員が鞄を奪えなかったことを察知したのか、明朝9時に娘と設計図の欠片を交換する取引を持ちかける。もちろん、神敬介に話せば娘の命はない。
アリカポネが姿を消した後、幸子の鞄を守り抜いた神敬介とおやじさんがやってきた。
幸子は娘を守るため、設計図の欠片は失くしたのだと神敬介たちに嘘をつき、立ち去る。
人質を有効に使うアリカポネの悪辣さが見事に演出されているシーン。ギャングの化身ということもあり、策略と駆け引きで事態を優位に進める能力に長けている。

翌朝、取引の現場に向かった幸子は、GOD戦闘工作員にロープウェーに載せられ、アリカポネの待つ山頂へ連行される。しかし、幸子が急に態度を変えたことを不審に思った神敬介が、その後を追い山頂へバイクを飛ばしていた。山頂での取引で、ついに幸子は設計図の欠片をアリカポネに渡してしまうが、悪辣なアリカポネは最初から約束を守る気などなかった。
アリカポネはGODに一度逆らった者は始末すると、幸子・七恵親子を崖に突き落として始末しようとするが、間一髪、クルーザージャンプで山頂に到達したXライダーが間に合った。
設計図は既に手に入れたと勝ち誇るアリカポネに、Xライダーはそれが本当に本物かどうかの確証はない、自分が既にすり替えていたとしたら?と揺さぶりをかける。動揺したアリカポネが設計図の欠片の真贋を確認しようとした隙に、Xライダーはジャンプで一気に接近して幸子と七恵の救出に成功し、親子を逃がすのだった。
前後の展開を考えると神敬介が勝手に幸子の鞄を開けて設計図をすり替えていたとも考えにくいので、これはアリカポネを動揺させるためのブラフだと思われる。駆け引きの上手さで出し抜いてきたアリカポネに駆け引きで勝負を挑み、見事に裏をかく展開が痛快だ。
そのままの勢いでアリカポネを追い詰め、マーキュリーパワーを発動したXライダーは真空地獄車でアリカポネを倒す。真空地獄車の高速回転が赤い閃光が回転する描写で演出されており、話数を重ねるごとに真空地獄車の演出も洗練されつつある。

またしてもRS装置の設計図の欠片はXライダーが入手した。残る設計図は後1枚。
怒りに燃えるキングダークは、ついに完全に立ち上がると、山を噴火させその巨体をXライダーの前に現す。RS装置を完成させ、Xライダーを握りつぶす日も近いと吠えるキングダークの巨体を前に、Xライダーも闘志を燃やすのだった。

那須高原編後編は、どうにも杜撰だったトカゲバイキングから一転、謀略と駆け引きに長けたアリカポネの、ギャング・スターとしての魅力を十全に演出した回になっており、出し抜き出しぬかれの攻防戦の果て、人質を取られながらもブラフでアリカポネを動揺させたXライダーが勝利する駆け引きが軸になる非常に完成度が高いエピソードになっていた。

とうとうRS装置の設計図を巡る戦いも最終章に。
立ち上がったキングダークが怒り戦意をみなぎらせる中、V3とライダー2号も日本へ向かう。
ライダーとGODとの決戦の幕が切って落とされようとしていた。

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