「仮面ライダーX」第33話「恐怖！キングダークの復しゅう!!」感想

今回の怪人は世界三大美人の一人であり、古代中国四大美人の一人としても数えられる楊貴妃の化身であるムカデヨウキヒ。中国唐代の玄宗皇帝からの寵愛を受け、安史の乱を引き起こした要因として傾国の美女として知られる楊貴妃は、悪人軍団のモチーフとしては的確なチョイス。

キングダークはムカデヨウキヒに楊貴妃の化身としての美貌をもって神敬介を籠絡させることでRS装置の設計図を手に入れようとしたようだが、神敬介には特に色目が効かなかったようで、ムカデヨウキヒは結局力づくでの設計図奪取を目論んでいる。

神敬介は、夢の中でチャイナ服の少女と鬼ごっこをして遊んでいた。

しかし、そんな一時の安らぎは、少女が突然悲鳴を上げて終わりを告げる。

驚いて目を覚ました神敬介の耳に、少女が助けを求める声が聞こえてきた。

神敬介が駆けつけると、GOD戦闘工作員が、神敬介が夢で見た少女を襲撃していた。

神敬介はヌンチャクを駆使する戦闘工作員を一蹴し、少女を救出する。

少女はRS装置の開発者である南原博士からRS装置設計図の欠片を託されたヤン博士の娘と名のり、彼女の話ではヤン博士は妻とともにGODに殺され、GODは設計図を娘が持っていると睨んで彼女を追っていたのだという。神敬介はおやじさんに娘の保護を頼むのだった。

神敬介がヤン博士の娘を夢に見た理由は不明で、偶然の一致なのかもしれないが、後の展開を考えると眠っている神敬介にムカデヨウキヒが干渉し深層心理にヤン博士の娘の顔を刻み込んだのかもしれない。とはいえ特に言及がない以上、偶然の一致という方が正しいだろう。

ヤン博士の娘を歓迎し、立花コーヒーショップ一同はよみうりランドへ遊びに行く。

仲睦まじい様子を見せる神敬介とヤン博士の娘に嫉妬気味のチコとマコ。

その様子をカメラを通して見ていたキングダークはいい気になりやがってと怒りを見せる。

弁当を食べようとしていた立花コーヒーショップ一同。

後から合流した神敬介を見たヤン博士の娘は、突然目眩がして気分が悪くなった様子を見せる。

おやじさんに自分の部屋で休ませるように言われた神敬介は部屋のベッドで娘を休ませるが、娘は一人にしてほしいと神敬介を部屋から追い出した。

神敬介が部屋を出るのと入れ替わりで、神敬介と仲良くする娘に嫉妬して部屋に様子を見に来たチコとマコは、娘が起き上がり神敬介の部屋を家探ししている現場を目撃。

チコとマコが部屋に踏み込むと、娘の顔には巨大な牙が生えていた。

娘の正体はGOD悪人軍団のムカデヨウキヒで、神敬介に接近してRS装置の設計図を奪取することを目的に、自作自演でGOD戦闘工作員に追われ神敬介に保護されたのである。

ムカデヨウキヒの怪人としての正体を目撃したチコとマコの悲鳴を聞きつけ、部屋に戻ってきた神敬介に、ムカデヨウキヒは命が惜しくば設計図を渡せと迫る。チコとマコをさらって人質にしたはずなのだが、自分との戦えば命がないと脅す力づくの手段を取っている。

また、ムカデヨウキヒは自分がヤン博士の娘に化けていたことは隠し、ヤン博士の娘も人質に取っているような素振りを見せている。頭脳的なのか力づくなのかはっきりしないスタンスだ。

設計図を要求するムカデヨウキヒに、腕尽くで取ってみろと挑発する神敬介。

マーキュリー回路搭載後の神敬介は、やることも荒っぽければ言動も荒っぽい。

ワイルドなイメージへのイメチェンがあまりにも極端だ。

ヌンチャクを駆使した戦闘工作員の攻撃に対抗し、神敬介はXライダーに大変身。

ヌンチャクを奪い取って武器を使った殺陣をするXライダーの姿は、ライドルを使わなくなって久しいのでかえって新鮮なイメージだ。ムカデヨウキヒもヌンチャクを使い、ムカデヨウキヒとXライダーのヌンチャクが交錯する。結局設計図を手に入れられずXライダーに追い詰められたムカデヨウキヒは、復讐を誓いながら撤退した。

アジトに戻ったムカデヨウキヒは、キングダークに叱られていた。

キングダークはムカデヨウキヒに、その美貌を使って神敬介を籠絡し設計図を手に入れるように指示したのだが、結局力づくの手段を使って失敗したムカデヨウキヒに怒りを見せる。

尽く失敗した悪人軍団の怪人たちに見切りをつけたキングダークはついに自分が設計図を手に入れると宣言し、ムカデヨウキヒに神敬介を悪魔の墓穴におびき出すことを命ずる。

COLに戻った神敬介。チコとマコの行方が分からない中、今度はCOLの店先でムカデヨウキヒが化けたヤン博士の娘がGOD戦闘工作員に攫われる。

ムカデヨウキヒがヤン博士の娘が自分の変装だとバラさなかったのは、キングダークの命令がなくとも元々第2作戦としてこの陽動作戦に似た戦略を行うつもりだったのかもしれない。

神敬介がGODの車を追跡するのを見て上手くいったと邪悪な笑みを見せるムカデヨウキヒ。

GOD戦闘工作員を追って洞穴にたどり着いた神敬介は、落とし穴に落ちた先で囚われのチコとマコに再会する。神敬介は、ヤン博士が一週間前に家族とともにジュネーブを訪れて生存しており、本物のヤン博士の娘がムカデヨウキヒの変装とはまるで別人であることも知っていた上で、GODのアジトを突き止めチコとマコを救うためにあえて罠にかかったフリをしていたのだ。

だがそこに、髑髏を通してキングダークの声が聞こえてきた。

キングダークは洞穴に毒ガスを流し、命が惜しくば設計図を渡すように迫る。

神敬介はXライダーに大変身したものの、生身のチコとマコは毒ガスに耐えられない。

ついに屈した神敬介はクルーザーに設計図を隠していることを明かし、クルーザーを自動操縦で洞穴に呼び寄せる。無人運転で走ってくるクルーザー。

だがクルーザーが洞穴にたどり着いた時、クルーザーには日本に帰国していた仮面ライダーV3が搭乗していた！V3の助けでXライダーはチコとマコを救出し洞穴から脱出する。

クルーザーの自動操縦は、「仮面ライダーV3」で演出されたハリケーンの自動操縦シーンが好評だったことを受け、「仮面ライダーX」で序盤から頻繁に演出され印象に残るシーンだった。

クルーザーの自動操縦シーンが印象的な演出をされていたことを逆手に取り、Xライダーが呼び寄せた自動操縦のクルーザーにV3が乗って駆けつける、という視聴者の想像を超える演出を見せてV3の登場をよりサプライズ感ある演出にしているのが見事である。

脱出に成功した神敬介と風見志郎、チコとマコ。

しかし、ムカデヨウキヒは今度はおやじさんを人質にしていた。

設計図を渡すように迫るムカデヨウキヒだが、暴れるおやじさんを吊り橋から突き落としてしまう。あわや人質作戦の意味もなくなり、おやじさんも絶体絶命の危機。

しかしそこに、今度は仮面ライダー2号が駆けつけおやじさんを空中でキャッチした。

風見志郎の仲介で、一文字隼人と対面する神敬介。

おやじさんは教え子である3人ライダーが集結したことを喜ぶ。この場面にチコとマコも立ち会っているので、この2人もなし崩し的に神敬介が仮面ライダーXであることを知ったようだ。

仮面ライダーが続々集結し、何もかも上手くいかないキングダークは怒りで火山を爆発させることで3人ライダーをまとめて始末しようとする。火山の噴火が収まり、ムカデヨウキヒに3人ライダーの死体を確認させ設計図を手に入れるように命ずるキングダーク。

しかし、歴戦の3人ライダーがその程度で死ぬわけもなく、ついに3人ライダーが並び立つ。

2号とV3はムカデヨウキヒをXライダーに任せ、キングダークの元に向かった。

ムカデヨウキヒはカラス爆弾をXライダーにけしかけるが、猛スピードで迫るXライダーの接近を許してしまう。歴代ライダー集結に合わせ「ライダー讃歌」をバックに戦うXライダー。

ヌンチャクで攻めればハイキックでヌンチャクを蹴り飛ばされ、ジャンプしたXライダーにカラス爆弾を差し向けてもこれまたカラス爆弾を蹴り飛ばされると為す術もないムカデヨウキヒに、Xライダーはマーキュリーパワーを発動させ真空地獄車でムカデヨウキヒを倒す。

今回の真空地獄車は空中で相手を捉え回転するパターン。

2号とV3、そして駆けつけたXライダーの前に、ついにキングダークが姿を現した。

しかしキングダークは巨大な壁を出現させ撤退、3人ライダーに復讐を誓う。

いよいよ、残る1枚の設計図を巡る最後の戦いが始まる。

前回の時点でRS装置の設計図の欠片は残り1枚で、次回タイガーネロに狙われる雨宮博士が最後の1枚を持っていたことを踏まえると、今回名前が出たヤン博士はそもそも設計図の欠片を持っておらず、ムカデヨウキヒが口からでまかせでヤン博士の娘を名乗っただけのようだ。

マーキュリー回路搭載でワイルドになり、力づくの手段を取ることが多い神敬介に同じ力づくで対抗した結果、2号とV3の助力というイレギュラーがあったとは言え敗北したムカデヨウキヒは、キングダークの言うように美貌での籠絡を狙ったほうが良かったかもしれない。