あらすじ
GODの罠にはまった神敬介は、捕らわれの身となり空中高く吊される。
GODから敬介と引き換えに設計図を要求された藤兵衛たちは設計図を渡すことに。
しかし、GODは約束を守らず敬介を亡き者にしようとする。
始動!RS装置 3人ライダー絶体絶命!
今回の怪人はローマ帝国の皇帝、ネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクスの末裔を自称する悪人軍団のエース怪人、タイガーネロ。
後世に暴君としてその名を残すネロの化身であるタイガーネロは、まさに最後のきぐるみ新規造形悪人軍団に相応しいモチーフ選択に成功した悪人軍団怪人の成功例と言える。
最終話に登場するサソリジェロニモJr.の存在のせいで、最後の悪人軍団怪人になれなかったのが惜しまれるほどの存在感を持つ怪人だ。
香港に滞在していた雨宮博士を、タイガーネロが襲った。
一方、立花コーヒーショップには一文字隼人からの暗号電報が届く。
南原博士からRS装置設計図の欠片を託された科学者の一人、雨宮博士が来日するというのだ。
設計図の入った赤いアタッシュケースを目印に雨宮博士と合流した神敬介は、GOD戦闘工作員の追跡を受ける。タイガーネロの配下の戦闘工作員は花冠をつけているのが特徴。
ローマ帝国時代の人間のパブリックイメージを反映した扮装だ。
戦闘工作員と戦う神敬介に、なんと雨宮博士が襲いかかる。雨宮博士はタイガーネロに操られていたのだ。数々の粛清やキリスト教徒の迫害を行った暴君ネロの化身であるタイガーネロは、用済みになった雨宮博士を容赦なく始末する残酷さを見せる。
設計図の入った赤いアタッシュケースを確保した神敬介は分が悪いと撤退を選んだが、タイガーネロはアタッシュケースを偽物とすり替えていた。真贋を確認するためアタッシュケースを開いた神敬介を、毒ガスが襲う。気絶した神敬介はGODに囚われてしまった。
悪人軍団の切り札であるタイガーネロの戦果に喜びを見せるキングダーク。
さらにタイガーネロは本物のアタッシュケースから設計図の欠片を取り出し、キングダークに献上した。キングダークもそれを本物と確認し、ついにGODが2枚の設計図を手中に収める。
キングダークはいかなる手段を用いても残りの設計図を手に入れるように命ずる。
いつまで経っても戻らない神敬介を心配していたおやじさん。
すると、立花コーヒーショップのテレビにタイガーネロが映り、囚えた神敬介を鉄塔の頂上から吊るす処刑を行うと宣言。神敬介の命を救いたければRS装置設計図を全て渡すように迫る。
1分間だけ考える時間を与えるタイガーネロ。ムスカ大佐より気が短い。
おやじさんは、神敬介さえ生きていれば設計図を取り返すことも出来るが、神敬介を失えばもはやGODに立ち向かえる者はいないと、設計図を渡すことを決断。
設計図を持ったおやじさんは戦闘工作員の案内で神敬介の処刑場へ向かう。
タイガーネロはおやじさんの手から設計図を奪うと、約束を破り神敬介の処刑を実行せんとする。GODに約束などないわい!と勝ち誇るタイガーネロの悪辣さが印象的だ。
だがそこに、風見志郎が駆けつけた。風見志郎は代名詞であるバイク手放し変身を披露し、V3となってタイガーネロを引き付けると、おやじさんが阿吽の呼吸で神敬介の救助に向かう。
だが、神敬介の腕を縛る鎖は特殊金属で作られており、常人であるおやじさんには解けなかった。腕が使えなければ神敬介も大変身が出来ない。
とっさに助けに入ったV3が鎖を破壊し、神敬介はXライダーに大変身。
分が悪いと見たタイガーネロは高速回転する技・タイガー竜巻地獄で竜巻になると、設計図を持ってアジトへと撤退してしまった。こうして、GODが全ての設計図を手に入れてしまう。
キングダークはたいそう喜び、RS装置完成の暁にはタイガーネロをGOD最高幹部へ推薦すると約束。タイガーネロにRS装置製造を命ずる。
GOD総司令の設定がドラマ上消滅しキングダークが頂点に立つワンマン組織として再編成された印象さえ受けるGODだが、名目上は最高幹部という役職も存在するようだ。
RS装置が完成すれば世界の破滅。一刻も早くGODのアジトを突き止めなければならない。
神敬介は、囚われの身になった時に一人のGOD戦闘工作員に発信機を取り付けていた。
転んでもただでは起きない立ち回りだ。
XライダーとV3は発信機の信号を頼りにGODのアジトへ急行する。
一方、タイガーネロもいよいよRS装置を完成させようとしていたが、研究員の一人が発信機の信号に気づいた。タイガーネロは迂闊にも発信機を取り付けられていた戦闘工作員を粛清する。
発信機の信号が途切れ、もはや一刻の猶予もない。
アジトへ急ぐXライダーとV3の前に、タイガーネロがついに完成してしまったRS装置を携え現れた!RS装置とは、全ての物質を一瞬にして分解し消し去る、原水爆と比較にならないほどに危険な兵器。ここに来て、RS装置の効果がこれまでナレーションで説明されてきた「全ての物質のエネルギーを一瞬にして消し去る」から上書きされてしまった。
だが、そもそも最初の話では「全ての物質を分解してエネルギーに変える」装置だったので、それを兵器として完成させた結果、エネルギーを生み出す過程で物質を分解する効果が大きく取り扱われ、「全ての物質を一瞬にして消し去る」という説明になっているのだと思われる。
設定が二転三転して、なんとか最初に説明があった効果に戻ってきたようだ。
RS装置を起動させ、XライダーとV3を分解してしまおうとするタイガーネロ。
Xライダーは自分が不覚を取った責任を取って命がけで装置の発動を阻止せんとするが、先輩として命をかけようとするV3に止められ、結局二人がかりで装置を止めようとする。
だが、タイガーネロが起動スイッチを入れた途端、RS装置は爆発。装置の隣にいた戦闘工作員は跳躍して脱出する。なんと戦闘工作員は一文字隼人の変装で、万が一に備えてGODに潜入し、設計図の中枢にあたる部分を偽物とすり替えておいたのだ。
さらに一文字隼人は仮面ライダー2号に変身。「私の変身をお目にかけよう」というセリフが、一文字隼人が初登場し変身ポーズを初披露した時の「お見せしよう、仮面ライダー」を思わせてグッとくるセリフだ。「ライダーアクション」をBGMに、3人ライダーが戦う。
切り札のタイガー竜巻地獄も回避されたタイガーネロ。
Xライダーはマーキュリーパワーを発動させ、真空地獄車でタイガーネロを倒す。
キングダークは怒りに燃え、一文字隼人がすり替えたRS装置中枢部の設計図を奪い取り、今度こそRS装置を作り出して仮面ライダーを始末することを宣言するのだった。
とうとう、XライダーとGODの最後の戦いが始まる。
前回から日本に帰国し戦っていた2号とV3だが、次回の最終決戦には不参加。
新潮ムック「仮面ライダー熱闘伝」では、当初5人ライダーが結集しキングダークと戦う最終回が予定されていたが幻となったという話があり、恐らくはこの最終回へ向けての布石として一文字隼人や風見志郎が帰国する、後の「仮面ライダーストロンガー」デルザー軍団編の萌芽とも言える大河ストーリーが展開されたものと思われる。
キングダーク編の縦軸であるRS装置設計図争奪戦もいよいよGODがほぼすべての設計図を手中に収め、二転三転したRS装置の設定も全ての物質を消し去る兵器として確定した。どんでん返しとなった一文字隼人の設計図のすり替えでかろうじてRS装置の完成は阻止されたが、なおもRS装置完成に執着するキングダークは復讐の炎を燃やす。最終決戦の時は、近い。