あらすじ
お正月の街に銃声がとどろく。
ゲドンはパトカーを襲い、連行中の殺人犯をアジトへ送り込んだ。
改造された殺人犯こそ凶悪なトゲアリ獣人だった。アマゾンはどう戦うのか…。
恐怖の獣人改造室 悪魔のアジトへ突入せよ
今回のゲドン獣人はトゲアリ獣人。
ゲドン獣人は動物や昆虫を強化して人間並みの知性を持たせた存在という設定で、十面鬼が人面岩から生み出したりアジトの奥底から呼び出したりしていたが、トゲアリ獣人は前科十犯の凶悪犯を素体として改造手術を施し誕生したという、改造人間としての怪人のあり方に回帰した存在。
人間の悪の心こそが凶悪な獣人に相応しいという十面鬼の思考の変化がうかがえる。
正月早々、アマゾンはジャングラーを飛ばしていた。そのタイムを測るおやじさんはアマゾンのオートレーサーとしての素質を見出し、世界一のライダーにしてみせると意気込む。
本郷猛を世界一のオートレーサーにする夢を抱き、滝和也や一文字隼人、風見志郎という勇者たちを戦士としてだけでなく、オートレーサーとしても見守り、神敬介にもオートレーサーとしての手ほどきを行ってきたおやじさんだが、彼らは皆、悪との戦いのために世界に旅立っていった。
それでもなお、おやじさんの胸には世界一のオートレーサーを育てるという夢が燃えており、絶大な身体能力を持つアマゾンも親父さんのお眼鏡に叶ったというわけだ。
だが、そんな話を聞かされたまさひこは冷淡だった。アマゾンはゲドンを倒すためだけに日本に来ていて、ゲドンを倒せばアマゾンのジャングルに帰るに決まっていると冷たい態度を取る。
あまりにも冷たい態度だが、裏を返せばこの言動は、アマゾンとトモダチになったが、ゲドンを倒せばアマゾンが日本からいなくなる宿命であることを悟っているがゆえに、それに寂しさを覚えそうになる自分に言い聞かせているのかもしれない。
タイムを測り終えて戻ってきたアマゾンが、自分との意思疎通は未だにスムーズでないのに、まさひことは心を通じ合わせている様子を見たおやじさんは上手くいかないとぼやく。
するとそこに、突然悲鳴が聞こえてきた。
悲鳴の先では、少女を抱えた男が逃亡しており、それを警官隊と少女の両親が追っていた。
危機を知ったアマゾンが警官隊を追いかけると、男は娘を人質にして立て籠もりを始めていた。
強盗殺人犯である前科十犯の凶悪犯、村田源次から人質にされた少女を救うべく、アマゾンは村田が立て籠もる建物の壁を登って建物に侵入し、密かに村田に迫る。
コンドラーをロープにしたアマゾンは、接近に気づいた村田の発砲をものともせず、ロープを使って村田に飛びかかり、噛みつき攻撃で村田を昏倒させて少女を救った。
村田は警官隊に逮捕され、お正月の街に平和が戻った。
だが、アマゾンは立て籠もり現場の付近にいた赤ジューシャを発見。
赤ジューシャたちはオートバイ部隊となって村田を護送するパトカーの進路を塞ぎ、ガスを噴射して警官隊や村田を気絶させ、村田を拉致する。
追ってきたアマゾンは足止めしようと襲ってきた赤ジューシャの一人を気絶させるが、ゲドンがなぜ悪人である村田を捕まえたのかわからずに困惑していた。
赤ジューシャに捕まった村田は、ゲドンのアジトへ連行され十面鬼の前に通される。
十面鬼は前科十犯にして次は死刑確実でありながら、死刑すら覚悟の上と言い切る村田の度胸と悪の塊といえる性格を気に入り、ゲドンの獣人にしようとしていたのだ。
死刑になるか、ゲドンの獣人となって悪を働くかと選択を迫る十面鬼に、村田は死よりはマシと獣人になることを選び、村田は獣人改造室へ連れて行かれる。
獣人改造室で処置を受けた男は、トゲアリ獣人へと変貌するのだった。
アマゾンは気絶させた赤ジューシャを木に縛り上げていた。
モグラ獣人はアマゾンが赤ジューシャを焼いて食べようとしていると勘違い。
捕まえた人間(?)を食べようと判断する、改心したとはいえこういうところは獣人のままだ。
モグラ獣人は、いつも獣人を見張って、失敗すれば十面鬼に告げ口する赤ジューシャが気に食わなかったらしい。赤ジューシャの報告で処刑されそうになったのを思えばさもありなんではある。
だが、アマゾンは捕らえた赤ジューシャをわざと逃がし、その後を追うことでゲドンのアジトを突き止めようとしていた。アマゾンの思わぬ頭脳プレーにモグラ獣人も脱帽する。
ギギの腕輪を守り、世界の平和を守るためにアジトを見つけ、ゲドンや十面鬼との決着を急ごうとするアマゾンを称えるモグラ獣人だが、十面鬼の恐ろしさを警告もするのだった。
その頃、ゲドンのアジトでは獣人トゲアリが完成。
獣人トゲアリは凶暴性を全開にし、周囲にいた赤ジューシャを殺戮する。
十面鬼は悪の塊として誕生した獣人トゲアリの完成度に満足すると、アマゾンに捕まった赤ジューシャの奪回とギギの腕輪の強奪を命ずるのだった。
まさひことりつ子がアマゾンを訪ねてきたが、そこにはアマゾンは不在。
縛られた赤ジューシャの前で、モグラ獣人が焚き火をしていた。
りつ子は赤ジューシャが縛られていることに驚く。アマゾンに頼まれて赤ジューシャを見張っていたモグラ獣人だが、まさひこたちに見張りを押し付けるとどこかに行ってしまった。
すると、目を覚ました赤ジューシャが水を求めてりつ子に声をかけてきた。
りつ子が水を汲みに行くと、さらに赤ジューシャはまさひこに縄を緩めるように頼んできた。
うっかり頼みを聞いたまさひこが縄を緩めると、すかさず赤ジューシャは逃亡する。
すると、アマゾンが現れた。アマゾンは赤ジューシャが逃げるとその後を追うために、離れた場所で見張っていたのだ。そうとは知らず逃亡する赤ジューシャの前に、トゲアリ獣人が現れた。
うまく逃げてきたつもりの赤ジューシャだったが、トゲアリ獣人はそれがアマゾンの罠であることを察しており、赤ジューシャを追ってきたアマゾンへトゲを飛ばす。
こうして、トゲアリ獣人とアマゾンの対決が始まった。
トゲアリ獣人は蟻酸を噴射してアマゾンを攻め立て、そこに赤ジューシャが巨大な岩を転がし、岩が直撃したアマゾンは気絶。トゲアリ獣人はついにアマゾンを捕らえ、十面鬼の前に連行する。
とうとう望みのギギの腕輪を手に入れる事が出来ると上機嫌な十面鬼は、トゲアリ獣人をゲドンの誇りと称える。だが、アマゾンは気絶したフリをしていただけだった。
ゲドンのアジトを掴み、ガガの腕輪を奪い取るためにわざと捕まったフリをしていたアマゾン。
野生の本能か、ゲドンの裏をかいた作戦を見事に立案し、ついに十面鬼を追い詰めたのだ。
一杯食わされた十面鬼は怒り、人面岩から赤い液体を噴射。
燃え上がる炎の前で、アマゾンは咆哮しアマゾンライダーに変身。ついに十面鬼と対峙する。
だが十面鬼はすぐにアジトを崩壊させ逃亡。崩壊するアジトからアマゾンライダーも脱出した。
同じく崩壊するアジトから脱出していたトゲアリ獣人との最後の戦いが始まる。
「アマゾンライダーアクション」が流れ、素早い連続攻撃からの噛みつきでトゲアリ獣人を痛めつけるアマゾンライダー。断崖絶壁で戦う危険なスタントシーンが見応え抜群だ。
アマゾンライダーは、トゲアリ獣人が連続回し蹴りで怯んだところに大切断を叩き込む。
最後の足掻きで放たれた蟻酸も通じず、トゲアリ獣人は首を刎ねられ倒された。
だが十面鬼はゲドンには獣人もアジトもまだまだあるとゲドンの底力をアピールし、今日のところはアマゾンを見逃すと言って去っていった。
だが、次回出てくる獣人ヘビトンボが最後のゲドン獣人であり、その獣人ヘビトンボもガランダー帝国の勧誘に負けゲドンを裏切ることを思えば、十面鬼の発言は虚勢以外の何でもない。
平和が戻り、正月の挨拶をするまさひことアマゾン。
モグラ獣人やりつ子も姿を見せ、平和なお正月を満喫するのだった。
完全にゲドンの裏をかき、捕らえた赤ジューシャを利用しゲドンのアジトを突き止めようとし、それに失敗すれば自らとギギの腕輪を囮としてアジトに乗り込むアマゾンの攻勢が印象的な回。
もはや、シリーズ当初のわけもわからずゲドンに襲われ逃亡していたころの面影もなく、ギギの腕輪を守り、ゲドンを倒して世界の平和を守る使命を自覚し、能動的にゲドンのアジトを突き止めようとする姿は、世界を守る戦士としての頼もしさに満ちている。
こうして、ついにゲドンとの決着の時が迫ろうとしていた。
だが、その影に新たな悪が胎動しつつあることを、まだ誰も知らない。