あらすじ
空から十面鬼の襲撃に遭い、恐怖のどん底に陥った平和な街。
怒りに燃えるアマゾンの行く手を遮るように謎の女・名古屋美里が現れる。
そして、アマゾンの雄叫びが荒野にこだまする。
十面鬼怒りの大反撃!十重二十重の罠を打ち破れアマゾン!
いよいよ、この第13話・第14話の前後編で、アマゾンの宿敵だった十面鬼が討たれ、ゲドンとの戦いに終止符が打たれると同時に、「仮面ライダー」シリーズでは初となる、組織を率いる首領が異なる、新たな敵組織への交代劇が描かれることになる。
ショッカーからゲルショッカーへの拡大や、キバ一族、ツバサ軍団などを吸収して第二次攻撃を仕掛けてきたデストロン、キングダーク登場以後ほぼシリーズ初期と別組織の様相を見せていたGODなど、これまでのシリーズでも敵組織のイメージチェンジは積極的に図られてきたが、組織を率いる首領まで完全に別組織となるのはシリーズ初。
この前後編を監督したのは塚田正煕氏で、塚田正煕氏は既に「イナズマン」から「イナズマンF」への橋渡しとなったファントム軍団壊滅とデスパー軍団の台頭を描いた「イナズマン」第24・25話と「イナズマンF」第1話の3部作も監督しており、衰退した組織の崩壊と新組織の出現を劇的に描いたその力量をこの前後編でも遺憾なく発揮している。
この敵組織の交代劇は、視聴者の興味を引くために「仮面ライダーアマゾン」企画段階で既に予定されていたもの。また、放送開始後の制作会議で、ゲドン編が腕輪の争奪戦に終止し、スケールが小さい印象を与えていたことが問題視されたこともあり、ゲドンに変わって新たな組織として台頭するガランダー帝国はその反省で無闇矢鱈とスケールが大きい作戦を連発。
「アマゾン」の話数が少ない関係で、所属する獣人の数が少ない小規模な組織でありながら、やらかすことは規模が極端に大きい、打ち上げ花火のようなド派手な組織になっている。
おやじさんは車を走らせていたが、愛車のジムニーがまたも不調でエンストしていた。
仕方なく整備をしていたおやじさんに、アマゾンが流暢な日本語で声をかけてきた。
なんと、まさひこの特訓でアマゾンはある程度の日本語を習得したのだ。
おやじさんもアマゾンが日本語を話せるようになったことを喜び、アマゾンはゲドンとの決着をつけるために、自らゲドンを探す決意を固めていると、そこに、りつ子が現れた。
なんと、百合ヶ丘の上空に怪物が現れ、大勢の人が溶かされたのだという。
これがゲドンの仕業だと察知したアマゾンはジャングラーで百合ヶ丘に向かい、おやじさんとまさひこも、エンストを起こしたジムニーをなんとか走らせ現場に向かう。
アマゾンが日本語を習得する展開は、前述したゲドン編の反省点を洗い出した制作会議で決定したもの。ターザンの物語を思わせるアマゾンのキャラクター性は一定の好評を得ていたものの、自ら心の内を言葉にするようになったことで、心情描写がより自然に描かれるようになっている。
この制作会議では、アマゾンの必殺技である「大切断」をより必殺技として確立する演出の強化も決定し、アマゾンが日本語を習得するこの第13話から「大切断」の叫びとともに大切断が繰り出されるようになり、より必殺技として印象を強めた技となっていく。
百合ヶ丘上空では、十面鬼が高笑いを上げながら飛び回っていた。
ゲドンの恐ろしさを人間たちに知らしめんとする十面鬼は、人面石から白い泡を噴射。
泡に包まれた人々は肉体が溶解し、大勢の犠牲者が出てしまう。
パニックに陥った百合ヶ丘に、アマゾンが到着。
それを確認した十面鬼は飛び去り、アマゾンは十面鬼を追った。
十面鬼が姿を消した付近でジャングラーを降りたアマゾンは、そこに隠れていた十面鬼の奇襲を受ける。十面鬼が百合ヶ丘を襲ったのはアマゾンを誘き寄せる罠だったのだ。
ギギの腕輪を手に入れるためなら喜んで人々を殺戮する十面鬼の獣の如き非情さが鮮烈だ。
こうしてついに、アマゾンと十面鬼ゴルゴスの直接対決が始まった。
9つの人面の呪詛の言葉とともに、十面鬼の人面石からロケット弾が放たれた。
それを回避したアマゾンは瞬時にアマゾンライダーに変身。
十面鬼は「ブラック・オン・ゴールド」の呪文を唱えて周囲を闇に包むと、闇の中を飛び回ってアマゾンライダーを撹乱。だが、アマゾンライダーは怯まずに反撃の大切断を、9つの人面のうちの一つに叩き込み、人面の一つの息の根を止める。力の一端を失った十面鬼は撤退した。
十面鬼を退け変身を解いたアマゾンを、銃撃が襲った。
アマゾンを狙撃した女性は、アマゾンを父を殺した仇だと主張し始める。
アマゾンは自分はゲドンの敵だと告げるが、女性は信じない。
そこにおやじさんとまさひこが駆けつけ、アマゾンは正義と平和のために戦っていると弁護する。
過ちを認めた女性は謝罪し、アマゾンもそれを許す。十面鬼を探すためアマゾンたちがその場を去ろうとすると、女性は自分をゲドンと戦う仲間に加えろと言ってきた。
アマゾンたちはそれを断るが、女性は仲間に入れてもらえなくても自分一人で戦うと脅すように迫り、アマゾンはかえって一人で戦えば危険だと、仲間に加えることを了承する。
名古屋美里と名乗った女性は、まさひこに教えられ、アマゾンにトモダチの印を示すのだった。
十面鬼を探す拠点とした山小屋で、アマゾンから一つの顔を殺され弱った十面鬼がそう遠くには行っていないことを聞いたおやじさんは、薪を探しに行ったまさひこと美里が襲われる可能性を考慮して、アマゾンとともに二人を探しに行くことになった。
一方、薪を探していたまさひこは美里の決意を認め、ゲドンと戦う決意を固めた勇気を褒める。
まさひこと美里が山小屋に戻ろうとすると、ゲドンの獣人、獣人ヘビトンボが現れた。
まさひこはヘビトンボを木の棒で殴打するが、ヘビトンボの一撃で負傷してしまう。
さらに美里を襲うヘビトンボの前に、アマゾンとおやじさんが駆けつけた。
おやじさんにまさひこたちを任せたアマゾンは、ヘビトンボと対決。
だが、アマゾンも鋭い鎌に苦戦していたところに、モグラ獣人が助けに現れる。
モグラ獣人はアマゾンを逃がすと、自分もヘビトンボを跳ね飛ばした後に逃亡する。
山小屋に戻ったアマゾンたちは、傷を負ったまさひこを医者に見せることになった。
おやじさんにまさひこを任せ、アマゾンと美里が山に残り、ゲドンを探すことになった。
そこに姿を現したモグラ獣人も山に残ってゲドンを探すことになる。
モグラ獣人は美人に鼻の下を伸ばすが、美里はつい先程獣人ヘビトンボに襲われながら、モグラ獣人を恐れるどころか敵意すら感じる厳しい目を向けていた。
おやじさんたちが山を降りるまでの護衛をすることになったアマゾンを気遣う美里の言葉に、モグラ獣人はたまには自分も気遣われて優しい言葉をかけてもらいたいとぼやく。
アマゾンはそんなモグラ獣人をからかうように気遣う言葉をかけるのだった。
おやじさんたちが山を降りたのを確認したアマゾンが山小屋に戻る間、モグラ獣人が美里の身の上話を聞いていると、獣人ヘビトンボが現れた。モグラ獣人は美里を庇い、ヘビトンボと戦う。
一方、アマゾンは山小屋の外に赤ジューシャたちがいることを目撃。
後を追ったものの、赤ジューシャを見失ったアマゾンが山小屋に戻るとヘビトンボに倒されたモグラ獣人が倒れていた。美里を助けるために力いっぱい戦ったモグラ獣人を信じ、労るアマゾンは、美里の無事を案じるモグラ獣人から美里のことを頼まれる。
だが、アマゾンはヘビトンボの後を追ってゲドンのアジトを突き止める決意を語り、モグラ獣人は美里のことを気にしないアマゾンの様子を訝しむのだった。
美里を担いで山中を進んでいたヘビトンボは、アマゾンの尾行に気づき、美里を人質にする。
だが、アマゾンは赤ジューシャの命など知らないと答え、美里に構わず戦う意志を見せる。
アマゾンは最初から美里を疑っており、ヘビトンボに襲われ命の危険を感じながら、同じ獣人のモグラ獣人を見ても怖がる様子を見せない美里の正体が赤ジューシャであると見抜いたのだ。
正体が露見した美里は赤ジューシャとしての正体を現し、姿を眩ませた。
スパイ作戦の失敗を悟ったヘビトンボはついにアマゾンとの直接対決に挑む。
アマゾンもアマゾンライダーに変身した。
アマゾンライダーは身軽な動きでヘビトンボの攻撃をことごとく躱し、回し蹴りや腕ヒレの攻撃で両腕を切断。さらに噛みつき攻撃を仕掛け、ゲドンのアジトを尋問する。
だが、ヘビトンボは頑強な意思で口を割らず、口から青い液を吐き、蛹となってしまった。
ヘビトンボが幼虫に過ぎなかったことに呆然としていたアマゾンライダーの隙をつき、ヘビトンボの蛹は斜面を転がり逃亡。さらに、十面鬼が飛来してアマゾンライダーに襲いかかった。
人面の一つを殺された十面鬼の怒りの逆襲に、アマゾンライダーは絶体絶命の危機に陥る…!
前回、ゲドンにはまだまだ獣人がいると豪語していた十面鬼だが、実際には獣人ヘビトンボしか残っておらず、その結果自ら前線へ赴き、ゲドンの恐ろしさを知らしめると同時にアマゾンを誘き寄せる作戦を自分の手で実行せざるを得なくなってしまった。
今回のゲドンはひたすらにアマゾンの隙をつこうとする作戦を立てている。
①十面鬼がアマゾンを誘き寄せ直接対決。
②その対決が劣勢になり、十面鬼が撤退。十面鬼を撤退させたアマゾンの隙をつき赤ジューシャが変装した名古屋美里がアマゾンを銃撃。
③銃撃が失敗した美里が仲間になったフリをして、ヘビトンボに捕まった人質のフリをすることでアマゾンを抵抗できなくして、ヘビトンボに始末させる。
④美里の罠を見抜かれヘビトンボが劣勢になると、戦闘後の隙をついて十面鬼が襲いかかる。
…と、4段階にも渡って十重二十重にアマゾンの隙をつく作戦で挑んだゲドンだが、アマゾンには尽く罠を見抜かれており、ヘビトンボは絶命寸前に蛹になったことでなんとか逃亡に成功するが、結局は十面鬼自らが再度アマゾンと直接対決するまでに追い込まれている。
もともと野生の本能で危険を察知する能力に長けており、戦いの中で戦士として成長を遂げたことでゲドンの罠を察知できるようになったアマゾンの前には、邪悪な陰謀はもはや通用しないのだ。
だが、ついに9つの人面を殺られ始めた十面鬼の怒りも深い。ゲドンとの決着の時が迫る。