「仮面ライダーアマゾン」第8話「学校を襲ったワニ獣人!!」感想

2024年4月7日日曜日

仮面ライダーアマゾン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

ゲドンがまさひこの学校を襲撃する。
恐ろしいワニ獣人が現れ、用務員のおじさんを食べて子供たちをさらってしまう。
助けに駆けつけたアマゾンは、逆に犯人として捕らえられてしまう。危うしアマゾン!

恐怖の食料人間貯蔵計画 偏見が戦士の行手を阻む

今回のゲドン獣人は、巨大なワニが二足歩行する、ボリューミーな造形がド迫力のワニ獣人。
劇中でも剥製に間違われるほどにワニそのものの姿が特徴であるその姿は、もはやちょっとした怪獣のスーツである。今回の目的はアマゾン抹殺だけでなく、ゲドンの食料である食料人間をストックするべく、まさひこの通う小学校を襲い、子供たちを攫って燻製にしてしまうこと。
人間を食べるために攫うという、ダイレクトに生理的嫌悪感溢れる描写が恐ろしい。

少年・シゲヤが一人でハーモニカを吹いていると、どこからかそれに合わせた草笛の音が聞こえてきた。草笛の音の主はアマゾンだった。
アマゾンはハーモニカに興味があるようで、シゲヤからハーモニカを借りる。
シゲヤはアマゾンにハーモニカを教え、それを通しアマゾンとシゲヤは心を通わせるのだった。

まさひこにしろ、シゲヤにしろ、純粋な子供はアマゾンの姿で偏見を持たず、笑顔で接しってくるアマゾンの善性を読み取って純粋にアマゾンと心を通わせることが出来る、というのは一貫した描写だ。大人になって世の中を知り、知識が増えればそれに伴い偏見も増えてしまうのは仕方のないことでもあるが、それゆえに目が曇ることもある。ある意味で、視野が狭い子供だからこそ、無垢なる思いで生きるアマゾンの善性を誤解なく受け入れられるのだろう。

その頃、まさひこは学校で授業を受けていた。理科の授業中の先生は、まさひことクラスメイトのしげるに、生物室にあるカンガルーの骨格標本を持ってくるように頼む。
しげるは生物室にワニがいると驚くが、まさひこはただの剥製じゃないかと冷淡。
おやじさんに対する態度もだが、まさひこはたまに異様にドライな面を見せる。
だが、まさひことしげるが背を向けた隙に、ワニの標本が動き出した。
まさひこは用務員のおじさんの悲鳴を聞きつける。
駆けつけると、なんと先程の標本のワニが用務員のおじさんを襲い、食べてしまった。
まさひことしげるは慌てて先生を呼ぶが、現場には、ワニもいなければ用務員のおじさんが襲われた痕跡もない。2人で示し合わせてからかっているのかと楽観的な先生に、まさひこはこれはゲドンの仕業ではないかと察知。学校を抜け出してアマゾンを探しに行ってしまった。

だが、まさひこはアマゾンを見つけられない。
すると、同じようにアマゾンを探しているおやじさんと遭遇した。おやじさんはまさひこから学校にゲドンが現れたことを教えられ、二人は手分けしてアマゾンを探し始める。
その頃アマゾンはシゲヤと遊んでいたが、そこにシゲヤの母親である房子が迎えに来た。
アマゾンを目撃した房子は、シゲヤを知らない人と口を利いてはいけないと叱り、どう見てもマトモな格好をしていないアマゾンを、子供に近づく不審者と見なして睨みつける。
偏見で不審者と見なされ、アマゾンが可哀想ではあるのだが、一方で仮面ライダーシリーズの世界では怪人による人間の失踪が当たり前のように起きている世界。
子供を思うからこそ、不審な人間に近づいてはいけないと思うのも仕方なくはある。
アマゾンはシゲヤをトモダチと呼ぶが、房子はアマゾンを拒絶し続けるのだった。
そこにまさひことおやじさんが現れ、アマゾンに学校にゲドンが現れたと知らせる。
アマゾンは急いで学校へ向かい、シゲヤもそれを追いかけるのだった。

その頃、まさひこの小学校は赤ジューシャや、まさひこたちが目撃した動くワニの剥製の正体であるワニ獣人の出現でパニックに陥っていた。小学校に到着したアマゾンはワニ獣人に立ち向かうが、ワニ獣人はその強靭な身体でアマゾンを寄せ付けない。
先生はまさひこが言っていたことが正しかったのだと思い知り、赤ジューシャに襲われそうになっていたまさひこを庇って赤ジューシャに捕まってしまう。
おやじさんも捕まる中、先生によって倉庫に隠されたまさひこは難を逃れる。
ワニ獣人の猛威に、アマゾンはアマゾンライダーに変身。
アマゾンライダーの強烈な痛打に不利を悟ったワニ獣人は撤退するが、既にゲドンは人間を食料人間としてストックするために誘拐するという任務を果たしていた。

ワニ獣人は子供を攫うことが任務だったため、その任務を果たしたワニ獣人は珍しく十面鬼に褒められていた。十面鬼は、これだけ食料人間がいれば当分の間食料に不自由しないと喜ぶ。
さらにワニ獣人は、食料人間を貯蔵するため、砂の山の燻製工場で蒸し焼きにする準備を進めていた。人間を食料にするだけでなく、燻製にして貯蔵しようとする、人食い怪人の集団としての生理的嫌悪感を抱かずにはいられない恐怖描写が秀逸だ。

だが、十面鬼ゴルゴスは突然ワニ獣人がアマゾンのギギの腕輪を奪ってこなかったことに怒り出すと、食料人間貯蔵を進めていたワニ獣人をその任務も果たさぬうちに処刑しようとする。
人面岩に埋め込まれた9つの人面たちも、その失敗による処刑を命じるものや、もう一度機会を与えようとするもの、血さえ飲んでおけば満足だとするもの、手ぬるいから処刑と叫ぶもの、とにかくみんな殺せと叫ぶものなど、意見が分かれていた。
食料人間を集めてくれば、あとは赤ジューシャでも人間の燻製作りは行えるという考えなのかもしれないが、まだ作戦の途中なのにそれを果たさぬうちに怒り出して処刑を命じかけるあたり、人材を無駄に浪費しすぎていて、マトモな思考回路とは思えない。
9つの人面たちもそれぞれその場の気分次第で好き勝手なことを言い意見の統一ができないなど、船頭多くして船山に登るの好例としか言いようがない短慮さだ。
十面鬼ゴルゴスは結局人面岩を一喝して黙らせ、ワニ獣人にもう一度機会を与えるのだった。

ゲドンを探していたアマゾンは、まさひこを心配して帰らせようとするが、まさひこも目の前で先生や友達を攫われて何も出来なかった悔しさで後には引かない。
一方、ゲドンの燻製工場では、赤ジューシャが人間の燻製を食べることを楽しみにしながら、燻製装置のスイッチを入れた。子供たちは密室に吊るされ、蒸し焼きにされようとする。
おやじさんはその中でも希望を捨てずに、アマゾンが助けに来ると子供たちを励まし続ける。

ゲドンを探すアマゾンの前に、房子が現れた。
だが房子は息子を攫われたことで怒り狂い、難を逃れた小学校の先生にアマゾンが怪物を使って子供たちを攫った犯人だと吹き込み、アマゾンを捕まえようとしていたのだった。
先生たちはアマゾンを縛り上げ、子供たちの行方を尋問する。
子供たちを攫ったのはゲドンの仕業なのだとアマゾンを弁護するまさひこだが、房子は泣いてシゲヤを返してほしいと懇願する泣き落としにかかり、アマゾンはますます立場を悪くする。
アマゾンは、人々のために戦おうとしているのに、偏見で恨まれることに哀しみを感じていた。

一方、ゲドンの燻製工場では、熱気によって子供たちが苦しみ続けていた。
駆けつけたりつ子は、まさひこの願いを受け、アマゾンしかゲドンを倒せないのだとアマゾンを弁護するが、房子はゲドンなど聞いたこともないと突っぱね、あくまでアマゾンを犯人と疑う。だがそこに、ゲドンの存在を知らしめんとワニ獣人が現れた。
房子はアマゾンが本当に犯人ではないことを知り、先生たちと共に怯えて隠れる。
ワニ獣人は縛られたままのアマゾンに噛みつき苦しめるが、アマゾンはその牙で自分を縛る縄を断ち、アマゾンライダーに変身した。アマゾンライダーの反撃を受けたワニ獣人は逃亡する。
ワニ獣人を探すアマゾンライダーの前に、モグラ獣人が現れた。
モグラ獣人は密かに誘拐された子供たちを探していたのだ。モグラ獣人はアマゾンライダーに子供たちが砂の山の燻製工場にいることを伝え、時間がないと急がせる。

自分がアマゾンの無実を弁護しても、怪物である自分が出ていけばアマゾンの立場を悪くするだけ。だからこそ、密かにワニ獣人が子供たちを攫い、閉じ込めた燻製工場の場所を突き止めることに全力を尽くしたモグラ獣人のアシストが熱い。
モグラ獣人がいなければワニ獣人を倒したとしても子供たちやおやじさんをを救えなかったことは明白で、ここでもアマゾンがモグラ獣人に見せた優しさが巡り巡ってアマゾンを助けている。
無垢なる魂が誤解に苦しみながら、その懸命な姿勢によって信頼を獲得し、仲間の助けを得られるようになるまでの大河ドラマが大きな感動を呼んでいる。

アマゾンライダーはジャングラーに乗り、燻製工場のある砂の山に急行。
しかしそこに子供たちの救出を阻止するべくワニ獣人が現れ、最後の闘いが始まった。
ワニ獣人を組み伏せたアマゾンライダーは、噛みつき攻撃でワニ獣人を痛めつける。
子供たちが燻製にされるまであと5分。
アマゾンライダーはワニ獣人の頭部に大切断を叩き込み、眉間を切り裂く。
赤い鮮血が迸り、ワニ獣人は息絶え、その遺体が川に落ちると、血が川を真っ赤に染めた。

モグラ獣人の案内で燻製工場に乗り込んだアマゾンライダー。
おやじさんや先生の励ましで、子供たちも最後の力を振り絞る。
アマゾンライダーは無事に人々を救出するのだった。

攫われた子供たちが燻製にされるタイムリミットが迫る中、子供たちが攫われた場所も突き止められぬまま、偏見によって足止めを食い時間を浪費するタイム・サスペンスが描かれた回。
ワニ獣人が自ら姿を現さず、かつモグラ獣人がいなければ、子供たちやおやじさんが燻製になっていたことはほぼ間違いなく、ワニ獣人の勇み足があってこその勝利ではある。
アマゾンにとって、守るべき人間もまた偏見で自分を苦しめることもあるというままならない構図が、コンクリートジャングルで孤独を噛みしめるアマゾンの哀しみを強調している。

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