「バトルフィーバーJ」第37話「電光剣対風車剣」感想

2024年4月10日水曜日

バトルフィーバーJ 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

エゴスに狙われた四面竜神像。その像は海の守護神として、まつられている物だった。
そして、サロメは竜神像を爆破。
その時、1人の少年が海に転落し、バトルフィーバー隊は調査へと向かうが…。

四面竜神像から生まれた最強怪人 鉄山将軍の電光剣が唸る

今回のエゴス怪人は、漁村に守り神として伝えられる四面竜神像の内部に秘められた、天と地の宇宙エネルギーを持つ水晶玉から生まれた四面怪人。
4つの顔に6本の腕を持つ阿修羅の如き姿を持ち、二本の剣を持ち回転する風車剣はバトルフィーバーが成すすべもなく敗れるほどの破壊力を秘めた、まさに最強の怪人である。
ペンタフォースすらも通じない四面怪人に対する最後の切り札は、なんとバトルフィーバー隊を率いる鉄山将軍が振るう、鉄山流電光剣だった…という流れだ。

だが四面怪人以上にバトルフィーバーを苦しめたのは、四面竜神像を守り神としている漁村の出身で、海で消息を絶った父親の帰りを竜神像に祈り、竜神像を命に変えてもエゴスから守ろうと無鉄砲な行動を繰り返すだけでなく、四面怪人を倒せば龍神像を破壊しかねないと考え、バトルフィーバーのペンタフォースの使用を阻止しようと泣き叫ぶ少年、武。
子供に優しいケニアが、父親を待つ武に同情してペンタフォースの使用を中止したため、バトルフィーバーはペンタフォースを使えず、四面怪人に一方的に嬲られることになってしまう。
武は父が無事に帰ってこられるように願いを込め、自分の命にかえてでも龍神像を守ろうとするが、そのせいでバトルフィーバーが四面怪人によって成すすべもなく傷ついていくことには何の反応も見せないので、正直見ていてキツいキャラクターだ。

サロメは竜神岬に立つ四面竜神像を動かすために、カットマンに命じて竜神岩を爆破しようとしていた。四面竜神像は海の守護神として漁民たちに祀られ、その祈りが届けば長い眠りから醒め、漁民たちを災難から救うと言い伝えられていた神秘の石像だ。
通りかかった漁民の親子の抗議を黙らせたサロメは、竜神岩を爆破。
だが、竜神像を守ろうと竜神像に近づいた少年・武は爆発に巻き込まれ、海に転落してしまう。

ロボット九官鳥は臨時ニュースとして竜神岬が爆発されたことを伝えるが、全員集まってトランプに興じていたバトルフィーバー隊は聞く耳を持たない。
珍しくコサックも仲間の輪に加わって楽しい雰囲気だったバトルフィーバー隊だが、現れた鉄山将軍から竜神岩の爆発がエゴスの仕業だと聞き、襟を正す。
鉄山将軍曰く、竜神像には聖なる力が宿されているという言い伝えがあるらしい。
しかし、その伝説の真偽はともかく、像を守ろうとして海に転落した武を救い、なぜエゴスが竜神像を狙っているのかを突き止めるために、バトルフィーバー隊は竜神岬に向かった。

竜神岬から50km離れた海岸で、武が発見された。崖から転落し、20時間以上も漂流しながら無事だったことに驚きを隠せないケニアは、四面竜神像が武を守ったのかもしれないと思う。
そこに文科省を名乗る者たちが現れ、長官の命令と称し竜神像を強引に運び出そうとする。
乱暴な手口に苦言を呈するケニアだが、男たちはそのまま竜神像を運び出してしまった。
目を覚ました武は、ケニアから自分たちの村の守り神である竜神像が文科省の役人に持っていかれたことを聞き絶句。するとそこに、先ほどとは別人の、同じく文科省を名乗る男たちが現れた。先ほど竜神像を運び出した文科省の役人たちは、エゴスが変装した偽物だったのだ。

ケニアは慌てて竜神像を運び出した車を追うが、ケニアの車には武が乗り込んでいた。
武は自分が竜神像を守り抜かないといけないと使命感を燃やして着いてきたのだという。
いわゆる、取り立てて何も能力はなく思慮も浅いが、使命感だけはあるので無鉄砲な行動を繰り返し、主人公のキャラを困らせる子役キャラクターの振る舞いをドンピシャで見せる武。
ケニアはケイコ隊員に連絡して迎えに来るように手配すると、武を車で待たせ、エゴスを追って森へ向かう。だが、連絡を受けたケイコ隊員とトモコ隊員が到着したときには、ケニアの車に武の姿はなかった。ものすごく嫌な予感がする。

森でカットマンに遭遇したケニアだが、自分で竜神像を取り戻そうと考え、ケニアの言う事を聞かずにエゴスを一人で追った武が、まんまとエゴスに人質にされてしまった。
人質を取られたケニアは抵抗できず、捕えられる。
武はこの話の最後まで、取り立てて何かケニアの助力や、竜神像を取り返すことに貢献することなく、自分で竜神像を取り戻す使命感で無鉄砲に行動した挙げ句まんまと捕まり、ケニアの機転で脱出すれば、竜神像の化身である四面怪人を倒せば竜神像が壊れると考え、ケニアに泣き叫んでペンタフォースの使用を中止させると、徹頭徹尾ケニアやバトルフィーバーを困らせ続ける。
もちろん、漁村で暮らしていた普通の少年が大活躍する方が不自然と言われればそこまでなのだが、ケニアの言う事にまるで耳を貸さず、竜神像を守るためには自分が行動しなくてはいけないと使命感に取り憑かれた行動の全てが裏目に出ていると、見ていてちょっとツラい。

その頃、サタンエゴスは竜神像の不思議な力の源が、像の心臓部にあると看破。
サタンエゴスの命を受けたサロメは、竜神像の心臓部から水晶玉を取り出す。
その水晶玉は、宇宙エネルギーを吸収して絶大な力を秘めており、サタンエゴスは怪人製造機に水晶玉をセットして、宇宙エネルギーを持つ強力なエゴス怪人を生み出そうとしていた。
水晶玉を抜き取られ、用済みとなった竜神像を廃棄処分させたサタンエゴスは、怪人製造機で天と地の宇宙エネルギーを吸収した、6本の腕を持つ無敵の四面怪人を生み出す。
四面怪人は自分の力を見せつけるように、2本の剣を投げ周囲のカットマンたちを一網打尽にすると、自分の力はバトルフィーバーとは比べ物にならないのだと誇る。
サタンエゴスは、サロメに特殊原子砲の製造のために不足しているウラン鉱石とダイヤモンドを確保するための作戦行動を開始するように命ずるのだった。

エゴスの基地の檻に捕まったケニアと武。ケニアは武から、父が海に出たまま消息不明になったことを聞き、父が無事に帰ってこられるように願いを込めていることを知る。
子供に優しいケニアは、この後この約束がとんでもない危機を招くとは夢にも思わずに、武に竜神像をエゴスから取り戻すことを約束するが、そこにサロメと四面怪人が現れた。
タケシは四面怪人を竜神像から現れた竜神様だと勘違いし、一心不乱に助けを求め続ける。
その様子は、本当に何かに取り憑かれているようで、ちょっと怖い。
ケニアは眼の前にいるのは龍神様ではなく恐ろしいエゴス怪人なのだと諭すが、武は竜神様が眠りから覚めると怖い顔になると母から聞いたのだと言い張り、まるで聞く耳を持たない。
自分のために捕まってしまったケニアの言う事を全く聞かないのはこの際問題ではないが、怪人を竜神だと思いこんで助けを求め続けるその様子は、信仰を超えて執着すら感じる。
ケニアは四面怪人の姿から、怪人製造に竜神像を利用したのだと看破するのだった。

四面怪人はカットマンを率いて防衛省原子力研究所を襲撃した。
6つの腕から剣を次々に投げて警護の兵士を次々に殺戮し、ウラン鉱石を強奪する。
そこに、ジャパンたちバトルフィーバーが現れた。
カットマンを蹴散らしたバトルフィーバーだが、宇宙エネルギーを持つ四面怪人は強い。
剣でバトルフィーバーの攻撃をすべて受け止めると、2本の剣を手にして回転しながら放つ必殺剣・「風車剣」を繰り出し、バトルフィーバーを一瞬にして倒してしまった。
グループ・ヒーローである強みを活かし、敵を四方八方から攻め立てる戦法が得意なバトルフィーバーに対して、回転しながら全方位を攻撃する風車剣は相性が良い技だったようだ。

ケニアはなんとか脱出の機会を伺っていた。
あれだけ頼みにしていた竜神様に裏切られたタケシは体育座りで自分の殻に閉じこもっている。
四面怪人の使う風車剣に太刀打ちできず、ケニアを欠いている今、唯一の決め手であるペンタフォースも使えない報告をジャパンから受けた鉄山将軍は、ついに自ら出撃する決意を固めた。
風車剣を、自らの電光剣で斬る。鉄山将軍は決意とともに、日本刀を手にした。

いよいよケニアの処刑を執行しようと、エゴスの処刑執行人としてカットマンの隊長が現れた。
ケニアは死ぬ前に知恵の輪を解かせろと時間稼ぎを申し出ると、処刑執行人は知恵の輪に興味を示してしまい、不用意にケニアに近づく。
その隙にケニアは処刑執行人の腕を取り、檻の鍵を手に入れて脱出に成功するのだった。
さらにケニアは、ウラン鉱石を手に入れたことで特殊原子砲の完成に近づいたことを喜んでいた化学兵器研究部のカットマンたちから特殊原子砲の設計図とウラン鉱石を奪取した。
一路、ケニアと武は脱出の道を急ぐ。

四面怪人は宝石店を襲ってダイヤモンドを強奪した。
駆けつけたバトルフィーバーはバトルショット5で攻撃するが、四面怪人には通じない。
そこに、エゴス基地からの脱出に成功したケニアが駆けつけた。
無事に5人揃ったバトルフィーバーはペンタフォースで勝負を決しようとする。
だが、なんとそこに武が割って入ってきた。武は竜神様を壊すなと怒鳴りつけ、自分を救った竜神様を、今度は自分が命をかけて守るんだと泣き叫んでペンタフォースを阻止する。
竜神様を壊してしまえば父も帰ってこないし、そうなれば自分も死ぬんだと怒鳴り続ける武に、武の父が行方不明である事情を知るケニアはとうとうペンタフォースの使用を放棄する。
だが、四面怪人は当然そんな武にも、武の思いを汲んだケニアにも情けをかけることはない。
バトルフィーバーは風車剣で次々に倒されていき、武を庇ったケニアも大ダメージを負う。
武が言う竜神像を命をかけて守る、とはこういうことだったのだろうか?
バトルフィーバー最大の危機に、鉄山将軍は戦場への道をひた走るのだった。

そこに四面ロボットまで現れた。自分に同情してくれたケニアが四面怪人に痛めつけられる様子を険しい顔で眺める武。自分のせいで自分を助けてくれたケニアが傷ついていることには特に反応を見せないので、本当に竜神像さえ守れればそれでいいのか?と思ってしまう…。
そこに、ケイコ隊員とトモコ隊員が現れ、四面竜神像が滝壺から見つかったと武に伝える。
エゴスによって水晶玉を抜き出されて廃棄されたものを見つけ出したのだ。
竜神像が見つかり、喜色満面で喜ぶ武はケニアを応援する。勝手な奴…。

武の許しを得て、バトルフィーバーはペンタフォースを炸裂させる。
だが、四面怪人の剣には、ペンタフォースすら効かなかった。
もはや打つ手がないバトルフィーバー。そこに、鉄山将軍が現れた。
四面怪人は四面流闇走りという能力で周囲を暗闇に包むが、鉄山将軍は全く動揺を見せない。
息詰まる一騎打ちの果て、鉄山将軍は鉄山流電光剣で四面怪人を成敗する。
いくらなんでも強すぎる。
バトルフィーバーロボが使う電光剣唐竹割りは、鉄山将軍の鉄山流電光剣のモーションを採用したものなのだろう、という推測も出来、鉄山流電光剣の威力を見る限り、その系譜であるバトルフィーバーロボの電光剣唐竹割りが必殺の威力なのも納得と言わざるを得ない。

四面怪人から飛び出した水晶玉は四面竜神像に戻った。
残った四面ロボットを倒すべく、バトルシャークが出動。
鉄山将軍もケイコ隊員たちも出払って、もはやビッグベイザーには留守番が誰もいないが、それでも発進出来るバトルシャークのオートコントロールが完璧だ。
バトルフィーバーロボが出撃し、今度はバトルフィーバーロボの電光剣唐竹割りが炸裂。
四面ロボットを倒す。

四面竜神像を取り戻し喜ぶ武。さらに武の父の乗った船もシドニー湾で発見された。
泣き叫んで我を通し、何もかもうまくいった武はバトルフィーバー隊に胴上げされる。
竜神岬へ武と竜神像を送っていく役目を引き受けたケニアは、竜神岬の美味しい魚目当てなのを見透かされ、鉄山将軍に今年の休暇抜きを言い渡されるのだった。

指揮官として卓越した指導力を持つだけではなく、バトルフィーバー隊の最大の必殺技であるペンタフォース以上の剣の冴えを見せる、まさにバトルフィーバー隊の切り札である鉄山将軍の描写は面白い一方、どうしてもドラマの核となる竜神像への執着を見せる武の描写が気になる回。
武は父親の無事を願った竜神像を失いたくない気持ちと、自分を漂流から助けてくれた竜神像への恩を返す気持ちから、竜神像を壊してはいけないと我を通した結果、自分をエゴスの処刑執行から助けたケニアが四面怪人によって傷つくことは何とも思っていないように見えてしまい、竜神像には恩義を感じるがケニアには何とも思わないのか?と思ってしまう。
そんな武が竜神像を守れただけでなく父親も無事に見つかりハッピーエンド、なのはもちろん良いのだが、自分が我を通したことによってバトルフィーバーがあわや全滅していたことには何の反省も見せないので、見ていて辛い。もちろん、バトルフィーバーの面々はそんなことを咎めたりはしないほどに、大人なメンバー揃いなのだが…。

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