「仮面ライダーアマゾン」第15話「出たぞ!恐怖のゼロ大帝!!」感想

2024年5月2日木曜日

仮面ライダーアマゾン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

ゲドンを倒したアマゾン。だが、密かに新たなる悪の組織が誕生していた。
黒いジューシャを手先に、巨大なる悪の計画を企む者は果たして何者なのか!?

始動、恐怖のガランダー帝国 尖兵とされた友を救え

今回より、全てにおいてゲドンを上回るガランダー帝国が行動を開始する。
ガランダー帝国の指導者である恐怖の独裁者、ゼロ大帝はゲドンの敗因が、十面鬼がアマゾンが持つギギの腕輪の奪取に拘り過ぎて大規模な破壊活動を行わなかったことと捉えている。
その結果、ゼロ大帝はまず大規模な破壊活動によって人類社会を混乱に陥れ、それに乗じて世界を征服し、その支配を盤石のものにすれば所詮は一人でしかないアマゾンが対抗することは出来ず、結果としてギギの腕輪を手に入れ、古代インカの超エネルギーを確保できると判断。
結果として、アマゾンの抹殺よりも大規模な破壊を目的とする活動を主軸とした計画を立て、世界全体にとってゲドンを遥かに上回る脅威として君臨している。

今回登場するハチ獣人はその布石として、まず組織の構成員を確保することを目的に、子供たちを拉致、洗脳してガランダー帝国の一員に教育することが目的。
世界征服のためにギギの腕輪を奪い超エネルギーを手に入れるという戦術に拘り過ぎた十面鬼とは異なる、大局を見据えた戦略的な行動を見せ、ゲドンとの格の違いが強調されている。

ゲドンが滅び、平和を取り戻したかに見えた日本では、公園で遊ぶ子供たちが、自動車が突然消える不可思議な現象を目撃していた。そこに黒い霧が立ち込め、霧に包まれた子供たちは眠気に襲われ意識を失ってしまう。そこに黒ジューシャが現れ、子供たちを拉致した。
その現場を目撃し、拉致を阻止しようとした男も黒ジューシャに暴行されるものの、なんとか逃亡し公衆電話で警察に通報しようとする。だが、電話ボックスの周りが突然闇に包まれ、そこに現れたハチ獣人の放つ毒針を食らった男は泡となって溶けてしまった。

黒ジューシャたちはハチ獣人の巣に拉致した子供たちを運んでいた。
巣の中には既にハチ獣人によって洗脳され、下僕であるハチノコにされた子供たちが大勢いた。
ガランダー帝国のアジトへ報告に向かったハチ獣人は、偉大なるゼロ大帝を称える。
すると、ゼロ大帝がその姿を現した。ゼロ大帝は人員の確保に従事し、一定の人員を確保したハチ獣人の成果に満足した様子を見せ、滅んだゲドンの失敗を繰り返さないように激励する。
ハチ獣人はガランダー帝国の目的があくまで世界征服であり、ギギの腕輪とガガの腕輪の争奪戦はその目的のための手段に過ぎないため、アマゾンと戦う必要がないことを確認する。
ゼロ大帝は十面鬼がギギの腕輪を奪うことに囚われ、世界征服という真の目的を忘れる失敗を犯したことでアマゾンライダーに敗北したこと、そしてガランダー帝国が人間社会を残らず征服してしまえば、もはやアマゾンの持つギギの腕輪は問題でないことを語る。
ゼロ大帝にとって、十面鬼は手段と目的を履き違えた愚かな存在に過ぎなかった。
ハチ獣人はこうしたゼロ大帝の命を受け、世界支配の尖兵とするために子供たちを攫って洗脳し、ガランダー帝国の一員に変えようとしていたのだ。

この一連のゼロ大帝による十面鬼とゲドンの方針の批判は、放送開始後の制作会議において議題となったゲドン編が腕輪の争奪戦に終止し、スケールが小さい印象だったことが反省点としてあげられたことへのメタ的な回答にも思える。
結果的には十面鬼率いるゲドンが腕輪の争奪戦に囚われたことで壊滅し、その轍を踏まないようにより大局を見据えた作戦を行うガランダー帝国の脅威がより強調される効果を上げている。

黒ジューシャの犠牲になった男が殺された現場に居合わせたおやじさんとアマゾンは、人間が溶ける超然的な現象から、それがゲドンの仕業ではないかと訝しむ。
アマゾンは十面鬼が死にゲドンは滅んだものの、同時に黒いジューシャを目撃したことや、十面鬼が持っていたガガの腕輪の行方もわからないことから、ゲドンに変わる新たな敵が日本に現れたことを感じていた。そこに、黒ジューシャに子供を攫われた母親が助けを求めてきた。
アマゾンは急ぎジャングラーに乗り込むと、子供たちを拉致した車を追跡。
車に飛びついて停車させ、黒ジューシャを車内から引きずり出したアマゾンは、黒ジューシャを攻め立て彼らを操る組織の正体を尋問するが、そこにハチ獣人が現れた。

自分を獣人と呼ぶことからアマゾンがゲドンを倒したアマゾンライダーであることを察知したハチ獣人は、自らアマゾンを足止めして子供を拉致する黒ジューシャを巣へと向かわせる。
ハチ獣人はゼロ大帝にアマゾンに構わずに子供を集めるように指示を受けていたが、眼の前に現れた以上は障害として排除することを決め、戦闘を開始。ハチ獣人の猛攻に苦戦するアマゾンは、地中から現れ、足を掴んでハチ獣人の動きを封じたモグラ獣人に助けられ、姿を隠す。
アマゾンが逃亡したのを確認したハチ獣人が去った後、モグラ獣人と合流したアマゾンはハチ獣人の力に戦慄。さらにハチ獣人が言い残したゼロ大帝の名を聞いたモグラ獣人は怯え始め、名前すら言うことも厭われるほどの恐怖に震えて地中に消えてしまった。

ゲドンにいたために、ゲドンに男のジューシャである黒ジューシャなどがいないことや、ハチ獣人がゲドンの獣人ではないことをアマゾンに情報提供するモグラ獣人の役回りは、組織を裏切った怪人というキャラクター性を活かした活躍だ。
そしてモグラ獣人が恐怖のゲドンに与していた過去を持ちながら、名を聞いただけでそのゲドンや十面鬼以上に恐怖の存在として怯えるゼロ大帝の恐ろしさも強烈に印象付けられている。

ハチ獣人の巣では、ハチノコとされた子供たちがハチ獣人に教育を受けていた。
ナイフによって獲物を仕留める訓練を受ける子供たち。
その頃、アマゾンを訪ねてきたまさひこに、モグラ獣人はアマゾンが恐ろしい敵に狙われていることを教え、そんな敵がいる以上、あまり出歩かないように忠告するが、まさひこはそんな敵がいるなら狙われてみたいやと意に介さず、トモダチのアマゾンのために力を貸すことを決意。
これまで、まさひこは子役レギュラーとして賢い部類のキャラクターで、アマゾンを思う行動こそすれど無鉄砲に行動して周囲を困らせるような存在ではなかったのだが、ゲドンが倒れた気の緩みもあってか、今回はなかなかに生意気かつ無鉄砲なところを見せている。
一方、ハチ獣人の訓練は一定の結果を見せ始め、ハチノコたちが集団で標的を仕留める訓練を終えたことを確認したハチ獣人は、訓練の仕上げとしてハチノコたちに自分たちの友達である子供を巣に集めてくるように命ずるのだった。

モグラ獣人の忠告も聞かず、まさひこは自ら子供たちを拉致する人さらいを探し始めた。
人さらいを探す旨が書かれたまさひこの置き手紙を見たりつ子は、取り返しのつかない自体になる前にまさひこを止めるべく、アマゾンやおやじさんとともにまさひこを捜索する。
そんなりつ子の親心も知らないまさひこに、背後からハチノコと化した子供が声をかけてきた。
友達の名前を出されたまさひこは、ハチノコに言われるまま無警戒にハチ獣人の巣までついて行ってしまう。そして、巣の中でハチノコと化した子供たちが飼育される人間ハチの巣箱を目撃したまさひこの前に、ハチ獣人が現れた。ハチ獣人の号令でハチノコたちがまさひこを襲い、巣箱に囚われたまさひこはハチ獣人の毒でついに意識を失ってしまう。

懸命にまさひこを探すアマゾンたち。だがその頃、まさひこもついにハチノコにされてしまった。
アマゾンを助けるためにまさひこが危険な目にあったことを悔やむアマゾンだが、りつ子はそんなアマゾンを励ます。アマゾンのせいでまさひこが危険な目に合うことを恐れていたりつ子だが、アマゾンへの誤解も解けた今では逆にアマゾンを励ますようになった。
そこにまさひこが現れ、アマゾンを子供たちを拉致したハチ獣人の元へ案内するという。
だが、アマゾンはまさひこに手を取られた際に、まさひこの手が冷たいことからまさひこの異変を察知していた。アマゾンはハチ獣人の巣の近くに到着したところでまさひこを縛り動きを封じると、獣人の手先とされたまさひこを元に戻すためにハチ獣人の巣へと向かう。
巣の中でアマゾンが見たのは、ハチノコとなって自らを襲う子供たちだった。
子供たちを傀儡にするハチ獣人に、アマゾンは怒りの咆哮を上げアマゾンライダーへ変身した。

「アマゾンライダーアクション」が流れる中、アマゾンライダーとハチ獣人の決戦が始まった。
毒針を連射するハチ獣人の猛攻に、アマゾンライダーは噛みつきで反撃。
ハチ獣人は最後の切り札として針を備えた臀部を切り離しぶつけようとするが、アマゾンライダーは飛び蹴りでそれを蹴り落とし、必殺の大切断でハチ獣人の脳天を真っ二つに裂く。
ハチ獣人の黄色い血が噴出する中、アマゾンライダーのトドメの追撃が炸裂した。
ハチ獣人はゼロ大帝とガランダー帝国への忠誠を叫びながら散る。
するとそこに、ゼロ大帝の声が聞こえてきた。いくらガランダー帝国に抗おうとも無駄と笑うゼロ大帝。こうして、アマゾンライダーは新たなる敵・ゼロ大帝の存在を知った。

ハチノコにされたまさひこや子供たちは、ハチ獣人の臀部から抽出された解毒液で回復した。
子供たちの感謝の声を聞きながら、アマゾンはまさひことともに去っていく。
ゼロ大帝の名を知ったアマゾンは、ガランダー帝国の謎を解き明かすことが出来るのだろうか。

最期までガランダー帝国とゼロ大帝への忠誠を叫ぶハチ獣人の描写で、ゼロ大帝が獣人に絶対的な忠誠を誓わせるほどのカリスマ性を有していることが表現されている。
直前に十面鬼が獣人ヘビトンボの裏切りで組織が瓦解したことを思うと、カリスマ性においてもゼロ大帝が十面鬼を遥かに上回る能力を有していることの補強となる描写だろう。
先に世界を支配してしまえば、いかに仮面ライダーが卓越した能力を持とうとも、「個人」でしかないために組織力で抑えられるという戦略を持った方針を固め行動するあたりにも、仮面ライダー抹殺にこだわった歴代の悪の組織とは違うスケール感を感じる。
とはいえ、ガランダー帝国は組織の規模としては(「仮面ライダーアマゾン」事態が話数の少ないシリーズのため)シリーズ最小規模の組織ではあるのだが…。

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