あらすじ
雪深い富士山の裾野に掘られたトンネルの数々。
次々に起こる謎の蒸発事件。
そしてガランダー帝国の恐るべき計画によって東京が火の海に…。戦え、アマゾン!
東京が燃える!富士山大噴火、東京湾炎上の危機!!
今回のガランダー獣人はガマガエルの化身であるガマ獣人。
カエルの怪人らしい長い舌を使った攻撃を得意とする獣人だが、最大の特徴はその巨大な頭部が着脱可能であり、巨大な頭部を取り外した下に本物の頭部が存在する二重構造の頭部であること。
着ぐるみが着ぐるみを被っているという二重構造のコンセプトは、プロレスラーがマスクの上から着用するオーバーマスクを思わせる。「キン肉マン」で超人が姿を変える理由付けとして考案されたギミックのオーバーボディを思い出す人も多いだろう。
さらにその巨大な頭部はただ取り外れるだけではなく、その巨大な質量を回転させながら投げつけることで、アマゾンにすら多大なダメージを与えることが出来る強力な武器となる。
ミニマムなスケールの組織規模と反比例するかのように、やけにスケールの大きな作戦を考案することに定評のあるガランダー帝国が今回実行に移した作戦が「東京フライパン作戦」だ。
その作戦の全貌は、三原山地下から富士山地下まで繋がるトンネルを掘り、三原山の溶岩を富士山の地下まで誘導。それによって富士山を大噴火させる。
富士山の噴火だけでも既に日本列島はかなりの大混乱が予想されるが、さらにガランダーは富士山地下から東京の地下まで第二トンネルを掘り、今度は富士山の溶岩を東京の地下まで流す。
溶岩を地下に流された東京では、地表のアスファルトが灼熱と化し、その上で生活している人間たちを高熱によって狂い死にさせる…というのが、「東京フライパン作戦」だ。
劇中では、富士山から東京まで続く第二トンネルこそ完成を阻まれていたものの、三原山から富士山地下までの第一トンネルはガランダーに拉致され奴隷として働かされた人々によって完成し、東京フライパン作戦のテストとして三原山から富士山まで溶岩が誘導されている。
その結果、三原山から富士山までの直線上にあった都市は三原山の溶岩の高熱の被害を被り、路面の灼熱化に留まらず、マンホールや水道から炎が上がり、街が火の海になる地獄絵図が展開され、ガランダー帝国の巻き起こす災厄の恐ろしさが十全に演出されている。
この東京フライパン作戦の立案に先立ち、ゼロ大帝はガランダー帝国の作戦本部に勤める黒ジューシャたちに「世界征服作戦計画書」を提出させるというコンペティションを開いている。
十面鬼がギギの腕輪の奪取に囚われすぎた結果を踏まえ、積極的に世界を支配するための計画を練っているゼロ大帝のマメな性格が出ているエピソードだが、黒ジューシャたちは残念ながらゼロ大帝を満足させる計画書を提出することが出来ず、全員処刑されている。
そこに現れたガマ獣人が東京フライパン作戦を提案し、それが承認されたというわけだ。
このエピソードを思うに、ガランダー帝国のやることのスケールがむやみに大きいのは、作戦実行を承認するゼロ大帝の嗜好がこういう大規模作戦なのだろう、という気はする。
ゲドンは度重なる作戦の失敗で滅び、同じ失敗を繰り返すまいとするゼロ大帝は、ガランダー帝国の作戦本部に命じ、「世界征服作戦計画書」を提出させていた。
そして、計画書を提出した黒ジューシャを集めたゼロ大帝は自ら計画書の審査結果を発表する。
その結果は、なんと全員落第だった。
第一に研究不足、第二に面白くない、第三に滅んだゲドンと同じスケールでしかないと落第の理由を通告すると、ゼロ大帝は槍から炎を吹き出し黒ジューシャを処刑。
不甲斐ないコンペの結果に機嫌が悪いゼロ大帝の前に、ガマ獣人が現れた。
お前も処刑されたいのかと怒るゼロ大帝に、ガマ獣人は「東京フライパン作戦」を提案する。
「東京フライパン作戦」とは、現在休火山となっている富士山に三原山の溶岩を誘導、流し込むことで噴火爆発させ、吹き出た大量の溶岩をトンネルで東京の地下に流し込むというものだった。
これにより、東京のアスファルトは焼けただれたフライパン同様になり、その上で生活する人間は煎られた豆のように飛び跳ね、熱さに苦しみ狂い死ぬという恐怖の作戦なのである。
ゼロ大帝は失敗すれば死と通告しながら、東京フライパン作戦にゴーサインを出す。
善良な市民であり、息子のフジオは富士山から名づけられたほどに富士山を愛好する友田親子は、バスで富士山のスケート場へ向かっていた。
「仮面ライダーX」のOP冒頭で、Xライダーがクルーザーに乗って走ってきそうな絶好のロケーションを楽しむ親子だが、突然バスの運転手が、車の前を何か横切ったと急ブレーキを踏む。
運転手が安全を確認するため停車している間、フジオはトイレに行きたいと言い出した。
運転手は気を利かせて休憩時間を取ることにする。
休憩時間中、バスを降りた乗客が富士山のきれいな空気を楽しんでいると、突然ガスが周囲を立ち込め、ガランダー帝国が現れた。気を失った乗客が黒ジューシャたちに拉致される中、トイレに行っており、バスの近くを離れていたフジオは難を逃れたが、ガマ獣人に見つかってしまう。
フジオはなんとかガマ獣人を撒いたが、黒ジューシャに拉致された乗客たちは富士山地下のトンネルに運び込まれ、東京フライパン作戦のためのトンネルを掘る作業を強制されてしまう。
過酷な作業に耐えかね逃亡を図った女性はガマ獣人の舌に捕らえられ、毒ガスで白骨化させられてしまう。こうして、逆らえば死ぬという恐怖で乗客を支配したガマ獣人は、富士山を爆破する東京フライパン作戦への参加を乗客たちに強いる。
息子に「富士」の名を与えるほどに富士山を好む友田はそれを拒むが、ガマ獣人に息子のフジオに危害を加えることを仄めかされてしまい、作業を強制されるのだった。
富士山の近くで、サイクリングを楽しんでいたまさひことりつ子は、エンジンをかけたまま止まっていたバスと、フジオが父親からもらったコマが落ちているのを発見。
コマを取り返そうと姿を見せたフジオに出会った二人は、フジオから黒い怪人が乗客たちを攫っていったことを教えられる。黒い怪人がガランダー帝国の黒ジューシャであると察知したりつ子に促され、まさひこはアマゾンに連絡するため急いで引き返すのだった。
その頃、アマゾンはおやじさんの元でオートバイの特訓を受けていたが、まさひこから黒ジューシャがバスの乗客を拉致したことを教えられ、おやじさんを置いて富士山近くに急行する。
だが、アマゾンとまさひこがバスのもとに到着すると、そこにりつ子とフジオの姿はなかった。
黒ジューシャがりつ子たちを拉致しオートバイで走り去ろうとしているのを発見したアマゾンはジャングラーで追跡し、コンドラーのロープを投げ縄として使って黒ジューシャを撃退する。
だがそこに、ガマ獣人が現れ、アマゾンを排除すべく長い舌でアマゾンの首を絞める。
アマゾンも噛みつきで反撃するが、ガマ獣人はなんと巨大な顔を取り外し、武器として投げつけた。ガマ獣人の巨大な頭部は仮面に過ぎず、中に本当の顔が存在したのだ。
回転する巨大な頭部の質量によって多大なダメージを負ったアマゾンは、間一髪駆けつけたモグラ獣人に助けられ、地中でガマ獣人をやり過ごす。
ガマ獣人が去った後、アマゾンは深手を負いながらもりつ子たちを拉致した黒ジューシャたちを追おうとするが、モグラ獣人に傷の手当てが先だと止められる。
ガマ獣人を見失うことを危惧するアマゾンだが、地中がテリトリーであるモグラ獣人には、ガマ獣人の行き先の見当がついているのだという。
ガマ獣人によってトンネルを掘る作業を強制されたバスの乗客たちの疲労は限界だった。
ガマ獣人は友田に、労働力が足りないので新たに人間を攫ってくるように命令する。
新たに犠牲者は出せないと拒む友田だが、ガマ獣人は新たにフジオを攫ってきたことを見せつけ、息子の命を人質に人間を拉致してくるように強いるのだった。
そして、三原山から富士山に繋がる第1トンネルの第ニ坑口までが完成してしまい、ガマ獣人は東京フライパン作戦のテストとして火の門を開き、トンネルに溶岩を流し始める。
トンネル工事に疲れ果て倒れ込んでいたバスの乗客たちに溶岩が迫る。乗客たちが逃げ惑う中、ついに溶岩は乗客たちを飲み込み、多くの犠牲が出てしまうのだった。
そして、三原山から富士山までのトンネルの上に位置する地上でも、流れた溶岩の影響でアスファルトの路面が熱を帯び、マンホールや水道から火が吹き出る惨状が展開される。
モグラ獣人が潜っていた地面も熱くなり、街は火の海地獄と化した。あまりの惨状に、これまでガランダー帝国の脅威に怯えていたモグラ獣人も、ついにガランダー帝国への怒りを爆発させる。
アマゾンたちを探していたおやじさんは、異様な高熱により車のタイヤも路面の熱で溶け走行不能になっているというニュースをラジオで聞き、異変を知る。
おやじさんが慌てて愛車のジムニーのタイヤを点検していると、ガマ獣人に人間を拉致してくるように命じられた友田が声をかけてきた。
友田に子供が足を挫いたと言われたおやじさんは、まんまと黒ジューシャのもとへ誘き寄せられてしまう。黒ジューシャに捕まったおやじさんは、そこで囚われのりつ子と再会。
一方、薬を調合し傷を癒やすアマゾンは、まさひこがフジオのコマを回す様子を見て、ガマ獣人が飛ばしてくる巨大な頭部の絶大な威力は頭部が回転していたために生じたものだと察知し、自らも回転することでそれを打ち破ることを思いつく。
そこに現れたモグラ獣人から、おやじさんが黒ジューシャに捕まったことを知ったアマゾンは、ガマ獣人を倒し人々を救うべく、ジャングラーに乗ってガマ獣人のアジトへ向かった。
富士山から東京までの第二トンネルを掘り、東京フライパン作戦を完成させることを強制されたおやじさんは、黒ジューシャに決死の抵抗を見せ、りつ子とフジオを逃がす。
そしてそこに、モグラ獣人の情報でアジトに辿り着いたアマゾンライダーも駆けつけた。
逃亡するりつ子たちの前にガマ獣人が現れるが、そこにモグラ獣人が現れ、決死の覚悟でガマ獣人相手に時間稼ぎを行い、りつ子たちを逃がす。
そこにアマゾンライダーも駆けつけると、ガマ獣人との死闘が開始する。
生き残った人々はモグラ獣人の誘導で地上へ脱出。ガマ獣人は黒ジューシャたちをアマゾンライダーに差し向け、自分は遠距離から長い舌を絡ませ、アマゾンライダーの動きを封じる。
さらに毒ガスを噴射したガマ獣人だが、アマゾンライダーは間一髪脱出。
ガマ獣人はまたしても巨大な頭部を投げつけるが、回転して飛んでくる頭部に対し、アマゾンライダーはコマのヒントから掴んだ新技、スピンキックで同じく回転し、頭部を弾き飛ばした。
跳ね返された巨大な頭部が直撃し弱ったガマ獣人を、アマゾンライダーは大切断で4つに切り裂き勝利する。切り抜き写真を4つに切り目をいれる演出がインパクト大だ。
黒ジューシャたちも、自分たちが掘らせたトンネルから流れてくる溶岩で全滅した。
ゼロ大帝はガマ獣人の体たらくを口程にもないと唾棄し、全能の支配者に失敗の許しを請う。
全能の支配者は、一日も早く地球上にガランダー帝国を建設するように命ずるのだった。
こうして美しい富士山に平和が戻った。
フジオたち友田親子は改めてスケートに出発し、まさひこたちはそれを見送る。
今回、印象的な活躍を見せているのがモグラ獣人だ。
地下をテリトリーとしているがゆえにガマ獣人たちがトンネルを掘っているアジトも察知しており、その上で手負いのアマゾンがそのままアジトに突入しても強敵・ガマ獣人に返り討ちに合うことを危惧して傷を癒やすことを優先させるなど、臆病な性格ゆえに適切な判断を見せている。
さらに、ハチ獣人からガランダー帝国や、その支配者であるゼロ大帝の名を聞いたことであまりの恐怖に怯えるほどに臆病でありながら、東京フライパン作戦の前段階で火の海地獄になった街の惨状を目の当たりにしたことで、ついにガランダー帝国に対して怒りを爆発させ、りつ子たちを追うガマ獣人の前に立ちはだかり、アマゾンライダーが駆けつけるまでの時間稼ぎを買って出るという、勇気を奮い立たせた活躍を見せている。
強敵揃いのガランダー獣人に対して戦力では劣るものの、それでもひとかけらの勇気を奮い起こしてガランダー帝国に立ち向かうことを決意した「勇気の士」としての活躍が嬉しいところだ。