あらすじ
不気味なフクロウの鳴き声が子供たちを操る。
夜の東京の地下を黙々と掘り続ける子供たちの奇怪な姿。
一連の行動はまたしてもガランダーの仕業なのか…?
地下鉄が沈む!東京沈没5秒前!!
今回のガランダー獣人はフクロウの化身であるフクロウ獣人。
鳥の怪人にしては珍しく、両腕が翼ではなくフクロウの足のような形状をしているのが特徴だ。
そんなフクロウ獣人は、自らの羽や手が触れた相手の視力を奪うことが出来る。
視力に優れ、夜間でも先を見通すことが出来るフクロウの化身が、逆に視力を奪う能力を持っており、その力はアマゾンですら一時的に視力を奪われてしまうほどだ。
フクロウ獣人は拉致した子供たちの視力を奪って地下牢に監禁し、夜になると一時的に視力が回復する代わりに催眠状態となって自我を奪われる装具を装着させることで、サブタイトルに示される「ガランダー少年部隊」としてしまい、「地下鉄大洪水作戦」のための労働力として利用。
ガランダーに拉致された子供たちは、視力を奪われ脱出も出来ないまま、地下鉄が稼働していない真夜中の間に、隅田川の底に穴を掘ってトンネルを作り、地下鉄の路線周囲の子供の体格でしか入り込めない箇所に地盤を緩ませる強制労働に従事させられていたのである。
子供を洗脳して労働力にする理由付けとして、地下では子供の体格でしか作業が行えないためだと理由付けされたことで、子供が労働力にされる展開が自然なものになり、同時に拉致した子供を洗脳して強制労働を行わせるガランダー帝国の非道もより鮮烈な印象を残すものになっている。
今回のガランダー帝国の大規模作戦が、前述した「地下鉄大洪水作戦」だ。
東京の地下に張り巡らされた地下鉄の路線を水没させ、東京全土を沈没させるこの作戦のため、ガランダー帝国は子供を拉致し労働力にして、隅田川の底に穴を掘って地下鉄の路線付近までのトンネルを作った後、地下鉄の路線付近では地盤を緩ませた。
そして、稼働した地下鉄の走行時の振動で緩んだ地盤が崩壊し、トンネルから墨田川の水が線路内に流れ込むことで地下鉄の路線が水没。洪水が起こり、東京は大規模な地盤沈下に襲われる。
この大規模な作戦はほぼ成功寸前まで進行し、アマゾンライダーによって最後の詰めが阻止されたことで東京の地盤沈下こそ阻止されたものの、いくつかの地下鉄の路線には水が流れて込んで水没し多くの犠牲が出ており、ガランダー帝国の恐ろしさが十全に演出されている。
夜の東京の地下深くでは、黒ジューシャと同じ格好をした子供たちが掘削作業を行っていた。
黒ジューシャの指示を聞く子供たちの目には、不気味に黄色く輝く装具が取り付けられていた。
夜明けが近づき、監視役だった黒ジューシャは、少年たちを獣人センターに集める。
その頃、ガランダーを追って夜の街を探っていたアマゾンは、黒ジューシャが子供たちを連行するのを目撃するが、別働隊の子供たちに足止めされて黒ジューシャを見失ってしまう。
獣人センターに集められた子供たちは、ガランダー帝国によって「地下鉄大洪水作戦」のための強制労働に従事させられており、作業の大詰めとして自分たちの作業の目的を聞かされていた。
ガランダー帝国の目論む「地下鉄大洪水作戦」とは、地下鉄の路線に隅田川から水を流し込んで水没させることで、東京を地下から沈没させる大規模作戦である。
子供たちはガランダー帝国のガランダー少年部隊として、子供の体格でしか入れない穴から、地下鉄の路線付近の地盤を緩ませる作業に従事させられていたのである。
この作戦を指揮するのは、ガランダー帝国のフクロウ獣人だった。
夜明けが近づき、地下牢に戻された子供たちは、目の装具を剥がされる。
すると、子供たちの視力は失われていた。
ゼロ大帝はフクロウ獣人に「地下鉄大洪水作戦」の進捗を問いただす。
3日ほどあれば完了すると進捗を素直に報告したフクロウ獣人は、手ぬるいと叱責された。
ゼロ大帝は子供たちが獣人センターに戻る際、アマゾンに発見されたことを知っていたのだ。
ゼロ大帝はフクロウ獣人の作戦参謀としての手抜かりを叱責し、アマゾンが計画の全貌を掴む前に、子供をさらに攫って労働力を増やし、明日1日で地下鉄大洪水作戦の準備を完了するように通告するのだった。もちろん、失敗すれば死の制裁あるのみである。
アマゾンから昨夜の話を聞いたおやじさんは、ガランダー帝国に操られている子供たちは、近頃多発しているという誘拐事件の被害者であると推理する。子供たちと戦うことは出来ないアマゾンに、おやじさんはまずガランダー帝国の目的を探るように提案する。
その頃、モグラ獣人は写生大会に出かけていたまさひこたちを、羨ましそうに見ていた。
だが、そこに突然フクロウの羽が舞い散り、子供たちの体に触れて視力を奪う。
そして、先生もフクロウ獣人に怪我を負わされてしまう。
フクロウ獣人の羽の魔力で視力を奪われ、催眠状態になった子供たちはガランダーに拉致されてしまった一部始終を目撃したモグラ獣人は先生を救出し、りつ子の元へ運ぶ。
駆けつけたアマゾンとおやじさんの目前で、先生は獣人への恐怖に発狂しながら力尽きる。
罪なき人々を次々に犠牲にしていくガランダー帝国への怒りを爆発させるアマゾンに、モグラ獣人は拉致された子供たちの中にまさひこもいることを伝える。
子供たちが拉致された現場に急行したアマゾンは、周囲に落ちているフクロウ獣人の羽を辿っていく。するとそこに、追跡を察知したフクロウ獣人が奇襲をかけてきた。
恐ろしいパワーで襲いかかるフクロウ獣人の猛攻。
そして、フクロウ獣人の羽がアマゾンの顔に張り付き、アマゾンの視力を奪った。
目を潰されたアマゾンはフクロウ獣人を取り逃がしてしまう。
黒ジューシャに拉致され、地下牢に入れられたまさひこは、そこでクラスメイトと再会する。
視力を奪われた子供たちは、夜になるとフクロウ獣人にフクロウの目を模した装具を与えられ視力を回復することが出来るが、視力と引き換えに催眠術によって身体の自由を奪われていた。
もうここから出られないのかと悲しむ子供たちを、まさひこはアマゾンが助けに来ると励ます。
その頃、フクロウ獣人に視力を奪われたアマゾンは、薬を調合して傷を癒やしていた。
モグラ獣人は傷を負ったアマゾンの代わりに子供たちを探すのを請け負う。
ガランダー帝国の非道による惨状を目の当たりにしたことで、モグラ獣人もまたガランダー帝国に立ち向かう決意を固め、アマゾンの助けになるために勇気を奮い起こしていた。
黒ジューシャが地下から出てきたことから、地下の何処かに子供たちが攫われていると推測したアマゾンの頼みを受けて、モグラ獣人は地下の調査に向かう。
夜になり、子供たちは再び黄色く輝く不気味な目の装具を取り付けられる。
視力と引き換えに思考力を奪われ、掘削作業に従事される子供たち。
モグラ獣人は地下道を通ってガランダー帝国が作業を行う現場に迫り、なんとか視力を回復させたアマゾンもおやじさんたちと合流して、子供たちを探す。
モグラ獣人はついに子供たちが水路を掘らされている地下道にたどり着き、アマゾンたちに地下鉄大洪水作戦の詳細を伝える。モグラ獣人の案内で、アマゾンは掘削作業現場へ向かった。
だが、地下鉄大洪水作戦はついに地下鉄の振動で崩落する一歩手前まで進行していた。
朝が来て、始発の地下鉄が動き始める。
すると、走行時の振動でついに崩落が始まり、地下鉄目掛けて膨大な水が流れ込み始めた。
線路はたちまち水没、地下鉄に乗った人々が溺れていく。さらに、もはや既に動き出した後続の地下鉄を止めることも出来ず、地下鉄の路線はほぼ壊滅してしまう。
ゼロ大帝は作戦開始を報告しに来たフクロウ獣人を、作戦完了までの現場の監視に向かわせると、全能の支配者に地下鉄大洪水作戦の成功を報告する。
だが、全能の支配者は作戦の完全な成功までは祝福の言葉を控えるのだった。
だが、他の路線も次々に水没への準備が整い始め、ゼロ大帝は満足の笑みを浮かべる。
現場で陣頭指揮を取るフクロウ獣人が最後の崩落を進行させ、地下鉄を全滅させようとしたその時、ついにアマゾンライダーが掘削現場に辿り着いた。
だが、同時に地震が起きてしまい、子供たちが岩の下敷きになってしまう。
子供たちを助けなくてはならないことに意識が向き、その隙にフクロウ獣人を逃がしてしまうアマゾンライダーだが、駆けつけたモグラ獣人が子供たちの救出を請け負うとモグラ獣人に後を託し、フクロウ獣人を追って地上へ出て、最後の一騎打ちに挑むのだった。
だが、フクロウ獣人は腕を飛ばす、文字通りの飛び道具でアマゾンライダーの視力を奪う。
目が黄色く染まり、視力を奪われたアマゾンライダーは一方的に蹂躙されてしまう。
がむしゃらに動いても攻撃が当たらず苦戦するアマゾンライダー。
だが、アマゾンライダーがギギの腕輪に全精神を集中させると、ギギの腕輪の持つ謎の能力が再び発現。激しい閃光とともに、アマゾンライダーの視力は回復した。
復活したアマゾンライダーは、再び視力を奪われる隙を生じさせない怒涛の連続攻撃を叩き込む。
肘打ちでフクロウ獣人の動きを止め、空中に投げ飛ばしたところを追いかけて跳躍すると、大切断で首を刎ね、悪魔のフクロウ獣人にとどめを刺した。
あと一歩というところで地下鉄全滅を阻止されたゼロ大帝は、憤怒の表情を見せる。
アマゾンは、ガランダー帝国の作戦を掴み子供たちを救う大健闘を見せたモグラ獣人を称える。
無事に視力を回復した子供たちがアマゾンの下にやってくるのを出迎えようとしたモグラ獣人だが、獣人である自分を見たら子供たちが驚くと思い、何処かへ去っていく。
りつ子も東京を救ったアマゾンを称えるが、アマゾンはモグラ獣人の助けがあったからこそだと、頼もしい友の活躍によって訪れた平和に笑顔を見せるのだった。
地下に監禁、普段は視力を奪うことで逃走を防いだうえで子供たちに強制労働を強いるガランダー帝国、フクロウ獣人の悪魔の所業と、その非道に立ち向かう決意を固めたことで、戦いではガランダー帝国の獣人には及ばなくても、地下で暗躍するガランダー帝国を発見して子供たちを救うために懸命に働くモグラ獣人の勇敢な行いが、同じ獣人でありながら対象的なエピソード。
ガランダー帝国は恐ろしいが、それでも眼の前でその非道に苦しむ人々を見捨ててはおけない。
臆病でありながら、一欠片の勇気を奮い起こし、アマゾン一人では成せないガランダーのアジトの発見や、子供たちの救助という自分にできることを懸命にこなすモグラ獣人の姿は、悪の獣人に生まれながらも善を成そうとする決意を感じさせ、胸を熱くさせる。
言ってしまえばモグラ獣人の今回の活躍は、次回待ち受けている悲痛な運命の伏線、前フリとしての活躍ではある。だが、これまでのエピソードで、ゲドンを抜けた後も身の振り方に悩んでゲドン獣人の脅迫に屈してしまったり、ガランダー帝国に怯え、ゼロ大帝の名を聞いただけで怯え、地中に隠れてしまうという臆病さを見せながら、ガランダー帝国のあまりの非道に怒りを爆発させ、積極的にアマゾンに協力するようになるまでが丁寧に描かれていたことで、今回の大活躍にも唐突な印象がなく、懸命に自分の出来ることを行う姿勢が報われた感動すら感じさせるのが秀逸だ。
そして、子供たちを救う活躍をしながらも、人間社会には入り込めない異形の獣人である自分を哀しみながら、獣人たちによって拉致された子供たちを怖がらせないために影に隠れて去っていくモグラ獣人の悲哀は、「仮面ライダー」シリーズが内包する「異形ゆえの哀しみ」を体現するものになっており、ヒーローである「仮面ライダー」ではない、「怪人」にすぎない獣人であるがゆえに成立したキャラクターとして見事な描写になっている。
こうして、悪の獣人に生まれながら、臆病だったがゆえに善を成す道を選んだモグラ獣人は悪逆無道のガランダー帝国に立ち向かう「勇気の士」となった。だが、彼を待ち受ける運命は…。