「バトルフィーバーJ」第48話「大盗賊と泥棒少年」感想

2024年5月16日木曜日

バトルフィーバーJ 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

ある日、ケイコ隊員、トモコ隊員と共に買い物に出たフランス。
そんな彼らを遠くから兄妹が見つめていた。
ケイコ隊員とトモコ隊員が服を選んでいると、置きっぱなしのバッグを少年に盗まれてしまう。

親をなくした子供の貧困につけこむ、唾棄すべき邪悪

今回のエゴス怪人は大盗賊怪人。
その実態は、貧困に苦しむ人々に食料と灯油を与えることで恩を着せ、その見返りとして盗みを働かせる、自分の手を汚さずに成果を得ようとする外道中の外道。
母が他界し、父が借金苦で失踪した兄妹、茂太と加代はこの大盗賊怪人に貧困に苦しでいるところをつけこまれ、食料と灯油を与えられたことで逆らえなくなってしまい、金品を盗んでくるように命じられ、街で盗みを繰り返す犯罪行為に手を染めさせられてしまう。
そして、盗んだ金品は大盗賊怪人に奪われ、エゴスの軍資金へと変えられる。
令和の現代でも、貧困にあえぐ若者たちが犯罪行為に関わる「闇バイト」に手を染めてしまうことが社会問題になっている。現代にも通底する、多くの人を破滅させる悪魔の所業を行うエゴス、大盗賊怪人の唾棄すべき邪悪の在り方が印象的なエピソードだ。

ケイコ隊員とトモコ隊員は、フランスを連れ、給料片手にショッピングに出かけていた。
その様子を羨むように眺める、茂太と加代の兄妹。茂太は意を決してフランスたちに接近する。
ショッピングに夢中なケイコ隊員やフランスが目を離した隙に、茂太がケイコ隊員とトモコ隊員のバッグを盗んで逃亡した。茂太は逃亡中にバッグを投げ捨て、別行動をしていた加代がそれを回収する。あまりにも手慣れた手口が、この兄妹が普段から盗みを繰り返していることを示している。
なんとか追いつき、少年を捕まえたフランスだが、バッグを手放していた少年は自分がバッグを盗んだ証拠がないと開き直り、どこかへ行ってしまった。
財布を抜き取り合流した兄妹は家に帰るが、そこには不審な男が灯油を持って待ち構えていた。
男は財布を茂太から奪い取ると、取り分として小銭を2枚投げ渡す。
この男が兄妹に盗みを働かせていたのだ。

バッグを回収したものの、財布を盗まれたフランスはケイコ隊員とトモコ隊員に叱られていた。
ケイコ隊員たちにもらったばかりの給料を全額失ってしまった補填を要求されたフランスは、ジャパンやコサック、ケニアたちに借金を頼むが、断られる。
特に、ケニアは一足早く子供たちのクリスマスのプレゼントを用意するために給料を全部使ってしまっており、マリアも仲間内でのお金のやり取りはしない主義だった。
そこに茶々を入れてきたロボット九官鳥にキレていたフランスは、ジャパンから盗みを働いた少年を見つけて金を取り返すように言われるのだった。

その頃、茂太はまたしても盗みのターゲットを求め、街を彷徨っていた。
フランスは茂太を尾行し、盗みを働こうとする現場を抑えていく。
成果のないまま家に帰った茂太は、何も盗めなかったことで男に殴打される。
母を亡くし、父が借金を残して失踪した兄妹は、男に食料と灯油を与えられたことで恩を着せられ、盗みの手先として良いように使われていた。
茂太を追ってきたフランスは家から出てきた男を見つけ、尾行を開始。茂太もそれを追った。
すると、フランスの下にブーメランのごとく回転する刀が飛んできた。
その刀の主は、茂太に泥棒を強いた男。その正体は、エゴスの大盗賊怪人だったのだ。
男の正体を知った茂太に家に通されたフランスは、兄妹の家庭の事情を知る。
借金を残して父が消え、飢えに苦しんでいた兄妹に、エゴスの大盗賊怪人が接触。
食事と灯油を与える代わりに盗みを働かせていたのだった。事情を知ったフランスは茂太にエゴスと手を切るように伝えるが、茂太はフランスを完全に信用しきれていなかった。

フランスからの報告を受けた鉄山将軍は、このところ強盗と窃盗事件が相次いで起こっていることを掴んでいた。大盗賊怪人は各地で貧困にあえぐ人々を利用、盗みを働かせる実行犯にすることで、自分の手を汚さずに多大な金銭を入手していたのである。
貧しさにつけこまれた子供を利用するエゴスへ怒りを見せる鉄山将軍は、大盗賊怪人を倒し、無理やり働かせている人々を救うことを命ずるのだった。

大盗賊怪人は、エゴスの軍資金を確保し、バトルフィーバーを倒す兵器を開発しようとしていた。だが、バトルフィーバーに嗅ぎつけられたことで、大盗賊怪人は最後の大泥棒作戦を実行する。
茂太兄妹のように、貧しさにつけこまれ大盗賊怪人の手先とされていた者たちを一同に集めた。
エゴスの手先にされた者たちは、サロメによって岩の中の秘密トンネル内部に監禁されてしまったが、茂太はそこで、失踪した父親と再開する。
失踪した後、警備員として日銭を稼いでいた茂太の父親だが、彼もまたエゴスに騙され、食料と灯油を与えられたことで、窃盗や強盗の実行犯にされていたのだ。
そこに大盗賊怪人が現れ、集めた人々に爆弾入りのブレスレットをはめさせる。
大盗賊怪人は死の恐怖で人々に大規模な強盗・窃盗を強いるのだった。

爆死の恐怖によって盗みを強制された人々が街に放たれる中、フランスは茂太と再会。
茂太に爆弾入りのブレスレットを見せられたフランスは、人々が監禁された場所へ案内される。
フランスは警戒しながらも、サロメが唱えていた「エゴス万歳」の呪文を唱え、秘密トンネルの扉を開く。だがそこには大盗賊怪人が待ち構えていた。
フランスは大盗賊怪人の攻撃を躱してトンネルから脱出し、大盗賊怪人を誘き出す。
茂太の裏切りに怒る大盗賊怪人がブレスレットの爆弾を爆発させるリモコンを取り出したその時、密かに待機していたコサックが投げたコマンドバットがリモコンを叩き落とした。
さらにフランスは地面に落ちたリモコンを回収して破壊、茂太たちを開放する。
バトルフィーバー全員も集まり、一大決戦が幕を開けた。

大盗賊怪人の刀に対し、フランスはフルーレで対抗。
刀を投げつける一撃を喰らいながらも、今度は全員の力を結集して大盗賊怪人に挑む。
ジャパンの槍が大盗賊怪人の刀を払い落とし、そこにペンタフォースを炸裂させて大盗賊怪人を撃破した。だが、続いて大盗賊ロボットが現れる。
久しぶりに鉄山将軍の操作によってバトルシャークが発進し、バトルフィーバーロボが出現。
身軽な動きの大盗賊ロボットは、バトルフィーバーロボのチェーンクラッシャーを引きちぎるパワーを見せるが、その一瞬の隙に電光剣唐竹割りが炸裂して一刀両断された。

こうして、大盗賊怪人に盗みを強制されていた人々は開放された。
そして、父親と再会した茂太と加代の兄妹に、笑顔が戻るのだった。

人の弱みにつけこみ、悪事を働かせることで多くの人の手を汚させる大盗賊怪人の外道ぶりがあまりにも鮮烈な印象を残るエピソード。親がいないことで貧困にあえぐ子供を殴打し、盗みを働かせるその悪逆無道ぶりは、唾棄すべき邪悪と行ってもまだ生ぬるい。
令和の現代でも、多くの人が貧困にあえぎ、その苦しみをSNSで訴えた結果、それにつけこまれ、犯罪行為への加担を強いられてしまう「闇バイト」が大きな社会問題になっている。
この作品では、大盗賊怪人というわかりやすい黒幕が一人いるだけで、それを排除すれば平和が戻るが、現実は呆れるほどに、他人を利用し、使い捨て、破滅させる邪悪が数多い。
エゴスと同じ、いやそれ以上の悪意を持った人の心を汚す悪魔につけこまれないためにも、苦難に対しても一人で悩まずに、周囲の人や相談を受け付けている機関などに頼る選択を躊躇わないようにしたいものだ。現実の世界にエゴスと同じように悪意を持った存在がいるならば、バトルフィーバーのように頼りになる存在もどこかにいるはずだから。

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