「仮面ライダーアマゾン」第24話「やったぞアマゾン!ゼロ大帝の最後!!」感想

2024年5月30日木曜日

仮面ライダーアマゾン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

サンショウウオ獣人を倒したアマゾンは、獣人の血痕を辿りガランダーのアジトへ潜入した。
そこでアマゾンを待ち受けていたのは、ガランダー帝国の支配者・ゼロ大帝。
そして、全ての悪の組織を支配すると嘯く全能の支配者が、ついにその姿を現す。

ついに明かされる腕輪の謎!さらば友よ、別離の時

ついにガランダー帝国との最終決戦の時が来た。
これまでゼロ大帝に神託を告げてきた全能の支配者の正体が明かされ、シリーズ序盤を牽引したギギの腕輪とガガの腕輪、2つの腕輪が合わさる時に発現する古代インカ文明の超エネルギーの謎もまた解明されるという、「仮面ライダーアマゾン」というシリーズの縦軸として展開されてきた要素が過不足なく解決に向かう非常に美しい最終回となっている。

前回から展開するガランダー帝国の最終作戦のヘリウム爆弾作戦もついに実行される。
ゼロ大帝と戦っているアマゾン一人では、東京に設置されたヘリウム爆弾の解除を行えない。
だが、今のアマゾンは、たった一人で日本にやってきた時と違い、まさひこやりつ子、そしておやじさんという、日本に来て出来た「トモダチ」がいる。信じられる「トモダチ」であるおやじさんたちにヘリウム爆弾の起爆装置の解除を任せ、アマゾンはゼロ大帝との戦いに専念できるのだ。

アマゾンで育った野生児という設定で「社会からの孤独」という要素を描き、「仮面ライダー」シリーズの原点回帰を志向した「仮面ライダーアマゾン」は、孤独な主人公が戦いの中で理解者を増やし、孤独が解消されたことで事態の打開に成功する展開を最終回で見せ、「社会からの孤独」に追い込まれた主人公がそれを脱するというドラマチックなシリーズ構成を見事に完成させている。

ヘリウム爆弾を東京で爆破して日本列島を灰燼に帰し、死の灰の上に帝国を打ち立てようとするガランダー帝国の野望を阻止すべく、アマゾンはガランダー帝国のアジトに突入した。
だが、その耳にゼロ大帝の声が響いた刹那、アマゾンを落とし穴の罠が襲う。
アマゾンはかろうじてコンドラーのロープを出し、巨大な剣山への落下を防いだ。
だが、ガランダー帝国はその間にもヘリウム爆弾に時限装置を取り付ける作業を進めている。
爆破予定時刻は、午後1時。ゼロ大帝が司令室に取り付けられたスイッチを押せば、ヘリウム爆弾に取り付けられた時限式の起爆装置が作動し、ヘリウム爆弾は爆発する。
日本列島に、待ったなしの大破局の時が迫ろうとしていた。

ロープを登って落とし穴から脱出したアマゾン。だが、その行く手に壁から飛び出す針や、シャッターによる封じ込め、毒ガス発生など、ガランダー帝国の仕掛けた罠が次々に襲いかかる。
シャッターによって封鎖された閉鎖空間に毒ガスが充満し、アマゾンを苦しめる。
一方、アマゾンの帰りを待っていたおやじさんも、一向に戻ってこないアマゾンを心配し、アマゾンの後を追ってガランダー帝国のアジトへ向かうことを決意。
まさひことりつ子もアマゾンを心配して一緒に行くことになり、おやじさんは二人に危険なところまでは行かないように言いつけ、共にアマゾンの後を追うのだった。

閉鎖空間に充満する毒ガスに苦しむアマゾンは、部屋の隠しスイッチを発見して閉じたシャッターを開き、なんとか脱出に成功した。その先で、ついにアマゾンはゼロ大帝と対面する。
ゼロ大帝は、獣人を数多く殺した憎きアマゾンに、ガランダー帝国の名において死刑を宣告。
アマゾンもまた、怒りの咆哮を上げてアマゾンライダーに変身。
長きに渡る死闘に全ての決着をつけるべく、最終決戦に挑むのであった。

護衛の黒ジュージャを蹴散らしたアマゾンライダーは、ゼロ大帝に野望を捨てこの国から消えるように通告する。だが、ゼロ大帝は不敵な笑みを浮かべ、自分の力を見せると宣言し、槍の刃先からビームを放射。すると、それを浴びたアマゾンライダーの変身が解除されてしまった。アマゾンは再度変身するが、ゼロ大帝もまたビームを放射し、またしてもアマゾンは変身を解かれてしまう。
ゼロ大帝の杖の刃先から出るビームは、アマゾンのギギの腕輪と同調して一瞬にしてエネルギーを消滅させ、アマゾンライダーの変身を解除してしまう恐るべき効果を持っていたのだ。

アマゾンの変身を封じたゼロ大帝は、アマゾンを鎖で拘束。
ヘリウム爆弾の爆破の前にアマゾンの処刑を行うことを宣告する。
勝利を確信し上機嫌のゼロ大帝は、アマゾンにヘリウム爆弾の設置場所と起爆時刻を問われ、午後1時に司令室のボタンを押せば、新宿のビルの地下に設置されたヘリウム爆弾の時限装置が作動してヘリウム爆弾が起爆することを話してしまう。だが、今のアマゾンにそれを阻止する力はない。
地下深くにあるガランダー帝国のアジトはヘリウム爆弾の被害も受けず、東京や日本に住む人間だけが犠牲となる悪魔の計画の実行が、刻一刻と近づいていた。

その頃、新宿のビルでは、黒ジュージャたちがヘリウム爆弾を輸送していた。
ビルの係員に化けていた黒ジュージャの手引で、ヘリウム爆弾が新宿のビルの地下に配置されてしまう。ヘリウム爆弾起爆まで、残された時間は後1時間。
もはや東京、いや世界の終わりは避けられないのか。

一方、おやじさんたちもサンショウウオ獣人の血痕を辿り、ガランダー帝国のアジトを発見する。
おやじさんはまさひことりつ子を安全な場所に待機させ、ガランダー帝国のアジトへ突入することを決意。そこに、ヘリウム爆弾を設置し終えた黒ジュージャたちが帰還してきた。
おやじさんはその中の一人を気絶させて身ぐるみを剥ぎ、それを身に纏って黒ジュージャに変装。黒ジュージャたちに紛れてガランダー帝国のアジトへ突入した。
「仮面ライダーアマゾン」においては、ややもするとまさひこに見せ場を奪われがちだったおやじさんだが、この最終回においては歴代ライダーとともに戦ってきた歴戦の勇士としての勇敢さと、子供を危険に巻き込まない大人としての在り方を見せている。

アマゾンを苦しめた罠を次々に解除し、アジト内部へ戻っていく黒ジュージャたちに紛れ、おやじさんはアジトの奥底への侵入に成功した。ヘリウム爆弾の爆発まで後30分。
ゼロ大帝はついにアマゾンの処刑を開始し、まずはギギの腕輪を奪おうとする。
かつて、十面鬼の遺体から回収したガガの腕輪を用意したゼロ大帝は、2つの腕輪を一つにし、古代インカ文明の超エネルギーをも手にしようとしていた。
鎖に囚われたアマゾンは怒りの咆哮を上げ変身するが、ゼロ大帝は即座にビームを放ってその変身を解除する。懸命に足掻くアマゾンから、ギギの腕輪を奪おうとするゼロ大帝。
ギギの腕輪を奪われた時、アマゾンの命は尽きる。アマゾンが死ねば、誰が人類を守るのか。

絶体絶命の危機の中、突然、2つの腕輪が共鳴を始めた。
ガガの腕輪はギギの腕輪に引き寄せられるようにゼロ大帝の手を離れ、2つの腕輪が一つになる。
激しい閃光がほとばしり、アマゾンの身体にこれまでにない力が漲る。
アマゾンは自らを縛る鎖を断ち切り、咆哮とともにアマゾンライダーに変身した!

ゼロ大帝は再びビームを放ってアマゾンライダーの変身を解除しようとするが、古代インカ文明の超エネルギーを得たアマゾンライダーには、もはやゼロ大帝のビームは通じない。
2つの腕輪が1つになり、アマゾンライダーの身体に何者にも負けぬ超エネルギーが漲り渡る。
そこに、ギリギリまで機会を伺っていたおやじさんも行動を起こし、アマゾンライダーと合流。
アマゾンライダーはおやじさんに爆弾の設置場所を伝え、「トモダチ」にヘリウム爆弾の起爆装置解除を任せると、ゼロ大帝との最終決戦に挑む。

最大の武器であるビームも通じない今、ゼロ大帝といえどもアマゾンライダーの敵ではない。
大切断でゼロ大帝の右腕を切断したアマゾンライダー。
逃亡したゼロ大帝は自分が仕掛けた落とし穴に落ち、穴の底の巨大な剣山に全身を貫かれた。
ヘリウム爆弾爆破まで後5分。
アマゾンライダーは司令室のスイッチを切るためアジトの奥底へと突き進む。

おやじさんたちは新宿のビルに到着、ヘリウム爆弾の起爆装置を外そうと奮闘する。
強固な構造に手を焼いたおやじさんは、せめてまさひことりつ子を安全な場所に逃がそうとするが、まさひこは死ぬ時は皆一緒だと覚悟を見せ、おやじさんもその覚悟に応えて最後まで足掻く。
ついに起爆寸前、アマゾンライダーが司令室のスイッチを破壊。
時限装置は停止したことで午後1時ちょうどの爆発は避けられ、おやじさんたちはヘリウム爆弾の完全な無力化のため、ヘリウム爆弾に取り付けられた起爆装置の解除を進める。

こうしてガランダー帝国の野望は阻止されたかに見えた。
だがアマゾンライダーの前に、白装束の怪しげな男が現れる。
その男こそ、これまでゼロ大帝に神託をもたらしてきた全能の支配者そのものだった。
自分がいる限り、ガランダー帝国は滅びないと豪語する真の支配者に、アマゾンライダーは怒りを爆発させ、向かっていく。不気味に揺らめく真の支配者の装束を吹き飛ばしたアマゾンライダーの眼前にいたのは、先程絶命したはずのゼロ大帝だった。
先程までアマゾンライダーが戦っていたのは、真のゼロ大帝の影武者に過ぎなかったのだ。
真のゼロ大帝は、自分が支配者としてゲドンやガランダー帝国といった全ての悪の団体を支配すると同時に、ガランダー帝国の王者として君臨してきたのだと嘯く。
後の「仮面ライダーストロンガー」最終回で、真のゼロ大帝と同じく全ての悪の組織を支配してきたという岩石大首領の声を聞いたアマゾンライダーがゲドンの名を出していたのは、この真のゼロ大帝と岩石大首領の間の関連性を見抜いたということなのだろう。
無論、岩石大首領の声色は「仮面ライダーアマゾン」においてはナレーションの声色だが…。

真のゼロ大帝は次々に鋭い槍を飛ばしてアマゾンライダーを攻め立てる。
だがアマゾンライダーはそのうちの一本を掴み、真のゼロ大帝の腹に突き立てた。
苦しむ真のゼロ大帝に、アマゾンライダーは怒りの大切断を決めて両腕を切断。
そして、2つの腕輪の超エネルギー全てを込めた最強最後の技、「スーパー大切断」で、真のゼロ大帝の首を刎ね、ガランダー帝国との死闘に終止符を打つのだった。

平和を取り戻した日本。港には、白いスーツに身を包んだアマゾンがいた。
使命を果たし、第二の故郷であるアマゾンに帰ることにしたアマゾンは、別れの涙を流し、また日本に帰ってくるか問うまさひこに、何も答えずに、悲しげな目を浮かべ去っていく。
それは、「トモダチ」であるまさひこに、すぐに帰って来てまた会えると約束するような無責任な嘘をつきたくないという真摯な気持ちの表れであると同時に、「仮面ライダー」としての使命を持つ自分が日本に帰って来るのは、再び巨悪が日本の平和を脅かし、自分の力が必要とされる時でしかなく、そんなことはもう起きないほうがいいということを悟っているかのようだった。

別れを悲しむまさひこを、おやじさんは励ます。
もし、新たな悪が日本を脅かす時、アマゾンはきっと帰って来る。
悪と戦う使命を背負い、世界に散っていった「仮面ライダー」の一人として…。

「仮面ライダー」シリーズの「原点回帰」を志向しながら、「仮面ライダー」シリーズの原点とされた「社会からの孤独」や「異形ゆえの哀しみ」という要素を、アマゾンで育った野生児ゆえに現代日本から隔絶した存在であるという大胆な換骨奪胎で描いた「仮面ライダーアマゾン」。
放送局側の事情故に、最初から短期間の放送であることが予定されつつ、1クールで敵組織が交代するという大胆なシリーズ構成で視聴者の興味を引き、敵組織の交代に合わせ、あくまでギギの腕輪を狙っていたゲドンから、日本全土の壊滅を目論むスケールの大きな作戦を行うガランダー帝国へ、戦いが激化する劇的なドラマ展開は見どころだった。

そして、原点回帰として「社会からの孤独」を掲げると同時に、懸命に戦うアマゾンの姿に多くの理解者が現れ、孤独なる魂が癒やされていくというドラマチックなシリーズ構成が見事に一貫して描かれているのも、「仮面ライダーアマゾン」の美点だ。
まさひことの出会い、りつ子との衝突と和解、モグラ獣人という社会からの孤独と異形を分かち合う戦友との出会い、「仮面ライダー」を導いてきたおやじさんとの運命の出会い。
なぜ自分がゲドンに狙われているかもわからず、育ったアマゾンを離れ、コンクリートジャングルで人々の好奇の目に苦しみながら、それでも「命」を、「友」を守るために懸命に戦うアマゾンの姿が人々の心を打ち、多くの理解者が現れるドラマは、我々の心に大きな感動を呼んでくれた。
友の守護者として、自らの存在を大空に叫んだアマゾンライダーの姿は、今も「仮面ライダー」シリーズの歴史に、シリーズ屈指の異色作として鮮烈に刻まれている。

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