「バトルフィーバーJ」第43話「暗殺者ジャッカル」感想

2024年5月1日水曜日

バトルフィーバーJ 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

ビッグベイザーに、バトルフィーバー隊の暗殺を狙う殺し屋が来日したという知らせが入る。
その殺し屋・ジャッカルの正体はケニアの友人・竹内だった。
ケニアと再会した竹内は、自身の標的が友であったことを知り…。

優しき友よ、君はなぜ悪魔に魂を売ったのか

今回のエゴス怪人であるゴロンゴ怪人は、岩をモチーフにした怪人。
だが、そんなゴロンゴ怪人が怪人製造機からの誕生が遅れたことで、サタンエゴスはバトルフィーバー抹殺のために腕利きの暗殺者を雇うことを決意。
その暗殺者こそが、バトルケニア=曙四郎がアフリカで動物保護の活動をしていた時、共に動物保護活動を行った親友、竹内剛。コードネームをジャッカルという竹内は、バトルフィーバー暗殺の仕事を大金の報酬と引き替えに請負い、その中で標的の一人であるバトルケニアが友である曙四郎であることを知り、暗殺者としての任務と友情に揺れることになる。
ジャッカルというコードネームの暗殺者というのは、1971年に発表され、1973年には映画となったフレデリック・フォーサイスの小説「ジャッカルの日」からの引用だろうか。

サロメが誕生を待ちわびる中、サタンエゴスは怪人製造機からゴロンゴ怪人を生み出した。
だが、ゴロンゴ怪人は難産だったようで、サタンエゴスはゴロンゴ怪人の誕生が遅れた穴埋めとして、既にバトルフィーバー抹殺のため、腕利きの暗殺者を雇っていた。
その暗殺者の暗号名は、ジャッカル。ゴロンゴ怪人は自分を軽んじられたと感じ憤慨する。

一方、バトルフィーバー隊の基地・ビッグベイザーに、FBIからバトルフィーバーの暗殺を目的とする暗殺者・ジャッカルが日本に向かったという連絡が入った。
ジャッカルという名前しかわからない未知の暗殺者の脅威にバトルフィーバー隊が警戒を強める中、ケニアは暗殺者に対抗すべく、射撃の訓練に向かうと言い出す。
銃を得意とするコサックのコーチの申し出も断ったケニアは、一人訓練に出かけるのだった。

訓練に励むケニアの射撃は集中力を欠いていた。そこに、何者かの銃撃が襲いかかる。
射撃の主は、正確にケニアが訓練に用いていた標的の真芯を捉えていた。
射撃の主は、ケニアの旧友、竹内剛だった。偶然の再会を喜ぶケニアと竹内。
二人はかつて、アフリカの草原で野生動物の保護に従事しており、そこで友情を深めていた。
今は何をしているのか尋ねるケニアに、竹内は動物保護をやめたことだけを告げ、口を噤む。
そして、急ぎの仕事があると言うと、再会を誓って去っていった。ケニアはどこかおかしい旧友の様子を訝しむと同時に、自分と竹内の射撃の腕前の違いを痛感するのだった。

ゴロンゴ怪人率いるエゴスが竹内に接触した。竹内こそが暗殺者ジャッカルの正体だったのだ。
ジャッカルはゴロンゴ怪人の前でその実力を見せることになり、カットマンが揺さぶる吊り橋という不安定な足場で離れた場所にある標的を撃ち抜くように命じられる。
だが竹内は、吊り橋の上で跳躍し、空中で射撃を行うことで足場の不安定さを克服、正確に狙いをつけて標的を撃ち抜く離れ業を見せ、ゴロンゴ怪人とサロメに実力を認めさせる。
サロメは多額の報酬を渡して竹内、いやジャッカルをバトルフィーバー暗殺へ向かわせた。

ビッグベイザーに、エゴスが世界平和会館に爆弾を仕掛けたという知らせが入った。
世界平和会館に急行したバトルフィーバーは、待ち伏せしていたジャッカルに狙われる。
ケニアを狙ったジャッカルの銃弾は正確にケニアを撃ち抜いたが、銃弾が貫通したことでケニアの背後にいた少女・めぐみも巻き添えを食って負傷してしまう。ケニアは幸い無事だった。
ジャッカルは、正確に撃ち抜いたはずなのにケニアを始末できなかったことに困惑する。
一方、ケニアもめぐみの体に銃弾の傷があることに気づく。銃弾が貫通したことでケニアは無事だったが、そのせいでただその場に居合わせただけのめぐみが傷ついたのだ。
ジャッカルも銃弾がめぐみに命中してしまったことに気づき、ケニアを仕損じたことを悟る。
ケニアは、ジャッカルの放った銃弾が何の罪もないめぐみを傷つけたことに怒りを燃やす。

入院しためぐみの見舞いに来ていたケニアとマリアを、ジャッカルは離れたビルから狙っていた。
バトルフィーバーが強化服を着ていない時を狙おうとしたジャッカルは、自分が狙う標的の先に、友であるケニア、曙四郎がいることに気づく。自分が標的とし、狙撃したバトルケニアの正体が曙四郎だったことに驚愕するジャッカルは動揺し、友を狙い撃つことが出来ない。
そこに、別行動をとってジャッカルの行方を探っていたジャパンたちが現れた。
ジャパンから連絡を受けたケニアは、ジャッカルの正体が竹内だったことを知る。

カットマンたちが現れ、ジャッカルを逃がすためにジャパンたちと戦い始めた。
逃亡するジャッカル、いや竹内を、ケニアは懸命に追う。だが、竹内は車に乗って逃亡した。
ケニアは、友である竹内が自分を殺そうとしたことを受け入れられない。
ジャパンはケニアを、事実から目を背けてはいけないと諭すが、ケニアは動物保護をしていた頃の竹内の優しさを知っているがゆえに、そんな竹内が人を殺せるはずがないと懸命に訴える。
だが、ロボット九官鳥は人間は変わるものだと冷淡に言い放ち、ケニアの怒りを買うのだった。

エゴス基地に戻った竹内は、報酬をゴロンゴ怪人に奪われた。
二度に渡るバトルフィーバーの狙撃失敗と、正体の露見によって切り捨てられた竹内。
正体が割れてしまえば殺し屋としては終わりであることを突きつけるサロメに、竹内は暗殺者ジャッカルの名にかけて、今度こそ標的であるバトルフィーバーを殺すことを宣言。
ゴロンゴ怪人から報酬を取り返し、バトルフィーバー暗殺へ向かった。

動物保護に従事していた竹内剛がなぜ、金のために暗殺を行う暗殺者ジャッカルに変貌したのか、詳しい事情はこのエピソードでは語られない。
ロボット九官鳥の言うように、悲しいが人は変わってしまうということなのかもしれない。
あるいは、野生動物が幸せに暮らす自然環境の保全のためには、綺麗事だけでは活動を続けられず活動資金として大金を求め、暗殺者に身を窶したということなのかもしれない。
暗殺者でありながら、優しい心を捨てきれていないのはケニアが友である曙四郎であると知って銃撃を躊躇ったことからも明らかで、暗殺を生業としたのがただ大金を求めただけとも考えにくい。

竹内は医者に変装してめぐみの病室に侵入。通報を受けたバトルフィーバーが病院に到着すると、そこにはめぐみの姿はなく、巻き添えを食って暴行を受けた看護師が深い傷を負っていた。
怒りに燃えたケニアに、ジャッカルからのメッセージつきの投げナイフが襲いかかった。
めぐみを取り戻したければ六号埋立地に来いというジャッカルの挑戦に、友が非情な暗殺者に成り下がったことをを確信したケニアはついに怒りを爆発させる。コサックは冷静さを欠いたケニアを呼び止めるが、怒りに突き動かされたケニアは単身六号埋立地へ向かうのだった。

六号埋立地に到着したケニアの前に、めぐみを人質にしたジャッカルが姿を見せた。だが、ケニアはどうしてもジャッカルを撃つことが出来ない。
どうして殺し屋に成り下がったのか問うケニアに、ジャッカルはこの世は所詮金で、奉仕活動など馬鹿馬鹿しくなったと嘯く。だがケニアは、動物保護をしていた頃の竹内が命の素晴らしさを大切にする優しい心を持っていたことを思い返し、銃を捨てジャッカルへと近づいていく。
アフリカで傷ついたライオンを救おうとした竹内の温かい心を信じ、無防備なまま接近するケニアの真っ直ぐな目に耐えられなくなったジャッカルは、ついにケニアを撃ってしまう。
そこに、バトルフィーバー隊が到着。ジャッカルの足元を撃ち、態勢を崩した。
その機を逃さず、ケニアは負傷しながらもめぐみを救うために走り、めぐみを救出。
そして、ゴロンゴ怪人率いるエゴスの軍勢も姿を現した。
竹内を疎んでいたゴロンゴ怪人は竹内を巻き込むようにカットマンに大規模砲撃を行わせ、爆発の直撃を受けたジャッカル、いや竹内は重症を負い、駆けつけたケニアに看取られて息絶える。
友を失ったケニアは怒りとともに強化服を纏い、仲間と合流してエゴスとの決戦に臨むのだった。

「勇者が行く」の流れるハードボイルドな雰囲気の中、バトルフィーバーの怒りの反撃が始まる。
そこに、ゴロンゴロボットが現れた。
高速回転して発火現象を起こすゴロンゴロボットの猛威に、バトルシャークが発進。
ジャパンとアメリカがバトルフィーバーロボに乗り込み、ゴロンゴロボットと対決。
バトルフィーバーはゴロンゴ怪人の棘付きボール攻撃に苦戦しながら、ペンタフォースで勝利を掴む。残すゴロンゴロボも、バトルフィーバーロボの電光剣唐竹割りで粉砕される。

竹内の墓標代わりのライフルの前で、ケニアは竹内の銃撃の傷の痛みを噛み締めていた。
竹内ほどの腕前を持つ暗殺者が、狙いを外すわけがない。きっと昔の優しい竹内が暗殺者ジャッカルの心の何処かにいて、自分への狙いを外したのだ。ケニアは、そう信じたかった。
エゴスとの戦いが終わった時、友の遺骨を持って思い出の地・サバンナに帰ろう。
ケニアは、竹内の墓標にそう誓うのだった。

変わってしまった旧友との対決、そして友の非業の死というハードボイルドな展開が描かれたケニア主役のエピソード。竹内の射撃の腕前を知るからこそ、自分への狙いを外した竹内が優しい心を失っていなかったと信じるケニアの友を思う思いが胸を打つ。
今回はエゴス怪人であるゴロンゴ怪人の影が薄く、ケニアと暗殺者ジャッカルの対決と友情がドラマの主体となり、重厚な展開が描かれていた。最後の決戦シーンにエンディング主題歌の「勇者が行く」が選曲され、そんなハードボイルドなドラマを盛り上げている。

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