「バトルフィーバーJ」第50話「将軍を狙う覆面鬼」感想

2024年5月22日水曜日

バトルフィーバーJ 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

バトルフィーバー隊に追い詰められたエゴス。
ヘッダー指揮官は、バトルフィーバー隊の頭脳を奪うため、鉄山将軍の命を狙う。
手始めにヘッダーは、鉄山将軍の恩師の道場へ殴り込んで恩師を殺害。
鉄山将軍はその背景に、自分を狙うエゴスの存在を感じ取る。
ついに、ヘッダー指揮官と鉄山将軍の、壮絶な死闘の幕が切って落とされた。

乾坤一擲の将軍暗殺計画 火花散る聖剣邪剣

今回のエゴス怪人はオニヒゲ怪人。
その名の通り、立派な髭を貯えており、手鏡でそのチェックを欠かさない仕草を見せている。
だが今回、オニヒゲ怪人はエゴスの計画の主軸ではなく、ついに自ら動き始めたヘッダー指揮官の身辺警護を担当してヘッダー指揮官のアシストを担当している。

前回語られた通り、エゴスは既に裏切り者も多発するほどその勢力が衰退している。
ヘッダー指揮官はこの状況を打開すべく、乾坤一擲の作戦として、自らがバトルフィーバー隊を率いる鉄山将軍を暗殺することを計画。サタンエゴスをして、火のような決断力と水のような思考力を併せ持つ傑物である鉄山将軍を抹殺し、バトルフィーバーから指揮官を失わせんとしたのだ。

バトルフィーバーの頭脳たる鉄山将軍が消えれば、もはやバトルフィーバーは烏合の衆も同然と判断したヘッダー指揮官は、この鉄山将軍暗殺計画にエゴスの命運をかけ、かつて、「邪神流」剣法の教えを受けた師にして、鉄山将軍をも上回る腕前と目される剣士、鬼一角を殺害。
これをもって邪神流を極め、鉄山将軍をも倒す腕前を身に着けたと判断したヘッダー指揮官は、次に鉄山将軍の師である藤波白雲と、兄弟弟子である尾上竜山をも暗殺。
師と兄弟弟子を失った哀しみで大いに動揺し、怒りに駆られた鉄山将軍を抹殺せんとする。
ついにヘッダー指揮官自らが動き、長い戦いの決着をつけんとしたこの第50話をもって、いよいよバトルフィーバーとエゴスの戦いは最終局面へ向け激化していくことになる。

忍びの格好をした一団が、勝利のためなら手段を選ばない邪剣、「邪神流」の道場を襲った。
だが、その襲撃を察知した道場主である邪神流の創設者、鬼一角は天井に隠れ、寝込みを襲おうとした忍びを迎撃。さらに、忍びを率いる襲撃者を真剣で迎え撃つ。
だが、鬼一角が襲撃者の刀を払い落としたところに、襲撃者の目から閃光が放たれた。
閃光に目が眩んだ鬼一角は、その隙に襲撃者の腕に装着された鈎爪を喉笛に突き立てられる。
鬼一角を襲った襲撃者の正体は、ヘッダー指揮官だった。鬼一角に襲撃の理由を問われたヘッダー指揮官は、鬼一角と真剣勝負をしたかったと語る。その様子に、鬼一角はヘッダー指揮官が勝つために手段を選ばない邪神流の極意を極めたことを称え、息絶える。

エゴスのアジトに戻ったヘッダー指揮官は、自らの師である鬼一角を殺害したことで、ついに自らが邪神流を極めたことをサタンエゴスに報告していた。
鉄山将軍以上の実力者と目されている鬼一角を殺した今、ヘッダー指揮官は既に鉄山将軍すら倒せるほどの実力を身に着けたのだという。サタンエゴスはバトルフィーバーの頭脳である鉄山将軍を抹殺し、頭脳を奪うことでバトルフィーバーの無力化を図ろうとしていた。
既にその勢力を失いつつあるエゴスにとって、鉄山将軍を暗殺してバトルフィーバー隊を無力化することが、この苦境を打破する唯一の方策だったのだ。
サロメはヘッダー指揮官に、鉄山将軍の師である藤波白雲と、同門の尾上竜山の情報を伝える。
ヘッダー指揮官は手始めに、鉄山将軍の二人の知己である彼らを血祭りに上げることで、鉄山将軍の心を動揺させようと目論見、出撃するのだった。

藤浪白雲が自分の道場で子供たちに剣道を教えていると、ヘッダー指揮官率いる暗殺者集団が邪神流を名乗って現れた。藤浪白雲は、かつて邪神流を編み出した鬼一角を、手段を選ばぬ剣士らしからぬ振る舞いから破門した因縁があった。
ヘッダー指揮官は、自らの師である鬼一角が藤浪白雲を恨んで死んだと嘯き、藤浪白雲に挑戦。
白雲は子供たちを帰らせ、ヘッダー指揮官の挑戦を受ける。
戦いを優位に進める白雲だが、鬼一角と同様、ヘッダー指揮官の目から放たれる閃光で目を眩ませられた隙に放たれた鉤爪に喉笛を貫かれ、命を奪われてしまう。
ヘッダー指揮官は、その現場に「二代目鬼一角参上」と書かれた置き手紙を残し去っていった。

藤浪白雲の師は弟子たちの知るところとなり、鉄山将軍もまたそれを知ることになる。
鉄山将軍はその時既に、師の死にどす黒い陰謀が渦巻いていることを感じ取っていた。
サタンエゴスをして火のような行動力と、水のような思考力を兼ね併せ持つ鉄山将軍の前では、さしもヘッダー指揮官も互角に戦うには未だ尚早と判断したサタンエゴスは、オニヒゲ怪人にヘッダー指揮官の身辺警護を命ずるのだった。

ジャパンとコサックは、ビッグベイザー内の道場で鉄山将軍の薫陶を受けていた。
憎悪に満ちた邪神流の極意に震撼するコサックに、鉄山将軍は、鬼一角が卑怯もまた兵法の一つと主張して邪神流を立ち上げ、真の実力を見るために真剣を用いていたことを話す。
そして、藤浪白雲の死の陰にエゴスが暗躍していることを感じ取っていた鉄山将軍は、白雲の命を奪った二代目鬼一角を名乗る男の正体を暴く必要性を感じていた。
その頃、夜の街をパトロールしていたケニアとフランスは、ヘッダー指揮官の配下に襲われる。
そこに、ヘッダー指揮官も姿を現すと、ケニアとフランスを目から放たれる閃光によって目を眩ませて、配下に取り押さえさせる。そして、鉄山将軍への果し状を残して去っていった。
それは、鉄山将軍を一騎打ちの舞台に引きずり出さんとするヘッダー指揮官の罠だった。

鉄山将軍が極めた一光流が勝つか、ヘッダー指揮官が極めた邪神流が勝つか。
2つの剣術の雌雄を決するための一騎打ちを所望する果し状を受けた鉄山将軍。
フランスは、その果し状の時代錯誤な内容に「まるで時代劇だね」と呆れる。
師の仇を討つため自ら一騎打ちに向かおうとする鉄山将軍を、ジャパンたちは必死に押し留める。
一騎打ちで鉄山将軍を倒すことで指揮官を失わせ、バトルフィーバーを無力化せんとするエゴスの目論見だけは阻止しなくてはならなかった。ロボット九官鳥も「逃げるが勝ち」と囁く。
鉄山将軍は、逃げるが勝ちという言葉を受けて一計を案じるのだった。

果し状に書かれた時間になっても鉄山将軍が姿を見せないことに苛立つヘッダー指揮官。
そこに、ジャパンが普段乗っている車が走ってきた。
ヘッダー指揮官は配下に車を襲撃させるが、車は無人、もぬけの殻だった。
そして、ヘッダー指揮官を倒し鉄山将軍暗殺を防がんとするバトルフィーバーと、そんなヘッダー指揮官を警護しているオニヒゲ怪人が姿を現し、戦場は一触即発の様相を呈する。
だが、ヘッダー指揮官は狙いはあくまで鉄山将軍一人であるとし、撤退するのだった。

国防省の関東支部基地に向かう車を、ヘッダー指揮官の配下が襲撃した。
その車に乗っていたのは、鉄山将軍のもう一人の知己である兄弟弟子、尾上竜山だった。
ヘッダー指揮官はまたしても目からの閃光からの不意打ちで尾上竜山を抹殺する。
こうして、二人の知己を次々に殺された鉄山将軍の怒りは頂点に達した。
自らを挑発するヘッダー指揮官の挑戦に、怒りに任せて応じようとする鉄山将軍だが、バトルフィーバーは懸命に将軍を説得する。自ら戦場に立つことを抑えようとするコサックの言葉を受けた鉄山将軍は道場に戻ると、恩師に続いて兄弟弟子まで殺された哀しみに胸が張り裂けんとする。

卑劣なるヘッダー指揮官は、怒りと哀しみを押し殺し一騎打ちに応じない鉄山将軍を誘い出すために、ケイコ隊員とマサルの姉弟を捕らえ、鉄山将軍へ挑戦を叩きつけた。
自らの知己だけに留まらず、未来ある子供であるマサルまでもその毒牙にかけようとするヘッダー指揮官の非道は、ついに鉄山将軍の逆鱗に触れた。
バトルフィーバーは鉄山将軍は自分たちの命だと説得するものの、「命は大事にしないといけない」と言い残しその場を去った鉄山将軍は、一光流の名誉を守るために、邪神流を倒す悲壮な決意を記した置き手紙を残し、ビッグベイザーを密かに立つのだった。

ケイコ隊員とマサルを十字架にかけたヘッダー指揮官は、荒野で鉄山将軍を待ち構えていた。
命をかけても子供を救おうとすることが鉄山将軍の弱点であるとほくそ笑み、鉄山将軍を待ち受けるヘッダー指揮官の前に、ついに鉄山将軍が単身その姿を現した。
ヘッダー指揮官もまた、鉄山将軍の目前へと歩を進め、二人は対峙する。
鉄山将軍の要求に応じ、エゴスはケイコ隊員たちを開放。
ケイコ隊員たちを戦場から対比させた鉄山将軍は、ヘッダー指揮官の配下に取り囲まれる。
だが、鉄山将軍の技の冴えは凄まじく、ヘッダー指揮官の配下は一瞬にして全滅。
ついに、鉄山将軍とヘッダー指揮官の一騎打ちが始まった。

鬼気迫る死闘。ヘッダー指揮官は、切り札である目からの閃光を放つが、鉄山将軍は既にその技を見切っており、刃で目を庇って閃光を反射し、ヘッダー指揮官を吹き飛ばした。
そこに助けに入ったオニヒゲ怪人も、鉄山将軍の剣技によって吹き飛ばされる。
不利を悟ったヘッダー指揮官は爆弾で鉄山将軍を攻撃し、砂煙で鉄山将軍の視力を奪う。
勝つためには手段を選ばぬ邪神流の極意を見せ、卑怯も兵法なりと勝ち誇るヘッダー指揮官。
視力を奪われたが、全神経を集中させることで心眼の極意に達した鉄山将軍は、殺気を纏って飛びかかるヘッダー指揮官の姿を心眼で捉え、その体を切り裂く。
だが、ヘッダー指揮官が最後に飛ばした鈎爪も、鉄山将軍に命中した。

ヘッダー指揮官を失ったサロメは配下に鉄山将軍の抹殺を命令する。
だが、そこにバトルフィーバーも駆けつけた。
アメリカに負傷した鉄山将軍の救出を任せたジャパンたちの前に、オニヒゲロボットが現れた。
鉄山将軍を脱出させようとするアメリカに、オニヒゲロボットの容赦のない攻撃が襲いかかる。
オニヒゲ怪人も杖を飛ばしてバトルフィーバーを攻撃するが、無事に鉄山将軍を離脱させたアメリカがバトルフィーバーに合流。ジャパンはオニヒゲ怪人を杖を掴むとオニヒゲ怪人に投げ返し、続けて放たれたバトルフィーバーの連続キックがオニヒゲ怪人に命中。
完全に戦意を失ったオニヒゲ怪人は、バトルフィーバーのペンタフォースで倒された。
残すオオヒゲロボットの猛威に、バトルシャークが発進、バトルフィーバーロボが降臨する。
バトルフィーバーロボは電光剣唐竹割りでオオヒゲロボットを倒すのだった。

サロメはヘッダー指揮官の亡骸をエゴスのアジトへ連れ帰る。
幾多の作戦を指揮してきたヘッダー指揮官を失ったエゴスの基地の空気は重い。
一方、ビッグベイザーに帰還したバトルフィーバーは、鉄山将軍の無事を祝うだけでなく、ヘッダー指揮官の片腕の切り口の見事さから伺える鉄山将軍の技の冴えと、ヘッダー指揮官を斬ったにも関わらず、それでも刃こぼれ一つない鉄山将軍の刀の鋭さを称えていた。
鉄山将軍は自分の刀もケニアの歯の鋭さにはかなわないと冗談を飛ばし、一同は笑顔を見せる。
自分の歯が怪獣のようだと将軍にまでからかわれたケニアたちの笑い声が、勝利を祝福していた。

だが、ヘッダー指揮官をも失った今、サタンエゴスの怒りも頂点に達しようとしている。
バトルフィーバーとエゴスの決戦の時は、近い。

異様な執念で鉄山将軍を狙うヘッダー指揮官は、もはやその戦力の大半を失おうとしているエゴスの現状を、指揮官として冷静に把握していたからこそ、乾坤一擲の作戦としてバトルフィーバーを無力化するべく鉄山将軍を暗殺するしかないと判断したものと思われる。
だが、勝利のためには手段を選ばない邪神流を極めながらも、やはりその実力は鉄山将軍には及ばず、視力を奪いながらも心眼の極意を見せた鉄山将軍に敗れている。
いかに狡猾な戦術に長けても、真の意味で極意を極め実力を磨いた者には勝利し得ないのだ。

サタンエゴスにすらその決断力と判断力を称賛される鉄山将軍は、まさに傑物というほか無い卓越した頭脳と判断力、そして必殺の電光剣とまさに無敵を誇る存在だ。
しかし、そんな鉄山将軍も、一人だけではエゴスの組織力に対抗し得ない。だからこそ、エゴスの組織力に、チームワークで立ち向かうバトルフィーバー隊の結成が必要とされたのだろう。
そして、バトルフィーバー隊をその指導力で導き、彼らを真の勇者に育て上げている。
バトルフィーバー隊とエゴスの、組織と組織同士の対決を描いた「バトルフィーバーJ」における鉄山将軍の立ち位置は、宇宙警察という組織を描いた「特捜戦隊デカレンジャー」において、個人としての実力は無敵でありながら、チームワークという武器を誇る若き勇者たちの成長に期待して地球の守りを託しているドギー・クルーガー=デカマスターに継承されたのだろうと思う。

こうして、ついにヘッダー指揮官は倒され、エゴスは悲しみに包まれた。
ついに、バトルフィーバーの戦いは、最終局面を迎える。

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