「仮面ライダーストロンガー」第2話「ストロンガーとタックルの秘密!」感想

2024年6月9日日曜日

仮面ライダーストロンガー 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

改造手術によって改造電気人間・仮面ライダーストロンガーとなった城茂。
彼はブラックサタンに志願し、その類まれな能力を見込まれ改造された過去があった。
危険を犯して改造人間となった彼の目的と、岬ユリ子との出会いが明かされる。

明かされる誕生秘話 還らぬ友に誓った正義の決意

愛知県は三河湾、伊良湖ビューホテルを舞台に展開される城茂・岬ユリ子とブラックサタンの戦いの後編であるこの第2話で、ブラックサタンのコンピューターが城茂の素性を突き止め、城茂もまた自らが改造電気人間となった経緯を回想するという形で、城茂が正義の戦士・仮面ライダーストロンガーになった経緯と、岬ユリ子=電波人間タックルとの出会いが描かれた。

城茂は、悪の組織ブラックサタンによって奇械人の素体に選ばれてしまい、改造手術の失敗で殺された親友・沼田五郎の仇を討つべく、悪を滅ぼすために、毒をもって毒を制すかのように自ら悪がもたらす強大な力を手に入れ、ブラックサタンを倒すための力にすることを決意。
自ら突き止めたブラックサタンのアジトに潜入し、本心を隠して改造手術に志願することで、奇械人の素体を選別する適合試験を受け、その凄まじい苦痛に耐えたことで奇械人の素体に選ばれ、晴れてブラックサタンの科学陣により改造電気人間・ストロンガーへと改造される。

本来ならば、改造処理を受けた奇械人に洗脳処理を施すサタン虫が脳に寄生することでブラックサタンの命令に忠実な奇械人と化すはずだった城茂だが、彼は事前に用意しておいた自己催眠装置によって脳改造を免れ、自我を保ったまま改造電気人間としての力を手に入れる。
城茂が自己催眠装置によって自我を保ったまま改造手術を受けるという展開は、「仮面ライダー」において、仮面ライダー1号が主役に復帰し新1号の姿に変化した際、徳間書店の「テレビランド」において説明された「ショッカーにわざと捕獲され、死神博士の手で再改造を受け強化されたが、自己催眠によって自我を保っていたことで脳改造前に脱出した」という設定を思わせるもの。

カブトムシの奇械人ではなく、ブラックサタンと戦う自由と平和の戦士として、「仮面ライダー」を名乗ったストロンガーは、アジトからの脱出の際に、ブラックサタンに捕まり改造手術を受けていた岬ユリ子を救出。改造を受けたことで、てんとう虫の力を持つ電波人間タックルとなる望まぬ力を得ていた彼女もまた、ブラックサタンと戦う決意を固める。
こうして二人の改造人間の、ブラックサタンを倒すためのさすらいの旅が始まったのだ。

ストロンガーが岬ユリ子に名を尋ねられ、ブラックサタン科学陣に聞かされていた「ストロンガー」という名に「仮面ライダー」を加え、「仮面ライダーストロンガー」と名乗ったのは、その後自らを「自由と平和の戦士」と説明したのと合わせると、「仮面ライダー」という名が、悪と戦う自由と平和の戦士の名として、世間に都市伝説のような形で認知されていることを暗示している。
前作「アマゾン」でも、変身したアマゾンの姿を目撃したまさひこが「仮面ライダーに似ている」ことから「アマゾンライダー」と命名する一幕があり、連続した世界観で展開してきた長期シリーズとして、「仮面ライダー」の名の名声と伝説が浸透した世界観が構築されていると言えよう。

今回の奇械人は、狼の能力を持つ奇械人オオカミン。
奇械人であると同時にガス人間でもあるという奇械人オオカミンは、自らの身体をガス状に変化することで、隙間さえあればどんな空間にも潜入できる。
また、今回明かされた奇械人の秘密として、体内に本体であるサタン虫を宿しており、人間の耳からサタン虫を侵入・寄生させて肉体を同化させ、操り人形にしてしまう能力も描かれた。
前回、奇械人ガンガルが化けた生花業者の耳に浮かんだ黒い痣は、サタン虫を体内に宿している目印であり、今回奇械人オオカミンに「サタン虫乗り移り」をされた男の耳にも黒い痣が浮かぶ。

奇械人=「機械」「人」というネーミング通り、メカニカルな意匠を持つ奇械人だが、本体は小さな虫で、人間に寄生するという生体的な要素も兼ね備えており、良く言えば生体的な怪人と機械的な怪人の魅力のいいとこ取りをしている印象を、悪く言えば特徴が散漫な印象を感じさせる。
このあたりは、「変身ブーム」末期の作品として、幾多の作品が独自の特徴を打ち出すべく様々な特徴の怪人を送り出してきた中で、その他の作品との差別化が難しくなってきた以上、様々な要素の組み合わせで独自色を打ち出そうとした、産みの苦しみを感じさせる。

ブラックサタンは、愛知県のとある灯台を標的としていた。
灯台の監視員である山根は、勤務交代の時間を迎えた同僚と交代し、仕事のため灯台に入る。
だが、同僚の耳には、ブラックサタンに操られている者の証である黒い痣があった。
何も知らずに灯台に入っていった山根だが、その様子はブラックサタン戦闘員に監視されていた。
山根が計画通り灯台に入っていき、ほくそ笑む戦闘員たちだが、そこに突然、城茂が現れた。
城茂は戦闘員を一瞬で蹴散らすが、戦闘員の一人は必死で逃亡を図る。
追跡する城茂だが、道路に飛び出した戦闘員は、突然現れた車に跳ねられ絶命。
戦闘員の亡骸は跡形もなく消え、そこには不気味な虫の死骸が残されていた。
そしてその死骸も、車を運転していた紳士によって踏みつけられ跡形もなくなる。
その紳士こそ、ブラックサタンが暗躍する証拠を消すために自ら動いた1ツ目タイタンだった。
未だタイタンの正体を知らない城茂は、戦闘員を轢き殺し、残された虫の死骸を踏み潰したタイタンを問い詰めることも出来ず、一旦灯台へと引き返す。

岬ユリ子と合流した城茂は、ブラックサタンが灯台を狙っていると踏み、ユリ子に周囲の警戒を任せて灯台に潜入するが、そこで山根と鉢合わせする。
山根の身体に不審な点は見られなかったことから、彼が奇械人ではないと判断した城茂は、万一に備えてユリ子に灯台の監視を任せると、先程遭遇した怪紳士がブラックサタンに関係していると考え、以前怪紳士を目撃した伊良湖ビューホテルに戻って怪紳士について調べることにした。
考えすぎではないかと楽観視するユリ子に、茂はブラックサタンとの戦いは命がけであり、少しの油断が命取りのミスになると忠告。納得したユリ子と別れ、伊良湖ビューホテルへ向かった。

城茂が去った後、山根が灯台内部に戻ると、そこに赤い閃光が走り、奇械人オオカミンが現れた。
恐怖に怯えて逃亡し、ドアを閉めて部屋の中に隠れた山根だが、奇械人であると同時にガス人間である奇械人オオカミンは、身体をガス状に変えてドアの隙間から部屋へと侵入。
奇械人オオカミンは山根の身体を押さえつけ、自身の本体であるサタン虫を耳の中から山根の体内に侵入させ、寄生すると同時に身体を一体化し、山根の身体に乗り移る。
奇械人オオカミンと同化した山根の耳には、ブラックサタンの下僕の証である黒い痣が出現した。

絶命したブラックサタン戦闘員の身体が消えた後に残されていた虫の死骸が、奇械人が本体とする「サタン虫」であったことが判明する展開は、直前にタイタンが証拠隠滅のために虫の死骸を踏み潰すという描写を伏線としており、先程タイタンが踏み潰した虫は何だったのか、という視聴者の疑問を解消、設定を説明するものになっている。
サタン虫が人間の耳の穴から体内に侵入し、寄生して体を乗っ取ってしまうという生理的嫌悪感を抱かずにいられない演出も、恐怖描写として秀逸だ。

伊良湖ビューホテルでは、1ツ目タイタンが山根に乗り移った奇械人オオカミンからの電話を受けていた。山根を乗っ取って灯台を占領した奇械人オオカミンに、1ツ目タイタンは「レーダー防衛装置」を今日中に灯台へ運び入れるまで待機を命じると、計画の妨げとなるであろう城茂の目を自らに引き付ける陽動作戦のために行動を開始した。
城茂が伊良湖ビューホテルに到着したその頃、ブラックサタンのアジトのコンピューターが城茂の素性を洗い出していた。そして、部屋に戻った城茂も、自らが改造された経緯を回想する。

城南大学アメリカンフットボール部キャプテンだった城茂は、ブラックサタンの中枢に直接話をするため、ブラックサタンのアジトに自ら乗り込んだ。
戦闘員に捕まりアジト内部へ連行された城茂の前に、ブラックサタンの科学者たちが姿を現した。
大胆不敵にも自ら乗り込んできた城茂の度胸を買った科学者たちは、彼の話を聞き始めた。
城茂は、自分の体を改造し、切り刻んで強くするように訴える。
改造人間になるには死よりも苦しい、恐ろしい苦痛を伴う。そんな死をも上回る苦痛を進んで受けようとする理由を問う科学者たちに、城茂は「天涯孤独の身で金も地位もないなら、世界一強くなって悪いことをやりたい放題やりたい」と嘯いてみせる。
何の思想もなく、ただ我欲のために世界一の力を求めんとする物言いを気に入った科学者たちは、城茂に改造人間としての適合テストを受けさせることを決定した。

改造人間としての適合試験として、城茂の身体に高圧電流が流された。
その苦痛にすら耐える城茂の肉体は、奇械人として最高の肉体を備えていた。
最高の素材を手に入れたことにほくそ笑む科学者たちにより、ついに城茂の改造手術が始まった。
改造手術の過程においてもなお苦痛が伴うなか、城茂はその苦しみに耐え続ける。
そしてついに、城茂の改造手術は成功した。

目覚めた城茂は、身体にカブトムシの強力な力を植え付けられ、内臓の代わりに発電装置を取り付けられていた。そして、両腕は巨大な電極となっており、両腕の発電ボタンを接触させることで、改造電気人間・ストロンガーとなる能力が与えられていたのである。
絶縁体の手袋無しで壁に触れるだけで、激しい電気がスパークを起こす。
科学者たちは、最強の奇械人の誕生をブラックサタン大首領へと報告に向かうのだった。

そして、城茂に奇械人・ストロンガーとして、ブラックサタンへの絶対の忠誠を大首領へ誓わせるための宣誓式が執り行われようとしていた。
ブラックサタンの紋章が光り、かつてのショッカーやデストロンの大首領と似た声が響く。
その声の主であるブラックサタン大首領は、最強の奇械人・ストロンガーに、天地の悪霊と万物の悪魔に誓い、ブラックサタンの命令を全力を尽くして実行することを宣言させようとする。
だが、城茂はブラックサタンの大首領が大間抜けであると不敵な笑みを浮かべ、反旗を翻す。
全ては城茂の計画通りだった。自己催眠装置を用意することで脳改造を免れた城茂は、人間としての意識と心を保ったまま、強大な力を持つ改造電気人間となっていたのだ。

かつて、ブラックサタンは城茂の親友・沼田五郎を改造人間にしようとして失敗し、殺していた。
親友の非業の死の陰にブラックサタンの陰謀があったことを知った城茂は、親友の仇であり、全世界の敵ブラックサタンを滅ぼすために戦う決心をした。
そして、毒をもって毒を制すかのように、ブラックサタンを滅ぼすための力をブラックサタンによって改造手術を受けることで手に入れる計画を立て、見事にその力を得たのである。
反旗を翻され怒るブラックサタン大首領は、自らを欺いた城茂の抹殺を命じ、戦闘員を呼び出す。
だが城茂は戦闘員を軽々と蹴散らすと、改造電気人間として初めての腕試しとばかりに、その両腕の電極を擦り合わせ、変身ベルト・エレクトラーをスパークさせる。
「変身…ストロンガー!」

ストロンガーとして、生まれ変わった姿と、全身に漲る電気の力。
それらを確かめたストロンガーは、ブラックサタン戦闘員を一掃し、アジトから脱出する。
その過程で、手術台に囚われていた岬ユリ子を発見したストロンガーはユリ子を救出し脱出。
ユリ子に素性を尋ねられたストロンガーは、自らを「ブラックサタンと戦う自由と平和の戦士」として、自由と平和の戦士「仮面ライダーストロンガー」と名乗る。
自分もブラックサタンと一緒に戦うと申し出た岬ユリ子に、危険に巻き込まないようにと、女では無理とあえて強い言葉を使い制止するストロンガー。
だが、ユリ子は「女だって無理じゃない」と不敵な笑みを浮かべ、電波人間タックルに変身。
こうして、二人の改造人間が出会い、ブラックサタンとの戦いを開始したのだった。

場面は戻って現在。
伊良湖ビューホテルで、ハワイアンショーを見ていたタイタンは、シガレットケースに忍ばせた鏡で、自らを監視している城茂の様子を窺っていた。
城茂が一瞬、ユリ子が灯台を見張っているかという心配に気を取られた隙に、タイタンは城茂の監視を振り切って姿を消す。レーダー防衛装置は既に灯台に運び込まれていた。
タイタンは電話で奇械人オオカミンに作戦実行を命じる。
そして、城茂と戦うのは作戦を完了して目的を果たしてからだと念を押すのだった。
ブラックサタンの作戦とは、占領した灯台にレーダー防衛装置を設置し、近くの海を航行するタンカーのレーダーを狂わせ航行を乱し、次々に衝突させることで、日本中の海をタンカーから流出した油で汚染させるというものだった。

その頃、灯台を監視していたユリ子は、少女が灯台に入っていくことを目撃。
山根の娘であり、父に弁当を届けに来た少女・マリは奇械人オオカミンが乗り移った山根と対面すると、父の様子がどこかおかしく、身体から獣の匂いがすることを感じ逃亡。
山根に乗り移った奇械人オオカミンはマリの後を追い口を塞ごうとするが、そこにユリ子が姿を見せる。ユリ子は、奇械人がいくら化けても実の娘の目は誤魔化せなかったと宣告。
奇械人オオカミンは、奇械人の正体を知る眼の前の女が、城茂と一緒にブラックサタンを脱走した岬ユリ子であることを察知。タックルに変身したユリ子はマリを救出するが、正体を現したオオカミンの打撃を受けてしまう。だがそこに口笛が響き、城茂が現れた。
茂はストロンガーに変身。

「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ」
エレクトラーのスパークで電気エネルギーが身体に漲り、全身からアーク・フラッシュが迸る。
「俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
ストロンガーの高圧電流を帯びた打撃が奇械人オオカミンやブラックサタン戦闘員を圧倒し、奇械人オオカミンは何も出来ぬまま一方的にストロンガーの攻撃を受け続ける。
タックルもマリを助け、戦闘員の包囲網を突破。
奇械人オオカミンがなんとか反撃として放ったロケット弾攻撃もストロンガーには全く通用せず、ストロンガー電キックが炸裂してオオカミンは爆発四散した。

回想が入り城茂のストロンガーへの改造経緯が明かされるという話の構成上、現代の時系列である奇械人オオカミンのタンカー沈没計画や奇械人オオカミンとの戦闘を描写する尺が少なくなってしまい、ストロンガーと奇械人オオカミンとの戦闘シーンはごく短く、奇械人オオカミンがほぼ成す術なくストロンガーに倒されるあっさりとしたものになっている。
尺の都合ではある構成だが、奇械人オオカミンの反撃を許すことなく勝利してみせることで、ストロンガーの「強い」ヒーローとしての印象付けに成功しているという気もする。

灯台に戻った一同は、サタン虫が身体から抜け、元の人間に戻った山根の意識を取り戻させる。
父親が元に戻って安心したマリ。サタン虫に寄生されている間の記憶がない山根に、ブラックサタンに操られていた事実を伝えようとしたユリ子を制して、城茂は去っていった。
ブラックサタンと戦うさすらいの旅は、まだ始まったばかりだ。
行け、城茂。ブラックサタンの野望を叩き潰すのだ。

ヒーローの誕生経緯を描かずに悪の組織との攻防戦をダイナミックに描く第1話でストロンガーのパワフルな活躍を十全に描き、そんな強いストロンガーはどうやって改造人間になったのだろうという視聴者の興味を引き、第2話でその経緯を説明する変則的な構成が印象深いスタートとなった「仮面ライダーストロンガー」。「強さ」を極めた改造電気人間の、戦いの旅が始まる。

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