「電子戦隊デンジマン」第4話「ベーダー魔城追撃」感想

2024年6月12日水曜日

電子戦隊デンジマン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

ベーダー怪物・ルパンカメラーは人間のカメラマンに成りすまし、「十人の美女展」を開催した。
ルパンカメラーは人間の細胞組織を転写した写真を破棄し、被写体の人物を次々と殺していく。
それは、美しいものの存在を許さない、ヘドリアン女王の暴虐によるものだった。

残忍非道な女王の美女狩り 血よりも濃い絆を守るため戦え

今回のベーダー一族は、地球に美しいものが存在することすら許さないヘドリアン女王の暴虐により、「美女狩り」を行うことを目的として行動を起こしている。
その方法は、胸部に備えたレンズで、人間の細胞組織を転写した写真を撮影することが出来るベーダー怪物・ルパンカメラーが美女を撮影し、その写真をベーダー魔城に持ち帰ることで、ヘドリアン女王が写真を損傷させると連動して撮影された女性も同じ損傷を負い、命を奪われてしまう。
女王が写真をセメントの中に埋め込めば、撮影された女性は壁の中に埋め込まれ遺体も残さず死に、写真を燃やせば炎に包まれて焼死、写真を叩き割れば高所から転落死と、女王の気分次第であらゆる残虐な行為が写真に行われ、撮影された女性たちもまた残虐な方法で命を奪われていく。
特に冒頭で描かれた、写真をセメントの中に埋め込まれたことで、苦しみながら身体が壁に埋まっていき絶命する女性の描写は、見ている者のトラウマにもなりかねない残酷なシーン。
ベーダー一族の怪奇性を強く打ち出した「電子戦隊デンジマン」ならではのトラウマシーンだ。

カメラマン・無藤礼に化けたルパンカメラーに接触しようとした電子戦隊だが、女性のみを撮影するカメラマンである無藤礼に接近することは容易ではなく、唯一の女性メンバーであるあきらも既にベーダー一族に顔が割れているため近づけない。
そこで青梅が白羽の矢を立てたのが、同じサーカス団で働いていたサチ子。
かつて、親に捨てられた孤児だったサチ子は、青梅と出会い、兄妹のように育った過去を持つ。
その恩を返すために、危険を承知で無藤礼に近づく役割を請け負ったサチ子だが、ルパンカメラーによって写真を撮影されてしまい、命の危機に晒される。
自責の念に苦しむ青梅を心配させまいと気丈に振る舞うサチ子を救うため、青梅と電子戦隊はルパンカメラーが写真を現像する前に倒すべく、決戦を挑むのだった。

青梅といえば、彼の代名詞としてこの後フィーチャーされることになる「アンパン」が好きで、いつも食べているという設定もこの回が初出。
この設定は当初、デンジイエロー=黄山が三枚目的なコメディリリーフを担当する予定だったが、キャストやスタッフ間のディスカッションで変更となり、デンジブルー=青梅がコメディリリーフ的なポジションを担当するにあたり、「秘密戦隊ゴレンジャー」のキレンジャー=大岩大太がカレーを好物としていたような描写を盛り込みたいと考えた竹本弘一監督が考案したもの。
結果的に、アンパンが大好物という設定は後の「海賊戦隊ゴーカイジャー」でも青梅の代名詞としてフィーチャーされる要素として、ファンの記憶に強く印象付けられることになる。
さらにこの回では、「アンパン」が青梅と実の兄妹のような絆を結んでいるサチ子との絆の証として描かれており、青梅にとってアンパンが切っても切り離せない要素になっている。

超異次元内のベーダー城。美女の映った写真を眺めて不機嫌なヘドリアン女王は、その中の一枚から、処刑第1号としてファッションモデルナンバー1の高木ありさが映った写真を選ぶ。
ヘドラー将軍に処刑方法を問われたヘドリアン女王は、「壁潜り」を行うことを宣言。
いったい、ベーダー一族は写真をどのように処刑に用いるというのだろうか。

その頃、青梅とあきらは、高木ありさが出演するファッションショーを見学に来ていた。
青梅は好物のアンパンを食べながら、ありさの美貌に目を奪われる。
だが、ベーダー城のヘドリアン女王が、ありさの映った写真をセメントに押し付けると、それに呼応するかのように、とてつもない力がありさを襲い、その身体は建物の壁に押し付けられる。
そして、ヘドリアン女王が、ありさの写真をセメントの中に埋め込んでいくと同時に、ありさの身体も建物の壁に沈み込み始めた。抗うことの出来ない力で身体が壁へと埋まっていき、とてつもない苦しみに悲鳴を上げながら壁の中へ消えていくありさを、青梅もあきらも救うことが出来ない。
やがて、ヘドリアン女王がありさの写真を完全にセメントの中に埋め込み、ありさの身体が完全に壁に沈んでしまった。青梅たちは必死に壁を調査したが、ありさの遺体は発見できない。
ヘドリアン女王の手中にある美女の写真は、その写真が損傷すると、連動して写真に映し出された人物本人も死亡する魔力を秘めていた。この世の美しいものを全て嫌うヘドリアン女王は、地球上の美しいものを尽くヘドロの中に叩き込むつもりなのだ。

あきらが壁に吸い込まれて死んだ謎を誰も解明できないまま、事件は次々に起きた。
洋画の吹き替えをしていた美女の写真に、ヘドラー将軍が銃弾を叩き込む。
すると、美女は密室のアフレコルーム内で怪死した。
完全密室の空間でおきた怪死事件に、駆けつけた電子戦隊も戦慄する。
そして、ヘドリアン女王の美女の処刑は毎日のように続いた。
ヘドリアン女王が写真を燃やせば、写真の女性の足元から突然炎が吹き出し、女性は焼死。
写真を手刀で叩き落とせば、写真の女性が高所から落下し転落死。
足で写真を踏みつければ、女性は車に轢かれて轢死した。
被害者が美女であることしか共通点がない連続殺人事件は社会を混乱に陥れた。
一方、新聞で被害者たちの顔を見たあきらは、死亡した美女たちがみな、カメラマンの無藤礼が開いた「十人の美女展」に展示されていた写真にその姿が映っていたことに気づく。

「十人の美女展」を訪れた青梅・緑川・あきらは、そこにこれまで犠牲となった連続殺人事件の被害者たちの写真が揃って飾られていることに気づき、連続殺人事件の被害者たちと「十人の美女展」の展示写真の間には偶然では片付けられない関連があることを悟る。
青梅たちは、車で何処かへ向かう無藤礼を車で追跡するが、無藤礼の車を運転していたケラーに気づかれ、ケラーの指示を受けたダストラーによって銃撃されてしまう。
だが、デンジブルーたちは変身して車の下に隠れており無事だった。
そこにベーダー03・ルパンカメラーも出現し、胸のレンズから光線を放つ。
ルパンカメラーの光線で動きを止められ、苦戦するデンジブルーたち。デンジピンクはSOS信号で赤城たちに連絡し、赤城たちはデンジシューターでデンジランドに移動。デンジレッドはデンジマシーンに、デンジイエローはデンジバギーに乗り込み、デンジブルーたちを助けに向かった。
ケラーの指令でルパンカメラーがデンジブルーたちにとどめを刺そうとしたその時、デンジレッドたちが駆けつけた。全員揃った電子戦隊は、デンジブーメランで一気に決着をつけようとするが、ケラーは形勢不利と見て撤退。電子戦隊はベーダー一族を逃がしてしまった。

ヘドリアン女王の美女狩りは続く。ヘドリアン女王がピアニスト・牧おとえの写真を首の部分で真っ二つにすると、おとえは首を押さえて絶命する。
美しい女を毎日一人ずつ消していく喜びに、ヘドリアン女王は笑いが止まらない。
恐ろしいペースで進行していく美女狩りの結果、美女の写真のストックが少なくなったことから、ヘドラー将軍はルパンカメラーに美女狩りを続けるように命ずるのだった。
一方、おとえが遺体を真っ二つにされて殺されたことを知った電子戦隊は、この連続殺人事件に関係しているに違いない無藤礼へ接近する必要性を感じていた。
だが、無藤礼は女性専門のカメラマンであり、唯一の女性メンバーであるあきらも顔が割れており接近は困難。だが、青梅は無藤礼に顔が割れていない美女に心当たりがあるのだという。

古巣のサーカスを訪ねた青梅は、そこで働く星野サチ子と再会。
青梅を兄と慕うサチ子は、全幅の信頼を寄せる青梅の頼みを聞くと、青梅が護衛してくれるならと、危険を承知で無藤礼へ接近する役目を請け負う。
青梅にアンパンを渡されたサチ子は、笑顔でそれを受け取り、アンパンを半分に割り青梅に渡す。
二人の間には、血よりも濃い絆があった。

写真展を訪れたサチ子は、無藤礼に写真のモデルを頼まれそれを了承する。
サチ子を撮影する無藤礼の顔には、凶悪な笑みが浮かんでいた。
一方、サチ子をガードしてしようとしていた電子戦隊は、無藤礼がサチ子を連れ込んだスタジオの扉が閉ざされ、周囲に不審な男たちがいることから容易に接近できずにいた。
サチ子の信頼に応えるべく、デンジブルーはスタジオがあるビルの屋上からロープを伝い、スタジオのある階層に接近。デンジスコープでスタジオ内部を透視すると、デンジスコープ・フォーカス・ワンで無藤礼の正体がベーダー怪物・ルパンカメラーであることを突き止める。

ルパンカメラーの魔手からサチ子を救うため、デンジキックで壁を突き破りスタジオ内部へ突入したデンジブルー。正体を現したルパンカメラーは、自らのレンズに備わる人間の細胞組織を写し取る機能と、細胞組織を転写された写真が損傷すれば映し出された人間も死ぬことを明かし、サチ子の写真を現像してヘドリアン女王に届けるべく、姿を消して行方をくらませた。

迂闊にもサチ子の命を危険にさらしてしまう結果になった青梅は、サチ子がいつヘドリアン女王によって殺されるかわからない不安と自責の念にとらわれ落ち込んでいた。
だがサチ子は気丈に青梅を励まし、その姿に、青梅はサチ子を殺させはしないと決意を固める。
サチ子は親に捨てられた孤児だったが10年前に青梅と知り合ってアンパンを共に分け合い、兄妹のように育った。二人にとって、アンパンは血よりも濃い絆の象徴だったのだ。

家族のぬくもりを教えてくれた恩返しのために、青梅の頼みで危険な役目を請け負った幸子を救うために、電子戦隊は写真が現像される前にルパンカメラーを倒すことを決意。
既にルパンカメラーのアジトを突き止めていたアイシーの導きで、ベーダー一族のアジトのある悪魔島へ向かうべく、デンジタイガーを発進させる。
発進前に各部を分担して点検するシーンが入るのが、発進への期待感を高めて燃える。

デンジタイガーは悪魔島へ着陸。だが、悪魔島は既に要塞化され、多数の砲台が設置されていた。
しかし、デンジタイガーは砲台からの攻撃をものともせず前進。
デンジミサイル攻撃で要塞設備を破壊する。
要塞からルパンカメラーを炙り出した電子戦隊は、名乗りを上げ決戦に挑む。
「見よ!電子戦隊デンジマン!」

人間同士の絆という、本当に美しいものを守るための戦いが始まった。
連携攻撃で戦闘員を蹴散らしていくデンジマン。
ルパンカメラーは胸のカメラのシャッターを切り、爆発を起こしてデンジマンを攻撃。
さらに、「必殺・ズーム」で胸のカメラを操作すると、連動して発生した念力でデンジマンの位置を操作し、接近を許さない。だが、デンジマンは5人全員が縦に並んで接近。
ルパンカメラーは「必殺・ズーム」で次々にデンジマンを弾き飛ばしていくが、そこにデンジブルーの姿はない。ルパンカメラーが他の4人に気を取られていた隙をついて、跳躍していたデンジブルーはブルースクリューキックを炸裂させる。
吹き飛ばされたルパンカメラーに、最後のトドメのデンジブーメランが炸裂した。

だが、ベーダー怪物は体内の細胞組織を自由に組み替えることで、伸縮自在に変形する。
巨大化したルパンカメラーの攻撃に対抗すべく、デンジタイガーからデンジファイターが発進。
デンジファイターはダイデンジンへと変形し、デンジマンが乗り込んだ。
ダイデンジンの目とバックルが光り、ルパンカメラーへの闘志が炎と燃える。
岩を投げつけようとするルパンカメラーに、ダイデンジンはデンジボールで先制攻撃。
デンジ剣を取り出すと、電子満月斬りでルパンカメラーの首を刎ねて勝利した。

だがそこに、時限装置の音が響く。ベーダー一族は悪魔島に時限爆弾を仕掛けていたのだ。
間一髪脱出し、デンジタイガーに戻った電子戦隊は、爆発した悪魔島上空にベーダー魔城が浮かんでいるのを発見し、デンジミサイル攻撃を仕掛けた。
デンジタイガーの攻撃に怒り狂い、反撃を命ずるヘドリアン女王だが、ヘドラー将軍は冷静な判断を崩さず、無用な戦闘を避けることを進言する。
それを受け入れたヘドリアン女王の命により、ベーダー魔城は超異次元空間へ退避した。
ベーダー一族を逃がしたデンジレッドは、いずれ決着をつける決意を新たにする。

命を救われたサチ子と、その命を救った青梅大五郎に笑顔が戻った。
だが、電子戦隊はベーダー魔城を撃破することは出来なかった。
ヘドリアン女王はさらに戦慄すべき報復手段を練っているに違いない。
負けるな!電子戦隊デンジマン!

青梅大五郎の好物としてこの先フィーチャーされていく「アンパン」が、妹同然の星野サチ子との絆の証であるという描写によって青梅のキャラを掘り下げる要素となったエピソード。
単なる好物というだけでなく、ヘドリアン女王によって破壊されようとしていた「美しいもの」である人間同士の絆の象徴として描かれたことで、非常に印象的な設定になっている。

また、ベーダー魔城を発見、先制攻撃を受けるという危機的状況において、ヘドリアン女王が逆上する中、不利な戦況を見定め冷静に撤退を選択するヘドラー将軍の指揮能力の高さも印象的だ。
ヘドリアン女王が逆上しているにも関わらずヘドラー将軍の撤退の進言を素直に聞き入れる描写からも、ヘドラー将軍が全幅の信頼を寄せられる優れた武人であることが示されており、やがて来る電子戦隊との対決の時への期待感を高めている。

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