あらすじ
オートバイで暴走する黒薔薇族の一団がハイウェイを突っ走る。
彼らの悪質な暴走行為により、ハイウェイでは凄惨な交通事故が発生する地獄絵図と化した。
その事件の裏には、ブラックサタンの大幹部・タイタンの影があった。
城茂は黒薔薇族と遭遇し、その陰に潜む奇械人ゴロンガメに敢然と挑む。
襲い来る悪魔の暴走集団 炸裂!怒りの電気ストリーム
今回のブラックサタンは、暴走族である黒薔薇族に憑依、街中でオートバイに乗って暴走行為を行うことで、交通事故を頻発させ都市機能の麻痺を狙い行動を起こす。
サタン虫によってブラックサタンの操り人形と化した黒薔薇族の悪質な暴走行為は、ハイウェイを通過していた無辜の人々を無作為に襲い、凄惨な交通事故が次々に発生。
この計画を指揮していた奇械人ゴロンガメは、なんとおやじさんの身体に乗り移ってしまい、おやじさんを筆頭にした黒薔薇族はバイクで暴れまわるのだった。
サタン虫の仕業とはいえ、年甲斐もない暴走行為に加担させられたおやじさんが気の毒だ。
奇械人ゴロンガメは、その名の通りに亀の能力を持った奇械人。
四肢と頭部を甲羅に格納し、プロペラのように回転しながら飛行、体当たりを敢行するその姿は、言わずと知れた大怪獣ガメラの回転ジェットや、同じ東映作品で言うなら「人造人間キカイダー」のギンガメが円盤状のローリングボールとなりパイナップル爆弾を連射する姿を思い出させる。
奇械人ゴロンガメにしろギンガメにしろ、亀の怪人として甲羅に入った回転ジェット能力が設定されるほどに、ガメラの回転ジェットは絶大なインパクトだったのだな…と感じさせる。
平和なハイウェイの静寂は、暴走行為を行うオートバイの一団によって打ち砕かれた。
黒薔薇族を名乗る暴走集団は、奇声を上げながら道行く車に次々と襲いかかり、急発進や急停車によって次々に凄惨な交通事故を引き起こす。
令和の今で言う、煽り運転を行う悪質なドライバーにも通じる暴走行為によって、ハイウェイは多くの車が大破する地獄絵図と化す様子を、ブラックサタンのタイタンが見ていた。
タイタンは、次々に交通事故を起こして人間を恐怖のドン底に叩き込もうとしていたのだ。
奇声を上げ暴走する黒薔薇族が通りかかるのを目撃した城茂は、彼らの耳に、サタン虫に寄生されてブラックサタンの操り人形とされた証である黒い痣が浮かんでいるのを目撃する。
カブトローを飛ばして黒薔薇族を追う城茂の行く手を阻むように、交差点から車が急ブレーキを踏みながら突っ込んできた。その車を運転していたタイタンは、免許を取り立てなどと嘯き、黒薔薇族と城茂を引き離してから去っていく。警官が見ていたら免停待ったなしの運転だ。
黒薔薇族を見失った城茂は、彼らの陰にブラックサタンの暗躍を感じ取るのだった。
遠足に向かう子供たちを乗せた小西学園のスクールバスには、何故かはよくわからないが岬ユリ子が乗り込んでいた。子供たちが「手のひらを太陽に」を合唱し、楽しい雰囲気の車内。
だがそこに、黒薔薇族の一団が奇声を上げながら現れた。
正面から突っ込んでくる黒薔薇族のオートバイを躱すべく、岬ユリ子は運転手と運転を変わり、なんとか黒薔薇族を躱していく。だが黒薔薇族は、カラーボールをフロントガラスに投げつけ岬ユリ子の視界を奪い、スクールバスを壁との激突事故に持ち込む。
そこに警官が駆けつけ、気を失った子供たちの惨状を目撃し、救急車を呼ぼうとする。
その時、黒薔薇族の一人の耳からサタン虫が抜け出し、奇械人ゴロンガメとなった。
奇械人ゴロンガメは、警官を恐ろしい力で締め上げ、拳銃を抜こうとした手を踏みつけると、口から噴射した毒液で跡形もなく焼き尽くし殺害する。
なんとか意識を取り戻したユリ子は、周囲を囲むブラックサタンに敢然と戦いを挑む。
「俺たちのことを知っている。何者だ!」
「姓は岬、名はユリ子」
城茂に影響されたか、勝ち気な名乗りを上げて戦闘員を蹴散らしたユリ子に、奇械人ゴロンガメは頭部と四肢を甲羅に収め、プロペラのように回転して体当たりを仕掛ける。
ユリ子は跳躍、電波人間タックルに変身してそれを躱す。
「何者だ、貴様!」
「レディに向かって貴様はないでしょ。私は、電波人間タックル!」
「電波人間タックル?」
「ブラックサタンの悪事を暴く、自由と平和の戦士!」
タックルは奇械人ゴロンガメに組み付こうとするが、剛力によって跳ね飛ばされる。
ブラックサタンの奇械人工場でガラパゴス島のゾウガメの甲羅を特殊加工し、鋼鉄よりも硬い強度を得た甲羅を持つ奇械人ゴロンガメには、タックルの攻撃が通じない。
そこに、口笛が聞こえ、城茂が姿を現した。
「何者だ、貴様!」
「城茂。覚えたって無駄だぜ。お前との付き合いは、これっきりだろうからな!」
奇械人を倒し、付き合いを終わらせる。
社会を混乱させる邪悪に対して、死刑宣告にも等しい宣言を行う城茂の大胆不敵さが頼もしい。
どうでもいいが、奇械人ゴロンガメはさっきから現れた相手に何者なのか尋ねてばっかりいる。
一種の天丼ネタみたいになっているシーンだ。
城茂はタックルに怪我をした子供たちのため、救急車を呼ぶ手配を任せると、戦闘員を蹴散らし始めた。奇械人ゴロンガメは戦闘員をどかし、自ら城茂の始末にかかる。
城茂のパンチを、頭部を甲羅の中に引っ込めて躱す奇械人ゴロンガメ。
だが、城茂は全く動じる気配はない。
「よおし。俺のお得意の、電気料理を見せてやるか…。変身…ストロンガー!」
変身ベルト・エレクトラーがスパークし、アーク・フラッシュとともにストロンガーが現れた。
「何者だ、貴様!」
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ」
奇械人ゴロンガメ、まさかの3連続「何者だ、貴様!」だ。
「聞け、悪人ども。俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
ストロンガーは高圧電流を帯びた手で触れ、感電させる電タッチでブラックサタン戦闘員を排除。
奇械人ゴロンガメに対しても強烈な攻撃を加えて、電チョップや電パンチが次々に炸裂する。
激しい稲光とともに大ダメージを負った奇械人ゴロンガメは、一瞬の隙をついて逃亡した。
そこに、救急車の手配を済ませた岬ユリ子が戻り、奇械人を逃がしたことに皮肉を飛ばす。
もちろん、城茂が言われっぱなしのわけもなく、負けず嫌い同士の二人だった。
アジトに戻った奇械人ゴロンガメは、一ツ目タイタンに邪魔が入ったことを報告していた。
一ツ目タイタンはそこまで奇械人ゴロンガメを責めず、まだ黒薔薇族には利用価値があるとし、黒薔薇族を使って交通事故を起こす任務へと戻らせる。
こうして、奇械人ゴロンガメは再びサタン虫となって黒薔薇族に憑依し、暴走行為を開始した。
「アマゾン」時期に作られた、演者本人が歌うキャタクターソングとしては「仮面ライダーシリーズ」初とも言える名曲「俺は立花藤兵エだ」とともに、おやじさんが登場。
ジープに乗って旅をするおやじさんは、やかんに入れた水を飲み、パンを食べて休んでいた。
するとそこに、黒薔薇族が奇声を上げながら通りかかる。
おやじさんは、オートバイに乗ってさえいればある程度オートレーサーの資質があるはずと踏んだのか、黒薔薇族の中にオートレーサー志望の若者がいないか後を追うことにした。
しかし、ジープで後を追ってくるおやじさんの存在を察知した黒薔薇族は、奇声を上げおやじさんのジープに襲いかかる。大ジャンプでおやじさんのジープを飛び越えた黒薔薇族のテクニックを目撃したおやじさんは、彼らが一流オートレーサーの候補と確信してしまうのだった。
黒薔薇族に追いついたおやじさんは、スカウトを始めるが、警察と勘違いされ襲われる。
集団で暴行されるおやじさんは、通りかかった岬ユリ子に助けられる。
ユリ子にお年寄り扱いされ、すっかりおっちょこちょいなキャラになったおやじさん。
ユリ子は「野郎!」と凄んでくる黒薔薇族に、「失礼ね。私は女よ!」と返す余裕を見せて黒薔薇族を撃退するが、おやじさんは助けられたにも関わらず、スカウトの邪魔をされたとユリ子に怒ると、オートバイで去る黒薔薇族を追ってユリ子のテントローに乗りこみ走り去ってしまう。
だが、黒薔薇族は突然姿を消した。
おやじさんが訝しんでいると、その背後に奇械人ゴロンガメが現れ、なんとおやじさんの耳の穴からサタン虫を侵入させておやじさんの体を乗っ取ってしまった。
サタン虫が侵入した瞬間、レントゲン写真でおやじさんの頭蓋骨が表示されるのが、脳内に侵入されたことをビジュアルイメージとして表現していて秀逸な演出だ。
一方、城茂は、黒薔薇族によって事故を起こしたバスに乗っていた小西学園の子供たちの手当をしていた。そこに、テントローを盗まれた岬ユリ子が戻って来る。
しかしその頃、奇械人ゴロンガメに乗っ取られたおやじさんは、あろうことか黒薔薇族の先頭に立ってテントローを飛ばし、暴走行為を行う年甲斐もない行為をさせられていた。
救急車が到着し、子供たちを運び入れた城茂と岬ユリ子。
そこに、ラジオから耳に黒い痣のある暴走族のために交通の途絶えた幹線道路に再び暴走族が出現し、次々に車を止めているという交通情報が流れていた。
城茂と岬ユリ子はついに、暴走行為を繰り返す黒薔薇族の陰にブラックサタンの暗躍があり、ブラックサタンがオートバイ乗りを暴走族に仕立て上げ交通事故を起こしていることに気づく。
出発した救急車を見送った城茂は、両腕を擦り合わせストロンガーに変身した。
ストロンガーは角に備わる、電気的に敵を探し出すカブトキャッチャーで黒薔薇族の行方を探る。
そして、おやじさんを筆頭にした黒薔薇族が子供たちを乗せた救急車に迫っていることを知った。
ストロンガーは救急車を救うべく、カブトローを走らせる。
おやじさんを筆頭にした黒薔薇族がついに救急車に接近し、その進路を妨害し始めた。
正面から突っ込んでくる黒薔薇族に、救急車は道を外れて事故を起こしてしまう。
なおも救急車を襲う黒薔薇族。そこに、カブトローが到着した。
おやじさんはテントローをジャンプさせてストロンガーに襲いかかるが、ストロンガーは怯まず自らもカブトローをジャンプさせ、すれ違いざまに高圧電流を流しテントローを転倒させる。
ダメージを負った奇械人ゴロンガメはおやじさんの身体から離れた。
おやじさんに憑依した奇械人ゴロンガメはテントローを自在に操り、大ジャンプを披露。
歴代ライダーにバイクテクニックを教え込み、「アマゾン」では現役のオートレーサーに復帰していただけあって、おやじさんの肉体のオートバイテクニックは見事なものを維持しているようだ。
奇械人ゴロンガメは子供たちを乗せた救急車を戦闘員に取り囲ませ、自分を倒せば子供たちの生命はないとストロンガーを脅す。だがそこに、タックルが駆けつけ戦闘員を蹴散らした。
タックルに戦闘員の相手を任せ、ストロンガーは奇械人ゴロンガメとの戦闘に挑む。
タックルは電波投げで戦闘員を吹き飛ばし、二人の戦闘員を正面衝突させて倒す荒業を披露。
奇械人ゴロンガメは口から毒液を噴射して大地に火柱を走らせたり、甲羅に頭部と四肢を収納して回転、体当たりを敢行するなど様々な技でストロンガーを攻める。
回転する奇械人ゴロンガメは、四肢を出す穴から火花が噴出しており余計にガメラに見える。
正面から体当たりを受け止められ、踏みつけられた奇械人ゴロンガメは、自慢の頑丈な甲羅にこもって「どこからでも来い!」と防御に徹する構えを見せる。
だがストロンガーは、甲羅を大地に突き立てると、川の中へと蹴り飛ばす。
水中に蹴り落とされた奇械人ゴロンガメに、ストロンガーは両腕を水中に入れ、電気ストリームを発動。ストロンガーの二本の腕を水中に入れ、プラスとマイナスの電極として使うことで水中に強力な電流の渦を流す電気ストリームにより、奇械人ゴロンガメは感電。
あらゆる物質を分解する電気ストリームに耐えられず、奇械人ゴロンガメは爆散して果てた。
その様子を監視していたタイタンは、煙草を燻らせながら復讐を誓う。
こうして、子供たちを乗せた救急車は改めて病院に出発。
正気に戻ったおやじさんは、去っていく城茂を見どころのある若者だと感心する。
だが、愛車のジープから随分離れたところに置き去りにされたことに気づき、慌てるのだった。
ブラックサタンを求めて、城茂のあてなき旅は続く。その旅は、終わりのない旅であろうか。
あいも変わらず、改造電気人間としての能力をフルに発揮し圧倒的な戦いを見せるストロンガー。
頑丈な甲羅にこもれば攻撃をしのげると踏んだ奇械人ゴロンガメだが、水を媒介として強力な電流の渦を作り、あらゆる物質を分解する電気ストリームの威力には甲羅の硬さすら無力である。
煙草を燻らせ戦いを監視していたタイタンも、電気ストリームが見せたやり過ぎとも思える威力を目の当たりにして若干引きぎみな表情に見えるのが面白い。
「アマゾン」でも、ライダーの最大の理解者としての立ち位置をまさひこに譲り、ややコメディチックな場面が多かったおやじさんだが、「ストロンガー」では城茂の不遜さや、岬ユリ子の勝ち気なところに引っ張られ、後をついていくおっちょこちょいな側面が見られるようになる。
日本中を有望なオートバイ乗りを求めて旅をする道楽親父ぶりといい、どこか肩の力を抜いて自然体で行動する面が目立つのは、すっかり悪の組織との戦いという非日常に慣れたからだろうか。