「仮面ライダーストロンガー」第5話「ブラック・サタンの学校給食!?」感想

2024年6月22日土曜日

仮面ライダーストロンガー 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

ブラックサタンが送り込んだ次なる奇械人はトラフグン。
その使命は、学校給食に猛毒を注入することにあった。
ブラックサタンの戦闘員に遭遇した茂とユリ子は、その計画を止めようと学校へ向かう。

旧友との再会 恐怖の猛毒給食から子供たちを守れ

今回、ブラックサタンが送り出した奇械人は、トラフグの怪人である奇械人トラフグン。
毒針をミサイルとして発射し、体内でフグ毒のテトロドトキシンを含むカプセルを生成する能力を持つことから、ブラックサタンが企てる、小学校の学校給食に毒を混入させ大規模な食中毒事件を起こし社会混乱を巻き起こす作戦の実行役として行動を起こしている。

前回のオートバイ暴走作戦もだが、ここまでのブラックサタンの計画は基本的に社会混乱を巻き起こす作戦にとどまっていることが多く、引き起こした社会混乱に乗じて本格的な侵略に乗り出すべく、各地にサタン虫で操り人形にした人々を潜伏させているのだと思われる。
一方で、直近の「アマゾン」に登場したガランダー帝国が、突飛なほどに大規模な作戦で東京全滅作戦を何度も実行していたこともあり、比較するとスケールが小さく見えてしまう感は否めない。
とはいえ、これはガランダー帝国が組織の人数の規模に見合わないほどに異様に大掛かりな作戦ばかりをしていたというだけではあるのだが…。

ブラックサタンを追い、今日もさすらいの旅を続ける城茂と岬ユリ子。
彼らは偶然にも、助けを求め苦しんでいる男が、ブラックサタン戦闘員によって車で挟まれ重症を負う現場を目撃。戦闘員を蹴散らした城茂は、ストロンガーに変身。
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ」
一番の見せ場とも言えるライダーへの変身を惜しみなく見せるサービス精神が素晴らしい。
「聞け、悪人ども。俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
ストロンガーは電タッチで戦闘員を蹴散らす。そして、岬ユリ子もタックルに変身。
タックルに変身する際の掛け声である「エイ、ヤア、トオ!」もここで初登場。
岬ユリ子=タックルの戦う声は、どこか必死さと悲壮感を感じさせて独自の魅力がある。

ストロンガーは橋の手摺に電気を流し戦闘員を牽制。
ストロンガーとタックルに挟まれた戦闘員はトラックに乗り、二手に分かれて逃亡。
ストロンガーとタックルも二手に分かれてそれぞれに追う。
カブトロージャンプでトラックの荷台に飛び乗ったストロンガーだが、彼が追っていたトラックはもぬけの殻のブラフだった。タックルの危機を悟ったストロンガーは急いで後を追う。
タックルは戦闘員に捕まり、危機に陥っていた。そこにストロンガーが駆けつけ、戦闘員を倒しタックルを救出する。タックルが戦闘員に苦戦していたのは、最初に奇械人と戦ったからだった。

その頃、ブラックサタンのタイタンは、ストロンガーたちに気づかれることなく作戦に必要なカプセルを首尾よく持ち出した奇械人トラフグンに、人に乗り移って作戦を開始することを命ずる。
ストロンガーたちはタックルが遭遇した奇械人を追ってバイクを走らせていた。
だが、ストロンガーはタックルを置いていく勢いでスピードを上げていく。
置いていかれることに立腹する描写で、タックルの負けん気の強さを表現しているシーンだ。

ブラックサタンを追い、城茂は相模湖藤野に到着。
そこは、城茂の大学時代のフットボール仲間だった三杉が、小学校の先生をしている町だった。
カブトローを走らせる城茂は、どこか不審な動きを見せる男に遭遇。
彼がカブトローに驚き落とした荷物の中には、奇械人トラフグンが持っていたカプセルがあった。
一方、ユリ子は町の小学校を訪ね、城茂の旧友の先生について訪ねていた。
教師が応対していると、給食室に不審な物音が響く。
教師が給食室の様子を見に行くと、先程城茂が遭遇した怪しい男がいた。
その男は守戸といい、明日の給食の材料に仕込み違いがあったのではないかと思い、こんな夜中に確認しに来たのだという。だが、守戸の耳には、サタン虫に寄生された証の黒い痣があった。
守戸の耳からサタン虫が抜け、奇械人トラフグンが現れる。

ユリ子の元に戻った教師は、ユリ子が訪ねてきた教師が三杉であることを伝える。
城茂においていかれたユリ子は、城茂が三杉を訪ねていないかと思い小学校を訪ねたようだ。
一方、深夜の小学校では、奇械人トラフグンがタイタンに作戦の進捗を報告していた。
奇械人トラフグンは守戸に乗り移り、学校給食の食材に猛毒カプセルを混入していたのである。
猛毒入りの給食で食中毒を引き起こす作戦が成功に向かいつつあり、タイタンはほくそ笑む。

翌日、小学校では城茂が旧友の三杉と共に、子供たちにアメリカンフットボールを教えていた。
だが、城茂がキックしたボールが、学校をうろついていたブラックサタン戦闘員に直撃。
見つかったブラックサタン戦闘員を追跡する城茂だが、戦闘員は姿を消す。
そして、給食の時間。食材の中に混入された猛毒が、三杉や子供たちを苦しめ始める。
ユリ子の連絡を受けた城茂は、小学校へと引き返すのだった。

小学校へ向かう城茂とユリ子の前に、守戸が立ちはだかった。この先は崖崩れで通れないと言う守戸を突破しようとした二人に、ブラックサタン戦闘員が襲いかかる。
奇械人トラフグンは守戸の体から離れると、ユリ子に向かって毒針を発射。
だが、ユリ子は素早くそれを躱し、毒針はブラックサタン戦闘員に命中する。
「同士討ちとは間抜けな奇械人だぜ…」
「何者だ!」
「知りたいか?知りたければ教えてやろう!変身…ストロンガー!」
エレクトラーがスパークし、アーク・フラッシュとともにストロンガーが現れた。
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ!」
敢然たる姿で、正義を高らかに叫ぶストロンガー。
「俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
城茂の魅力は、邪悪に対して一歩も引かずに、自ら名乗って宣戦布告する大胆不敵な面にある。
奇械人をも手玉に取る頭脳と、改造電気人間としての力を使いこなす身体能力を兼ね備えた能力に裏打ちされたその自信は、圧倒的に強い頼もしいヒーロー像をこの上なく打ち出している。

ストロンガーの猛攻に苦戦する奇械人トラフグンは、サタン虫が離れ正気に戻った守戸を人質にし、自分に近づけば殺すとストロンガーを脅迫する。
守戸の口に猛毒入りのカプセルを入れようとする奇械人トラフグンだが、そこに突然姿を見せたおやじさんに背後から丸太で殴打され、守戸を開放してしまう。
その隙にストロンガーのキックが炸裂、グロッキーになった奇械人トラフグンは撤退する。
だが、おやじさんは奇械人トラフグンが落としていった猛毒入りのカプセルを発見するのだった。
まだブラックサタンを倒すさすらいの旅に合流していないこともあり、今回のおやじさんはかなり突然現れている。勇敢にも背後から近づき奇械人を殴打し、歴戦の勇士らしさは健在だ。

アジトに戻った奇械人トラフグンは、邪魔が入ったことを報告する。
だが一ツ目タイタンは、誰がストロンガーと戦えと言ったと叱責し、次の給食室に侵入して給食に猛毒入りのカプセルを仕込むことを改めて命じる。
どうやら一ツ目タイタンはここまでの戦いでストロンガーの戦力を思い知ったようで、冒頭からストロンガーに気づかれないように猛毒入りのカプセルを運ばせ、ストロンガーを足止めしようと戦った奇械人トラフグンに、戦えとは言っていないと強めに叱責している。前回の奇械人ゴロンガメが電気ストリームで木っ端微塵にされたのを見ていればさもありなんという気もするが…。

食中毒にかかった子供たちが運び込まれた診療所に到着した城茂たちは、苦しむ子供たちを励ます。一方、おやじさんは研究室の先生に、猛毒入りのカプセルの分析を依頼。
アメフトを通して交流した子供たちの強さを思い出せるように励ます城茂とユリ子。
一方、先生の分析で、猛毒の正体はフグ毒に似たテトロドトキシンと判明。
解毒剤の調合も進む中、猛毒の正体がフグ毒だったことから、城茂たちはこの食中毒の原因がフグの怪人である奇械人トラフグンによるもので、この騒動の裏で手を引いているのがブラックサタンだと確信。このままでは他の小学校も狙われることに思い至る。
このあたりの学校の給食室に食材を卸している守戸が記した、小学校の場所のメモを見た城茂は、奇械人に襲われた場所に一番近い小学校が最初に狙われると踏んで急行するのだった。

給食センターから発車しようとしたトラックの前に、城茂とユリ子が立ちはだかった。
この給食センターで作られた給食は、あちこちの学校に配られる。
もし毒が入っていれば、様々な場所で同時多発的に食中毒が発生してしまうのだ。
城茂の訴えを突っぱねようとする支配人を跳ね除け、運転手に迫った城茂の背後に奇械人トラフグンが出現。毒針を躱した城茂は、ストロンガーに変身する。

トラックの運転手も、ブラックサタン戦闘員の変装だった。
電気の力が次々にブラックサタン戦闘員を倒し、タックルも電波投げで戦う。
タックルを先に倒そうとする奇械人トラフグンに立ちはだかったストロンガーは、戦闘員の相手をタックルに任せ、トラフグンとの決着に挑む。だが、憑依していた給食センターの支配人をまたしても人質にし、猛毒カプセルで苦しめる奇械人トラフグンの非道に怒るストロンガー。
そこに、おやじさんが解毒剤が完成したことを伝えにやってきた。
その知らせに動揺し、決着を急いだ奇械人トラフグンは毒針を発射するが、ストロンガーは
電気マグネットを発動。全てのものを強力な磁石に変える電気マグネットで毒針を跳ね返し、奇械人トラフグンの体に突き刺したストロンガーは、トドメのストロンガー電キックで奇械人トラフグンを撃破。タイタンは「トラフグン、敗れたり…」と言葉を残し、姿を消すのだった。

解毒剤によって、三杉や子供たちは回復し、小学校に笑顔が戻った。
城茂と岬ユリ子を見送る子供たち。おやじさんもそこに混ざっていたが、二人をオートレーサーにスカウトする目的を思い出すと慌てて後を追いかける。
ブラックサタンを求めて、二人のあてなき旅は続く。
その旅は、終わりのなきものであろうか。

ストロンガーの魅力である名乗り口上が二回も見れるサービス回。また、タックルの変身の掛け声も決まり、ここに「ストロンガー」の作劇フォーマットが完成した。
学生時代の旧友と再会し、青春をかけていたアメリカンフットボールで子供たちと交流、そこで見せた子供たちの強さを信じて励ます城茂の「ぼくらの兄貴」ぶりも頼もしい。

城茂と岬ユリ子がブラックサタンを追ってあてなき旅を続けるというロード・ムービー形式である「ストロンガー」は、どうしても悪の組織が作戦行動を起こし、その犠牲が出たことを知ってその陰謀を追うという守りのドラマにならざるを得なかった「仮面ライダー」シリーズなどの特撮ドラマの作劇を、能動的に悪の組織の陰謀を追って日本中を旅し陰謀を掴むべく行動する攻めのドラマへと転換した作劇となっている。自ら進んで改造手術を受けた城茂の、悪を滅ぼすための前のめりな姿勢を体現したドラマ展開とも言えるだろう。

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