「電子戦隊デンジマン」第7話「デンジ星の大悲劇」感想

2024年6月26日水曜日

電子戦隊デンジマン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

打倒デンジマンを目論むへドリアン女王は、ついに3000年前にデンジ星を滅ぼしたベーダー怪物の子孫・ウミツラーを孵化させた。瞬く間に東京中の水は汚染され、ウミツラーバクテリアが繁殖。
今、地球にデンジ星と同じ悲劇が起ころうとしていた。

明かされたデンジ星の悲劇 デンジ星人の仇を討て

今回のベーダー怪物・ウミツラーは、かつてデンジ星を滅ぼしたベーダー怪物の子孫。
デンジ星に酸性雨を降らせ、水を汚染しヘドロの海と変えた上で大津波を起こし、人間や高度な文明の街の全てを溶かして滅ぼした、ヘドリアン女王曰く最強のベーダー怪物である。
電子戦隊への度重なる敗戦に心を痛めたヘドリアン女王は、ベーダーの魔神に願いウミツラーの卵を呼び寄せ、地球の水をデンジ星のようにヘドロの海に変えることで全てを溶かし尽くし滅ぼさんとする。ウミツラーの操る軟体生物・ウミツラーバクテリアは恐ろしい繁殖力で地球の水を汚染していき、ウミツラーバクテリアに襲われた人々は身体が石膏のように固まり絶命していく。
もはや地球はデンジ星のように滅ぶしかないのか。
だが、地球にはデンジ星人の意思を継ぎ、ベーダー一族の非道に立ち向かう電子戦隊がいた。

生物が生きるには、何よりも水が必要だ。
そんな水をウミツラーバクテリアで汚染し、ヘドロの海に変えて生物の生存圏を奪うウミツラーは、デンジ星を滅ぼしたという設定に相応しい破滅の使者と言える。
さらにウミツラーバクテリアは、デンジ星を脱出した生存者を乗せたデンジランドにも侵入しており、デンジ星人の生き残りを一人残らず抹殺する徹底した殺戮を展開。
デンジ星人の抵抗により、かろうじてデンジランドからウミツラーバクテリアは排除され、デンジ星人の意思を託されたアイシーによって地球に電子戦隊が誕生したが、もしその排除に成功していなければ地球も滅んでいたことは想像に難くなく、ベーダー一族の恐ろしさが演出されている。

ベーダー魔城では、ミラーとケラーが踊りを捧げる中、ヘドリアン女王がベーダーの魔神に地球をヘドロの海と化す最強のベーダー怪物の誕生を求める儀式を行っていた。
やがて、ヘドリアン女王の声に応えるように、最強のベーダー怪物・ウミツラーの卵が現れる。
ヘドラー将軍によって孵化したベーダー06・ウミツラーは、3000年前にデンジ星を滅ぼした最強のベーダー怪物の子孫であった。ヘドリアン女王は、度重なる電子戦隊への敗戦を打開すべく、電子戦隊に敗れたベーダー怪物の復讐の牙として、最強のベーダー怪物を誕生させたのだ。

ミラーとケラーの案内でダムに現れたウミツラーは、ダムの水を腐らせるため、水に赤い軟体生物を混入させる。軟体生物・ウミツラーバクテリアは瞬く間に繁殖し、ダムの水が赤く染まっていく。そして、ダムの水質検査室は既にベーダー一族によって占領されていた。
ベーダー一族はウミツラーバクテリアの繁殖によってダムの水、川の水、東京湾の海水を全て腐らせ、東京一帯に集中させることで東京をヘドロの海に沈めようとしていた。
そのためには、ダムの水の腐敗指数が98度以上になる必要があるが、その腐敗もわずか48時間で達成してしまうのだという。このまま東京はヘドロに沈んでしまうのか。

ダム付近の川で釣りをしていた釣り人が、ウミツラーバクテリアに襲われた。
顔に貼り付いたウミツラーバクテリアによって、釣り人は顔が石膏のように固まり絶命する。
そして、ウミツラーバクテリアは水道にも繁殖し、シャワーを浴びていた男がその犠牲になった。
赤城と黄山は、水道を使っていた人の顔が石膏となって変死する怪事件を追い、念のために下水道の調査を行おうとしていたが、そこで雨水が肌を刺すような感覚に襲われる。
雨は酸性雨となり、道行く人がさした傘を溶かして穴を開けていた。

ウミツラーバクテリアは下水道を通って移動するが、下水道を調査していた青梅と緑川は、腐りきった匂いに紛れ移動するウミツラーバクテリアに気づくことが出来なかった。
下水道を通って一箇所に集まったウミツラーバクテリアはビルや橋を溶かし、ビルの倒壊や橋の崩落が多大な被害を出し続ける。小学校も休校になってしまった。
深刻なムードの中で、青梅と黄山のアンパンを巡るやり取りが唯一の癒やしとなるが、そこにアスレチッククラブの子供たちが赤城たちを呼びに来た。
赤城たちが団地に駆けつけると、子供たちが飼育していた金魚が石膏となって死んでいた。
水槽の水を変えた際、既に団地の水道にもウミツラーバクテリアが繁殖しており、金魚を絶命させたのだ。赤城は子どもたちに水槽の水を捨てさせるが、ウミツラーバクテリアは水道を遡る。
団地を調査した赤城と黄山は、降りしきる酸性雨の影響で、団地の貯水タンクも腐食しており、タンクの中の水もウミツラーバクテリアによって汚染されていることに気づく。

電子戦隊は深刻な水質汚染によって引き起こされる様々な怪事件と、その原因と思われる軟体生物=ウミツラーバクテリアの調査に乗り出した。赤城と黄山はダムに向かったが、ダムの水は完全にウミツラーバクテリアに汚染され、水は真っ赤に染まっていた。
青梅と緑川、あきらは海に向かったが、海水も既にウミツラーバクテリアに汚染され始めている。
そこに、地中に潜ったウミツラーとダストラーたちが手を伸ばし、青梅の足を取った。
ウミツラーはそのまま青梅を連れ去ろうとしたが、間一髪、緑川とあきらは青梅がウミツラーに捕まったことに気づき、デンジスパークして青梅を救出した。
だが、ウミツラーはウミツラーバクテリアの姿となって身体を分散させ、水中に逃亡する。

ベーダー魔城では、ヘドリアン女王が、電子戦隊相手に逃げを選んだウミツラーに立腹していた。
ヘドラー将軍とミラー、ケラーは地球の海を腐らせるまで時間がかかるため、デンジ星を滅ぼした時と同じく相手を油断させて、海が腐ってから一気に滅ぼすのだとウミツラーの作戦を弁明する。
デンジ星を滅ぼした時のことを思い出したヘドリアン女王は機嫌を直し、高笑いするのだった。

ヘドリアン女王は本当にヘドラー将軍、ミラーとケラーを信用していて、一旦癇癪を起こしても彼らが作戦やベーダー怪物の意向を説明すると素直に聞き入れて機嫌を直してくれる。
敵対者を滅ぼさんとする苛烈な態度と相反する、女王としての身内への愛情が伺える一幕だ。

ウミツラーはダムの水質検査室に戻り、水の腐敗指数を確認していた。
ダムの水の腐敗指数はついに、東京重の水を腐らせる98度をマークする。
一方、デンジランドに戻った黄山は、東京中の水を汚染している軟体生物=ウミツラーバクテリアがバクテリアの性質とプランクトンの性質を兼ね備えており、この生物のためにダムや海の水は赤潮のようになってしまったことを突き止める。
そして、それを操っているのであろうウミツラーもまた、まるで捉えどころがなく、バクテリアの姿へ分散して逃走する恐ろしい相手だったことに戦慄する電子戦隊。
赤城はあきらに頼み、ウミツラーの姿を記憶ビデオで投影してもらう。
あきらはデンジピンクにデンジスパークし、額の電子メカの記憶ビデオでウミツラーの姿を映し出す。すると、ウミツラーの姿を見たアイシーが唸り始めた。
様子のおかしいアイシーを電子戦隊が訝しんでいると、デンジランドのコンピューターがウミツラーについて語り始めた。ウミツラーは、デンジ星を襲い滅ぼしたのだという。
コンピューターに命じられたアイシーは、記憶装置を作動してデンジ星の記録を投影する。

デンジ星は、平和な星だった。科学と自然が合致し、人々の顔には常に笑顔があった。
ある日、水道から軟体生物が出た。海が腐り、霧雨が降り続いた。花や植物が、全て枯れ果てた。
霧雨には、酸が混ざっていた。そのために、ビルや高速道路の鉄骨が腐った。
ウミツラーは、腐った海を津波にして、津波に飲み込まれた人も街も、全てが溶けてしまった。
デンジ星の科学者たちは、ベーダー一族の侵略に気づいて、ダイデンジンを組み立てた。
だが、時、既に遅かった。
デンジ星の科学者と、生き残った僅かな住民は、完成したダイデンジンと共に、太陽系の地球へ向けて、移住するために脱出した。デンジランドは、デンジ星人にとってのノアの箱舟だったのだ。

だが、デンジランドにも軟体生物が紛れ込んでいた。デンジ星の生存者は、全員軟体生物と戦って死んだ。アイシーだけが、カプセルの中にいて助かったのだ。
デンジランドのコンピューターに内蔵されたデンジ星人の意思は、電子戦隊の結成をアイシーの記憶装置に残すと、デンジランドを地球へ着陸させた。今から、3000年前のことだった。

こうして電子戦隊は、デンジ星を襲った悲劇と、今また地球にもその悲劇が訪れようとしていることを知った。このままでは、地球もヘドロの海に沈み、全てが溶けてなくなってしまう。
海が腐りきらないうちに、ウミツラーを倒さなくては地球の破滅だ。
電子戦隊は、すぐにバクテリアとなって逃げてしまうウミツラーを倒すため、わざと隙を見せる陽動作戦でウミツラーを誘き出し、戦いを挑む作戦を立てるのだった。

電子戦隊はバスケットボールやショッピングに興じていた。
人間に変装したミラーとケラーはその様子を監視し、電子戦隊が油断していると判断する。
だが、赤城たちはその様子を逆に窺っており、電子戦隊が油断していると安心したミラーとケラーがダムの水の腐敗を完了させ、海の水をも腐敗させようと行動を起こしたのを確認すると、それを追跡した。電子戦隊の陽動作戦が成功したのだ。
ミラーとケラーを追って、ダムにたどり着いたデンジレッドとデンジピンク。
デンジスコープでダムを透視し、水質検査室がベーダー一族の基地になっていることを掴んだデンジレッドはデンジパンチで壁を粉砕。ピンクとともにダムに突入する。

ミラーとケラーは、水質検査室でウミツラーバクテリアの繁殖を確認するとベーダー魔城に戻った。報告を受けたヘドラー将軍は、電子戦隊が油断している今が攻める好機と判断。
ウミツラーは海の汚染を開始しようとするが、ふと腐敗指数を示す計器に目を向けると、一度は目的を果たすための必要数値に達していたはずのダムの腐敗指数が下がり始めていた。
慌てて水質検査室に戻ったウミツラーは、水質検査室からダムに流しているウミツラーバクテリア入りの水が、ただの真水にすり替えられていたことに気づく。
ダムに突入したデンジレッドとピンクが、水をすり替えてダムの汚染指数を下げていたのだ。

計画が露見したウミツラーはダムの外に逃亡。
ミラーとケラーは、デンジマンに作戦が気づかれたことを悟り、ダムに爆薬の設置を急がせる。
ダムを爆破してヘドロの水の津波を起こし、デンジ星と同じように全てを溶かし尽くすことがウミツラーの最終作戦だった。だが、爆薬の設置はデンジブルーとイエロー、グリーンに阻止される。
ダムから離れたウミツラーとミラー、ケラーだったが、電子戦隊の追跡は彼らを逃さない。

「見よ!電子戦隊!デンジマン!!」
ミラーとケラーはダストラーに抹殺指令を出し、電子戦隊との一大決戦が幕を開けた。
デンジピンクの華麗な体術。デンジグリーンのグリーンスピンキック。デンジブルーのデンジドリルやスクリューキック。デンジレッドのデンジパンチ。デンジイエローのハンマーパンチ。
電子戦隊は得意技でダストラーを一掃するが、ウミツラーは「浮き爆弾」を投げつけ攻撃。
ウミツラーはさらに「ヘドロシャワー」を噴出して電子戦隊を苦しめ、釣り竿でデンジマンたちを捕らえ、振り回す。とどめを刺そうと浮き爆弾を投げつけたウミツラー。
だが、電子戦隊は櫓を組むデンジタワーでエネルギーをスパークさせ、連続キックでウミツラーを痛めつける。そこに、最後のトドメのデンジブーメランを炸裂させた。

ウミツラーは巨大化し、浮き爆弾を電子戦隊に投げつける。
デンジレッドはデンジタイガーを出撃させた。その出撃に、ヘドリアン女王とヘドラー将軍は、電子戦隊がわざと隙を見せてウミツラーを誘き出したことを悟る。
デンジタイガーからデンジファイターが出撃、ダイデンジンに変形した。
かつて、デンジ星の科学者が建造しながら、時既に遅くデンジ星をウミツラーから救えなかったダイデンジンが、デンジ星の仇を討ち、地球を守るために戦う。
釣り竿の糸でダイデンジンを絡め取ったウミツラーだが、ダイデンジンはデンジ剣でその糸を断ち切り、必殺の電子満月斬りでウミツラーを切り裂き勝利する。

ウミツラーの敗戦に、ヘドリアン女王はデンジ星の夢、再びならずと悔しがる。
かつて、ベーダー一族がデンジ星を滅ぼした時には、それに立ち向かう電子戦隊はいなかった。
ヘドラー将軍は憎き電子戦隊への怒りの炎を燃やすのだった。

勝利した電子戦隊は、アイシーに、デンジ星の仇を討ったことを報告していた。
アイシーは笑顔で電子戦隊とともに地球の大地を走る。
地球をデンジ星の二の舞いにしようとしているベーダー一族。
だが、電子戦隊がいる限り、奴らに勝手なことはさせない。
頼むぞ、電子戦隊デンジマン。戦え、無敵のダイデンジン!

第1話で描かれたデンジランドの地球への飛来に至る、デンジ星滅亡の悲劇が明かされた回。
ただ一人デンジランドにいたアイシーが、滅亡した母星を捨てざるを得なくなり、なんとか地球へと辿り着きながら、ウミツラーバクテリアによって全滅したデンジ星人の意思を受け継いだただ一人の生き残りであることが明かされ、デンジ星人から託された使命を果たすために現代に蘇り、地球をデンジ星の二の舞いにしないために電子戦隊を結成したアイシーの悲壮な決意が涙を誘う。
あまりにも悲痛なデンジ星滅亡の悲劇が描かれたからこそ、ウミツラーに勝利し、デンジ星の仇を討ったことを報告する電子戦隊の姿が大きな感動を呼ぶラストシーンも見事だ。

第1話の台詞では、ヘドラー将軍が地球にも電子戦隊が出現したことに驚きを見せており、デンジ星で電子戦隊と戦っていた過去を示唆していた。
だが、今回改めて3000年前のデンジ星滅亡の詳細が描かれ、デンジ星人はベーダー一族の侵略に気づいた時には時既に遅く、ダイデンジンも戦えないまま母星を捨てざるを得なくなった、つまりデンジ星には電子戦隊がいなかったが、デンジ星人の意思を受け継いだことで地球に電子戦隊が生まれ、ベーダー一族の侵略に立ち向かう事が出来ている、と設定の整理が行われている。
デンジ星人が、ヘドリアン女王やヘドラー将軍がその戦力を恐れるほどに強力なデンジタイガーやダイデンジンを有しながらベーダー一族によって滅ぼされたことに、その建造がデンジ星の滅亡に間に合わなかったという理由付けがされた形だ。

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