「電子戦隊デンジマン」第8話「白骨都市の大魔王」感想

2024年6月27日木曜日

電子戦隊デンジマン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

人間の白骨化をたくらむベーダー一族は、映像怪物・フィルムラーを送り込む。
フィルムラーの超能力と老化ガスで人々はどんどん老化していく。
映画館や撮影所を戦場に、デンジマンはフィルムラーと戦いを繰り広げる。

恐怖の人類老化計画 電子戦隊七変化

今回のベーダー怪物は、映像によって時間を自由に操り、人間を老化させる老化ガスを吐くことが出来るフィルムラー。ヘドリアン女王は老化ガスによって人間を急速に老化、白骨化させて絶命させることを目論むと、フィルムラーに映画喫茶を開かせ人々を誘き出し老化させる計画を実行。
アスレチッククラブの子供たちや青梅が映画喫茶に足を踏み入れてしまい、老人となってしまう。

また、フィルムラーは巨大なカチンコを用いて、西部劇や時代劇、アメフトといったカチンコに書かれた状況を作り出し、電子戦隊を様々な姿に扮装させて撹乱した。
特撮作品によく見られる、ヒロインキャラが様々な扮装をしながら悪の陰謀を打ち砕くいわゆる七変化回を思わせるシチュエーションだが、今回はヒロインのあきらだけに留まらず電子戦隊全員が様々な仮装を見せており、視聴者を楽しませている。
胸のフィルムリールや巨大カチンコといった、映像怪物の名に相応しい装備がユニークだ。

ベーダー魔城では、ヘドリアン女王が映像怪物フィルムラーを誕生させようとしていた。
ベーダー一族は映像を駆使して時間を自由自在に操り、老化ガスで赤ん坊も一気にヨボヨボの老人に変えてしまうフィルムラーによって、東京を死に瀕した人間で埋め尽くし、白骨都市に変えてしまおうとしていたのだ。そして、フィルムラーが孵化する。

ミラーとケラーは人間に変装し、「映画スナックおもかげ」を開店。
開店記念の入場無料サービスで人を呼び込むミラーとケラーの声に誘われ、空手の稽古に出かけようとしていたアスレチッククラブの子供たちは足を止めてしまう。
映画スナックおもかげでは、「スター・ウォーズ」以前に創られたという触れ込みのSF大作が上映されていた。「スター・ウォーズ」が巻き起こしたSFブームの過熱ぶりが伺える描写だ。
空手の稽古の前に映画を見ていこうと思った子供たちだが、そこに青梅が現れる。
空手の稽古をサボろうとしている子供たちを叱った青梅だが、映画スナックおもかげの映画とコーヒーの無料サービスという触れ込みに自分が惹かれてしまう。
このあたりのちょっととぼけた描写が青梅大五郎の魅力で、大葉健二氏の素朴な雰囲気が温かみのあるキャラクターに説得力を与えている。
当然、叱っておいて自分は映画とコーヒーを楽しもうとする青梅をズルいと思う子供たち。
結局、青梅と子供たちは映画とコーヒーを楽しんでから稽古に行くことになった。
ミラーとケラーは、デンジブルーの青梅大五郎が罠にかかったことにほくそ笑む。

映画スナックの中に入った青梅たちを待っていたのは、延々と続く地下通路だった。
少し歩けば「まっすぐ進め!!」「あと五分!!」「もう少し歩け」「左に曲がってすぐそこ」と標識が次々に現れる地下通路に誘われ、青梅たちはどんどん奥へ進んでいく。
通路を少しずつ進むとその都度注意書きが書いてあり、その指示に従ってどんどん奥へ誘われるのは、宮沢賢治の「注文の多い料理店」を思わせる描写で面白い。

青梅たちの様子を影で監視していたフィルムラー。青梅が光のさす出口のような場所を見つけると、来た道にシャッターが降りて後戻りが出来なくなってしまった。
怯える子供たちに、青梅はお化け屋敷と同じで、たっぷり怖がらせて楽しませてくれるんだと子供たちを安心させる。だが、由美子が不気味な老人の影を目撃。
青梅たちはそれを見つけられなかったが、彼らの背後には巨大な老人の顔が浮かんでいた。
そして、青梅が振り返ると同時に、背後に立っていた老人が巨大なサソリとなり迫ってきた。
大量発生したサソリに襲われた青梅たち。青梅もさすがに様子がおかしいと戦慄する。

すると、青梅たちの前に老人が現れ、「恐怖映画館へようこそ」と歓迎の挨拶をしてきた。
少し安心した青梅は老人と握手を交わすが、老人の手は死人のように冷たい。
不気味に笑う老人の手が外れ、白骨となって青梅たちを襲い、ガスを浴びせかける。
老人の正体はフィルムラーだった。なんとか映画スナックから脱出した青梅たちだが、彼らはフィルムラーの老化ガスで老人になってしまっていた。

老人となった一同はアスレチッククラブに到着したが、赤城も黄山も変な変装をして自分たちをからかっているのだと思い、青梅の話をまともに相手にしない。
赤城と黄山は、ガスを浴びて老人になったと浦島太郎のような話をする青梅の変装を暴いてやろうと髪の毛や髭を引っ張るが、本気で痛がる青梅の姿に本当に老人になったのかと驚く。
そこに、あきらや緑川が駆けつけ、街中で映画を見たらあっという間に老人になってしまった人が続出していると伝える。青梅たちもその被害者だったことに呆気にとられるあきら。
青梅は苦しみ始めた。こうしている間にも、青梅たちの老化は急速に進行していたのだ。
このままでは青梅たちの生命はない。電子戦隊は映画スナックに乗り込んだ。

映画スナックの奥底へ進んでいく電子戦隊の前に、再び老人が現れ、白骨となって襲ってきた。
老化ガスを噴射する白骨に立ち向かうべく、赤城たちはデンジスパークしてデンジマンになる。
だが、老人となった青梅はデンジスパーク出来ずにいた。
次々に飛んでくる槍を躱したデンジマンは、フィルムラーが潜む映写室の光を見つけ、デンジスティックを投げつけてフィルムラーに突き刺す。
フィルムラーが身体に内蔵するフィルムが逆回転して飛び出し始めると、フィルムの逆回転に応じて青梅の老化も逆回転し、元の年齢の体に戻った。
青梅もデンジスパークし、5人揃った電子戦隊はなおも映画スナックの奥へ進んでいく。
壁が動き、圧死させようとする罠をデンジキックで壁を粉砕し突破したデンジマンはなおもミラーとケラー、フィルムラーを追うが、フィルムラーは巨大化して電子戦隊を驚かせる。
東京を白骨都市に変え、しゃれこうべが埋め尽くす幽霊都市の完成を目指すベーダー一族。
電子戦隊は、この陰謀を阻止することが出来るのか。

東京中にフィルムラーの投影した白骨が現れ、人々へ向けて老化ガスを噴射した。この悪魔の老化現象を食い止めるには、フィルムラーが白骨を投影している映写機を破壊するしかない。
デンジマンは意識を集中することで10km先の物音を聞くことが出来る聴力を活かし、東京の何処かに設置されているフィルムラーの映写機を捜索した。
その頃、フィルムラーはビルの壁をスクリーンにして白骨を投影し、数万の群衆に一気に老化ガスを吹き付け、一気にしゃれこうべに変えてしまおうとしていた。
デンジマンはついにフィルムラーがいる場所を察知し、デンジジャンプでビルの屋上へ飛ぶ。
フィルムラーの狙いがビルの壁をスクリーンにすることだと察知したデンジレッド。
非常階段を降り、車に乗り込んで逃げるフィルムラーたちを、電子戦隊は追跡する。

撮影所に逃げ込んだフィルムラーを捜索する電子戦隊。
だが、陰に潜んだフィルムラーは、もがけばもがくほどに身体を絞めつける特殊フィルムを絡ませ身体を絞め上げるフィルム窒息攻めを仕掛ける。
それをなんとかデンジパワーで脱した電子戦隊はフィルムラーを囲み、連続キックで攻撃。
姿を消して逃げたフィルムラーは、身体を縮小し、撮影所に保管されている映画のフィルムの中に紛れ込んだ。フィルムを片っ端から探そうとする電子戦隊だが、撮影所の職員に叱られてしまう。

撮影所の職員は、映画館に届けるフィルムを車に運び込んでいた。
だが、そのフィルムの中にはフィルムラーが潜んでいた。
映画館へ向けて出発した車の中で、フィルムラーは映画館のスクリーンに飛び出し、映画館の観客をしゃれこうべに変えることに計画を変更していた。電子戦隊はそれを阻止すべく、映画館に先回りし、支配人に頼んで上映前にフィルムをスクリーンに映してもらう。
時代劇の合戦シーンに紛れ、サブリミナル効果でフィルムラーの姿が数コマ映り込んでいることを察知した電子戦隊は、デンジスコープでフィルムに紛れたフィルムラーを炙り出す。
逃亡するフィルムラーを助けるべく、ダストラーが出現。決戦の幕が開く。

「見よ!電子戦隊!デンジマン!!」
電子戦隊の軽やかな技がダストラーを蹴散らしていく。
戦況が不利だと感じたフィルムラーはカチンコを取り出す。
すると、カチンコに書かれた「西部劇」というシーンに応じて、電子戦隊の面々が西部劇の扮装に変わってしまった。だが、電子戦隊は西部劇の扮装に適合し、西部劇のシチュエーションに応じたガンアクションで次々にダストラーを倒す。
フィルムラーは今度は「時代劇」のカチンコを出す。侍の格好になった電子戦隊だが、またしても華麗な剣さばきを見せてダストラーを蹴散らした。
西部劇も時代劇も強すぎると感じたフィルムラーは、「スポーツ」のカチンコを出す。
ラグビーの格好をした電子戦隊は、タックルやラグビーボールでダストラーを倒した。
どうしようもなくなったフィルムラーは結局「デンジマン」のカチンコを出して電子戦隊をデンジマンの姿に戻すが、そこに最後のトドメのデンジブーメランを打ち込まれる。

巨大化したフィルムラーに対抗すべく、デンジタイガーが発進。
ヘドラー将軍は今こそデンジマンを皆殺しにする勝負の時と意気込む。
デンジファイターはダイデンジンに変形。
ベーダー特別戦闘機隊が出撃し、フィルムラーの特殊フィルムがダイデンジンを絡め取って炎上する激しい攻撃を受けながら、ダイデンジンはデンジ剣を取り出し、電子満月斬りで勝利する。

ベーダー怪物・フィルムラーの最期と共に、全ての人々の老人化現象は元に戻った。
だが、恐ろしい敵が明日もデンジマンを狙っている。戦え!僕らのデンジマン!

映画スナック内の不気味な描写のホラー演出から一転し、フィルムラーとの決戦における七変化シーンの楽しさへ展開していく見どころ満載のエピソード。
子供たちの面倒見がいい一方、調子が良くちゃっかりしているためにフィルムラーの老化ガスの被害に遭ってしまう青梅大五郎の描写も楽しい。
老化した青梅に対し、自分たちをからかうための扮装だと思って相手にしない赤城や黄山の描写も、共に戦う仲間として打ち解けてきたことを感じさせる描写だ。

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