「仮面ライダーストロンガー」第7話「ライダー大逆転!!」感想

2024年6月29日土曜日

仮面ライダーストロンガー 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

観光バスがとあるドライブインに到着した。怪しげに光るドライブインの支配人の目。
客たちに出された不思議なメニューに客たちは騒然。
観光を楽しんでいた親子はブラックサタンに狙われ、子供だけが逃げ出し...。

ストロンガー囚わる!窮地のタックル!逆転の電気ストリーム!

今回のブラックサタンの奇械人は、ワニの奇械人である奇械人ワニーダ。
「ストロンガー」放送の前年である1974年に公開された「ゴジラ対メカゴジラ」に登場したロボット怪獣・メカゴジラを思わせる、金属質のボディであることを感じさせる鋭角なフォルムとリベットが打たれた装甲がシャープな印象を与えている。
ボリューム感あふれる尻尾の造形も見事で、ストロンガーとの決戦ではその巨大な尻尾を振り回して襲ってくるパワフルな戦法を見せ、絶大なインパクトを残した。
それと同時に、目の部分がくり抜かれ人間の目が覗いていることで、機械的なフォルムでありながらロボットではなく「怪人」である「奇械人」らしさを強調した造形が非常に魅力的な奇械人だ。

そんな奇械人ワニーダは、ドライブインを拠点としており、ドライブインを訪れた観光客にサタン虫の入った食事を食べさせ、サタン虫を体内に寄生させて奴隷人間に変えていた。
これまで、サタン虫が人間に寄生するシーンでは、サタン虫が人間の耳の穴から体内に侵入するという生理的嫌悪感を煽る演出がされてきたが、今回は食事に混入されて体内から体を乗っ取ってしまうという、より寄生虫らしい演出がされ、さらなる嫌悪感を煽っている。

度重なるストロンガーに対する敗北を打開するため、ブラックサタンは対ストロンガー用に開発された催眠ガス・スリープガスを開発。
スリープガスによって城茂を捕らえ、再洗脳することにより、最強の奇械人に変えようとする。
タイミングが悪いことに、奇械人ワニーダの事件を追っていた岬ユリ子が、共に戦う仲間である城茂への対抗心を過剰に燃やして別行動を取っていたため、単身行動していた城茂がガスによって捕まり、ユリ子の前に現れるという最悪の展開を迎えることになる。
果たして二人の改造人間は、この危機を脱することが出来るのか…。

元プロレスラーで強面だが息子を可愛がる良き父親である大木高平と、その息子である大木文太は、観光バスツアーに参加し、鶴岡八幡宮を訪れて鎌倉の大仏の写真を撮影していた。
だが、バス旅行を楽しむ旅行者たちを影から監視する者が一人。
ブラックサタンの奇械人ワニーダは、旅行者たちを奴隷人間に変えるべく、既に奴隷人間にされていた人間たちに旅行者たちを罠に嵌める準備を始めさせる。
奴隷人間とされた人々は、奇械人ワニーダがアジトにあるボタンを押せば、生命を奪われてしまうために、奇械人ワニーダに逆らえずにいた。

観光バスはドライブインに到着した。文太は、居眠りをしていた父の高平にドライブインで食事をしようと誘う。座席から勢いよく起き上がってバスの天井に頭をぶつけた父親に呆れながらも、父は息子を可愛がり、息子も父を愛する親子仲の良さを見せる大木親子。
ドライブインで特別料理を出された大木親子が丼の蓋を開けると、料理の上にサタン虫が乗っていた。そして、周囲から奇械人ワニーダの奴隷人間とされた人々が現れ、大木親子の体を押さえつけ、サタン虫を食べさせ体内に寄生させようとする。
元プロレスラーである高平は息子を守るため果敢に抵抗し、息子を逃がすことには成功したが、人数の差には勝てずに体を押さえつけられ、サタン虫を食べさせられてしまった。

文太は奴隷人間に追いかけられながら、なんとか父親を助けるために助けを呼ぼうとする。
懸命に車を停めて助けを求めるために叫ぶ文太だが、車を停める者は現れない。
ついに奴隷人間に囲まれた文太だが、そこに放浪の旅を続けるおやじさんが現れた。
助けを求める文太だが、振り返ると奴隷人間は誰もいない。
文太から父親が悪人から自分を逃がしてくれたが、ドライブインで捕まってしまったと聞かされたおやじさんは、訝しみながらも文太と共にドライブインへと向かった。

父親が悪人に捕まったという、子供の嘘のような話にも真摯に耳を傾け、話を聞いてドライブインへと向かうおやじさんは、少年ライダー隊を指揮していただけはある懐の深さを見せている。
また、既にブラックサタンが暗躍を見せていることも知っているからこそ、悪と戦い続けてきた身として子供の話でも無碍に出来ない姿勢が骨の髄まで染み付いているのだろう。
人格者としての描写が嬉しいところだ。

ドライブインへ車を走らせるおやじさんだが、突然、何か金属の塊とぶつかったような物音ともに車体が揺れた。おやじさんが車を降りると、ぶつかったのはなんと奇械人ワニーダだった。
一度網にかかった餌は絶対に逃さないのが信念だという、粘着質というか執着が深い心情を見せる奇械人ワニーダは文太を追ってきたのだ。戦闘員に捕まったおやじさんは、なんと戦闘員ごと奇械人ワニーダの鋼鉄の尻尾をぶち当てられてしまう。
戦闘員など捨て駒、消耗品程度にしか考えていない奇械人ワニーダの冷酷さが伺えるシーンだ。

絶体絶命の危機。だがそこに、カブトローに乗って城茂が駆けつけた。
おやじさんと顔馴染みになった城茂は、このあたりから「おやじさん」と呼ぶようになる。
「ご存知、城茂よ!」
「ブラックサタンの脱走者が、どうしてここに!」
「答えは一つ。ブラックサタンの奇械人あるところ、必ずこの俺も現れるってことよ!」
さらに、もう一人の脱走者である岬ユリ子も現れた。
ブラックサタンの脱走者を倒し、名を上げようとする奇械人ワニーダ。
城茂はユリ子に雑魚を任せようとするが、ユリ子はいつも奇械人を倒し、いいところをもっていく城茂の姿勢が気に食わない。城茂は生身でも飛び蹴りで奇械人ワニーダを蹴り飛ばし、コイルになっている両腕にわざと噛みつかせることで感電させる。
「今のはほんの小手調べだ。さて、いよいよ本腰を入れるか…驚いて目を回すなよ!」
城茂はコイルアームを擦り合わせ、変身ベルトのエレクトラーをスパークさせる。

「変身…ストロンガー!天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ。聞け、悪人ども!俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
アーク・フラッシュが迸り、ストロンガーが現れた。さらにユリ子もタックルに変身。
電波投げで戦闘員を吹き飛ばすタックル。
ストロンガーも電タッチで戦闘員を焼き尽くし、奇械人ワニーダと戦う。
奇械人ワニーダの渾身のパンチも、ストロンガーの強固なカブテクターには通じず、カウンターでパンチを食らってしまう。変身前から既に劣勢だったが、変身されると本当に手も足も出ない。
そこに、ストロンガーへの対抗心を燃やすタックルが割って入ったが、タックルでは奇械人ワニーダのパワーに対抗できない。だが、ストロンガーは奇械人ワニーダに連続パンチを決めてから電タッチで感電させ、あまりのダメージに奇械人ワニーダは海へと逃走した。

多くの戦闘員を蹴散らしたことで得意になり、戦闘員を人質にしてブラックサタンの作戦を吐かせようとするタックルだったが、それは戦いを監視していた一ツ目タイタンの罠だった。
一ツ目タイタンは仕掛けておいた爆薬を爆破しタックルを始末しようとするが、間一髪それに感づいたストロンガーがタックルを助ける。
0.3秒タイミングがズレていれば、タックルの生命はなかったのだという。
城茂は、勝ち気なばかりに無謀な行動に出るユリ子を諌めるが、普段助けられてばかりのユリ子は城茂に対抗心を燃やし、城茂の忠告にも耳を貸さず、二人は仲違いしてしまう。
仲介に入ったおやじさんの言葉も二人には届かないが、おやじさんが連れてきた文太から父親がドライブインに捕まったことを知った二人には、そこにブラックサタンの陰謀を感じ取る。

するとそこに、高平が現れ、迎えに来たと称して文太を連れて行ってしまった。
だが、文太は父親の様子がおかしいことを感じ、城茂たちに助けを求める。
城茂とユリ子は不審なものを感じ、おやじさんを置いてドライブインへと向かった。
仲違いをしたことでユリ子と別行動になった城茂は、文太を抱いた高平を尾行していた。
しかしその尾行は、地中に潜んだブラックサタン戦闘員によって監視されていた。
ブラックサタン戦闘員は高平を囲み、襲うような素振りを見せる。大木親子を助けに入ろうとした城茂にも戦闘員が襲いかかり、城茂は大木親子を先に行かせて戦闘員を蹴散らした。

戦闘員を撒き、大木親子の後を追った城茂は大木親子が縛られているの発見する。
慌てて親子を救出した城茂だが、なんと高平は隠していたスプレー缶からガスを噴射した。
高平はドライブインで奴隷人間にサタン虫を食べさせられ寄生されてしまい、ブラックサタンの奴隷と化していたのだ。そして、高平が城茂に噴射したガスは、ブラックサタン科学陣がストロンガー用に開発したスリープガスだった。身体が麻痺し、動けなくなる城茂。
やがて、意識を失った城茂を嘲笑うように戦闘員が現れ、城茂はドライブインに運び込まれる。
一人残された文太は助けを求めて走るのだった。

その頃、婦人警官に変装したユリ子は、奇械人ワニーダが拠点とするドライブインを訪れていた。
ドライブインを調べるユリ子は、自分に不審の目を向けるドライブインのマスターを避けるためトイレを借りるフリをして難を逃れるが、突如トイレの鏡に奇械人ワニーダの姿が映し出される。
ユリ子をブラックサタン経営のドライブインへと歓迎する奇械人ワニーダは、ドライブインに一度入った人間をブラックサタンの命令通りに動く奴隷人間へと変える計画を進行しており、既に数百人が奴隷人間に変えられていることを話す。
ユリ子はブラックサタンの陰謀を粉砕し、ドライブインを店じまいにすべく奇械人ワニーダが映る鏡を叩き割るが、その足元には落とし穴が仕掛けてあり、ユリ子は地下牢に落下してしまった。

文太はおやじさんに助けを求めるが、そこに戦闘員が現れおやじさんと文太を襲う。
そして、地下牢に囚われたユリ子の前に姿を現したドライブインのマスターから、サタン虫となって寄生していた奇械人ワニーダが姿を現した。
ユリ子の無謀さを嘲笑い、タックルに変身できるものならばしてみろと挑発する奇械人ワニーダ。
ユリ子がタックルになろうとするが、突如檻から激しい火花が散り、ユリ子は苦痛に襲われた。
ユリ子が囚われている地下牢の柵は電波を通さない材質になっており、タックルに変身しようとすると激しい火花が散り、手足が千切れて死ぬのだという。

もはやどうすることも出来ないユリ子は、自分が捕まってもまだ城茂がいると叫ぶ。
だが、奇械人ワニーダは余裕の構えを崩さない。
スリープガスによって城茂を捕らえた奇械人ワニーダは、洗脳を施し城茂の意識を自分たちの思いのままにしてしまったのだと嘲笑い、城茂にユリ子を殺させようとする。
城茂は無言でユリ子を捕らえた地下牢に近づくと、コイルアームの放電で檻を破壊。
さらにユリ子に手を伸ばし、首を絞める…が、突然、いつもの気障な笑顔に戻った。
「出しゃばりの罰だ」

最初から正気のままだった城茂はストロンガーとなり、奇械人ワニーダに立ち塞がった。
ストロンガー用に開発され、その意識を奪うはずのスリープガスが効かなかったことに狼狽する奇械人ワニーダは、何故ガスが効かなかったのかと問う。
だが、ストロンガーの答えはあまりにもシンプルだった。
「そんなこと、俺が知るか!」
追い詰められた奇械人ワニーダは、今までの奴隷人間を全て殺そうと、作中冒頭で奴隷人間たちを脅していたスイッチを押そうとするが、ストロンガーに阻止される。
ストロンガーは、奇械人ワニーダから奴隷人間を救おうと、奴隷人間に言うことを聞かせるための処刑装置の居所を突き止めるべく、わざと捕まったふりをしていたのだ。

この話で不思議なのは、冒頭で奇械人ワニーダの元にいた奴隷人間たちが、ボタンを押すことで自分たちの命を人質に脅され、奇械人ワニーダの言うことに従わされているような描写だったわりに、大木親子を襲う時はサタン虫によって操られているような仕草を見せ、実際に高平はサタン虫を寄生させられて奴隷人間となっている描写もあるため、結局、奇械人ワニーダによって奴隷人間に捺せられた人々は自分たちの命を人質にされて言うことを聞かされているのか、サタン虫を寄生させられて自我を奪われているのかが判然としないことだ。
これまでのエピソードでは、サタン虫に寄生させられた人間は自我を奪われブラックサタンにコントロールされており、わざわざ脅されなくても言うことは聞いていたので、奇械人ワニーダが生命を盾に脅しをかけていたのが不思議ではある。
強いて言えば、作中通りにストロンガー相手に追い詰められたことを想定し、ストロンガーに奴隷人間を殺すと脅しをかけようと考え、サタン虫による支配と同時にボタン操作で生命を奪える処置を施していた、ということなのだろうか?

もはや人質作戦も使えない奇械人ワニーダは全力で逃げを打ち、車に乗って逃亡を図る。
だが、ストロンガーは電気マグネットで車を引き寄せ、電タッチで車を高熱化。あまりの高熱に苦しみ、車を飛び出した奇械人ワニーダはついにストロンガーとの直接対決をせざるを得なくなる。
鋼鉄の尻尾を振り回して襲いかかる奇械人ワニーダだが、尻尾を踏みつけられ動きを止められると、尻尾を掴まれて振り回された挙げ句に投げ飛ばされ、大ダメージを負う。
あまりのダメージに混乱しているのか、回転して尻尾を振り回しながら逃亡する奇械人ワニーダ。

水中へ逃亡する奇械人ワニーダだが、ここまで「ストロンガー」を見てきた視聴者は、奇械人が水中へ逃亡することが何を意味しているのかわかっていた。電気ストリームだ。
怒りの電気ストリームが奇械人ワニーダに炸裂する。
それでも水中から反撃しようとする奇械人ワニーダだが、ストロンガーはこれまでの電気ストリームの応用で、電熱によって川の水を蒸発させ、奇械人ワニーダを地上へ引きずり出す。
そして、炎のストロンガー電キックが炸裂。奇械人ワニーダは爆散した。

捕まっていたおやじさんと文太はユリ子によって救出され、正気に戻った高平や観光バスの旅行客も無事だった。城茂はいち早くドライブインを去り、ユリ子も対抗心を燃やしながら後を追う。
ブラックサタンの魔手は、どこにでも潜んでいる。
その一つ一つを倒す、ライダーストロンガーの果てしなき旅は続くのである。

本編とは関係ないが、次回予告の「仮面ライダーストロンガーのうた」のインストの音程が狂っていて印象に残る。次回、第8話の次回予告も同様で、良くも悪くもインパクトは絶大だ。

そのフレーズのあんまりにもあんまりな力強さが独り歩きし、「ストロンガー」の代名詞としてネットミームになっている「そんなこと、俺が知るか!」の登場回。
ただ、ストロンガー目線からすると、ブラックサタンが自分用に開発したという催眠ガスの効果がなかっただけではあるので、本当に知ったこっちゃなさ過ぎる事象ではある。
とはいえ、普通ならなんとか解毒したとか、先んじて罠を見越して対策をしておいたとかの理由はつけてきそうではある展開ではあるので、理由も説明もないまま進行するパワフルな展開には変わりがない。「ストロンガー」における理屈抜きのパワフルなヒーロー像の表れではある台詞だ。

今回、ユリ子の城茂への対抗心が爆発しており、戦闘員を倒した数を誇り、いつも奇械人との決着というおいしいところをもっていくことに反発心を見せるなど、男勝りの勝ち気なキャラクター像が描かれている。惜しむらくは、タックルとしての能力が奇械人に及んでいないことだろう。
現代のヒーロー作品なら、普通に3話か4話くらいでタックルが奇械人を倒す回は普通にありそうではあるので、主役ヒーロー以外のキャラクターが怪人を倒す回がめったにない(あのライダーマンですら単独で怪人を倒す回がない)時代ゆえに仕方がないというところはある。
ただ、城茂に対抗心を燃やす強気な言動が目立つ分、そうやって威勢がいいのに奇械人には力及ばず捕まり役となる立ち位置なのが余計にストロンガーの足を引っ張っているように見えてしまい、損な立ち位置になってしまっているが…。

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