「仮面ライダーストロンガー」第8話「溶けるなライダー!とどめの電キック!!」感想

2024年6月30日日曜日

仮面ライダーストロンガー 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

突然、街中の人間が暴れ出す事件が発生する。事件を知った城茂は現地へと向かった。
一方、ブラックサタンのタイタンは、奇械人・モウセンゴケに次なる計画を命令する。
城茂は町の人々相手に戦いを強いられてしまい...。

猛毒が人を暴徒に変える!悪知恵怪人の罠を打ち破れ

今回のブラックサタンの奇械人は食虫植物モウセンゴケの怪人である奇械人モウセンゴケ。
同じ食虫植物のハエトリグサやウツボカズラの怪人は多々いるが、モウセンゴケをモチーフにしているのはかなり珍しく、ライダー怪人のモチーフの幅を広げた怪人と言える。
OPクレジットでは名前が「奇械人モーセンゴケ」となっているが、仮面ライダー公式サイトの仮面ライダー図鑑では「奇械人モウセンゴケ」名義なのでこちらが公式設定なのだろう。
モチーフであるモウセンゴケの捕虫葉から伸びる粘毛をトゲとして造形し、戦闘的なフォルムの怪人として仕上げているデザインワークが見事な怪人だ。

そんな奇械人モウセンゴケは、頭部の花弁からの溶解液や右腕からの触手攻撃を得意とし、体内で特殊な毒液を生成、その毒液によって人を自分の命令に従う暴徒へと変えてしまう。
この毒液の効果は一定の時間経過で消滅、暴徒へと変わった人間も一旦は意識を失うが、実はその毒によって脳の一部が溶かされてしまっており、3度にわたって毒液に冒されれば、その人間は暴れまわった挙げ句に毒の効果が切れれば死に至らしめられる。
奇械人モウセンゴケはこの毒液を水道に混入させ、街中に毒液をばらまいて人々を暴徒と変えて城茂と岬ユリ子を襲わせようと目論んだ。

また、奇械人モウセンゴケのユニークな点は、一ツ目タイタンに対し、自ら「ブラックサタン指折りの悪知恵の持ち主」と豪語して見せる点だ。確かに、自分の手を汚さず、かつ城茂たちが反撃できない一般市民を暴徒に変えて城茂を襲わせる戦略は見事なもの。
悪知恵を誇るのは伊達ではない、ということか。

街中で、人々が暴徒と化し暴れまわる事件が発生した。
事件を知った城茂は、そこにブラックサタンの陰謀の匂いを感じ、街へ急行した。
街に住む少年・三田タツオは、突然暴徒と化した父親に追い回され、助けを求めて逃げ回る。
その現場に遭遇した城茂は、タツオを救うべく父親に立ち塞がった。
「愛の鞭にしちゃあ、ちょっと度が過ぎやしませんか!」

いつもとても優しいのに、急に目つきが変わって暴れ出した父親に困惑するタツオ。
そこに駆けつけた町の水道局長・田川は、城茂から隣の町でも人が突然暴れ出し、その後に死んでしまったことを聞かされる。タツオの父親も気を失ってしまった。
田川の案内でタツオの父親を水道局の事務所に運び入れた城茂は、タツオの父親の耳を調べるが、そこにブラックサタンのサタン虫に寄生された証である黒い痣はなかった。
城茂とタツオは、タツオの父親のために鎮静剤を買いに行く。
だが城茂たちが出かけていった後に、ブラックサタンの奇械人モウセンゴケが姿を現した。

奇械人モウセンゴケは事務所の番犬を頭部の花弁からの溶解液で溶かしてしまう。
動物をいじめるひどいやつだ。
さらに、奇械人モウセンゴケは怯える田川の身体を押さえつけると、耳の穴からサタン虫を寄生させ、奇械人乗り移りで田川の体を乗っ取ってしまう。
タイタンは田川に乗り移った奇械人モウセンゴケに、一滴飲めば人間が意識を失い暴れ出す猛毒の生成に成功した報告を受けていた。城茂=ストロンガーを警戒するタイタンに、奇械人モウセンゴケはストロンガーなど赤子の手をひねるに等しいと自信を見せる。
油断大敵と諌めるタイタンに、奇械人モウセンゴケは自らをブラックサタン指折りの悪知恵の持ち主と誇り、城茂を猛毒によって暴徒となった人間と戦わせる計画を話す。
水道局長である田川に乗り移ったことでダムに侵入した奇械人モウセンゴケは、町中の水道に繋がっているダムに猛毒を混入させ、水道の水を飲んだ人間を暴れさせようとしていた。
そして、薬を3回飲んだ人間は、暴れ疲れて死んでしまうのだ。

鎮静剤を買いに行く道中でユリ子と遭遇した城茂。
ユリ子はモトクロスに出場するつもりなのだというが、城茂は興味なさそうに去っていく。
そこに、おやじさんが愛車をバックで運転しながら突っ込んできた。
おやじさんは暴れる暴徒から逃げており、城茂はブラックサタンが陰謀を開始したことを悟る。
暴徒から逃亡するが、設置されていたバリケードに阻まれて逃げられなくなった一同。
城茂はブラックサタンに暴れさせられているだけの人間を、戦いで傷つけるわけにはいかないと一計を案じ、ユリ子に人々をここに引き付けておくように頼む。
承諾したユリ子は時間を稼ごうとするが、突然、人々は気を失い倒れ始めた。

事情が飲み込めないユリ子は人々を起こそうとする。
だが、人々の突然の気絶は奇械人モウセンゴケの毒液によって暴れる人々の中に混じっていた、サタン虫によって人々に寄生していたブラックサタン戦闘員の罠だった。
姿を現したブラックサタン戦闘員はユリ子を取り押さえ、数の暴力で痛めつける。
そこに、城茂の口笛が響いてきた。
ブラックサタン戦闘員が毒液で暴徒となった人々に混ざり、暴動を扇動していたことを見抜いた城茂は、ブラックサタン戦闘員を炙り出すために一芝居打ったのだ。

「城茂!」
「俺の名前も売れてきたなあ、感激だぜ。しかし、城茂が女の子に後を任せて、逃げちまったとでも思ったのかい!馬鹿だねえ…変身!ストロンガー!!」
不敵な笑みを浮かべた城茂は変身。アーク・フラッシュが迸り、ストロンガーが現れた。
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ。聞け、悪人ども。俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
ユリ子もタックルに変身し、ブラックサタン戦闘員との戦いが始まった。
鉄柵を乗り越え、逃亡するおやじさんとタツオを追いかけるブラックサタン戦闘員。
ストロンガーは戦闘員が柵を乗り越えようとした瞬間、エレクトロファイヤーで柵に電流を流し、戦闘員たちを焼き尽くす。そこに、タツオの父親と田川が現れた。
父親が回復したことに安堵するタツオだが、奇械人モウセンゴケに憑依されている田川は、ストロンガーの背後に回って首を絞める。田川の耳からサタン虫が抜け、奇械人モウセンゴケが現れた。

花弁から溶解液を噴射し暴れまわる奇械人モウセンゴケ。
触手でストロンガーの首を締め付けて攻める奇械人モウセンゴケだが、そこに田川が自分の体を利用された恨みを晴らすべく割って入り、奇械人モウセンゴケの体を押さえつける。
だが、所詮ただの人間では奇械人にかなわず、すぐに振りほどかれて溶解液を浴びせかけられてしまい、犠牲になってしまった。田川が突然異様な勇敢さを見せてしまい、驚いてしまった…。
だが、その隙に触手を振りほどいたストロンガーは奇械人モウセンゴケに反撃し、撤退させる。
町中の人々が暴れて気絶する怪現象に、ストロンガーは、ブラックサタンが一体どういう毒を使っているのか訝しむのだった。

アジトに戻った奇械人モウセンゴケは、一ツ目タイタンに口程にもないと叱責されていた。
町中の人間を暴れさせる計画の進捗を問われた奇械人モウセンゴケは、計画は順調なことと、今度こそストロンガーを倒すという意気込みを語りその場を切り抜けるのだった。
その頃、城茂とユリ子は、ユリ子が参加するつもりだったモトクロスに参加していた。
城茂は自分たちがブラックサタンに監視されているを見抜いており、モトクロスに参加して油断しているフリをすることでブラックサタンを人気のない場所に誘き出そうとしていたのだ。
それは、先の戦いで田川を戦いに巻き込んでしまい死なせてしまった反省でもあるのだろう。
その思惑通り、ブラックサタンオートバイ部隊の襲撃が始まった。

モトクロスのコースでブラックサタンオートバイ部隊と熾烈なバイクチェイスを展開する城茂は、カブトローの電光ライトから稲妻光線を放つカブトローサンダーでブラックサタンオートバイ部隊を一掃する。戦いが終わり、水道で手を洗おうとした城茂の前に、おやじさんが現れる。
町中を見回りしていたおやじさんは水道から水を飲んでしまい、混入した毒に冒され暴れ始める。おやじさんを取り押さえた城茂は、奇械人モウセンゴケが水道に毒を入れたことに気づく。
おやじさんを気絶させ、その介抱をユリ子に任せた城茂は、急ぎダムに向かうのだった。

その頃、奇械人モウセンゴケは第二回目の毒をダムの水に混入しようとしていた。
そこに城茂が現れ、毒液の入ったフラスコを奪った。
フラスコを岩にぶつけ、毒液を処分した城茂は、ストロンガーに変身。
電タッチで戦闘員を焼き尽くしていくストロンガーの猛攻に対し、奇械人モウセンゴケはタツオと父親を人質にした。さすがはブラックサタン指折りの悪知恵の持ち主だ。
人質を取られたストロンガーは抵抗できず、ブラックサタンに捕まってしまう。

ストロンガーやタツオたちを事務所に監禁した奇械人モウセンゴケは、毒液を作って戦闘員に渡し、三回目の毒で人々を暴れさせた挙げ句殺そうとする。
その会話を聞いていたストロンガーは、奇械人モウセンゴケの毒液が、モウセンゴケが虫を溶かす成分によって人間の脳の一部を溶かして暴れさせていると看破する。
そしてその会話は、ストロンガー内部の通信装置を通し、ユリ子が持つ通信機によって傍受されており、猛毒の成分が判明したことで、ユリ子は解毒剤を作り始める。

ゴムの鎖に縛られたストロンガーにとどめを刺すべく、奇械人モウセンゴケは三回目の毒で暴れ出し、もはや毒の効果が切れれば死ぬしかない人々が集まってきた。
電気人間であるストロンガーの電気の力を無効化すべく、絶縁体であるゴムの鎖で縛る奇械人モウセンゴケ。悪知恵が優れていると自画自賛するだけの事はあり、これまでの奇械人と異なり電気人間対策をしっかりと行っているあたりは抜け目がない。
暴徒となった人々が、鎖に縛られたストロンガーへ暴行する。
だがそこに、突然赤い雨が降ってきた。それはユリ子が調合した解毒剤の雨だった。

ユリ子とおやじさんが降らせた解毒剤の赤い雨で、人々の毒は解毒された。
そしてストロンガーは、恐ろしい怪力で縛られていた木をへし折り拘束を脱出。
全てはユリ子に解毒剤の調合を任せ、奇械人モウセンゴケが自分を襲わせようとした人々をまとめて救うためのストロンガーの作戦だった。
作戦が失敗したことを悟った奇械人モウセンゴケは逃亡しようとする。

ユリ子もタックルに変身。いよいよ最後の戦いが始まった。
奇械人モウセンゴケはタックルを始末しようとするが、ストロンガーに阻まれる。
ストロンガーは自らを捕らえんとする奇械人モウセンゴケの触手を逆に利用し、電ショックで感電させる。破れかぶれの奇械人モウセンゴケは、花弁からの溶解液を噴射する。
だが、ストロンガーは両腕から磁力線の渦を出して攻撃を跳ね返す「電気扇風機」で 溶解液を防ぎ、トドメのストロンガー電キックを炸裂させ、奇械人モウセンゴケを葬り去るのだった。
その様子を監視していたタイタンは、奇械人モウセンゴケの不甲斐なさに怒る。

数々の事件を共に乗り越えたことで、城茂たちはおやじさんを旅の仲間として共に行こうと誘う。
だが、水道から水を飲もうとしてなかなか出発しないおやじさんを見かねて、先に出発してしまう城茂とユリ子。おやじさんも慌ててその後を追い、三人のあてなき旅が始まった。
一つの戦いが終わっても、城茂に休息はない。
ブラックサタンに苦しめられている人々のために、果てしなき旅は続く。

悪知恵を誇るだけあり、猛毒で暴徒化した人々によるストロンガーの攻撃や人質作戦、電気を通さない絶縁体の鎖など、確かに今までの奇械人とは一線を画す頭脳戦を見せた奇械人モウセンゴケ。
だが、解毒剤を作るために自ら捕まったふりすらしてみせる城茂とは流石に役者が違い、その豪胆さにはかなわずに、手玉に取られ計画が瓦解して敗北してしまった。
前回もそうだが、城茂は自ら敵の罠に嵌ったと見せかけて計画を瓦解させる頭脳的な一面も持ち合わせており、知勇兼備の強さを見せつける頼れるヒーロー像が徹底されている。
ブラックサタン戦闘員相手に自らの名が売れてきた、と言い放つ不敵さもカッコいい。

この回で、ようやくおやじさんが正式に城茂の旅仲間として合流。
城茂とユリ子が次の戦いの場所へ走っていくシーンにおやじさんが加わったのが感慨深い。

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