「電子戦隊デンジマン」第10話「魔法料理大好き!?」感想

2024年7月3日水曜日

電子戦隊デンジマン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

悪の組織・ベーダーの“ハンバーガー作戦”が開始され、次々と美しいものを憎みだす子供たち。
青梅もその作戦に引っかかってしまい、狂乱する。
そして、ベーダー怪人・ハンバラーは、学校の給食にまで作戦を広げる。

10円ハンバー『カ』ーの落とし穴 上手い話にはウラがある

今回のベーダー怪物は、そのものズバリのハンバーガー怪人、ハンバラー。
ハープで催眠音楽を奏で、自らが放つ匂いとの相乗効果でヘドロハンバー『カ』ーを人間に食べさせる「ハンバーガー作戦」を実行する焼き立てのベーダー怪物だ。
ヘドロハンバーカーを食べた人間はまるで麻薬中毒のようにヘドロハンバーカーに執着するようになり、食べ続けていくうちに視覚や聴覚が狂い、ヘドロ風呂に入ることを好むような異常な行動を見せ始め、ついには原始生物へ退化してしまうのだという。

ベーダー一族はこのヘドロハンバーカーを1個10円という驚異のディスカウント価格で販売。
その安さに惹かれて集まり、ハンバラーの催眠音楽と匂いで催眠状態に陥った人々はヘドロハンバーカーを次々に購入。やがて普通のハンバーガーなどの食べ物も受け付けなくなり、ヘドロハンバーカーばかりを食べ続け、異常行動を起こすようになってしまった。

そして、あろうことか、デンジブルー=青梅大五郎もヘドロハンバーカーを食べてしまい、大好きなアンパンに目もくれずにヘドロハンバーカーを求める異常行動を起こしてしまう。
普段アンパンばかり食べている青梅がそれに目もくれなくなることで、ヘドロハンバーカーによる異常行動の恐ろしさを表現しているのは、大好物があるキャラクターを活かした秀逸な展開だ。
ハンバーガー作戦は着々と進行し、ベーダー一族は小学校の給食にヘドロハンバーカーを配り、その被害を爆発的に増やそうとする。果たして、電子戦隊は人類の原始生物化を阻止できるのか…。

ベーダー魔城では、大鍋がグツグツと煮立っていた。
ヘドラー将軍が取り出したベーダー怪物・ハンバラーの卵はハンバーガー型であり、極めて原始的な性質を持つため、一度油で揚げて孵化しやすくする必要があるのだという。
大鍋にかけられたハンバラーの卵は見事に孵化し、ベーダー09・ハンバラーが誕生。
「焼き立てのハンバラー」を自称するハンバラーに、ヘドリアン女王も「美味しそう」と満足の笑みを浮かべる。ヘドラー将軍はハンバラーを引き連れ、ハンバーガー作戦を実行に移す。

町を騒がす10円ハンバーカー販売の知らせ。
「物価に挑戦」の張り紙に惹かれた人々が長蛇の列を作り、「ハンバーカー」を購入していく。
ハンバーカーを販売しているキッチンカーには、ハープの音色が響いていた。
通りかかったアスレチッククラブの子供たちも、10円という値段に惹かれて購入する。
だが、ハンバーカーを販売している販売員はミラーとケラー、そしてヘドラー将軍の変装だった。
ハンバーカーを購入した人々はハンバラーが奏でる催眠音楽と、ハンバラー自身の匂いによって催眠状態にあり、ハンバーカーがヘドロハンバーカーと気づかずに購入し、食してしまう。
予想以上の効果に満足したヘドラー将軍は、魔術師であるハンバラーの発する臭いとハープで奏でる音楽で人々を催眠状態に陥れ、ヘドロハンバーカーを美味しいと思わせる。

ヘドロハンバーカーを食べた子供たちの視界が赤く染まり、視界が霞んだ。
ヘドロハンバーカーを食べたことで、子供たちの目から色彩が消えてしまったのだ。
子供たちは赤城の空手の稽古を受けるが、お腹が減って元気が出ない。
黄山は子供たちの大好物であるカレーを振る舞うが、子供たちはまるでカレーに食欲を示さない。
子供たちはあきらが持ってきた花を嫌いだと言い、カレーを口にしても不味いと文句を漏らす。
ハンバーカーが欲しいと言い出す子供たちに、黄山はハンバーガーを手渡すが、一口食べて不味いと床に捨ててしまった。食べ物を粗末に扱う子供たちを咎める電子戦隊だが、子供たちはハンバーカーを食べたいのだと異様な執着を見せ、ハンバーカーを売っている場所に戻ってしまう。
10円で販売される、子供たちを狂わせるハンバーカー。
電子戦隊は不審に思い、青梅が子供たちの様子を見に向かった。

10円ハンバーカーが売っている現場に到着した青梅だが、やはり催眠音楽と匂いで催眠状態に陥り、子供たちとともにヘドロハンバーカーを食してしまう。
そのとたん、青梅の視界からも色彩が消えてしまった。
電子戦隊の面々は、連絡もなしに行方不明になった青梅を探していた。
遊園地でやっと青梅を見つけた電子戦隊だが、青梅はヘドロハンバーカーを食べており、意識が不明瞭、あきらのオーデコロンの匂いを拒絶するなど、感覚が狂ってしまっていた。
目も据わり、あきらかに様子がおかしい青梅。赤城はそれがヘドロハンバーカーの効力であり、そこにベーダー一族の陰謀を感じ取ると、デンジスパークして本格的に調査に乗り出す。

10円ハンバーカーの移動販売車を追跡した電子戦隊は、デンジスコープで車を透視。
車内にハンバラーの姿を確認した電子戦隊は、急ぎ車を追う。
車を運転していたヘドラー将軍はハンバラーに電子戦隊を迎撃させる。
ハンバラーはハンバーグ爆弾を投げつけ、爆煙で電子戦隊を撒き逃亡するのだった。

黄山は青梅に好物のスパゲッティを振る舞うが、完全に目が据わった青梅には、スパゲッティが赤い針金のような異物にしか見えず、食べ物を受け付けなくなってしまった。
そして、ヘドロハンバーカーを食べた子供たちも同じように食事を受け付けず、美しい花を嫌うようになり、浴槽をヘドロで満たしヘドロ風呂を楽しむ異常行動を見せるようになってしまう。
ヘドロハンバーカー中毒の青梅は暴れ出し、電子戦隊は青梅を治療するためにデンジランドに移す。ヘドロハンバーカーは麻薬と同じ中毒性を持ち、食べなくては禁断症状が出てしまうのだ。

ベーダー魔城では、ハンバーガー作戦の成功により、ヘドロハンバーカーが飛ぶような売れ行きを見せている報告を受けたヘドリアン女王が高笑いを見せていた。
ヘドロハンバーカーを食べ、まんまと中毒になった青梅を馬鹿だと嘲笑うヘドリアン女王は、ハンバーガー作戦をいよいよスケールアップさせ、給食作戦の実行を命ずる。
ハンバラーの催眠音楽と匂いなら、数百人単位の子供たちに一気にヘドロハンバーカーを食べさせることが可能であり、ハンバーカー中毒になった人間はヘドロを喜んで食べるようになり、原始生物同然に退化。ベーダー一族にとって家畜同然の存在になってしまうのだ。

10円ハンバーカーの移動販売車が学校へ向かった。
緑川はそれを尾行するが、移動販売車はもぬけの殻だった。
緑側を撒いたベーダー一族は、小学校にハープの催眠音楽を流し、ハンバラーの匂いを漂わせる。
たちまち子供たちは食欲を増進され、そこにヘドラー将軍たちが変装した販売員がヘドロハンバーカーを運んできた。その頃、緑川はダストラーたちに襲撃を受ける。
デンジグリーンからの通信を受けた赤城たちは小学校へ向かおうとするが、暴れようとする青梅をこのまま放ってもおけない。5人揃わなくてはベーダー怪物にも勝てないのだ。
どうすれば青梅をヘドロハンバーカー中毒から救えるのか。
そこに現れたアイシーはデンジシャワーを使うように助言する。
デンジレッド・イエロー・ピンクはデンジシャワーを青梅に浴びせ、解毒に成功するのだった。
青梅もデンジスパークし、電子戦隊は小学校へ急行する。

子供たちにヘドロハンバーカーが配られる。
いよいよ食事の開始と思われたその時、ミラーが電子戦隊の到来を告げるため、ハンバラーと共に教室に入ってきた。ヘドラー将軍たちは正体を現し、1分以内にヘドロハンバーカーを食べなくてはハンバラーに食べられると子供たちを脅してヘドロハンバーカーを食べさせようとする。
そこに、電子戦隊が駆けつけ、間一髪子どもたちをハンバラーの魔手から救った。
ヘドラー将軍とミラー、ケラーは撤退し、ハンバラーも小学校の外へ逃亡。

ハンバラーが逃げた先に、ダストラーたちが待ち伏せしていた。
その襲撃をデンジジャンプで躱した電子戦隊は、高らかに名乗りを上げる。
「見よ!電子戦隊!デンジマン!!」
海辺を部隊に電子戦隊と ベーダー一族の一大決戦が幕を開けた。
5人の戦士は次々にデンジパンチを繰り出し、ダストラーを蹴散らす。
ハンバーグ爆弾を投げまくるハンバラーの猛威を、なんとか避けていくデンジマン。
デンジマンはデンジスティックを投げつけハンバラーを痛めつけると、最後のトドメのデンジブーメランを炸裂させ、ハンバラーを倒した。

だが、ベーダー怪物は体内の細胞組織を自由に組み替えて、巨大化することが出来る。
めちゃくちゃに暴れる巨大ハンバラーの猛威を躱した電子戦隊は、デンジタイガーの出動を要請。
デンジタイガーからデンジファイターが飛び立ち、ダイデンジンになった。
「アクション!」
ダイデンジンはデンジボールを投げつけ、ハンバラーを攻める。
ハンバラーの身体を捕まえ、頭を叩くダイデンジン。
そしてデンジ剣を取り出し、必殺の電子満月斬りで勝利した。

ヘドロハンバーカー中毒になった子供たちも、電子戦隊のデンジシャワーで回復。
元の感覚を取り戻し、美しい花を愛でる心や、食べ物を美味しいと思う味覚を取り戻した。
笑顔でカレーを食べる子供たちの姿に、赤城たちはつかの間の平和が戻ってきたことに安堵する。
子供たちがしっかりと食事を摂り、健全な身体に育つことを願う電子戦隊。
空腹の青梅は黄山にハンバーガーをリクエストするが、黄山は「ハンバーカー」で良いの?と、ベーダーの策略にのってハンバーカーをうっかり食べた青梅をからかい、笑い合う。
人間に、ヘドロ料理を食べさせて原始生物にしようとしたベーダー。
なんと恐ろしい一族であろうか。
デンジマンよ、ダイデンジンよ。頼むぞ、僕たちを守ってくれ!

安価で美味しい(と錯覚させた)食べ物に毒を混入、中毒にすることで感覚を狂わせてしまう今回のハンバーカー作戦は、健康被害を撒き散らす恐ろしいもの。
食べ盛りの子供たちにとって、10円という圧倒的なディスカウント価格で食べられてしまう10円ハンバーカーはハンバラーの催眠音楽と匂いがなくとも魅力的だったことは想像に難くなく、上手い話にはウラがある、という教訓を感じずにはいられない。

今回、前回に引き続き、ヘドラー将軍が自ら現場に出て作戦の実行役を担っている。
給食にヘドロハンバーカーを配り、子供たちにしっかり食べて元気になろうと促す姿は、演者さんが「スパイダーマン」の山城拓哉としてヒーローを演じていただけに、子供たちに呼びかける姿がなんだか妙に様になっていて面白いシチュエーションだった。
ベーダー魔城で指揮官として命令するだけでなく、必要とあらば現場の労働力として働くことを厭わないあたりに、ヘドリアン女王の信任が厚い理由が見えてくる。

普段からアンパンを食べ、黄山のところに来ては料理を振る舞ってもらう青梅が食事を受け付けなくなり、目が据わってしまった様子はかなりショッキングなものとして演出されている。
アンパンという明確な大好物があり、食事を楽しむ姿が良く描かれている青梅がヘドロハンバーカーの中毒になって普通の食事を受け付けなくなることで、ヘドロハンバーカー中毒となってしまうことの恐ろしさが鮮明に演出されているのが秀逸な展開だった。

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