「仮面ライダーストロンガー」第17話「怪談 悪魔の復活祭」感想

2024年8月4日日曜日

仮面ライダーストロンガー 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

お化け大会に本物のお化けが出たと聞いて駆けつけた茂は、そこでシャドウのトランプを拾う。
そのトランプに導かれて教会を訪れた茂は、棺桶の中で横たわるタイタンの遺体を発見する。

亡者を蘇らせる悪魔の儀式 逆襲!百目タイタン

今回のブラックサタンの奇械人はコウモリ奇械人。
納涼お化け屋敷大会に紛れて人を殺し、その事件を聞きつけた城茂を誘き出すことを目的とした奇械人で、コウモリの飛膜を模したメッシュの入った翼や、コウモリのシルエットを模した頭部の角など、シャープなデザインがスタイリッシュな印象を感じさせる奇械人だ。

そんなコウモリ奇械人が城茂を誘き出した目的は、ストロンガーとの戦いに敗れたブラックサタン生え抜きの大幹部・一ツ目タイタン蘇生の儀式を行うために、ブラックサタン呪いの棺に収められたタイタンの遺体に城茂の生き血を与えること。
奇械人という機械的な特徴を持つ怪人を主力とするブラックサタンだが、呪いの儀式による蘇生を行うあたり、ショッカー以来の呪術的な技術はその後の悪の組織に引き継がれているようだ。
また、今回は夏休みに合わせて3回にわたって展開する「怪談シリーズ」の第1作となるエピソードだが、怪談というホラー要素の強いエピソードと、タイタン復活のための死者蘇生の儀式というホラー要素を絡めて物語を展開しているあたりは構成の巧さを感じさせる。

ブラックサタン大首領は忠実な武器であったタイタンの死をたいへん惜しんでいたようで、第14話では魔の国から呼び寄せたばかりのジェネラルシャドウに、奇械人メカゴリラを用いてタイタンの葬儀のための儀式のための生贄となる子供を捕らえるように命じ、その死を惜しんでいた。
そして、数回の作戦行動を経て、せっかく呼び寄せたジェネラルシャドウが、自分の命令した作戦の実行に乗り気ではなく、あくまでストロンガー抹殺という個人の目的のためにしか動かない存在であることを感じ取ったブラックサタン大首領は、ジェネラルシャドウという存在を持て余し、ブラックサタン生え抜きの忠実な部下であるタイタンの蘇生へと乗り出すことになる。
そして、ブラックサタン大首領は、ジェネラルシャドウほどの実力者を、タイタンをストロンガー抹殺へ発奮させる当て馬として使うことで、タイタンの士気を高めることを目論んだ。
だが、結果的に大首領のこの判断が、後にブラックサタンを瓦解させることになっていく。

かくして、ブラックサタン呪いの棺の儀式でタイタンは蘇生。
全身に100の目を持つ異形の大幹部・百目タイタンが誕生する。
さらに冷酷、強大になったタイタンの猛威に、ストロンガーとタックルはどう立ち向かうのか。

真夜中、お墓を肝試ししていた子どもたちの前に、人魂やお化け、傘が現れる。
その中には、ガマ獣人の顔や、キバ男爵の兜が混ざっていた。
シリーズを楽しんできた人に見覚えのある顔ぶれがお化けに混ざっていて面白い。
それは、ある町で開催されていた納涼お化け屋敷大会だった。
子供たちを存分に怖がらせ、お化けに扮していた大人たちが仮装を取って休憩していると、そこに一人、仮装を取ろうとしないコウモリのお化けが混ざっていた。
そのお化けこそ、ブラックサタンのコウモリ奇械人だ。

町内の人間を皆殺しにすると宣言したコウモリ奇械人は、口から赤い毒液を吐き、次々にお化けに扮していた人々を殺害していく。ただ一人生き残り逃亡した男は、逃げた先で城茂に出会う。
コウモリ奇械人がお化け大会に混ざり人々を殺害したことを聞いた城茂は、ブラックサタンの行方を追ってこの町に来ており、急ぎ男が走ってきた方向へ向かう。
するとそこに、トランプのカードとともにジェネラルシャドウが現れた。
城茂は、タイタンに代わる大幹部との決着をつけるべく、シャドウに勝負を挑む。
だが、シャドウはすぐに姿を消し、代わりにコウモリ奇械人が姿を現した。

ユリ子も駆けつけ、城茂たちとブラックサタンの戦いが始まった。
現れた戦闘員を一蹴した城茂とユリ子は、コウモリ奇械人に挑む。
大木をも真っ二つにするコウモリ奇械人の攻撃に、ユリ子はタックルに変身して対抗。
城茂もまた、ストロンガーへと変身する。

軽快な「ストロンガーアクション」のメロディーが初披露され、ストロンガーが姿を現した。
昭和ライダーシリーズの挿入歌伝統の、ライダーの必殺技を高らかに歌い上げる「~アクション」の系譜である「ストロンガーアクション」はこの回で初披露。
水木一郎氏と堀江美都子氏の勇ましい歌声と軽快なメロディーが、戦闘シーンを盛り上げる。
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ。俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
お化け屋敷の暗闇を抜け、高らかに名乗りを上げたストロンガーは、ブラックサタン戦闘員を蹴散らし、コウモリ奇械人をもパワーでねじ伏せ、シャドウのアジトを吐かせようとする。
口を割らないコウモリ奇械人を金網に押し付けたストロンガーは、電ショックで金網に高圧電流を流し、コウモリ奇械人に大ダメージを与える。だがコウモリ奇械人は、一向に口を割らない。
「さあ、言え!パワーアップしてやろうか?コウモリの丸焼きが出来るぜ!」
もうどっちが悪役かわからない凄みでコウモリ奇械人を恫喝するストロンガー。
コウモリ奇械人は一瞬の隙をつき、空へ飛んで逃亡した。
そこに駆けつけたタックルは、戦場に落ちていたシャドウのカードを見つけ出していた。

城茂とユリ子は、山道に転々と落ちているシャドウのカードを追って、古びたお堂に辿り着いていた。そこに、付近の教会から怪しい鐘の音が鳴り響く。
何者かの気配を察知して身を隠した城茂たちは、お堂からブラックサタンの奇械人たちが棺を持ち出ていく現場を目撃する。奇械人メカゴリラや奇械人ハゲタカン、カマキリ奇械人たちがスーツを着て葬列に参列する中、何故かGOD悪人軍団のアリカポネも葬列に混ざっていた。シルクハットを被った姿がスーツに似合っているからなのだろうか?
葬列は、怪しげな呪文を唱えながら教会へと棺を運び込んでいった。

「天なる精霊、死の悪霊、万物の呪いによって、タイタンの死を悼み給え…」
葬列の後を追い、教会へと向かった城茂は、そこでタイタンの葬儀が行われている声を耳にする。
そして、教会に入った城茂たちが目撃したのは、虚ろな表情でパイプオルガンを弾くおやじさんの姿だった。声をかけても反応を見せないおやじさんに困惑する城茂とユリ子。
すると、先程運び込まれた棺の蓋がひとりでに開いた。
その中には、かつてストロンガーに倒されたタイタンの遺体が納められていた…。

棺には、一ツ目タイタンの目玉のように血走った目玉がついた不気味な花も納められていた。
花を手に取った城茂は、花についていたトゲに手を刺され、出血。
滴り落ちた城茂の血は、タイタンの遺体の口元へ付着する。
すると、タイタンの遺体が動き出し、口元に付着した血を舐め取った。
異変に気がついた城茂とユリ子が困惑する中、ブラックサタン大首領の声が響く。
「ブラックサタンの呪いの棺は、手を下した相手の血が流れる時、悪魔の復活祭となる」
すなわち、タイタンを倒した城茂の血が、ブラックサタン呪いの棺に納められていたタイタンの遺体に流れ落ちた時、タイタンは蘇る。
ジェネラルシャドウが戦場にカードを残していったのは、タイタン復活のための罠だったのだ。

蘇ったタイタンは、高笑いとともに、百の目を持つ異形の姿へと姿を変える。
「タイタンは百目タイタンとして蘇った。必ず貴様ら二人の生命はもらうと約束する!」
ストロンガーとタックルの抹殺を宣言した百目タイタンが姿を消すと、外で車のエンジン音が響いた。城茂はユリ子におやじさんを任せ、タイタンの乗る車を追う。
城茂はブラックサタンオートバイ部隊が護衛するタイタンの車めがけ、カブトローを走らせる。
だが、ブラックサタンオートバイ部隊は踵を返し、城茂の足止めを始めた。
一人、また一人とブラックサタンオートバイ部隊の数を減らしていき、足止めを突破した城茂はタイタンの車のルーフに飛び乗ったが、車内にいたのはコウモリ奇械人だった。
タイタンはまだ教会に隠れており、全ては城茂とユリ子を引き離す罠だったのだ。

走行する車の上で格闘を繰り広げる城茂とコウモリ奇械人。
コウモリ奇械人を車から蹴り落とした城茂は、ストロンガーに変身する。
そして、急ぎカブトローに飛び乗ると、コウモリ奇械人を置いて教会へと引き返した。
完全に置いて行かれるコウモリ奇械人がちょっと可哀想だ。

その頃、ユリ子はなんとかおやじさんの正気を取り戻させることに成功していた。
おやじさんが昼食を食べていると、突然トランプのカードが飛んできて気を失ったのだという。
教会を脱出しようとしたユリ子とおやじさんだが、そこにタイタンが立ち塞がった。
ユリ子はおやじさんを逃がし、単身タイタンに立ち向かおうとするが、力の差は歴然だった。
ユリ子はタックルに変身するが、タイタンも百目タイタンとなる。
タックルの電波投げは、何度やっても百目タイタンに通じなかった。
「俺が休んでいる間に、少しはマシになったと思ったが…少しも進歩していないようだな」
タックルは百目タイタンに気絶させられ、アジトへ連れ去られてしまう。

アジトに戻った百目タイタンは、自分がいない間に弛んでいなかったかと戦闘員の気を引き締める。だがそこに、おやじさんを捕らえたジェネラルシャドウが現れた。
「お前が俺の代わりをやっていたシャドウか…俺が蘇ったからにはもう、役目は終わったな!」
「笑わせてはいけない。ブラックサタン大首領のお情けで生き返った貴様だ。それも俺が手を貸してやったからだ。ありがたく思え…」
対抗意識をむき出しにする百目タイタンとジェネラルシャドウは、お互いに自分が捕らえた人質を差し出し、自分のストロンガー抹殺に協力するように言い合う。
二人の大幹部が、腕尽くで相手を従わせようとしたその時、ブラックサタン大首領の声が響いた。
「ブラックサタンの大幹部二人が争って何になる。戦う相手は、仮面ライダーストロンガーただ一人。二人のどちらがストロンガーを倒すか、それを競争してみよ!」

だが、大首領の言葉を受けても、ブラックサタンへの忠誠心を見せようとする百目タイタンと、ストロンガー抹殺に執念を燃やすシャドウは、どちらも引こうとしない。
すると、ブラックサタン大首領は、二人の人質をどう利用するか、その手法の巧拙で作戦実行を担う担当者を決めると言い出し、それに乗じた百目タイタンは、既にコウモリ奇械人に作戦を命じていると宣言した。
結局、ブラックサタン大首領は外様のジェネラルシャドウに作戦を発言することすら許さず、ブラックサタン生え抜きの百目タイタンに作戦実行権を委ね、ジェネラルシャドウには捕らえたおやじさんを百目タイタンに委ねるように命ずる。
ジェネラルシャドウは素直に引くが、その態度には不満が滲んでいた。
「シャドウ。ストロンガーは今日限りであの世行きだ。悪く思うなよ」
「カード占いによれば、ストロンガーの運命は、お前の手では死なないな…!」

教会に到着したストロンガー。だが、教会は既にもぬけの殻だった。
そこに、人質は悪魔ヶ原に置いてあるというタイタンの声が響く。
罠と知りながら悪魔ヶ原へ急行するストロンガーだが、その道程に、いくつもの花が咲いていた。
それは、タイタンの棺に納められていた、一ツ目を持つ不気味な花。
コウモリ奇械人が撒き散らしたその花は、ストロンガーが花を避けて通り、地獄への落とし穴が空いている荒れ地へ乗り入れさせるための罠だった。
だが、ストロンガーは平然と花を踏み越える。すると、花も地雷になっていた。
地雷の花畑の爆煙に消えるストロンガー。悪逆非道のタイタンはさらに、おやじさんのジープにユリ子とおやじさんを縛り付け、地雷原へ向けて走らせる。
目隠しをされたユリ子が絶望する中、おやじさんは諦めずにハンドルを操作して地雷の花畑を避けるが、ハンドルはすぐに戻ってしまい、ジープは再び地雷の花畑へ向けて走り出してしまった。

ついにジープが地雷の花を踏もうとしたその時、ジープが突然停車した。
生きていたストロンガーがジープを引き、停車させたのだ。
作戦に失敗したタイタンだが、余裕の構えを崩さずにストロンガーとコウモリ奇械人の勝負の高みの見物を決め込む。大首領の寵愛を受けているがゆえ、失敗しても後がある余裕、慢心だろうか。

ユリ子は襲いかかる戦闘員を地雷の花畑へ蹴り込み、地雷と戦闘員を同時に処理。
ストロンガーも飛びかかる戦闘員たちを躱し、反撃で数を減らしていく。
戦闘員は次々に地雷の花畑へ投げ込まれ、地雷原は一掃された。
ユリ子もタックルに変身し、脱出を図るおやじさんから戦闘員を剥がし、電波投げを決める。
ついにコウモリ奇械人との最終決戦に持ち込んだストロンガー。
鋭い飛膜を武器にするコウモリ奇械人に、ストロンガーは組み付いて飛膜の攻撃を防ぐ。
「ストロンガーアクション」の、水木一郎氏の高らかな叫びが戦いを盛り上げる。
だが、コウモリ奇械人は再び距離を取り、跳躍して飛膜で切り裂こうとする。
大木が真っ二つにされる脅威の武器。だが、裏を返せばその飛膜を破壊すれば勝てる。
死中に活を求めるように、ストロンガーは懐に飛び込み、電タッチで飛膜を破壊。
最大の武器を失ったコウモリ奇械人に、ストロンガー電キックを叩き込んで勝利した。

ブラックサタンのアジトでは、カード占いでタイタンの失敗を知ったジェネラルシャドウが勝ち誇っていた。戦力を増したブラックサタンだが、そこには不協和音が生じようとしている。
大幹部・百目タイタンは忽然と甦った。
シャドウ・タイタンの2大強敵を前に、ストロンガーの死闘が展開していくのである!

より残忍になった百目タイタンは、以前にも増して策略を好むようになり、卑怯な手段を厭わないどころか好んで使うようになった。組織へ忠実なこともだが、このように卑怯な手段で敵対者を苦しめる残忍さこそ、ブラックサタン大首領がタイタンを重用する理由なのだろう。
それゆえに、ストロンガー抹殺のみを目的とし、ストロンガーとの勝負には堂々とした態度で望むジェネラルシャドウは、ブラックサタンという組織にはそぐわない信念の持ち主であったことは想像に難くなく、魔の国から呼び寄せられた外様の客将であるという立場以上に、根本的な面でブラックサタン大首領に疎まれる存在だったのだと思う。

今回、ブラックサタン大首領はシャドウをタイタン蘇生のための手駒として使い、タイタン蘇生後は作戦行動をタイタンに優先させるなど、生え抜きの百目タイタンを寵愛し、外様のジェネラルシャドウを自ら呼び寄せておきながら冷遇する采配を取った。
ジェネラルシャドウという実力者を冷遇し、あろうことかタイタンの当て馬として使うこの判断の報いを、ブラックサタン大首領は後に自らの身を持って受けることになる。
ブラックサタン壊滅への秒読みは、既に密かに始まっているのだ…。

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