「仮面ライダーストロンガー」第18話「怪談 底なし沼」感想

2024年8月4日日曜日

仮面ライダーストロンガー 東映特撮YoutubeOfficial

t f B! P L

あらすじ

呪いの沼と呼ばれる沼で、キャンプファイアを行っていた一行が奇械人電気エイに襲われた。
助けを求められた茂はすぐに現場へと向かう。
だが、そこに沼はなく、1人の老人が立っているだけだった。

電気人間対電気人間!電気エネルギーを吸う強力奇械人を倒せ!

今回のブラックサタンの奇械人は、奇械人電気エイ。
かつて、ストロンガーと同じ改造電気人間である奇械人エレキイカが、ストロンガーと互角に渡り合う戦いぶりを見せたデータを反映して生み出されたと思われるこの奇械人は、やはりストロンガーと同じ改造電気人間であり、さらに電気エネルギーを吸収、放出する能力を持っている。
電気の力を帯びたストロンガーの攻撃を受ける度に、その電気エネルギーを吸収することを可能とした奇械人電気イカは、ストロンガーのエネルギーが尽きたと見るや、蓄積した電気エネルギーを放出して反撃。最大の武器であった電気エネルギーを逆用されたストロンガーは危機に陥る。
ストロンガー抹殺を目的とした強力奇械人を前に、ストロンガーは苦戦を強いられるのだった。

「怪談シリーズ」の2話目であるこの話の題材は、「底なし沼」。
奇械人電気エイのもう一つの目的は、呪いの沼と呼ばれる底なし沼のほとりでキャンプを楽しんでいた先生や子供たちを拉致し、サタン虫を寄生させて操ることである。
ストロンガーは、強力な奇械人電気エイを打ち破り、子供たちを救えるのか…。

平穏な沼のほとりで、キャンプに来ていた子供達と引率の先生がキャンプファイヤを楽しんでいた。だがそこに、不気味な風体の老人が現れる。
キャンプファイヤの火も消えてしまう中、不気味な老人の影が浮かんでは消え、人魂が飛ぶ。
少女たちが怯える中、引率の先生は明日になったら調べてみようとまともに相手にしなかった。

翌日、引率の先生は何を思ったか、お化けを探しに沼で泳ごうとしていた。
前日はお化けを信じていなかった少年も、沼の不気味さにどことなく不安を覚える。
そこに、前日に姿を見せていた不気味な老人が現れた。
隣村に住むという老人は、子供たちがキャンプをしていた沼には古くからの言い伝えがあり、沼の底には恐ろしい主がいて、ここで泳いでいた若者が潜ったまま浮かんでこなかったのだという。
だが引率の先生は強気で、沼の主の存在も信じず、泳いでいた若者が帰ってこなかったのも準備体操不足で溺れただけだと相手にしない。
老人はこの沼は呪いの沼であるのだと宣告し、不安に思った子供たちも引率の先生を静止するが、先生は沼の主の存在を確かめてやると沼に潜ってしまった。
生ぬるい水だが気持ちいいぞ!と話す先生だが、生ぬるい段階で気持ちよくはないと思う…。

忠告を効かない先生を愚かだと吐き捨てるように老人は消えた。
子供たちが不安に思っていると、突然先生が苦しみ始めて浮上。沼の主に襲われたのか?
だが、沼の底に潜んでいたのは、ブラックサタンの奇械人電気エイだった。
奇械人電気エイは先生の足を掴み、沈めてしまう。
子供たちが助けを求めて走り去る中、老人は無謀に挑戦する愚かさを嘲笑いながら沼の方へ歩き出し、姿を消してしまった。一瞬の静寂の後、奇械人電気エイが気絶した先生を釣れて浮上した。
そこに、タイタンが現れる。
タイタンは、標的が近くにいると奇械人電気エイに伝えに来たようだ。
だが、タイタンの咥えていた葉巻が、トランプのカードによって切り裂かれる。
タイタンがトランプのカードを投げ返した先には、ジェネラルシャドウがいた。

タイタンは、ジェネラルシャドウに手出し無用と釘を刺す。
一方、ジェネラルシャドウもタイタンのお手並みを拝見すると余裕を見せる。
「私と張り合う大幹部、タイタン君のお手並みをじっくりと拝見させて頂くつもりさ」
「邪魔をすれば生命はない」
「生命を大事にするのは、そっちだろ…?」
ストロンガー抹殺という目的は同じながら、二人の大幹部は対立する。
ブラックサタンへの忠誠を見せるためにストロンガーを抹殺せんとするタイタン。
自らが世界一の強者であることを証明するためにストロンガーを倒そうとするシャドウ。
巧妙争いをして相手を出し抜こうとする二人のやり取りが、ドラマに緊張感を与えている。

その頃、助けを求めた子供たちは、城茂に遭遇していた。
だが、子供たちに沼へ案内された城茂が目撃したのは、荒野に設置された不気味な祭壇だった。
先程まで確かにあったはずの沼がなくなっていることに困惑する子供たち。
そこに、先程の老人が現れる。呪いの沼は時として水をたたえ、時には消えるのだという。
老人は、先生を助けて山小屋で寝かせていると話し、子供たちは先生を心配して老人とともに山小屋に向かった。だが、城茂は消えたり現れたりする沼や、沼があったはずの場所に設置されている不気味な祭壇に不審なものを感じ、祭壇を調べることにした。
祭壇の近くには白骨があり、沼の水を排水する扉が設置されていた。
だが、排水口に気づいた瞬間、足枷が現れ城茂は動きを封じられてしまう。

足枷によって身動きが取れない城茂。すると、排水された水が再び沼へと流れ始めてきた。
祭壇の陰から現れた百目タイタンは、底なし沼で城茂を溺死させる作戦を立てていたのだ。
百目タイタンは城茂を殴打すると、戦闘員に監視を任せ姿を消す。
様子を窺っていたユリ子が助けに現れるものの、城茂は姿を消した子供たちや引率の先生がブラックサタンの陰謀に巻き込まれていることを察知し、そちらを助けに行くように促す。
しかし、沼の水位はみるみるうちに上昇し、城茂の姿は水中に消えてしまった。

城茂の溺死を確信した戦闘員たちがタイタンの元へ報告に向かおうとすると、水中で爆発が起こり、水柱が立ち上った。そして、足枷を破壊した城茂が跳躍し現れる。
タイタン相手ではユリ子一人で勝ち目はない。城茂は急ぎタイタンの下へ向かおうとする。
すると、その道中で例の老人が倒れていた。老人は子供たちを案内する途中で怪物に襲われたと言い、城茂は老人をおぶって山小屋まで案内するように促す。
だが、老人の正体はやはりブラックサタンの奇械人電気エイだった。
放電攻撃で城茂に先制攻撃を与えた奇械人電気エイは、触手を振るい城茂を襲う。
稲妻が走り、高圧電流が火花を上げる。
同じ改造電気人間に対し、城茂もストロンガーに変身する!

「変身…ストロンガー!天が呼ぶ!地が呼ぶ!人が呼ぶ!悪を倒せと俺を呼ぶ!俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
高らかに名乗りを上げたストロンガーと、奇械人電気エイの死闘が始まった。
ストロンガーは電パンチを炸裂させるが、奇械人電気エイは抵抗する素振りもなく電パンチをその身に受ける。すると、奇械人電気エイの胸の赤いランプが点灯した。
「どうした電気エイ!戦う意志はないのか!」
「フハハハ…これでも俺は戦っているのだ!」
奇械人電気エイを投げ飛ばしたストロンガーは電気を帯びたキックを炸裂させ、さらに電気の力を帯びた技を次々に炸裂させる。だが、奇械人電気エイにダメージは見られない。
奇械人電気エイの赤いランプが次々に点灯する一方、ストロンガーの身体からは力が抜けていく。
奇械人電気エイは、ストロンガーの電気エネルギーをそっくりそのまま奪う能力を持っていたのだ。今や、奇械人電気エイのパワーはストロンガーのパワー以上…!

完全に電気エネルギーを奪われたストロンガーは、奇械人電気エイの猛攻に成すすべがない。
ストロンガーは一か八か、沼へ逃げ込む。だが、それは改造電気人間相手には最悪の選択だった。
かつて、水中に逃げ込んだ奇械人を、ストロンガーが電気ストリームで粉砕してきたように。
奇械人電気エイは触手から電流を放ち、ストロンガーへ向けて火柱が走る。
ストロンガーは沼へと沈み、爆発とともに巨大な水柱が上がった。
ストロンガーを倒した奇械人電気エイは、ユリ子の抹殺へと向かうのあった。

山小屋に向かった百目タイタンの後を尾行していたユリ子は、山小屋に乗り込んだ。
だが、山小屋にタイタンの姿はない。そこに子供たちが姿を現した。
だが、子供たちは既にブラックサタンのしもべと化しており、耳には黒い痣があった。
子供たちに襲われるユリ子。さらに、奇械人電気エイまで姿を現す。
数の暴力の前に、ユリ子一人では成すすべもない。
ユリ子は気絶してしまい、タイタンは奇械人電気エイに、裏切り者に相応しい処刑を行うために、ユリ子を製材所へと運び込むように命ずるのだった。

その頃、ブラックサタンのアジトで完全に持て余されていたジェネラルシャドウは、カード占いでタイタンとストロンガーの戦いの行方を占っていた。
そこに、ブラックサタン大首領の声が響く。ジェネラルシャドウは、占いでタイタンがストロンガーに敗れることを予見していたが、ブラックサタン大首領に奇械人電気エイがストロンガーを倒し、岬ユリ子を捕らえたことを教えられて狼狽する。
外様のジェネラルシャドウではなく、自身に忠誠を誓う生え抜きの大幹部である百目タイタンが成果を上げて上機嫌になったブラックサタン大首領は、これでお前はライバルに大きく差をつけられた、とジェネラルシャドウを愚弄するような発言を行う。
宿敵と見定めたストロンガーがタイタンごときに敗れたことを信じられないジェネラルシャドウは、行動を起こすべくアジトを出るのだった。
「仮面ライダーストロンガーが、やすやすとタイタンごときにやられたとは思えんが…俺のカード占いでは、ストロンガーの死んだカードは見えてはいない!」

その頃、沼を訪れていたおやじさんは、水面に浮かんでいた城茂を発見、救助する。
意識を取り戻した城茂は、ユリ子や子供たちを救うために急いで戦いに向かおうとするが、おやじさんに傷ついた身で無策のまま、何処にいるかもわからない奇械人をどう見つけるのかと諭される。するとそこに、トランプのカードが投げ入れられた。
それは、ブラックサタン大首領に誇りを傷つけられ、百目タイタンごときに出し抜かれた怒りを抱いたジェネラルシャドウが、宿敵の生存を祝い、敵に塩を送った助け舟だった。
「城茂、やはり生きていたな。俺は安心したよ、喜ばしいことだ。俺の目的が残されているからだ。タイタンごときに手柄を立てられれば、俺の立場がなくなる…」
ジェネラルシャドウは、城茂にユリ子が製材所で処刑寸前であることを教えるのだった。

製材所では、丸太に縛り付けられたユリ子が、丸太を切り分ける帯鋸盤で両断されようとしていた。じわじわと迫る鋸で、ユリ子に死の恐怖を与えて処刑しようとする奇械人電気エイ。
だが、鋸がユリ子の身体に到達する寸前、帯鋸盤が停止した。
ストロンガーが製材所に到着したのだ。そして、ストロンガーがブラックサタンの目を引いている隙に、おやじさんがユリ子を救出に向かう。
「あの沼で、貴様くたばらなかったのか!」
「電気エイ!俺は最高級の改造人間だということを忘れていたらしいな!行くぞ!」
城茂が改造人間の素体として最上級ということは説明されていたが、改造電気人間ストロンガーとしてのスペック自体も最高級の改造人間だったということらしい。
同じ奇械人とは思えないほど、これまであらゆる奇械人を凌駕した能力を持っていたストロンガーだが、最上級の素体に、最高級の改造技術が合わさったなら、むべなるかなという気もする。

おやじさんに救出されたユリ子も、タックルに変身して戦闘開始。
ストロンガーとの連携で、ブラックサタンをぶっとばす。
その頃、おやじさんは、ブラックサタンのしもべになった子供たちに追い回されていた。
反撃するわけにもいかないおやじさんは、子供たちから逃げ回る。
戦闘員を一掃したストロンガーは、ついに奇械人電気エイとの再戦に挑む。
だが、奇械人電気エイの体には、今なおストロンガーから奪ったエネルギーが充満していた。
「ストロンガー!お前からいただいた電気パワーはたっぷりある!それにひきかえ、お前の電気パワーはいくらも残っておるまい!」
触手をストロンガーに絡みつかせた奇械人電気エイだが、ストロンガーはエレクトロファイヤーで反撃。それは、奇械人電気エイが吸収しきれないほどの電気パワーだった。
「気がついたか!この製材所の動力電気で、前よりも力がついているんだ!」
製材所の電気を吸い取り、パワーアップしたストロンガーは、奇械人電気エイを追い詰める。
「電気エイ!お前の力が勝つか、俺の力が勝つかだ!勝負!」
「おのれ…電気パワーは俺のほうがある!行くぞ!」

電気パワーを帯びた触手を振り回す奇械人電気エイだが、その一撃は尽く躱される。
結果として、奇械人電気エイが蓄えた電気パワーは急激に失われていた。
力だけが強化されたとて、それを振るう技が追いついていない奇械人電気エイに、ストロンガーは次々にパワーアップした、吸収しきれないほどの電気パワーを炸裂させる。
奇械人電気エイは触手を地面に叩きつけ火柱を走らせるが、ストロンガーもすかさずエレクトロファイヤーで相殺。結果、奇械人電気エイの電気パワーは完全に失われた。
もはや電気パワーがなく、触手を振り回す悪足掻きをする奇械人電気エイに、ストロンガーはストロンガー電キックで引導を渡すのだった。

子供たちや引率の先生も正気に戻り、沼のほとりに平和が戻った。
子どもたちの訪れた沼はもともと、呪いの沼でも底なし沼でもない、平穏な沼だったのだ。
作戦を邪魔されたタイタンはジェネラルシャドウを問い詰めるが、ジェネラルシャドウはしらばっくれる。二人の大幹部の反目は、決定的なものになろうとしていた。
絶体絶命の危機を脱した仮面ライダーストロンガー。
ブラックサタンのあくなき陰謀に、再び挑戦していく。

ストロンガーの電気パワーを吸収してしまう奇械人電気エイはかなりの強豪奇械人。
ストロンガーは製材所の動力電気によって吸収しきれないほどの電気パワーを身に着けたことでなんとか危機を脱したものの、これまで無法とも思えるほどの強さで奇械人を蹂躙してきたストロンガーが一敗地に塗れる衝撃の展開で危機感を煽られる、スリル満点のエピソードだった。
これまで多くの奇械人が水中に逃げ込んだ結果、ストロンガーの電気ストリームの餌食になった意趣返しのように、水中に逃げたストロンガーに高圧電流の火柱攻撃で大ダメージを与えているのも、強豪怪人としてのインパクトを強めている。
一方、最終決戦においては実戦慣れしたストロンガーに吸収した電気パワーを用いた攻撃を次々に躱され、吸収した電気パワーを全て失ったことで敗北しており、ストロンガーの強さは、強大な電気の力だけでなくそれを使いこなす技にもあることを描写しているのも素晴らしい。
力だけを奪い取ったところで、それを使う人間としての技と心がなければ勝利はないのだ。

また、今回はジェネラルシャドウをアジトで飼い殺しにしておきながら、生え抜きの大幹部であるタイタンが成果を上げたことを教え、あまつさえそれによって差をつけられたと宣告してくるブラックサタン大首領の采配の不味さも目立つエピソード。
ブラックサタン大首領としては、自身に忠実なタイタンの蘇生が完了した以上、ストロンガー抹殺にしか興味のないジェネラルシャドウを使う意味もなく、あわよくばジェネラルシャドウをライバルの存在によってタイタンを発奮させる当て馬に使おうという意識が見えるのだが、ジェネラルシャドウの力量をタイタンの当て馬にしかならないと見誤っていることが既に判断ミスである。
結果として、ブラックサタン大首領の軽率な発言はジェネラルシャドウに不満を抱かせ、タイタンの足を引っ張る行動を決心させただけでなく、奇械人電気エイの敗北を招くこととなった。
徐々にブラックサタン大首領へ不満を募らせていくジェネラルシャドウ。
一度鳴り始めた不協和音は鳴り止むことなく、ブラックサタンを蝕んでいく…。

QooQ