「電子戦隊デンジマン」第21話「死神党を攻撃せよ」感想

2024年8月18日日曜日

電子戦隊デンジマン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

秘密結社・死神党の手による残虐な殺人強盗が相次ぎ、デンジマンはその背後にベーダーの影を察知する。そして、青梅の妹であるサチ子の前に、青梅の元相棒・時夫が死神党の一員として現れ、サチ子の飼い猫・ミミがさらわれてしまった。

若者に迫る秘密結社の魔手 悪行の連鎖から救い出せ

今回のベーダー怪物は、ろうそくの怪物であるロウソクラー。
人間社会の裏で暗躍している、未来帝国の設立を目論む秘密結社「死神党」の信仰の対象である御神体の巨大蝋燭「死神様」に化けることで、死神党に心酔する若者たちをベーダー一族の思うままに操り、破壊工作を行わせて社会に混乱を引き起こすことを目的としている。

死神党の党員は、皆不気味なデスマスクを被って活動し、オートバイで暴走することで神出鬼没に現れ、現代の文明社会を破壊することを目論むカルト集団である。
そんな死神党に、破壊活動の報酬となる大金に目が眩んで加入してしまったのが、青梅やその妹のサチ子と共にサーカスで働いていた青年、時夫だ。
憧れのハーレーを購入する資金欲しさに死神党に加わった時夫だが、その活動の過激さに手を貸していることを後悔するようになり、死神党を抜けようとする。
だが、一度死神党に加わった者は、足抜けを許されない。苦しむ時夫は旧知の仲であるサチ子を尋ねて古巣のサーカスを訪れ、やがてその境遇は青梅も知ることになる。
青梅とサチ子は、死神党に取り込まれた時夫を救うことが出来るのか…。

深夜、デスマスクをつけた不審者の集団が、宝石店を襲撃した。
さらに、銀行も彼らに襲撃され、駆けつけた警官隊との銃撃戦が展開される。
「死神党」を名乗る彼らは、次々に宝石店や銀行を襲撃し、自分たちの行いを誇示するように、襲撃現場にデスマスクを残していくのだった。

電子戦隊も、死神党の派手な動きを掴んでいた。
死神党は未来帝国を夢見る世界的な秘密結社であり、腐りきった現代の文化を破壊して新しい文化を想像しようとするカルト集団である。
赤城は、これまで死神党は地下に潜んで活動していたにも関わらず、このところの襲撃では自分たちの存在を誇示するように派手に動き、デスマスクを残していくことに違和感を感じていた。
青梅もまた、死神党がベーダー一族と手を結んだ可能性に思い至るのであった。

その頃、無数の蝋燭が立てられた死神党のアジトでは、ひときわ大きな蝋燭が御神体「死神様」として崇められていた。その神託を受けた死神党員は、略奪の限りを尽くす決意を固める。
「1日も早く世界を死滅させるためには、莫大な軍資金が必要だ。奪え!」
だが、そんな死神党から脱走党員が出たとの知らせが入る。
決して脱走者を許さない死神党は、脱走党員を連れ戻すために追跡に向かうのだった。
そして、誰もいなくなったアジトで、御神体の蝋燭が火柱を上げる。
御神体はベーダー怪物・ロウソクラーとしての正体を現すのだった。

オートバイに乗って逃亡していた死神党の脱走党員の時夫は、死神党員の熾烈な追跡を受ける。
なんとか追手を撒いた時夫は、青梅がかつて所属し、妹のサチ子が働くサーカスへ向かった。
時夫はサチ子と同じサーカスで働いていたのだが、1年前にどこへともなく姿を消していた。
時夫と再会したサチ子は、行方が知れなくなり自分も青梅も心配していたことを伝える。
だがそこに、死神党の追手が現れた。
死神党員は時夫に党に戻るように脅し、時夫が拒否すると容赦なく銃を向ける。
時夫はサチ子を巻き込むことは出来ないと、党に戻ることを承諾しサーカスを去ってしまった。

サチ子から、時夫が死神党の一員になっていたことを聞いた青梅。電子戦隊は助けを求めるサチ子の頼みに応え、時夫を助け死神党の活動を防ぐべく、パトロールを強化した。
そして、死神党は今また、アフリカ秘宝展に出展するための秘宝を運ぶトラックを襲撃しようとしていた。その中には時夫もおり、時夫はこれっきりで死神党から縁を切ると必死に訴えながらも、死神党の一員としてトラックを襲撃せざるを得なくなる。
死神党のオートバイ部隊がトラックを包囲し、積荷を奪うべく攻撃を開始した。
トラックはバイクを躱せず停止し、死神党は警備についていた警備員を中で抹殺し、秘宝を奪ってしまう。だがそこに、デンジマシーンに乗ったデンジレッドとブルーが駆けつけた。

デンジレッドとブルーは、デンジマシーンに乗って死神党のオートバイ部隊と熾烈なチェイスを展開し、数人の死神党員を気絶させる。そして、トラックを奪い逃亡を図った死神党の別働隊の前には、デンジバギーに乗ったデンジイエロー・グリーン・ピンクが立ちふさがった。
合流して死神党を食い止めようとするデンジマンだが、そこにロウソクラーが現れる。
ロウソクラーは地面を炎上させ火の輪を作りデンジマンを包囲するが、デンジマンはデンジジャンプで脱出。しかし、足止めを終えたロウソクラーはすぐさま撤退してしまった。
死神党がベーダー一族と手を握ったのか、情報を掴むべく気絶している死神党員の一人を起こし尋問するデンジレッド。だが、死神党に心酔する死神党員は、死神党の不滅を叫び絶命した。
そして、気絶した死神党員の中には、あの時夫もいた。

その頃、ベーダー魔城では、ミラーとケラーが暴虐の限りを尽くす死神党の活動の進捗をヘドリアン女王に報告していた。死神党を裏で操る限り、デンジマンは同じ人間に対して積極的に攻撃することが出来ず、ベーダー一族は戦力を消耗することがないまま地球を死の星に出来る。
ヘドリアン女王は、さらに過激で破壊的な攻撃を死神党に実行させるように命ずるのだった。

病院に運び込まれた時夫を、青梅は何故死神党に与したのか問いただしていた。
だが、時夫には死神党に入った大した理由などなく、サーカスのブランコ乗りの稼ぎでは憧れのハーレーの購入資金を貯める事が出来ず、金のために死神党に入党しただけだった。
スロットマシーンのギャンブルに明け暮れていた頃に死神党員に声をかけられ、札束をちらつかせられたことで、軽い気持ちで死神党に加わり、密輸の見張りをしてしまったのだ。
サチ子は時夫の更生を信じ、警察に自首するように勧めるが、時夫は輸送車襲撃が最後の仕事だと信じて行っただけなのだと、自分の否を認められず顔を背けてしまう。
赤城は死神党の裏にベーダー一族の暗躍を感じ、連中が死神党の秘密を知る時夫を必ず奪い返しにくることを予測し、交代で病室の見張りを行うことにした。

大金と引き換えに犯罪に加担させ、一度協力した者を決して逃さず骨の髄まで利用しようとする死神党の手口は、SNSの闇として令和の現代を騒がせる、大金と引き換えに、「仕事」をちょっと手伝うだけだと騙して犯罪に加担させようとする「闇バイト」を想起せずにいられない。
時夫と同じように、眼の前の金に目が眩み、ただ「仕事」を手伝うだけなのだと自分を納得させて「仕事」を行った結果、犯罪に加担してしまい人生を棒に振る人が、令和の現代では多く存在する。このエピソードでは、時夫を利用しようとした死神党の裏にはベーダー一族という黒幕がいるが、現実には決まった黒幕などいないからこそ、余計に恐ろしい。

死神党のアジトでは、再び御神体となったロウソクラーが、死神党員に破壊活動を命じていた。
「いよいよ死神党の実力を世界に知らしめる時が来た!国防軍のミサイル基地を占拠し、東京・大阪・名古屋・九州・北海道の5大都市に、ミサイルを撃ち込み死の街にするのだ!」
御神体の信託を受けた死神党員はついに決起する。
誰もいなくなったアジトでは、ロウソクラーが再び正体を現していた。

緑川とあきらが病室を見張っていると、看護婦が時夫の病室に入っていった。
だが、その看護婦はケラーの変装だった。
ケラーは時夫を攫い、花瓶が落ちた音を聞きつけた緑川とあきらはデンジランドに連絡する。
そして、サーカスのサチ子に時夫から呼び出しの電話がかかり、サチ子は愛猫のミミを連れて時夫の元へと向かう。時夫は死神党から抜けるための最後の仕事に向かおうとしていた。
行けば殺されると時夫を引き止め、青梅に助けを求めようと訴えるサチ子。
だがその前に、死神党の面々が現れる。死神党はミミをサチ子から奪い、ミミを人質にした。
そして、ミミに危害を加えられたくなければ、時夫と同じくデスマスクを被り、死神党に協力して国防軍ミサイル基地襲撃を行うように迫るのだった。

サーカス団員からサチ子が時夫の元へ向かったことを聞いた青梅は、その後を追ってオートバイがサチ子たちを連れ去ったことを察知。電子戦隊は手分けしてサチ子の行方を探すことになった。
一方、国防軍ミサイル基地に接近した死神党は、ミラーとケラーと合流。
時夫とサチ子は、基地屋上の換気口から内部に潜入し、基地全体を監視する司令室にレーダーを狂わせる妨害電波を出す装置をセットする役目を強いられてしまう。
隣のビルからロープを伝い、換気口から内部へ潜入したサチ子は妨害電波発生装置をセットし、時夫は準備が完了した証の狼煙を上げる。仕事を終えた時夫は、これで自由になったと喜ぶが…。

妨害電波が司令室の監視モニターを狂わせ、死神党のミサイル基地襲撃が始まった。
死神党は基地内を蹂躙し、ロウソクラーの乗ったトラックをミサイル基地内部へと送り込む。
ロウソクラーは国防軍ミサイル基地を無血占領した己の手腕に笑いが止まらない。
デンジイエローたちを乗せたデンジバギーが国防軍ミサイル基地に駆けつけたが、見張りに変装した死神党員は彼らを騙し、上手く追い返すのだった。
ロウソクラーは、用済みとなった時夫とサチ子の抹殺を死神党員に命ずる。

5人合流したデンジマンは、異変を見つけられずに困惑していた。
だが、デンジブルーが草むらに捨て置かれたミミを発見。
デンジブルーはその存在から、サチ子と時夫が国防軍ミサイル基地周辺にいることを察知する。
その頃、サチ子と時夫は、自分たちの抹殺を狙う死神党から隠れてミサイル基地からの脱出を目指していた。ようやく基地の外に出た二人だが、ついに追手に見つかってしまう。
時夫は足を撃たれ、サチ子は肩を撃たれる。絶体絶命の危機。
だがそこに、デンジブルーが駆けつけた。

デンジレッドたちも合流し、死神党員を蹴散らすデンジマンたち。
ロウソクラーはデンジマンの接近に、ミサイルをすぐに発射するように命令する。
だが、デンジマンはデンジタイガーを出撃させ、ミサイル発射設備を先制攻撃で破壊。
ベーダー一族による5大都市破壊計画を阻止することに成功した。
逃亡するロウソクラーの前に、デンジマンが高らかに名乗りを上げる!
「見よ!電子戦隊!デンジマン!!」

ロウソクラーはダストラーを呼び出し、ついに1大決戦が始まった。
デンジブルーは隼の如き素早さの隼アタックでダストラーを蹴散らす。
ロウソクラーはロウソク爆弾を投げつけ攻撃するが、デンジブルー怒りの反撃で昏倒。
デンジマンはその隙を見逃さず、デンジタワーからのドラゴンフライを炸裂させると、最後のトドメのデンジブーメランを間髪入れずに叩き込み、ロウソクラーは敗れた。

数日後、入院していたサチ子と時夫は無事に退院し、死神党も壊滅。世間に平穏が戻った。
死神党を操って、5大都市破壊を目論んだベーダーの陰謀は、デンジマンの活躍で打ち砕かれた。
時夫たちはサーカスに戻り、再び華やかなステージを取り戻した。
時夫の目には、もう一度真面目にやり直そうと思う強い決意があった。
だが、今回の一番の殊勲者は、子猫のミミなのかもしれない。

純朴な物欲、憧れのバイクへの夢。それを実現するためには大金が必要という現実。
その狭間で苦悩する若者の心の隙に付け込み、大金で人を犯罪に加担させようとする死神党は、令和の現代でも闇バイト問題として社会問題となっている悪意そのもの。
犯罪に加担することを拒み組織から抜け出そうとする者には制裁を加えることも辞さない、その恐ろしさは反社会的な秘密結社として極めてリアリティがある描写となっていた。

反社会的な勢力である死神党を裏から操ることで自分たちの戦力の消耗を最小限に抑えたまま地球を死の星にしようとしたベーダー一族の悪辣さも印象深いエピソード。
ベーダー一族の出番は今回最小限に留まっているが、人間たちの悪意に目をつけ同じ人間の手で人間たちの抹殺を目論むその手口は非常に恐ろしい。

ロウソクラーは珍しく巨大戦がなく、デンジマンとの決戦で巨大化することなく敗れている。
そのため、今回はダイデンジン=デンジファイターの出番がないエピソードになっているが、その分デンジタイガーが久しぶりに単独で攻撃能力を発揮し、先制攻撃でミサイル発射設備を破壊、ミサイル発射による5大都市の破滅を防ぐ大活躍を見せている。
毎回の巨大メカ活躍シーンを通り一遍の決まったルーティンワークにするのではなく、毎回のシチュエーションに沿った活躍シーンを用意して視聴者を飽きさせない工夫が素晴らしい。

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