「電子戦隊デンジマン」第22話「超時間ふしぎ体験」感想

2024年8月18日日曜日

電子戦隊デンジマン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

ベーダーの本格的な時間操作作戦が発動する。
時間を自由に操るタイムラーの力で刑務所から凶悪犯が次々に脱走した。
そして、緑川は父親がまだ生きていた4年前に時間を戻され、デンジマンの記憶を失ってしまう。
記憶をなくしたまま現代に戻される緑川だが、アイシーによって記憶が復活し…。

恐怖の人間原始人化計画 時を超えた父との再会

今回のベーダー怪物は、時間を自由に操る能力を目論むタイムラー。
凶悪な死刑囚を次々に脱獄させ、彼らを素体に染色体を組み替えて原始人へと退化させ、凶暴な原始人部隊の結成を目的とするベーダー怪物だ。
時間を操作する能力によって、向かってくる敵の動きを遅くしたり、行動を巻き戻すなどして混乱させる事が可能なほか、ビームを放ち過去・現在・未来へ対象を時間移動させることが出来る。
英語交じりで話す口調も特徴的だ。

死刑囚の脱獄事件にベーダー一族が関わっていると踏んだ緑川は、変装して刑務所に乗り込み、そこで脱獄した死刑囚たちがベーダーの秘密基地に集められている現場を目撃。
しかし、刑事時代の緑川を知る死刑囚によって潜入が露見した緑川は、タイムラーの能力によって4年前の過去に送り込まれ、そこでベーダーに殺された父と再会する。
束の間、父と再会した緑川は、デンジマンとなった記憶を失ってしまい、そこを再びタイムラーの能力によって現代に引き戻され、電子戦隊の仲間の記憶を失ったまま現代に帰還してしまう。
仲間の記憶を失い、父が既に絶命した事実に打ちのめされた緑川は、果たして再起出来るのか…。

真夜中の刑務所では、刑務官が檻の施錠を行い、仕事に一段落をつけていた。
すると、時計の針が突然高速で逆回転を始め、刑務官は気を失ってしまう。
そして、ベーダー怪物のタイムラーとミラー、ケラーが現れ、鍵を奪った。
タイムラーたちは鍵を使って死刑囚の黒鬼健造を脱獄させる。

翌朝、電子戦隊の面々はテレビのニュースで死刑囚の脱獄事件を知った。
警戒厳重な刑務所に忍び込み脱獄を成功させる、あまりにも鮮やかすぎる手際に、電子戦隊の面々はこの脱獄事件にベーダー一族が関わり、ベーダーと凶悪犯が手を結んだ可能性に思い当たる。
緑川は東刑務所に張り込むことにした。

深夜、車の中で張り込んでいた緑川は、腕時計の時計の針が逆回転する光景を目の当たりにする。
そして、ミラーとケラーがまたしても死刑囚を脱獄させる現場を目撃するのだった。
トラックに乗って逃亡したベーダー一族を追って、緑川はデンジスパーク。
デンジグリーンとなって、デンジダッシュでトラックを追跡する。
停車したトラックに追いついたデンジグリーンは、そこからベーダーの地下アジトへ潜入した。

ダストラーの警備を突破し、アジトの奥へと踏み込んだデンジグリーンは、そこでミラーとケラーが凶悪犯を連れてアジトの地下へと降りていく現場を目撃。
アジトにあった作業着に着替えた緑川が、ミラーとケラーが凶悪犯を連れて行った先へと向かうと、そこではこれまで脱獄した凶悪犯たちが豪華な食事を楽しんでいた。
声をかけてきた凶悪犯、冒頭に脱獄した黒鬼に声をかけられた緑川は、凶悪犯に紛れてベーダーの目的を探ろうとするが、凶悪犯の一人は緑川の顔に見覚えがあった。

アジトを探る緑川は、不審な物音を追ってアジトの奥へと踏み込んでいく。
その先で、緑川は高度な科学力で作られた装置を目撃した。
そしてその頃、緑川の顔に見覚えのあった凶悪犯の一人は、緑川が刑事だったことを思い出す。
緑川が、この装置がいったい何のために作られたのか訝しんでいると、そこにミラーとケラー、そしてタイムラーが現れた。タイムラーは緑川に「過去ビーム」を浴びせる。
すると、緑川の身体は現在の時間軸から消え失せ、タイムトンネルを抜け過去へ向かうのだった。

気づいた時には、緑川は4年前の世界にいた。
そしてそこで、緑川はベーダー一族に殺された父親と再会する。
タイムラーは時間を自由に操作できる怪物なのである。
父親とともに殺人犯の自宅へと踏み込んだ緑川は、逃亡する殺人犯に飛びかかり、逮捕する。
その様子は、ベーダー魔城のモニターを通してヘドリアン女王とヘドラー将軍にモニタリングされていた。緑川がデンジマンになる前の、4年前の意識に戻ったことを知ったヘドリアン女王は、デンジマンの記憶を失った緑川を現代に戻し、電子戦隊を混乱させる策を思いつくのだった。

タイムラーは、アジトのモニターを通して4年前の緑川に「現在ビーム」を発射した。
すると、緑川の身体は4年前の時間軸から消え失せ、今度は現代へと逆戻りする。
だが、緑川の記憶は4年前のままだった。
緑川はすぐに黄山とあきらに発見されるが、デンジマンの記憶を失った緑川は黄山たちが誰なのかわからない。アスレチッククラブに連れてこられた緑川は青梅や子供たちにも面通しされるが、当然何も覚えているわけがなかった。するとそこに、チーコがやってくる。
旧知の仲であるチーコが現れたことに安心した緑川は、チーコに助けを求める。
だが当然、チーコは今更仲間のことを知らないと言い出す緑川を訝しむ。
指名手配中の殺人犯を捕まえたばかりだと話す緑川に、チーコはそれは4年前の出来事だと諭す。
緑川は、もはや何がなんだかわからずにいた。

緑川の記憶を奪ったベーダー一族は、あえて死刑囚・郷原の誘拐を予告してきた。
そこで、電子戦隊は緑川を欠いたまま、郷原の護衛にあたる。
だが、突然デンジマシーンのメーターの針がでたらめに回り、デンジマシーンやデンジバギーが逆走を始めた。それもまた、タイムラーの能力である。
死刑囚を護衛すべく、襲撃してきたダストラーと戦うデンジマン。
だが、タイムラーは「スローモーション・タイム」でデンジマンの動きを鈍らせ、「バックタイム」で護送車を自由に操り、死刑囚を連れ去ろうとする。
護送車を追おうとしたデンジマンは、「バックタイム」で全く前に進めない。ベーダー魔城でそれを見ていたヘドリアン女王は、憎きデンジマンを翻弄したことに大いに喜ぶのだった。

負傷し、撤退した電子戦隊の面々。緑川のデンジマンとしての記憶を奪った上であえて挑戦してきたベーダー一族の狡猾さに憤りを隠せない青梅たち。
赤城は、ベーダー一族が死刑囚を集め、タイムマシンで何をしでかそうとしているのか、その狙いが見えないことに焦りを隠せず、緑川の記憶を急ぎ取り戻す必要性を感じていた。

その頃、緑川は父の墓前に参っていた。
さっきまで共に凶悪犯を追っていたはずの父が、既に死んでいるという現実に混乱する緑川。
そこに現れた電子戦隊の面々は目を覚ますように呼びかけるが、父の死が悪夢だと信じる緑川は、父の死という現実を突きつける電子戦隊の面々に、自分につきまとうのはやめろと叫ぶ。
その時、黄山はとっさの閃きで、かつて自分たちの使命を呼び起こしたアイシーに緑川を会わせれば、再びデンジマンの使命と記憶を呼び覚ますことが出来るのではないかと思いつくのだった。

電子戦隊は、急ぎ緑川を連れてデンジランドに向かった。緑川はそこでアイシーと対面する。
アイシーは、かつて初めて緑川と会った時のように、デンジグリーンとなってベーダー一族と戦う使命を呼び起こすべく声を掛ける。すると、緑川の脳裏に、ベーダー一族による父の死と、使命に導かれデンジランドヘ向かい、仲間たちと出会った記憶が蘇った。
仲間たちの名を思い出した緑川は、今再びデンジグリーンとしての使命を取り戻したのだ。

本町警察署に、また一人ライフル魔として世間を騒がせる凶悪犯が護送されてきた。
しかしそこにタイムラーたちが現れ、時間を止めて凶悪犯を拉致する。
ベーダー一族が凶悪犯を集めて何をするのか探るため、緑川はベーダー一族が緑川がデンジマンとしての記憶を失ったままだと思っていることを利用し、アジトへ潜入することを決意する。

緑川はギターを弾き鳴らし、「ひとりぼっちの青春」を歌う。
そこに現れたダストラーの前に、緑川は投降。
緑川がデンジマンの記憶を失ったままだと思っているミラーとケラーは、緑川を奴隷とすることで、デンジマンに屈辱を味わわせようとする。
ベーダー一族の基地の中で、凶悪犯たちに弾き語りを披露する緑川。
欺かれていることに気づいていないミラーとケラーは、そんな緑川を哀れだと嘲笑う。

夜になって、凶悪犯たちが寝静まった頃。緑川は再びアジトの奥へと踏み込んでいく。
弾き語りをするフリをしてミラーとケラーたちがタイムマシンの準備をする現場に踏み込んだ緑川は、一瞬の隙をつき、タイムラーの胸の時計の針を正方向へと回す。
それにより、タイムラーは「未来ビーム」を緑川へと放ってしまう。
緑川の身体は再び現代の時間軸から消え失せ、未来の時間軸へと飛んでいくのだった。

未来の時間軸へと飛んだ緑川は、檻に閉じ込められた原始人たちに襲われる。
そして、アジトの外に出た緑川は、原始人たちが跋扈する地獄のような光景を目の当たりにする。
ベーダー一族は、時間を逆行させるとともに、人間の染色体の構造を組み替えて原始人へと変えてしまい、原始人部隊を作り上げることを目論んでいたのだ。
陰謀を知られたベーダー一族は、緑川を再び「現代ビーム」で現代の時間軸へと戻す。
騙された挙げ句、計画の全貌を暴かれたミラーとケラーは、緑川の抹殺へ乗り出した。

タイムラーは「クイックモーション・タイム」で緑川の動きを早め、身体の自由を奪い翻弄する。
そして、最後のトドメとして槍を投げつけたが、その槍はデンジスティックに叩き落された。
デンジレッドたちが緑川の救援に駆けつけたのだ。緑川もデンジスパークし、戦列に復帰する。
「見よ!電子戦隊!デンジマン!!こっちにもスーパーサイエンスがあるんだ!」
「抹殺せよ!」

デンジマンとベーダー一族の決戦が始まった。
軽快な技でダストラーを蹴散らすデンジマンだが、タイムラーは時間を自由に操り、デンジマンやダストラーの動きを思うままに操ってデンジマンを苦しめる。
ショットガンで突撃しようにも、ショットガン返しで動きを封じられるデンジマン。
だが、デンジマンは額の電磁メカのデンジストーンからショック光線を放つ「デンジスーパーサイエンス」を浴びせ、タイムラーの時間操作能力を封じ、集中攻撃を加える。
そして最後のトドメの電子稲妻落としを炸裂させ、タイムラーの脳天を打ち砕くのだった。

だが、タイムラーは巨大化し、デンジマンもダイデンジンに乗り込んだ。
最終決戦は、デンジボールでタイムラーを痛めつけ、電子満月斬りを炸裂させたダイデンジンの勝利。ここに、ベーダー一族の原始人部隊計画は潰えた。
そして、タイムラーが時を操ったことで脱獄に成功した凶悪犯たちは、タイムラーの消滅でタイムパラドックスが生じ、本来いるべき時間軸からも、現代の時間軸からも消え失せてしまう。
ベーダー一族のアジトは盛大に大爆発する。
牢から消えた死刑囚たちは、二度と姿を現さなかった。
おそらく、遠い過去の時代にタイムスリップしてしまったに違いない。

緑川の主役回となる今回のエピソードは、「ひとりぼっちの青春」の弾き語りの披露や、ベーダー一族によって抹殺された父との束の間の再会が、ベーダー一族の陰謀によるタイムスリップによって実現してしまう皮肉な構図がドラマチックな展開を生んだ秀作となっている。
緑川のデンジマンの記憶の復活が、一度デンジマンとしての使命を呼び覚ましたアイシーによって再びデンジマンとしての使命を呼び覚まされるカタチで成されるのも、第1話を踏まえた展開で、アイシーの持つ超能力を改めて印象付けるものになっている。

タイムラーの時間を操り敵の動きを自在に操る能力は、スローモーションや逆再生を駆使した映像表現が秀逸なもの。逆再生は東映等身大ヒーロー作品において、ヒーローの持つ超人的な身体能力を表現するために多用されており、それを怪人の能力として描写するアイデアが素晴らしい。
英語交じりで話す台詞周りも印象的で、台詞自体はそこまで多くはないが記憶に残る怪物だった。

タイムラーの能力によって脱獄を果たし現在の時間軸に存在していた死刑囚たちが、タイムラーの消滅に伴いその能力の効果を失ったことで、現在の時間軸からも、元いた時間軸からも消え失せてしまうのはなかなかにショッキングなオチ。
人間社会で罪を犯した死刑囚とはいえ、人命を犠牲にするベーダー一族は、やはり恐ろしい。

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