あらすじ
刻一刻と迫る導火線の火。
そして、奇械人ケムンガの繭に閉じ込められてしまった仮面ライダーストロンガー。
冷たく笑うタイタンの目は、勝利を目前にして勝ち誇っていた。
ストロンガーは何とか繭から脱出しようとするが…。
百目タイタン最後の挑戦!極限パワーの弱点を穿て!
前回、奇械人ケムンガの繭に巻き込まれ、閉じ込められたストロンガー。
そして、繭の中で変態を遂げた奇械人ケムンガは、奇械人ドクガランへと成長を遂げた。
奇械人ケムンガ時代と同じく変装を得意とし、今度はユリ子に化けて城茂を油断させようとする。
口から吐く鋭い槍を武器とする奇械人だ。
ストロンガーごと繭を作った奇械人ケムンガを、強力エネルギー爆弾で爆破してストロンガー抹殺を目論んだ百目タイタン。ジェネラルシャドウとの手柄争いに躍起になったタイタンが、再び奇械人を捨て駒にする作戦を実行したことで、卑怯な手段を嫌うジェネラルシャドウは、百目タイタンと決定的に袂を分かつことになる。
しかし、結果的に奇械人ケムンガの繭は強力エネルギー爆弾ですら破壊できず、タイタンは奇械人ケムンガの繭を、自らが支配する地底王国への大穴に落とすことで破壊を目論む。
だが、奇械人ケムンガの繭はその衝撃にすら耐えてしまい、奇械人ドクガランの羽化に伴って城茂も繭からの脱出に成功する。だが、城茂の体内の電気エネルギーは尽きていた。
やがて、城茂の生存を知った百目タイタンも地底王国へ向かい、一大決戦が幕を開ける。
果たして、城茂は百目タイタン最後の挑戦を打ち破ることが出来るのか…。
ジェネラルシャドウと張り合い、ブラックサタン幹部の地位をかけて仮面ライダーストロンガーの命を狙うタイタン。タイタンに捕らえられて処刑寸前のユリ子と藤兵衛を助けるべく、処刑の丘に駆けつけたストロンガーは、タイタンの卑怯な罠にかかり、奇械人ケムンガの吐き出した異様な繭に閉じ込められた。そしてタイタンは、繭もろとも、仮面ライダーストロンガーを粉々に爆破すべく、導火線に火を点けたのだった。
導火線の火が爆弾に辿り着くまで残り10秒。だがそこに、トランプのカードが飛来し、導火線の火を消した。カードを投げたのは、もちろんジェネラルシャドウである。
タイタンは自らを邪魔するジェネラルシャドウに怒りを見せる。
だがジェネラルシャドウは全く動じず、タイタンに質問を投げかける。
「シャドウ!邪魔立てすると許さんぞ!」
「邪魔はせん。ただ、ちょっと聞いておきたいことがあってな。この繭の中にはライダーストロンガーがいるには違いないが、ケムンガもいるはずだ。一緒に殺す気かね?」
「それがどうした!ブラックサタン大首領の至上命令とあらば、部下の命など物の数ではない!」
「なるほど…それがブラックサタンのやり方か」
「黙れ!貴様…俺に手柄を立てられるのが悔しくて、文句をつけに来たな!」
「まあいい…今日は人の身、明日は我が身だ。せいぜい気をつけることだな」
ブラックサタン大首領の命令ならば部下を平然と捨て駒にするタイタンのやり方は、かつて奇械人エレキイカを捨て駒にしたように、今に始まったことではない。
それがブラックサタンのやり方なのだ。
だが、ジェネラルシャドウは、部下を捨て駒にするやり方を当然とするブラックサタンにいる以上、大幹部のタイタンとてブラックサタン大首領のためなら奇械人と同じく平然と捨て駒にされるような存在でしかないと見透かし、そんなブラックサタンの組織内の地位を気にして手柄争いに躍起になるタイタンに見切りをつけたように姿を消すのだった。
タイタンは再び導火線に火を付ける。もはや繭の爆破まで、幾ばくの猶予もない。
一方、繭の外では自分が捨て駒にされていると知る由もない奇械人ケムンガは、繭にストロンガーを閉じ込めたことで、もうすぐストロンガーを窒息死させられると勝利を確信していた。
ストロンガーも、自分の力では繭を破れないことに焦りをにじませる。
そして、ついに導火線が爆弾に到達し、奇械人ケムンガの繭は爆煙に消えた。
爆発を確認したタイタンは、ついにストロンガーをこの手で倒し、ブラックサタン生え抜きの大幹部にふさわしい手柄を上げて組織での地位を絶対にしたことに狂喜する。
だが、なんと奇械人ケムンガの繭は強力エネルギー爆弾にもびくともしなかった。
奇械人ケムンガの繭は電気だけでなく、どんな圧力にも高熱にも耐えるのだ。
そこまでの強度を誇るなら、なんだかこの繭や繭を作る奇械人ケムンガにはもうちょっと効果的な使い方がありそうな気もするが、ともかくタイタンは次の手に移る。
タイタンは数千メートルの深さがある、自らの故郷である地底王国へと続く縦穴へ奇械人ケムンガの繭を運ばせ、地底王国へ落とすことで城茂の始末にかかる。
繭は地底へと消え、タイタンはストロンガーも二度と日の目を見るまいと勝ち誇るのだった。
タイタンは、既に満身創痍のユリ子とおやじさんを磔にしたまま放置し、処刑の丘から去る。
最後の希望であるストロンガーの敗北に、ユリ子とおやじさんも絶望の色を隠せない。
地底王国へ落下した奇械人ケムンガの繭は、またしても傷一つない圧倒的な強度を見せていたが極寒に晒されており、繭の内部のストロンガーの身体は凍りつこうとしていた。
真夜中になった。
ついにストロンガーが助けに来ず、ユリ子とおやじさんはストロンガーの死を確信する。
それでもなお、絶望せず希望を持つようにユリ子を励ますおやじさん。
するとそこに、閃光を放つカードとともにジェネラルシャドウが現れた。
ジェネラルシャドウはおやじさんにカードを引かせ、二人の運命を占わせる。
おやじさんが口で引いたカードは、ハートのエースだった。
カードを見たジェネラルシャドウは、トランプショットで二人を縛る縄を断ち切る。
何故か敵を助ける行動を見せるジェネラルシャドウは、理由を語り始めた。
「理由は3つある。第一に、占いが助かると出た。第二、俺は人質を取るようなやり方は好かん。第三、俺はストロンガーを倒せば良い。そしてそのストロンガーは、生きている」
ストロンガーの生存を教えたジェネラルシャドウは、人間の行けるような場所にはないと言いながら、奇械人ケムンガの繭が落ちた先をユリ子たちに教えるのだった。
ユリ子とおやじさんは、縦穴にロープを垂らし、果敢に地底王国へと向かう。
だが、コウモリに邪魔され、二人は奈落の底へと落下していくのだった。
ブラックサタンのアジトでは、タイタンがブラックサタン大首領にストロンガーの始末をつけたことを報告していた。生え抜きの大幹部がようやく手柄を上げたことに、ブラックサタンの誇りであるとタイタンを称えるブラックサタン大首領。しかしそこに、ジェネラルシャドウが姿を見せる。
ジェネラルシャドウがストロンガーの生存を告げると、自分をぬか喜びさせたタイタンに失望したブラックサタン大首領は、その始末を自分で告げるように命じる。
ジェネラルシャドウが警告したように、部下を目的のためなら切り捨てるブラックサタンにおいては、タイタンもまたブラックサタン大首領に切り捨てられる存在でしかないのだ。
百目タイタンは自分が正しいか、シャドウが正しいかの結果を見せつけるため、ジェネラルシャドウを連れ、アジトから直通のリフトで地底王国へと向かう。
その頃、ストロンガーは奇械人ケムンガの繭が暖かくなり始めたことを察知する。
そこで、繭を温めれば奇械人ケムンガが孵化し、繭から脱出することが出来る可能性に思い至ったストロンガーは、最後の力で電気ストリームを発動。繭を急激に温める。
一方、地底王国に戻った百目タイタンは、氷の谷に落とした奇械人ケムンガの繭に異変がないことを配下に確かめ、勝利を確信する。だが、ジェネラルシャドウも余裕の構えを崩さない。
急激な熱に耐えるストロンガー。だが、ついに変身も解けてしまう。
絶体絶命の危機の中、ついに奇械人ケムンガが孵化。
繭を突き破り、成虫となった奇械人ドクガランとなった。それに乗じて、城茂も繭から脱出する。
何も知らずに繭から出ると突然地底王国にいた奇械人ドクガランだが、とりあえずは眼の前の城茂を始末すべく毒の鱗粉を撒き散らし始める。
城茂も抵抗するが、エネルギーの殆どを失いストロンガーに変身できない。
なんとか氷の谷の氷柱に岩をぶつけて氷柱を落とし、奇械人ドクガランを退けた城茂は、ユリ子とおやじさんを探して脱出すべく、地底王国を彷徨い始めた。
城茂が氷の谷から脱出したことは警報装置で百目タイタンの知るところになった。
ジェネラルシャドウは、ストロンガーはタイタンに手に負える存在でないとほくそ笑む。
怒りの百目タイタンは、地底王国の配下に城茂をマグマの谷へと誘導するように命ずるのだった。
地底王国から次々に現れる追手を躱し、城茂は突き進んでいく。
だが、ついに追手に取り囲まれてしまい、一点に誘導される城茂。
通路の壁にあった隠し扉へ向けて突き飛ばされた城茂は、マグマの谷へと誘い込まれてしまった。
マグマの谷からの脱出を図る城茂は、そこでジェネラルシャドウに遭遇した。
ジェネラルシャドウもまた、逃げ場のないマグマの谷へと誘導され、百目タイタンに城茂と互いに潰し合うように仕組まれたのだという。どちらが勝ってもタイタンの得でしかない。
そして、ジェネラルシャドウにとって、地底で変身するにはエネルギーが足りない城茂と戦い勝っても、その勝利には意味がなかった。ジェネラルシャドウはトランプショットで崖に横穴を開け、城茂を穴の先へと突き飛ばす。さっきから突き飛ばされてばっかりだ。
突き飛ばされた先は、地底湖が広がる空間だった。城茂はそこでユリ子と遭遇。
だが、おやじさんの行方を尋ねると、ユリ子は突然汚いダミ声で話し始めた。
奇械人ドクガランが前回おやじさんに変装したように、今度はユリ子に変装していたのだ。
しかし、遭遇してすぐに正体を自ら明かしているので、特に意味がない行動だ…。
奇械人ドクガランに投げ飛ばされた城茂は、そこで囚われのユリ子とおやじさんを発見。
だが、何度か偽物に騙されたせいで、城茂はすぐに二人を助けない、いけずなところを見せる。
あっさりと二人を救出し、ユリ子におやじさんを任せた城茂は、奇械人ドクガランに挑む。
ユリ子はタックルに変身し、戦闘員を蹴散らしていく。
そして、城茂も「宇宙からエネルギーはもらった」と、ストロンガーに変身する!
「変身…ストロンガー!天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ。俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
奇械人ドクガランは口から槍を飛ばすが、ストロンガーはあっさりとそれをキャッチ。
そのまま槍を投げ返して奇械人ドクガランの体を貫く。
そこに、間髪入れずにストロンガー電キックを炸裂させ、奇械人ドクガランは爆散した。
タイタンとの決着もあるとはいえ、なんだかあっさりとした決着だ…。
そして湖から、戦闘スタイルになった百目タイタンが現れる。
「ストロンガー。一騎打ちだ。ここは俺が君臨する地底王国。生かしては返さんぞ!」
ストロンガーと百目タイタンの最終決戦が始まった。
百目タイタンは絶大な破壊力を持つ破壊銃を乱射し、ストロンガーを攻める。
しかしストロンガーは接近し、飛び蹴りを連発。百目タイタンの銃を跳ね飛ばす。
ならばとばかりに、百目タイタンが灼熱の炎を放つファイヤーシュートで攻めれば、ストロンガーはそれをジャンプで躱してスクリューキックで反撃し、エレクトロファイヤーで追い打ちを仕掛けるが、なんとエレクトロファイヤーの火柱が百目タイタンに当たると真っ二つに散ってしまった。
30倍にパワーアップした百目タイタンには、ストロンガーの電気エネルギーは通じないのか。
だが、ストロンガーは向かってくる百目タイタンを、冷静に足払いで転ばせて組みつく。
30倍という無理な倍率でのパワーアップをしたならば、異常な量のエネルギーを注入した身体がその莫大なエネルギーに耐えられず、身体の何処かに裂け目が生じているはず。
ストロンガーの推測は当たり、百目タイタンの両肩には無理に注入したエネルギーの裂け目が生じていた。ストロンガーは両足で蹴り込むストロンガーダブルキックで両肩を破壊。
エネルギーの裂け目を破壊された百目タイタンは戦闘不能に陥り、マグマの谷へ逃げ込む。
百目タイタンを追って、マグマの谷に辿り着いたストロンガー。
すると、百目タイタンは突然自身の敗北を認め、ストロンガーの健闘を称え始める。
だが、百目タイタンは苦しみながら、煮え滾るマグマへとストロンガーを誘導しようとしていた。
百目タイタンは最後の握手をストロンガーに求める。
それはもちろん、煮え滾るマグマにストロンガーを引き込む、最後の罠だった。
ストロンガーの手を取った百目タイタンはマグマの中へストロンガーを道連れにしようとするが、その手はあっさりと跳ね除けられ、ストロンガーにとどめを刺される。
百目タイタンは、ブラックサタンの栄光を叫び、マグマの中へ消えていった。
ストロンガーとタックルは、おやじさんを連れて地底王国から脱出する。
そして、地底王国は大噴火し、マグマの中へ全てが消えていくのだった。
城茂は、異常な執念で向かってきた百目タイタンを、敵ながらたいした奴だったと称える。
自身の忠告も聞かず、権力争いに取り憑かれ滅んだ百目タイタンが遺した、小さな目玉の一つを見つめるジェネラルシャドウの耳に、ブラックサタン大首領の声が響く。
「シャドウよ。タイタンも所詮はそれだけのものだったな…やはり信頼するのはお前だけだ。誓ってストロンガーを倒せ!」
ジェネラルシャドウの雇われ根性をあれだけ嫌悪しておきながら、調子の良いことを言い出すブラックサタン大首領。ジェネラルシャドウの胸に宿るのは、いかなる想いか…。
こうして、ストロンガーは必死の戦いで、大幹部タイタンを倒した。
しかし、不気味なシャドウの魔の手は、何処に伸びるのか…。
とうとう、百目タイタンとの決着の時を迎えたストロンガー。
健闘を称えるフリをして握手を求め、道連れにしようとする作戦は、かつてXライダー相手にアポロガイストが行った、アーム爆弾で道連れにしようとする作戦と同一のもの。
アポロガイストが宿敵として堂々と戦ったXライダー相手に見せた悪足掻きを知っていたおやじさんが、百目タイタンがストロンガーを道連れにしようとした際に「言わんこっちゃない!」と体験談に基づく感想を述べているのが面白い。
アポロガイストといい百目タイタンといい、悪足掻きで道連れにしようとしたような奴に限って敵ながらたいした奴だったと称えられるのは、そこまでして自分を倒そうとした執念がたいしたものだという評価なのだろうか…。
部下を捨て駒にしたり、人質を取るような作戦を良しとしない、ブラックサタンの流儀に馴染まないジェネラルシャドウのトリックスターぶりも印象的なエピソード。
しかし、彼は彼なりに同じ組織に属するタイタンに思うところがあったのか、組織の至上命令のために部下を捨て駒にするタイタンに、自分もまた大首領のためなら捨て駒にされる存在でしかないことを示唆する忠告を行うのが、大幹部同士の権力争いのドラマに深みを与えている。
とはいえ、組織内の地位に拘ったタイタンに、その忠告が届くことはなかったが…。
そして、あれだけ生え抜きの百目タイタンに手柄を上げさせようと優遇し、雇われ根性のジェネラルシャドウに負けてはいけないとまで言っていたブラックサタン大首領が、百目タイタンが敗れた途端にジェネラルシャドウしか信用出来ないと言い放つ軽薄さも印象に残る。
ジェネラルシャドウを制御できず、生え抜きを贔屓して雇われ根性への嫌悪感を隠せない、妙に人間的な性格描写がされているブラックサタン大首領は、ショッカー首領と同じ声色ながらショッカー首領の超然としたところを感じさせない別のキャラクターになっていて面白い。
結局、今回ブラックサタン大首領がジェネラルシャドウに告げた信頼もその場限りの嘘でしかなく、次回のエピソードでブラックサタン大首領はジェネラルシャドウを作戦行動から外す動きを加速させていくことになり、それが組織の崩壊を招いていく。
こうして、シリーズ当初よりストロンガーとタックルの前に立ちふさがったタイタンはついに完全に倒され、ストロンガーの戦いは新たな局面を迎えつつある。
トリックスター・ジェネラルシャドウは、ブラックサタンに何をもたらすのか。