あらすじ
美しい歯日本一コンテストで優勝した山下ユリ。
子供の健康を奪う怪人・ハミガキラーに狙われたユリはハミガキラーにムシ歯菌を塗られ、ムシ歯になってしまう。ユリを救うため、デンジマンは敵地へと乗り込む。
怪力男のサーカスは虫歯菌の温床?狙われた少女の歯!
今回のベーダー怪物は歯磨き粉の怪物であるハミガキラー。
自分の美しい歯を愛するヘドリアン女王が、自分より美しい歯を持つという少女・山下ユリの存在を許せず、ユリの歯を虫歯にしてしまうようにヘドラー将軍たちに命じたことで、ユリに虫歯菌を塗った綿あめを食べさせ、ユリの歯を全て虫歯にすることを目的に動くベーダー怪物だ。
今回のベーダーの作戦は、自分より美しい歯を持つ少女を許せないヘドリアン女王のご機嫌を回復させることが目的。ヘドラー将軍もご機嫌斜めなヘドリアン女王にいきなり呼びつけられ、少女一人を虫歯にするように命じられて困惑しているのが面白い。
また、歯の健康に気を使っているユリが、ベーダーが用意した虫歯菌の塗られた綿あめをなかなか食べずに気をもむミラーとケラーの様子も何処かユーモラスで、ヘドリアン女王の不機嫌に振り回されるベーダー一族の様子が面白いエピソードになっている。
ベーダー魔城では、ヘドリアン女王が、ミラーが変化した鏡に自分の顔を映し、自分の歯の美しさにご満悦だった。ヘドロに満ちた環境を好むベーダー一族だが、ヘドリアン女王も自分の体に関しての美意識は人間と変わらないらしい。
ケラーも、ヘドリアン女王の歯が世界で最も美しいと褒め称え、ヘドリアン女王は上機嫌。
そのまま、ミラーに地上の様子を映し出すように命じたヘドリアン女王だが、地上でテニスをしている自分そっくりの女性にあっかんべーと舌を出され、たちまち不機嫌になってしまう。
不機嫌になり、地上が自分の嫌悪する健康美に満ち満ちていることに憤り始めたヘドリアン女王は、別室にいたヘドラー将軍を呼び出す。
ヘドラー将軍も、先程まで上機嫌だった女王に突然怒って呼び出され、困惑を隠せない。
不機嫌のままに、この世をベーダーが住みやすいこの上なく醜く、汚く環境にすることが進まない怒りを見せるヘドリアン女王に、ヘドラー将軍も努力はしているのですが…と困り果てる。
弁解を許さないヘドリアン女王は、ヘドラー将軍に子供たちから健康を奪い、一歩も歩けない弱々しい子供達で埋め尽くす病の都を造るように命じるのだった。
完全にヘドリアン女王の機嫌に振り回されているヘドラー将軍たちが面白い。
言うだけ言ってスッキリしたのか、再び上機嫌になって自分の歯の美しさにご満悦となるヘドリアン女王。ヘドラー将軍は完全に叱られ損だ。
ミラーに再び鏡に変えたヘドリアン女王は、この世で最も美しい歯の持ち主を移すように命ずるが、ミラーはその鏡面にその問いの答えを映し出すことを拒む。
それでもヘドリアン女王が映すように命じると、なんとミラーが映し出したのは、地上で行われている「1980年美しい歯日本一コンテスト」で優勝した少女、山下ユリだった。
ヘドリアン女王は、自分より美しい歯を持つユリに怒り心頭。女王があまりの悔しさと憎たらしさに歯ぎしりすると、なんと奥歯が虫歯になっていたため、歯ぎしりで欠けてしまった。
ヘドリアン女王はあまりの怒りに、ミラーとケラー、そしてベーダー怪物ハミガキラーに、ユリの歯を全部引き抜いて晒し者にし、子どもたちの健康を奪って恐怖のどん底に突き落とすように命じるのだった。こうして、ヘドリアン女王の壮大な八つ当たり作戦が始まった。
アスレチッククラブの子供たちが、美しい歯日本一になったユリを祝っていると、そこにユリを祝うべく電子戦隊の面々も現れた。ユリを祝福する一同。
黄山は青梅に、青梅もユリを見習ってたまには歯を磨くように釘を刺すのだった。
だが、その様子は人間に変装したミラーとケラーが監視していた。
アスレチッククラブの子供達と一緒に遊びたいと言うユリに、ユリの母親は子供の健康をダメにするお化けがいるからダメだと、過保護な様子を見せる。
結局、青梅が保護者としてついていくことで、ユリは遊びに行くことを許された。
ユリたちが訪れた公園では、「世界一の怪力男」がその力を見せるショーを行っていた。
ユリの両親からユリを任された手前、あまり寄り道をしないように言う青梅。
ユリは両親は自分に甘いから大丈夫だと言うが、青梅は大人として、ユリの両親はユリを心配しているんだと諭すのだった。青梅の子供を思う大人としてのスタンスが見事な描写だ。
だが結局、アスレチッククラブの子どもたちのお願いもあり、青梅はユリたちを引率し、世界一の怪力男の特別ショーの会場へと向かうことになった。
会場の入口では綿あめが無料で配られており、ユリたちは綿あめを手に会場へ入っていく。
世界一の怪力男の特別ショーでは、怪力男が鎖を口で掴み、鎖の先の重い分銅を持ち上げようとしていた。その様子を息を呑んで見守る青梅たちは、綿あめに口をつける。
だが、ユリだけは綿あめをなかなか食べようとしない。
実は世界一の怪力男の特別ショーはベーダー一族の用意した罠であり、怪力男はハミガキラーの変装。さらに無料で配った綿あめには虫歯菌が塗ってあり、口にすればたちまち虫歯になるのだ。
しかし、肝心のユリは一向に綿あめを食べようとしないことに、ショーのMCに化けていたミラーとケラーは焦りを見せる。そこで、保護者の青梅をユリから引き離すため、ミラーとケラーは怪力男が持ち上げた分銅を持ち上げれば景品をプレゼントすると観客に呼びかける。
景品が欲しい子供たちに頼まれ、青梅はまんまとステージに上ることになった。
青梅が懸命に分銅を持ち上げようとする間に、ミラーとケラーはユリに近づく。
だが、青梅が分銅を早々に持ち上げてしまい、ミラーとケラーはユリに接近するチャンスを失ってしまうのだった。むざむざ指を咥えて標的を見逃すことを悔しがるミラーとケラー。
だが、ハミガキラーは次の手を用意していた。
青梅に自宅まで送ってもらったユリ。
だが、自宅の中にはすでにベーダー一族が乗り込んでおり、ユリやユリの両親は捕らえられてしまった。ユリの悲鳴を聞いた青梅は慌てて引き返す。
ミラーとケラーはユリの体を押さえつけ、ユリの歯にたちまち虫歯になる虫歯菌を塗りつけようとするが、ユリは口を閉じて必死に抵抗。その間に青梅が駆けつけた。
青梅はダストラーたちを軽業で蹴散らし、不利を悟ったミラーとケラーは逃亡する。
だが、ベーダー一族が去った後、ユリは歯の痛みを訴え始めた。
あきらがユリを歯医者に連れて行くと、怪力男のショーを見て、綿あめを食べたアスレチッククラブの子どもたちが、皆虫歯になってしまっていた。
ユリは歯科医の診察を受けていると、歯科助手が突然ユリの体を押さえつけ、歯科医がユリに液体を吹き付け始めた。ユリは意識を失ってしまう。
診察に時間がかかりすぎていることをあきらが不審に思っていると、縛られていた本物の歯科助手が助けを求めて現れた。あきらは、怪物が歯科助手を襲ったことを知る。
歯科医は意識を失ったユリの歯を引き抜こうとするが、そこにあきらが駆けつけた。
偽の歯科助手たちはミラーとケラーの変装で、歯科医はハミガキラーが化けた姿だった。
ユリの美しい歯を引き抜くことを望む女王の命を遂行しようとするミラーとケラーは、ハミガキラーがあきらを引き付けている間にユリを攫う。
さらに、ハミガキラーは身体のチューブから歯磨き粉を煙幕として噴出、逃亡した。
電子戦隊の面々はユリを捜索するが、手がかりはまったくない。
急がなくては、ユリの歯が本当に引き抜かれてしまう。怪力男のショーで配られていた綿あめを分析していた黄山は、綿あめに虫歯になる病原菌があることを突き止め、電子戦隊はベーダー一族のアジトが怪力男のショーが開かれたテントであると考え、急行した。
テントに乗り込んだデンジマンを、ダストラーが襲う。
だが、ダストラーは時間を稼ぐとすぐに姿を消してしまった。
テントに隠された隠し通路を発見したデンジマンは、ベーダーのアジトの奥へ踏み込む。
アジトに踏み込んだデンジマンが見たのは、無数の鋭い歯型だった。
一方、アジトの手術室でユリの歯を引き抜こうとしていたハミガキラーは、警報によってデンジマンがアジトへと潜入してきた事を知り、電気歯型でデンジマンを感電死させようと目論む。
デンジマンが発見した歯型こそ、ハミガキラーの電気歯型だったのだ。
強力な電気が仕組まれた歯型が宙を飛び、デンジマンに襲いかかる。
デンジマンは、飛んでくる歯型同士をぶつけ合わせ、ショートさせることで破壊。
デンジレッドはデンジスコープでハミガキラーの手術室を発見すると、デンジパンチで壁を粉砕。発見されたミラーとケラー、ハミガキラーたちは逃亡する。
だが、アジトからの脱出口には既にデンジマンが回り込んでいた。
デンジジャンプで接近し、ミラーとケラーからユリを奪い返したデンジマンは、名乗りを上げる。
「見よ!電子戦隊!デンジマン!!」
「おのれ!こうなったらデンジマンを全滅させてくれるぞ!」
デンジマンはショットガンでダストラーの包囲網を突破し、ハミガキラーを追う。
ハミガキラーの歯ブラシ型武器による必殺チューブ磨きに苦戦するデンジマン。
しかし、デンジマンは電撃アタックからの、それぞれの得意技波状攻撃を炸裂させた。
そこに、最後のトドメのデンジブーメランを叩き込み、ハミガキラーを打ち破る。
ハミガキラーは巨大化し、デンジマンはデンジタイガーを出撃させる。
デンジタイガーが出撃する様子を見ていたヘドリアン女王は、いつも邪魔をする憎き敵への憎悪を顕にし、ヘドラー将軍はベーダー戦闘機隊を発進させる。
デンジタイガーはミサイル攻撃で次々にベーダー戦闘機を撃墜し、デンジファイターを発進させ、デンジファイターがダイデンジンに変形した。
ハミガキラーは、巨大な斧でダイデンジンを攻め立てるが、ダイデンジンは両拳をロケットパンチとして発射し反撃。さらに、電子満月斬りでハミガキラーを一刀両断した。
こうして、ユリの美しい歯は守られ、子供たちの健康も守られた。
子供たちの元気な姿に、電子戦隊は平和を守り抜いたことを実感する。
青梅もこれからは負けずに毎日歯を磨くと決意するが、怪力男のショーを見た時に綿あめを食べていた青梅も人知れず虫歯になっており、歯の痛みを訴える。
黄山は青梅の虫歯にテグスを結び、引き抜こうとする。平和な日常がそこにあった。
少女の、美しい歯を狙ったヘドリアン女王の企みは、デンジマンの働きで危機一髪打ち砕かれた。
全国の少年少女を守るため、明日も戦うぞ!デンジマン!!
ヘドリアン女王の八つ当たり作戦につきあわされ、四苦八苦するミラーとケラーが面白い回。
一向に虫歯菌入りの綿あめを食べないユリにやきもきし、結局綿あめを食べさせることに失敗するくだりなどは、女王の命とはいえ子供の行動に一喜一憂するおかしさがあった。
前回が不潔な男を狙う作戦だったのとは対象的に、今度は少女の美しい歯を狙う作戦だった対比も面白い。また、ヘドリアン女王が、ベーダー一族として生存するには汚い環境が適していても、自分の体についての美意識は人間とそう変わらないというのも新鮮な発見だ。
デンジマンがユリの歯を一度は守り抜いたとはいえ、今後またベーダー一族に襲われないか少し心配ではあるが、今回の作戦のきっかけが女王の突発的な不機嫌によるものであることを思えば、ヘドリアン女王の機嫌が再び悪くならない限りは大丈夫だろう…。