「仮面ライダーストロンガー」第24話「怪奇!無人電車が走る!!」感想

2024年8月27日火曜日

仮面ライダーストロンガー 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

トンネルを抜けると、何と電車の乗客が全ていなくなっていた。
その電車を調べる茂とユリ子だが、何もわからない。
そこに突然、奇械人・ハサミガニが現れる。そして、茂たちにその鋏が牙をむく。

恐怖の要塞島建造計画!ジェネラルシャドウ、反逆への決意!

今回のブラックサタンの奇械人は奇械人ハサミガニ。
新たなブラックサタン大首領直属の最高幹部着任に向けて、ブラックサタン大首領直々に要塞島の建設を命じられていた、自称「ブラックサタンのエース」奇械人である。
胸部装甲を展開することで、浴びた者に幻覚を見せる泡を噴射し、これまで倒された奇械人が襲いかかる幻覚を見せて人々を恐怖に陥れる能力を持ち、戦闘においてはブラックサタン戦闘員の首を容易に刎ねる鋭い鋏を武器に戦う強力奇械人だ。

前回、生え抜きの大幹部である百目タイタンがストロンガーに敗れたことで、ジェネラルシャドウを信頼に値する大幹部だと発言したブラックサタン大首領。
だが、内心では雇われ幹部であるジェネラルシャドウのことが心底気に入らなかったらしく、密かに新たな生え抜きの最高幹部を作り出し、その最高幹部のために要塞島建造を計画。
ブラックサタン生え抜きの大幹部に、要塞島を使って日本を征服するという華々しい戦果を上げさせることで雇われ幹部のジェネラルシャドウとは格が違うことを強調しようとしていた。
そのため、奇械人ハサミガニへの指令はジェネラルシャドウを介さずに、一介の奇械人に大首領が直々に命令を下し、ジェネラルシャドウの存在を無視する手段に出る。
だが、大首領のこの判断は、ジェネラルシャドウについに組織への反逆を決意させるのだった。

ブラックサタン大首領が、何をそこまで雇われ幹部に嫌悪感を抱いているのかということを考えた時に重要となるのが、これまでのブラックサタンの戦術が、サタン虫を寄生させることで人間を完全にブラックサタンの意のままに操ることにあったという点だ。
サタン虫による人間の完全なコントロールを是とするブラックサタンにおいて、大首領の意思に関係なく行動する雇われ幹部のジェネラルシャドウは、存在してはいけないのだろう。
だが、タイタンを蘇生させるまでの場繋ぎにするつもりだったのだろうとはいえ、雇われ幹部への嫌悪感を隠しきれず冷遇した結果、反感を育てたことは組織の長として決定的な失敗だ。
どんなに冷遇しようとも、最後には自らのカリスマ性でジェネラルシャドウなどいくらでも黙らせられると思った思い上がりが、ブラックサタン大首領の身を滅ぼすことになる。

おやじさんはひとり、フジフェリーに乗って東京から三重県松坂市までの船旅を楽しんでいた。
タイタンが倒れ、ブラックサタンも鳴りを潜めた平和な船旅を満喫するおやじさん。
旅は船旅に限るとはしゃいでいるが、シリーズを振り返ってみると悪の組織を追ってとはいえ、船旅で桜島に行ったり四国に行ったりと確かに船旅を何度も満喫している。
甲板でいちゃついていたカップルの邪魔をしてしまい、自分にも昔はあんな時があったとぼやくおやじさん。後に映画「仮面ライダー1号」で孫が登場しているので、既婚者ではあるのだろう。

その頃、城茂とユリ子はバイクを飛ばし、陸路で松坂市へと向かっていた。
フェリーも無事に松坂へ到着し、おやじさんは城茂たちと合流すべく鳥羽へ向かう。
伊勢へと向かう道路をバイクで飛ばす城茂とユリ子に、電車に乗った子供たちが手を振る。
平和な旅路を満喫する城茂とユリ子は、この平和が長く続くことを祈るのだった。

だが、平和は突然破られた。
城茂たちに手を振った子供たちを乗せた電車がトンネルに差し掛かると、何者かが鋭い鋏で線路を切断する。運転手はそこで、奇械人ハサミガニの姿を目撃し、電車を停止させる。
奇械人ハサミガ二は胸の装甲を開き、溶解泡を噴射して電車の壁面を溶かし、車内に侵入。
乗客を庇った運転士たちは奇械人ハサミガニの泡を浴び、倒れてしまう。
怯える子供たちの前に、これまでストロンガーに倒された奇械人たちが現れた。
奇械人たちに取り囲まれた子供たちは、そのまま奇械人たちに連れ去られてしまう。
白骨の幻影が踊る恐怖の時間が過ぎ、乗客は皆気絶してしまった。
これまで乗客が見ていた恐ろしい光景は、奇械人ハサミガニの泡が見せた幻覚だったのだ。
奇械人ハサミガニは、戦闘員に命じて丈夫な男たちを要塞島へと送り込むように命ずる。
果たして、要塞島とは何なのか。

トンネルを抜けた電車は、誰も乗せていない無人電車へと変わってしまった。
無人電車を目撃した城茂たちは、それを不審に思い電車へと向かう。
乗客だけならまだしも、運転士すらいない本当の無人電車に、城茂は航海中の船から突然人間だけが消えたというメリー・セレスト号の事件を思い出すのだった。
この怪奇な事件に、またしてもブラックサタンの陰謀の気配を感じ取る二人。
その背後から、奇械人ハサミガニが現れた。

「俺こそブラックサタンのエース!ハサミガニだ!」
ブラックサタンのエースという、組織の生え抜きなら大首領の寵愛を受けて誰でも名乗れそうな肩書を誇る奇械人ハサミガニの目的は、乗客を攫い要塞島建設のために働かせることだった。
だがその奴隷確保計画を城茂たちに嗅ぎつけられた奇械人ハサミガニは、どうせいずれは始末することになると、城茂たちの抹殺のために姿を現したという。

奇械人ハサミガニと、城茂たちの戦いが始まった。
奇械人ハサミガニは、流石に自らブラックサタンのエースと言うだけあり、俊敏な動きで城茂に襲いかかる。その鋏の威力は、誤って鋏を受けてしまった戦闘員の首を容易に刎ねるほどだった。
城茂はストロンガーへと変身する。

「変身…ストロンガー!天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ!悪を倒せと俺を呼ぶ!俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
「エイ、ヤア、トオ!電波人間、タックル!」
城茂はストロンガーに、ユリ子はタックルに変身した。
タックルは電波投げで戦闘員を排除し、ストロンガーは電パンチで奇械人ハサミガニを攻める。
だが、電パンチは通じず、ストロンガーとタックルは奇械人ハサミガニの泡をまともに受けてしまった。この泡は、電気も電波も無効化し、幻覚を見せて行動不能にするのだ。
たちまち身動きが取れなくなったストロンガーとタックルは奇械人ハサミガニに痛めつけられ、変身が解除されて気を失ってしまう。伊勢志摩の戦いは、奇械人ハサミガニの勝利に終わった。
シリーズ序盤はストロンガーの圧倒的な力に蹂躙されてきたブラックサタンの奇械人だが、ここにきてその力も上昇し、ストロンガーも苦戦を強いられるようになっている。

そのころ、城茂たちが危機に陥っていることなどつゆしらず、ホテルニュー美しまに滞在していたおやじさんは、新聞記事で無人電車の事件を知り、ブラックサタンの陰謀を感じていた。
それにしても、城茂とユリ子がいつまでも合流地点のホテルニュー美しまに到着しないことに気をもんでいたおやじさんに、ホテルマンが声を掛ける。
お連れ様が庭で待っていると聞き、ようやく城茂たちが到着したものと思ったおやじさんは庭へと向かう。だが、おやじさんは密かにホテルマンに尾行されていた。

庭に着いたおやじさんを待っていたのは、飛んできたスペードのキングのカード。
そして、スペードのキングのカードはジェネラルシャドウへ姿を変えた。
ジェネラルシャドウは城茂の居場所を聞くためにおやじさんを訪ねたのだという。
だが、おやじさんも城茂の居場所を知る由もない。おやじさんは無人電車の事件もブラックサタンの仕業だろうとジェネラルシャドウを問い詰める。
だが、奇械人ハサミガニの進めている要塞島建設計画と、労働力確保のための無人電車発生事件は、ジェネラルシャドウの知らないところで進んでいるものだった。
ジェネラルシャドウは、おやじさんを尾行していたホテルマンにトランプショットを炸裂させる。ホテルマンの正体はブラックサタン戦闘員だった。
自分の隊長は奇械人ハサミガニであると話す戦闘員に、ジェネラルシャドウは自分が大幹部として迎えられながら、作戦の指揮を任せられていないことを知る。

アジトへ戻ったジェネラルシャドウは、ブラックサタン大首領を問い詰めていた。
タイタンが敗れた今、次にストロンガーを倒すのは自分の役目のはずでありながら、自分の知らないところで奇械人がストロンガーに攻撃をかけていることに納得がいかないジェネラルシャドウ。
すると、ブラックサタン大首領は開き直るかのように、ブラックサタン直系の幹部ではないジェネラルシャドウに、作戦に口を出す権利はないと断じた。

「大首領。タイタンが口ほどにもなくライダーストロンガーに敗れたからには、次にストロンガーを倒すのは私の役目のはずです!」
「それがどうした」
「私の知らぬ間に奇械人がストロンガーに攻撃をかけている!納得がいきませんな!」
「自惚れるな!ジェネラルシャドウ!ブラックサタン直系の幹部でもないお前に、口出しは許さん!これ以上口答えすれば、反逆と見なす!覚えておけ!」
「…それが大首領の本音か。今までまんまと俺を操ってきたつもりだろうが、そうはいかんぞ…」
自らジェネラルシャドウを呼び寄せながら、雇われ幹部という待遇ゆえにジェネラルシャドウを冷遇したブラックサタン大首領が、ブラックサタン直系の幹部以外を信用する気がないことを悟ったジェネラルシャドウは、大首領のレリーフへトランプショットを放ち、姿を消す。

その頃、ひとり城茂たちを捜索していたおやじさんの前に、戦闘員たちが現れた。
非力ながら懸命に戦闘員に立ち向かうおやじさんだが、何故か戦闘員は次々に倒れていく。
自分も本当は強いんだと勝ち誇るおやじさんだが、その勝利の真実は、反逆の決意を固めたジェネラルシャドウが、陰よりトランプショットで戦闘員を始末していたからだった。

アジトに捕らえられた城茂とユリ子は、同じくアジトに捕らえられた子供たちを懸命に励ます。
その口を黙らせた奇械人ハサミガニは、悔しかったらストロンガーに変身してみろと勝ち誇り、その鋏をギロチンとして城茂の首を刎ねる処刑を行おうとする。
だがそこに、ブラックサタン大首領が口を挟んできた。
一介の奇械人に大首領が直々に命令を下すことに恐縮する奇械人ハサミガニ。
ブラックサタン大首領も、生え抜きである奇械人ハサミガニに寛容な態度を見せる。
ブラックサタン大首領は、奇械人ハサミガニに、まもなく着任するというブラックサタン最高幹部のために、その拠点となる要塞島の建設を命じるのだった。

「よく聞けハサミガニ!間もなくタイタンに変わる、ブラックサタンの最高幹部が着任する。お前とお前の部下は、一日も早く要塞島を完成させるのだ!」
「新しい最高幹部?それはいったいどなたでしょう!」
「質問は許さん!ブラックサタンの反逆者、城茂と岬ユリ子の死刑は、その者の指揮に任せよ!」
要するに、ブラックサタン大首領は生え抜きの新たな最高幹部に華々しい手柄を立てさせるために、既に捕らえた城茂とユリ子の処刑を新たな最高幹部に行わせたいらしい。
雇われ根性のジェネラルシャドウが気に入らないがために、生え抜きの最高幹部がストロンガーを抹殺しジェネラルシャドウの面子を潰すことが最優先事項になってしまっている。
ブラックサタン大首領は、もはや完全に戦う相手を見誤っていた。

兎にも角にも、大首領の命令とあらば城茂とユリ子の処刑は行えない。
奇械人ハサミガニは、見張りの戦闘員に異変があれば警報装置を鳴らすように命じて檻を閉じ、要塞島の建設現場へと向かうと、労働力となる男たちを厳しく締め付け働かせる。
人質にされた子供たちが絶望する中、おやじさんがアジトへの侵入に成功。
おやじさんは見張りの戦闘員を気絶させ、檻を開くボタンをなんとか開くことに成功し、城茂を縛る鎖を切ろうとするが、流石に鋼の鎖はそう簡単に切れはしない。
そこで、城茂の手袋を取り、ストロンガーに変身して鎖を断ち切ることになった。
だが、見張りの戦闘員が意識を取り戻し、警報装置のスイッチを押す。

警報に気づいた奇械人ハサミガニはアジトへ向かう。
おやじさんはなんとか城茂の手袋を取り、なんとか両腕を擦り合わせストロンガーに変身。
ストロンガーはユリ子の鎖を切ってタックルに変身させ、おやじさんや子どもたちの脱出を任せると、自身は要塞島の破壊へと向かう。ストロンガーと奇械人ハサミガニの決戦が始まった。

ストロンガーは奇械人ハサミガニを連続キックで痛めつける。
だが、奇械人ハサミガニも、鋏でストロンガーの首を切断にかかる。
互角の死闘。だが、一瞬の隙をついて放たれたストロンガー電キックが奇械人ハサミガニの鋏を粉砕した。最大の武器を失った奇械人ハサミガニは戦意喪失し、逃亡する。
奇械人ハサミガニが逃亡した先には、ジェネラルシャドウがいた。

「ジェネラルシャドウ様!助けてください!」
「黙れ!ライダーストロンガーを倒すのはこの俺だ!貴様、誰の許しを得て勝手なことをする!」
「俺はあんたの部下ではない!間もなく俺の指揮官が来られる!ブラックサタンの最高幹部だ!」
「最高幹部だと?誰だそれは!」
「知りません!本当に俺は知らないんです!ああ!ストロンガーが来る!助けてくれ!!」
「フン…俺の知ったことか!」
恥も外聞もなくジェネラルシャドウに阿り助けを求めるが、拒絶されると自分の指揮官はブラックサタン最高幹部であると反発する奇械人ハサミガニ。
だが、ストロンガーが迫る中で再びジェネラルシャドウに必死で助けを求める。
もちろん、ブラックサタン大首領が、雇われ幹部である自分への対抗心で最高幹部を着任させようとしていることを知ったジェネラルシャドウが、奇械人ハサミガニを助けることはなかった。
そこにストロンガーが現れ、再び放たれたストロンガー電キックが奇械人ハサミガニに直撃。
致命傷を負った奇械人ハサミガニは泡を吹き、爆発四散するのだった。

新たな最高幹部が出現することを知ったジェネラルシャドウは、ブラックサタン大首領が自らを信用せずに排斥しようとしていることを悟り、反逆への決意を固めていた。
「新しい最高幹部とは誰だ!大首領が俺を必要としないのなら、俺の方にも考えがある…!」
その頃、ブラックサタンのアジトでは、稲光の中で新たな最高幹部が立ち上がろうとしていた。
戦闘員すら恐怖に震えるその威容。獅子の如き勇猛さを持つ最高幹部が、静かに動き始めた。

ブラックサタンの、新しい最高幹部とは何者。そして、彼の使命は。
ストロンガーの行く手は、ますます危険に満ちてくる。
怯むな!我らの仮面ライダーストロンガー!!

百目タイタンの死で、いよいよジェネラルシャドウをタイタン蘇生までの場繋ぎや、タイタンを発奮させるための当て馬にすることも出来なくなったブラックサタン大首領。
彼が選んだのは、雇われ幹部への偏見を捨ててジェネラルシャドウを重要することではなく、新たに生え抜きの最高幹部を生み出し、その最高幹部にストロンガー抹殺の手柄を上げさせることで雇われ幹部のジェネラルシャドウに敗北感を味わわせることだった。
奇械人ハサミガニの勝利によって、ストロンガーとタックルを抹殺できる絶好の機会を得ながら、今後着任するブラックサタン最高幹部がストロンガーを抹殺する手柄を上げるという状況のためにその機会をみすみす失う醜態を晒し、もはや戦う相手を完全に見誤ってしまっている。

そして大首領は、ジェネラルシャドウ本人に対してもついに雇われ幹部への嫌悪感を隠すことなく示したことで、ついにジェネラルシャドウも反逆への決意を固めてしまった。
ジェネラルシャドウ本人は、「大首領が俺を必要としないのなら考えがある」と言っているように、人質を取ったり、奇械人を捨て駒にするタイタンが得意としたブラックサタンの流儀に馴染む気はなかったものの、大首領が大幹部として正式に迎えていたならば反逆することなく、忠誠を尽くす気はそれなりにあったように思えるので、雇われ幹部であるという一点でシャドウを信用しなかったブラックサタン大首領は人を見る目もなかったことになる。

こうして、破滅への道を進み始めたブラックサタン。
そんな中、雷光とともに現れようとしている、新たな最高幹部。
その実力はいかほどのものなのか。そしてジェネラルシャドウはどう動くのか。
物語は今、ブラックサタン壊滅へ向けて急激に加速し始めた…。

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