あらすじ
3000年前にベーダー一族に滅ぼされ地球へと移住したデンジ星の子孫たちが、ヘドラー将軍によって次々と連れ去られた。ヘドラー将軍の目的は、かつてデンジ姫が地球を守るために授けた「虹の石」で、デンジマン全員の力を合わせてもかなわないという恐るべきパワーを持つものだった。
明かされるデンジ姫の伝説 狙われたデンジ星人の末裔を救え
1980年夏の東映まんがまつり用の劇場版新作として、デンジマンがスクリーンに登場した。
TVシリーズに先駆け、3000年前にベーダー一族によってデンジ星が滅びた際に、デンジランドに乗って脱出した科学者たちとは別に、宇宙船グレートクイーン号に乗ってデンジ星を脱出、一度は別の星に辿り着いたものの、その星もベーダー一族に滅ぼされ、宇宙の放浪の果てに地球へと辿り着いたデンジ姫の存在が明かされる、劇場版ならではのスケールの大きな物語が展開される。
そんな劇場版に登場するベーダー怪物が、アンコウの怪物であるアンゴラー。
彼の目的は、デンジ姫が地球に残した、デンジマンの力の源であるデンジストーンをも上回るエネルギーを持つという、デンジ星の超エネルギー鉱石である「虹の石」を入手し、虹の石の力でパワーアップすることでデンジマンを打倒することである。
そして、虹の石の手がかりを求めるアンゴラーは、デンジランドに乗って地球に入植したデンジ星人の末裔たちである地球人を襲撃する。果たして、電子戦隊はデンジ星人の末裔を守り、虹の石の力を手に入れようとするアンゴラーを倒すことが出来るのか。
海で恋人とヨットのセーリングを楽しんでいた青年が、突然この世のものとは思えないほど巨大なアンコウに襲われる事件が勃発。恋人を残し、青年はアンコウに飲み込まれて行方不明になった。
さらに、怪物アンコウは海水浴場にも出現。遊泳を楽しんでいた少年を飲み込み、姿を消した。
怪物アンコウによる怪事件を知ったデンジマンは、デンジタイガーに乗って現場へ急行した。
現場に近づいたデンジタイガーは、レーダーで怪物アンコウを索敵。
その体躯が60メートルを超える、海の怪物であることを知る。
そして、レーダーがついに怪物アンコウの本体を探知し、デンジタイガーは浮上した。
だが、浮上した海は深い霧に包まれており、デンジマンたちが視界を阻まれる中、怪物アンコウがデンジタイガーに体当たりを仕掛けてきた。
デンジマンはデンジタイガーを上陸させ、甲板に出て怪物アンコウを迎え撃つ。
デンジタイガーのミサイル攻撃が水柱を上げるが、怪物アンコウは海底へ逃げてしまった。
その頃、娘のはるみの誕生日ケーキを作っていた主婦の杉本恵子は、虫の知らせか、はるみが自分に助けを求める声を上げている幻聴を耳にする。するとそこに、電話がかかってきた。
電話の主は、はるみが交通事故に遭ったと話し、恵子は慌ててタクシーで事故現場へ向かう。
だが、それと入れ違いになるように、はるみは自宅へと帰宅した。
はるみが事故に遭ったという電話は、恵子を誘き寄せるための何者かの罠だったのだ。
無人の自宅で、愛犬のルナに迎えられたはるみは、母親が行方不明になったことに不安を抱く。
電子戦隊の面々は、怪物アンコウを誘き寄せるために水着になって海水浴を楽しむフリをした。
怪物アンコウが潜んでいる海岸に、自分たちを囮とした罠を仕掛けたのである。
だが、怪物アンコウは一向に現れない。
海に向かって怪物に出てきてみろと叫ぶ青梅だが、もちろんその声が怪物に届くことはない。
そこで赤城は、怪物アンコウは無作為に海にいる人を襲っているのではなく、特定の人物だけを狙って襲っていると推測。はるみから母親が行方不明になった話を聞いていたらしいあきらは、恵子もまた怪物たちに狙われて行方不明になった可能性があると考えるのだった。
そして、赤城たちの推測は当たっていた。
ヨットの青年や、海水浴場の少年。そして恵子は、ベーダー一族に拉致されていたのである。
ボートに乗って帆船へと連行された恵子たちは、そこでヘドラー将軍たちと対面。
ミラーとケラーは、恵子たちに帆船の操舵輪の舵を動かすように命じる。
青年や少年が舵を動かしても何も起きない中、恵子が舵を動かすと突然操舵輪が発光した。
ヘドラー将軍によれば、この船は今から3000年前、デンジ星人のデンジ姫が地球に来訪した際に使用していたものであり、海の墓場サルガッソー海で発見されたものであるという。
そして、その船に反応を示した恵子は、3000年前にデンジ姫と共に地球に移り住んだデンジ星人の子孫であるという。突然、自分が宇宙人の血を引くことを知り、混乱する恵子。
ヘドラー将軍はその証拠として、恵子が七色に光る「虹の石」を持っているはずだと詰問する。
その頃、母親が行方不明のまま自宅に残されたはるみは、ヘドラー将軍が探している虹の石を見つめ、自分を夢の国へと連れて行って欲しい、と願う。
すると、はるみの意識ははるみの身体を離れ、先程ヘドラー将軍たちが乗っていた帆船と、さらに巨大な、黄金に輝く帆船が漂う不思議な空間に辿り着いていた。
黄金の帆船へ向け、王女様を呼ぶはるみの声に答えるように、美しい姫が甲板に現れる。
そして、黄金の短剣から七色の光線を放つと、はるみは黄金の帆船の甲板へと移動した。
この王女様こそ、3000年前に地球に来訪したという、デンジ姫なのだ。
デンジ姫は元気のないはるみに、ママはきっと帰ってくると明るく励ます。
すると、ルナの吠え声が聞こえ、はるみの意識は身体へと引き戻された。
はるみの部屋が不気味に点滅を始め、恐怖に震えるはるみは布団に身を隠す。
そして、部屋のドアノブが動いたかと思うと、天井に巨大なベーダー怪物が姿を現した。
はるみが、虹の石に助けを求める願いを込めると、はるみの声が、なんと20km離れた場所で、デンジマシーンに乗ってパトロールをしていたデンジレッドとピンクの耳に届いた。
デンジレッドとピンクははるみの元へ急行し、ベーダー怪物・アンゴラーからはるみを助ける。
アンゴラーはダストラーを呼び出し、デンジレッドとピンクはデンジマシーンにはるみを乗せて強行突破を図るが、執拗な追跡の前に取り囲まれてしまう。
さらに、アンゴラーは巨大化してデンジレッドたちを踏み潰そうとする。
絶体絶命の危機。だがそこに、デンジブルーたちが乗ったデンジタイガーが飛来した。
一瞬の隙をつき、再びデンジマシーンで逃亡を図るデンジレッドたち。
巨大アンゴラーの槍が執拗にデンジマシーンを襲うが、デンジタイガーのミサイルが巨大アンゴラーを怯ませ、その隙にデンジマシーンがデンジタイガーに到着。
デンジレッドたちはデンジタイガーに乗り込み、なんとか難を逃れるのだった。
ベーダー一族がなぜはるみの持つ虹の石を狙うのか、その狙いがわからない電子戦隊。
とりあえず、安全なデンジランドにはるみを保護することになったが、はるみは母親と引き離されたままであることで悲嘆に暮れていた。すると、虹の石が恵子の顔を映し出す。
それを見ていたアイシーは、虹の石はデンジ星人が運んできた石であることを電子戦隊に話す。
だが、ベーダー一族の地球襲来までデンジランドで休眠状態にあったアイシーは、虹の石がデンジ星人が運んできた石であることはわかっても、誰がそれを地球に運んできたかまではわからない。
そこで、あきらがデンジピンクにデンジスパークし、デンジランドの電子頭脳に情報をインプットして、地球へ虹の石を運んできた存在を尋ねることになった。
電子頭脳は、デンジ星滅亡の、これまで語られなかったもう一つの事実を話し始める。
虹の石をデンジ星から持ち出したのは、デンジ星の王女であるデンジ姫だというのだ。
3000年前、ベーダー一族に滅ぼされたデンジ星から脱出したデンジランド。
そのデンジランドに乗っていたデンジ星人の科学者たちとは別に、デンジ姫とその侍女たちが黄金の宇宙帆船・グレートクイーン号で、デンジ星を脱出していた。
彼女たちは、一度は地球とは別の星に逃げ延びたものの、その星もベーダー一族によって滅ぼされたことで再び宇宙へと脱出。長い間宇宙を漂流した果てに、地球に辿り着いた。
そこで、グレートクイーン号は、小型の帆船を分離し、地球の海へと着水させた。
それに乗ってデンジ姫と侍女のクレアたちは地球へと辿り着いたのである。
デンジ姫に仕えるクレアの顔は、恵子と瓜二つだった。恵子とはるみはクレアの子孫なのだ。
そして、この帆船こそ、現代でヘドラー将軍が回収したデンジ星人の遺産だった。
デンジ姫たちは、デンジ星と同じく美しい地球に先に辿り着いていたデンジランドへと向かった。
だが、TVシリーズ第7話「デンジ星の大悲劇」で語られたように、デンジランドに乗り込んでいた科学者たちも、デンジ星を滅ぼした軟体生物がデンジランドに紛れ込んでいたことで全滅し、デンジ犬アイシーだけがカプセルの中で休眠していたので生き残っている悲惨な状況だった。
この状況を知ったデンジ姫は、美しい地球がやがてベーダー一族に襲われることを危惧し、自分たちが生きている間は自分たちが地球を守り、それ以後のことはアイシーに託すことを決めた。
そして、デンジ姫はクレアたち生き残りのデンジ星人に、地球人と共存して地球の歴史を作っていくことを命じると、自らはベーダー一族に狙われそうな星を守るため、グレートクイーン号で太陽系や銀河系をパトロールし、守り続けていく旅に出ることを決めた。
主君との別れを惜しむクレアたちに、デンジ姫はデンジ星の超エネルギー鉱石である虹の石を託し、常に希望を持って生きていくように言葉を残して宇宙へと去って行った。
こうして、地球の守りを自分たちやアイシーに任せたデンジ姫を見送ったデンジ星人たちは、デンジ姫の形見である虹の石を、子々孫々まで受け継いでいったのだ。
虹の石に秘められた、デンジ星人の壮大な伝説を知った電子戦隊。
さらに、電子頭脳によって、虹の石はデンジマンの強化服の力の源であるデンジストーンのエネルギーを凌ぐという情報がもたらされたことで、電子戦隊は、ベーダー一族の狙いがデンジストーンを凌ぐ虹の石のエネルギーを手にすることだと知るのだった。
ベーダー魔城では、ヘドリアン女王が、ミラーとケラーに虹の石捜索に失敗した報告を受けていた。ヘドリアン女王は虹の石でハングラーをパワーアップさせようとしているのだ。
しかし、ヘドラー将軍は、はるみがデンジランドに保護されていることを見透かしていた。
デンジランドで寂しい思いをしていたはるみの耳に、虹の石から恵子の呼ぶ声が響く。
だがその声は、ヘドリアン女王が妖魔術テレパシーで虹の石から送っているものだった。
恵子の声は、虹の石を持って助けに来てほしいと頼み、デンジマンに知られれば殺されてしまうと脅すことで、はるみ一人で虹の石を持ち出させようと目論んだ。
はるみは母を助けるため、虹の石を持って待ち合わせの海岸へと向かおうとする。
だが、デンジランドの部屋を抜け出そうとしたはるみは、あきらと鉢合わせする。
虹の石からママが呼ぶ声がするというはるみに、虹の石を見せられたあきら。
すると、ヘドリアン女王は虹の石を通して、あきらに催眠術をかける。
ヘドリアン女王に操られたあきらは、虹の石を持ちだしてしまうのだった。
前後不覚のまま、虹の石を持って海岸へ向かうあきら。
それに気づいた赤城たちは慌ててあきらを追うが、ヘドリアン女王の妖術で砂嵐が起き、あきらは砂嵐の中に消えてしまう。そして、デンジ星人の帆船内部の牢屋へと閉じ込められてしまった。
あきらは、先に拉致された三人を懸命に励ます。
しかし、ついにハングラーは虹の石を手に入れ、無敵の力を手にしてしまった。
ヘドラー将軍は、電子戦隊があきらや虹の石、恵子たちを取り戻すために決戦を仕掛けてくることを予期し、作戦会議を始めていた。
電子戦隊がデンジタイガーで突っ込んでくれば、帆船を真っ向から差し向ける。
そして、地上戦になれば、これまでの戦いの傾向から電子戦隊がデンジマシーンとデンジバギーで向かってくるので、地雷地帯へ誘い込んで挟み撃ちにする。
ヘドラー将軍もここで電子戦隊を倒すべく、必勝の構えの作戦を立てていた。
囚われのあきらは、ハングラーに連行され、帆船のマストに縛られてしまった。
だがそこに、デンジマンたちが二隻のモーターボートに乗って奇襲を仕掛けてきた。
ダストラーたちの銃撃を躱し、ベーダー一族を翻弄するデンジマン。
そして、ベーダー一族の注意がモーターボートに引きつけられた隙に、潜水服を来た青梅が水中から帆船に忍び込み、あきらの救出へ向かった。
青梅は無事にあきらを救い出し、デンジレッドたちはモーターボートであきらたちを回収。
ヘドラー将軍はダストラーを追跡に向かわせる。
海岸へ上陸したデンジマン。だが、突然巨大な爆発が起こり、虹の石でパワーアップしたアンゴラーが姿を現した。デンジマンは、この強敵に怯まず高らかに名乗りを上げる。
「見よ!電子戦隊!デンジマン!!」
多数のダストラーが取り囲む中、デンジマンは果敢にベーダー一族へ突撃する。
デンジイエローのハンマーパンチが、デンジピンクのデンジサンダーが、デンジグリーンのグリーンスピンキックが、デンジブルーのカンガルーキックが、次々にダストラーを倒す。
そして、デンジレッドの真空蹴りからデンジパンチが炸裂した。
なおも続くダストラーの包囲を、ショットガンで突破するデンジマン。
ついに、アンゴラーとの対決の時が来た。
デンジタワーを組み、ドラゴンフライで飛び蹴りを決めるデンジマン。
だが、ドラゴンフライは、虹の石でパワーアップしたアンゴラーには通じない。
虹の石エネルギーを得たアンゴラーは、デンジマンの力を凌いでいた!
地雷原へと吹き飛ばされながら、爆煙の中を果敢に突破するデンジマン。
だが、アンゴラーは頭部の発光器官から重力波を放ち、デンジマンは身動きの取れない超重圧に苦しむ。デンジマン絶体絶命!だがその時、デンジタイガーが飛来した。
アイシーが自らデンジタイガーを操縦し、デンジマンを助けに現れたのだ。
デンジタイガーの到来に怒るヘドラー将軍は、帆船を自ら動かして立ち向かおうとする。
だが、帆船に宿るデンジ星人の意志が母星を滅ぼしたベーダー一族を拒んだのか、ヘドラー将軍が操舵輪を掴んだ瞬間、激しい閃光が走りヘドラー将軍は重症を負う。
ヘドラー将軍はミラーとケラーに連れられ、止むなくベーダー魔城へ撤退した。
アイシーの応援に活力を取り戻したデンジマンは、電子稲妻落としをアンゴラーに決める。
爆煙の中に消えたアンゴラーは、なおも巨大化して抵抗する。
巨大アンゴラーは、着陸して突撃するデンジタイガーに襲いかかる。
しかし、デンジタイガーの超パワーが、ついにアンゴラーを押し返した。
その隙に、デンジマンはデンジファイターを出動させ、ダイデンジンへ変形させる。
いよいよ、ダイデンジンと巨大アンゴラーの最終決戦。
「戦う電子戦隊デンジマン」をバックに、ダイデンジンブーメランでアンゴラーを攻めるダイデンジン。だが、アンゴラーも流石に強い。光線がダイデンジンブーメランを弾き飛ばす。
デンジボールでアンゴラーを絡め取り、転倒させたダイデンジンは、なおも起き上がるアンゴラーにパンチを決め、吹き飛ばすとデンジ剣を取り出す。
アンゴラーの光線はデンジ剣に阻まれ、電子満月斬りがアンゴラーを一刀両断するのだった。
こうして、恵子たちは救われた。
はるみと恵子は無事に再会し、デンジマンたちも帰還する。
改めて、はるみの誕生日会が行われ、電子戦隊の面々も招待された。
アイシーはルナに懐かれて、顔を舐め回されている。
海に佇むデンジ星人の帆船を見つめる電子戦隊の面々は、3000年前に地球にやってきたデンジ星人の子孫が生きていたことに驚くが、赤城は、恐らく自分たち5人もデンジ星人の子孫であり、だからこそアイシーが自分たちをデンジマンに選んだのだろうと推測していた。
あきらが虹の石をなくしたはるみを励ますと、はるみはデンジ姫に会えなくなったと話す。
はるみが3000年前の人間であるデンジ姫と会ったと話すことを不思議がる電子戦隊。
すると、はるみがデンジ姫の名を呼び、空を指差す。
その先には、黄金の宇宙帆船グレートクイーン号と、その甲板に立つデンジ姫がいた。
電子戦隊の面々も、その姿をしっかりと目にする。
デンジ姫が黄金の短剣から七色の光を放つと、はるみの手に再び虹の石が現れた。
そして、デンジ星人の帆船、本当の名をスペースクルーザーデンジ号は、グレートクイーン号へ向けて宙へ浮かび上がり、グレートクイーン号と再び一つになる。
3000年も昔、2つに分かれた兄妹船が再会し、兄妹のように肩を並べて宇宙へ去っていった。
はるみは、虹の石を電子戦隊に託し、電子戦隊も虹の石を大事に保管することを誓う。
デンジマンたちにも、デンジ姫の姿が見えた。
とすると、デンジマンたちも今から3000年昔、この地球に移り住んだと言われる、デンジ星人の子孫なのだろうか。きっと、そうに違いない。
「電子戦隊デンジマン」のメインライターを務めた上原正三氏が得意とする、親から子へ、そしてその子へと使命と人の想いが受け継がれていく壮大なスケールのドラマを描ききったあまりにも見事な物語が秀逸なエピソードである劇場版。
デンジ姫に託された、母星を滅ぼされながらも希望を捨てずに生きてほしいという願いを子孫へと受け継ぎ続け、3000年も昔から地球の歴史を作り上げてきたデンジ星人のドラマは、3000年前の存在でありながら、今も宇宙の旅を続け、デンジ星人の子孫を見守り続けているかのような神秘的な演出がなされたデンジ姫の描写を通して雄大に演出されている。
また、TVシリーズ第1話の時点では謎のままだった、アイシーがデンジマンの5人に戦う宿命を目覚めさせた理由も、デンジ星人の子孫であるのだろうという明確な答えが提示されており、TVシリーズの謎が解き明かされるという点でも劇場版のスケールにふさわしいドラマだ。
TVシリーズ第7話で描かれたデンジ星滅亡とデンジランドの脱出の裏に秘められていた、デンジ姫の脱出とデンジ星人の地球来訪が描かれたことで、デンジ星人の血を引いた地球人が存在しており、デンジマンとなった5人もデンジ星人の子孫として、ベーダー一族と戦う宿命を背負っていたことが解き明かされる仕掛けは、物語に壮大なスケールを与えている。
劇場版に相応しいのはドラマ面だけでなく、充実したメカニック描写もまた映画スケール。
特にデンジタイガーは全編にわたって活躍を見せており、はるみを乗せたデンジマシーンを始末するべく巨大化したアンゴラーに立ち向かい、最終決戦でも虹の石を得たアンゴラーに正面から押し勝つ巨大母艦としての大パワーを見せつけている。
ダイデンジンも3つの武器を全て使い、迫力の戦闘シーンを見せている。
親子の絆を絶つベーダー一族の策謀と、それを打ち破るデンジマンの活躍。そこにデンジ星人の意志の継承やデンジ姫の神秘を絡ませた、非常に充実した内容の劇場版だった。
そして、デンジ姫の物語は、TVシリーズ26話においてTVシリーズでも語られることとなる…。