「電子戦隊デンジマン」第25話「虎の穴は逃走経路」感想

2024年9月1日日曜日

電子戦隊デンジマン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

父の八百屋を手伝っている礼子は、黄山に想いを寄せていた。
ベーダーは内気な性格を変えたいと思っている礼子を利用し、黄山の暗殺をたくらむ。
しかし、野暮な黄山はヘドラーの思惑にはまることはなく…。

恋心を利用した暗殺計画 瞳の中の怪物を討て!

今回のベーダー怪物はメダマラー。
黄山に恋をしている八百屋の娘・礼子に憑依し、黄山に色仕掛けを仕掛けて暗殺するヘドラー将軍の計画を実行するために選ばれたベーダー怪物であるメダマラーは、影分身・肝変えの術で礼子に憑依。内気な性格だった本物の礼子とは全く異なる大胆なアプローチで黄山に迫った。

だが、朴念仁の黄山には色仕掛けが通じず、逆に純朴で内気だった本物の礼子との違いを指摘されてしまい暗殺計画は見事に失敗。結果としてメダマラーはミクロ化して礼子の瞳に入り込むことで、治療のため礼子が運び込まれたデンジランドの位置を探り当てることに成功する。
デンジランドの位置がベーダー一族に知れてしまえば、大規模攻撃は避けられない。
果たして電子戦隊はメダマラーを倒し、デンジランドの謎を守れるのか。
そして黄山は、自分に恋する思いをベーダーに利用された礼子を救えるのか…。

黄山は八百屋を訪れていた。八百屋の店主と、その娘である礼子は笑顔で黄山を迎える。
黄山が言うには、払った金額以上の量の野菜を渡された事に気づき、もしかすると八百屋の秤が壊れてしまっており、自分が不当に多くの量の野菜を購入したのではないかと心配したそうだ。
一方、赤城と緑川は、そんな黄山を呆れた様子で眺めていた。
礼子は基山に想いを寄せており、こっそり野菜をサービスしていたのだが、朴念仁の黄山はもちろんそんなことに気づいておらず、秤が壊れていないことに怪訝な顔を見せる。
八百屋の店主は礼子の思いを察したようだが、黄山はじゃがいも300gを返すと言って聞かない。
黄山はいつも量が多いことをずっと不思議に思っていたようで、見かねた赤城と緑川は黄山を連れ戻し、礼子が黄山にだけサービスしていることを伝えるのだった。
朴念仁の黄山も、礼子が自分に想いを寄せていることに気づいて笑顔を見せる。

一方その頃、ベーダー魔城ではそんな黄山と礼子の話をヘドリアン女王が聞きつけていた。
ヘドラー将軍いわく、黄山はとんでもない木偶の坊だが、やっと春が巡ってきた。
そこで、黄山を礼子の虜にしたうえで、暗殺してしまう計画を考案したのだという。
ヘドリアン女王も、面白い趣向だとその作戦の実行を許可するのだった。
電子戦隊が一人でも欠ければ、ベーダーに対処することは出来ないのだ。
しかし、黄山がいないと電子戦隊は科学的なアプローチでベーダー一族の魔手に対抗することが出来ないので、木偶の坊というのはちょっと過小評価しすぎな気もする。
色恋沙汰に関心を示していない、ということを指してはいるのだろうが…。

早速、ベーダー一族はメダマラーを使い黄山暗殺計画を実行した。
ケラーは占い師に変装し、街を歩いていた礼子に声を掛ける。
恋をしており、内気な性格を変えたいと思っていた礼子の真鍮を見透かしたような言葉をかけるケラーは、積極派人間へと変わるため、話し方教室へ向かうように告げる。
嫌がる礼子を連れ、話し方教室へ向かうケラー。
そして、その様子を、水晶玉に化けていたミラーが監視していた。

結局押し切られてしまい、ケラーに話し方教室へ連れてこられた礼子は、鏡に向かって発声練習をさせられる。すると、鏡の中から巨大な瞳が浮かび上がり、礼子に光線を浴びせた。
そして、鏡に写った礼子の鏡像が、礼子に向かって近づいてくる。
鏡から出てきた礼子の鏡像は、礼子の身体に乗り移ってしまった。
これこそが、ベーダー怪物・メダマラーの影分身・肝変えの術。話し方教室の鏡はミラーが化けていたもので、メダマラーはそこに潜んで礼子の身体を乗っ取ってしまったのだ。

礼子にデートに誘われた黄山は、時計の針を見ながら待ち合わせ時間ぴったりに礼子との待ち合わせ場所へ向かった。すると、待っていた礼子は、普段とまるで違う派手な格好。
さらに、積極的にボディタッチをしてくる。黄山は普段と違う礼子の様子に困惑するのだった。
礼子の誘いで映画を見に来た黄山。ド派手なデコトラが走る映画を見ているのだが、ロマンチックな雰囲気になりそうにない映画のような気もする…。
メダマラーに憑依された礼子は、映画の雰囲気などお構いなしに黄山にスキンシップを図る。
手をつなぎ、肩を寄せてくる礼子に、黄山は戸惑いを隠せない。
一方、礼子の中のメダマラーも、一向に自らの虜にならない朴念仁の黄山に焦っていた。
その様子を見た黄山は、腹が減っているのかとせんべいを取り出し、礼子に渡すと自らも音を立ててせんべいを食べ始めた。映画の鑑賞マナーを守らない行為に、前列の観客がキレて黄山をぶん殴り、その日のデートはおじゃんになってしまう。

アスレチッククラブに戻った黄山は、デートでせんべいを食べるデリカシーの無さを仲間にからかわれていた。だが、黄山は普段と違う礼子の様子に違和感を覚えていた。
一方、ベーダー魔城でも、ヘドラー将軍が、黄山のあまりの朴念仁ぶりのせいで暗殺計画がちっともうまくいかないことをヘドリアン女王に叱責されていた。
そこで、ヘドラー将軍は今度は黄山をディスコへ呼び出す計画を立てる。
だが、純朴な礼子がディスコに自分を誘うことを、黄山はどうしても信じられない。
ディスコで踊る、ド派手な格好をした礼子に、黄山はついに抱えていた違和感を爆発させ、ディスコを抜け出す。そして、追ってきた礼子に、本物の礼子ではないことを指摘。
それでも自分にすがってきた礼子を振り払い、逃亡した木山。
地面に倒れた礼子の体では、本物の礼子の意識が黄山に助けを求めていた。
メダマラーは黄山を追うべく、礼子の身体から、礼子の鏡像、影分身を抜け出させる。

アスレチッククラブに戻ろうとする黄山は、何者かが自分を監視しているのを感じていた。
気づくと、眼の前にはまたしても礼子が立っている。
礼子の不審な行動に、ベーダー一族が関わっていると直感した黄山は、デンジスパークしデンジイエローに変身。デンジスコープで、眼の前の礼子が幻の影分身に過ぎないことを知る。
その影分身の裏にあるメダマラーの影は、作戦失敗を悟り姿を消した。

気絶していた本物の礼子が目を覚ますと、影分身の礼子が眼の前に現れた。
話し方教室で自分に迫ってきた鏡像が再び現れたことに怯える礼子に、影分身は再び憑依。
礼子はまたしてもメダマラーの支配下に置かれてしまう。
翌日、黄山はまたしても買い出しのために八百屋を訪れていた。
父親を手伝う礼子の様子も、見たところ不審な点はない。
だが、どうしてもベーダー一族の影を感じる黄山は、一計を案じる。

黄山は礼子を公園に呼び出した。初々しい様子でデートを楽しむ二人。
礼子は持ってきたりんごを黄山に差し出すが、黄山はそのりんごを落とす。
すると、地面を転がっていったりんごは爆発した。
黄山は礼子がベーダー一族に操られている証拠を掴むため、デートに誘い出したのだ。
逃亡を図る礼子に、赤城と緑川が立ちふさがり、手鏡の反射で光を浴びせる。
すると、礼子の身体からメダマラーと影分身が抜け出した。
珍しく、デンジスコープではないアナログな方法でベーダーを追い出している。
気を失った礼子を保護すべく、黄山たちは礼子をデンジランドへ運んだ。

メダマラーの正体が露見し、黄山の暗殺計画が失敗したことに怒るヘドリアン女王。
だが、ヘドラー将軍はこれこそがメダマラーの作戦なのだという。
メダマラーは礼子の身体から抜け出したふりをして礼子の瞳に未だ宿っており、デンジランドの所在地を突き止めるため礼子の身体に潜んでいるのだ。
一方、目を覚まさない礼子を回復させようと、黄山はデンジランドの科学であらゆる手を尽くす。
だが、いかなる手を尽くしても礼子は目を覚まさなかった。
アイシーも、自分の力では礼子を目覚めさせることは出来ず、諦める他にないと言う。

だが、赤城は礼子の様子を見て何かに気づく。
電子戦隊は別室で礼子のいる部屋の監視モニターを確認し、誰もいなくなった部屋で礼子の目が動く様子を目撃。さらにカメラをズームさせ、礼子の瞳の中にメダマラーがいることに気づく。
だが、メダマラーは監視カメラに気づき、礼子の目を閉じさせた。
礼子の身体の中に逃げ込まれた以上、メダマラーを倒す方法はない。
いったいどうすれば、メダマラーを引きずり出すことが出来るのか…。

自分への想いを利用された礼子に、黄山は必死に呼びかける。
すると、その声に応えるように、礼子の瞳から一筋の涙が溢れ落ちた。
電子戦隊はその涙をスポイトで採取し、カプセルの中に封じ込める。
封じ込められたメダマラーは人間大に巨大化して脱出し、デンジランドの所在地をヘドラー将軍に伝えるべく、電子戦隊を攻撃して怯ませた隙に脱出を図る。
電子戦隊も非常警戒体制に入り、メダマラーの行く通路の隔壁を次々に閉じていく。
次々に閉じる隔壁から逃れたメダマラーは、日の当たる外へと出る。
だがそこには、デンジマンが待ち受けていた。
「眩しい…ここは何処だ?何処だ!?」
「お前の地獄の一丁目だ!」
「デンジランドには二重三重のガードシステムがあるのさ!」

「見よ!電子戦隊!デンジマン!!」
名乗りを上げたデンジマンに対抗すべく、メダマラーもダストラーを呼び出す。
「この目で!ベーダーの世界征服を見るまでは!負けんぞ!」
目玉の怪人だけに上手いことを言ったメダマラーとデンジマンの死闘が始まった。
デンジイエローはメダマラーの杖を受け止め、メダマラーを蹴り飛ばす。
だが、メダマラーは落ちていたタイヤを次々に投げつけ、デンジイエローの動きを封じた。
だが、メダマラーがデンジイエローに注意を引き付けられた隙に、他の4人の連携攻撃が炸裂。
追い込まれたメダマラーは再び巨大な瞳となり、稲妻を落として攻撃するが、デンジマンも怯まずに、最後のトドメのデンジブーメランを炸裂させるのだった。

ダメージを負ったメダマラーは巨大化し、最後の攻勢をかける。
デンジマンもデンジタイガーを呼び、ダイデンジンに乗り込んだ。
ダイデンジンのデンジボールと、電子満月斬りが炸裂し、メダマラーは倒されるのだった。

こうして、礼子はベーダーの呪縛から開放され、街に平和が戻った。
礼子は以前よりも明るくなった。そこにはあきらのアドバイスがあったらしい。
黄山は八百屋の店主にスイカを値引きしてもらい、すっかり気に入られた様子だった。
デンジマンの活躍で、街に一際、明るい声が弾むようになった。
彼女が振りまく笑顔は、街の人たち皆を、ほのぼのとさせる。
小さな幸せを守って、明日もデンジマンは戦う!

ハニートラップを仕掛け、黄山の暗殺を目論んだベーダー一族。
だが、現代の言葉で言う陽キャラでは決してない、朴念仁の黄山には、積極的にスキンシップを図ってくるハニートラップの手法は効果的ではなく、目論見が外れたヘドラー将軍がヘドリアン女王に叱責され、ちょっとしょんぼりしているのが面白い。

メダマラーが体内に潜んでしまったことで、デンジランドの科学やアイシーの超能力をもってしても目を覚まさない礼子に、必死に呼びかける黄山の声が奇跡を起こして一筋の涙が零れ落ちる場面は、人の思いの繋がりの暖かさが感動を呼ぶ名シーン。
デンジマンはデンジランドの超科学で戦うヒーローだが、超科学の強化服を纏う人の心の温かさが生む情感溢れるドラマもまた、「電子戦隊デンジマン」の魅力であることを改めて感じさせる。

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