あらすじ
ブラックサタン大首領は、新たなる最高幹部・デッドライオンを着任させた。
ユリ子と藤兵衛はデッドライオンの手に落ちてしまい、城茂はブラックサタンから、二人を助けるための招待状を贈られ、ブラックサタンの本拠地に乗り込むべく、罠と知りながら乗り込む。
なんとか二人の救出を試みる城茂だったが、ブラックサタンの狡猾な罠に落ちてしまい、ついに電気エネルギーを吸い取ってしまう電気椅子に縛り付けられてしまう。
新たな最高幹部の挑戦!起死回生の変身に全てを賭けろ!
今回のブラックサタンの奇械人は、奇械人アルマジロン。
アルマジロの怪人らしく、体を丸めた状態での体当たりの威力は脅威である。
ショッカー怪人・アルマジロングの放つ弾丸スクリューボールの系譜にある戦法だ。
その任務は、新たなるブラックサタン最高幹部の補佐である。
そして、その新たなるブラックサタン最高幹部こそ、ライオンの奇械人であるデッドライオンだ。
新たに生み出された最高幹部でありながら、組織直系の出自というだけで、ブラックサタン大首領が最も信頼する存在の証であるペンダントを託されるほどの厚遇を持って迎えられている。
デッドライオン自身も、ブラックサタン大首領にペンダントを託されたことを誇りとしており、このペンダントをもって雇われ幹部であるジェネラルシャドウに対しても、自分はブラックサタン直系のエリートであることを鼻にかける振る舞いを見せている。
だが、デッドライオンはまだ知る由もなかった。
既にブラックサタン大首領は雇われ幹部への対抗心のためだけに戦っており、戦う相手を見失ってしまっていること。雇われ幹部と見下すジェネラルシャドウが自らを遥かに上回る実力を持ち、その能力を持ってブラックサタンへの反逆を既に決意していること。
そして、ブラックサタンの最高幹部として君臨する栄光は、既に有名無実に過ぎないことを…。
兎にも角にも、ブラックサタン大首領は新たに組織直系の最高幹部であるデッドライオンを生み出し、雇われ幹部であるジェネラルシャドウに吠え面をかかせようとする。
ジェネラルシャドウもまた、そんな大首領に見切りをつけ、独自に反逆を開始した。
ブラックサタンの内部崩壊が加速する中、城茂は新たな敵・デッドライオンとどう戦うのか…。
ブラックサタンを追い、城茂は旅を続ける。
その旅のさなか、ふと那須岳を見上げた城茂は、噴煙の流れが風に逆らっている異変を察知。
城茂が異変を怪しんだ予感は的中しており、噴煙が異常を示す那須岳の火口の中には、新たに着任したブラックサタン最高幹部・デッドライオンのアジトがあった。
ジェネラルシャドウをアジトに呼び出したデッドライオンは、自分こそがブラックサタンの最高幹部であることを誇る。だが、ジェネラルシャドウもそんな虚勢には怯まない。
その無礼に怒ったデッドライオンは、ブラックサタン直系の最高幹部の証としてブラックサタン大首領に授けられた、サタンのペンダントをジェネラルシャドウに見せびらかす。
このサタンのペンダントこそ、ブラックサタンの中でただ一人、最も大首領に信頼される幹部に授けられるものであり、ペンダントを持つ者だけが大首領に近づくことが許される。
この信任の証を持って、ジェネラルシャドウは所詮ブラックサタンにとって余所者、雇われ者に過ぎないという屈辱を味合わせるのが、デッドライオンとブラックサタン大首領の意思だった。
自らを侮辱した大首領に怒るジェネラルシャドウに、デッドライオンはその言葉をもって大首領の反逆の意思を示したと判断。ジェネラルシャドウをアジトから追い出そうとする。
だが、ジェネラルシャドウもシャドウ剣を取り出し、デッドライオンに反撃。
ジェネラルシャドウのシャドウ剣は、デッドライオンの肩をいともたやすくVの字に切り裂き、両者の実力の差は明白だった。そこで、デッドライオンは配下の奇械人アルマジロンを呼び出す。
奇械人アルマジロンの奇襲を受けたジェネラルシャドウは、状況不利と見て姿を消す。
デッドライオンへ、いずれ後悔する時が来ると大首領に伝えるように言い残して…。
反逆の意思を示し逃亡したジェネラルシャドウを追跡しようとする奇械人アルマジロンだが、デッドライオンはライダーストロンガー抹殺を優先するように命じた。
一方その頃、那須ビューホテルには、ブラックサタンの影を追ってホテルを調べていたユリ子とおやじさんの姿があった。だが、ホテルには何の異常も見られない。
すると、地震が発生し、デッドライオンのアジトがある那須岳から噴煙が上がり始める。
この異変に、城茂も那須岳にいるのではないかと思ったユリ子とおやじさんは、ロープウェーに乗って那須岳に向かった。那須岳に到着したユリ子たちの前に、奇械人アルマジロンが現れる。
ユリ子はタックルに変身し、ブラックサタンとの戦闘を開始。
だが、多勢に無勢かつ、ジェネラルシャドウを退けた奇械人アルマジロンは強敵だった。
タックルが奇械人アルマジロンに追い詰められたその時、口笛とともに城茂が現れる。
「変身…ストロンガー!天が呼ぶ…地が呼ぶ…人が呼ぶ!悪を倒せと、俺を呼ぶ!俺は正義の戦士…仮面ライダーストロンガー!」
城茂はストロンガーに変身し、戦闘員を蹴散らしながら高らかに名乗りを上げた。
その間に、ユリ子とおやじさんは下りのロープウェーに乗って那須岳を脱出する。
奇械人アルマジロンは体を丸め、弾丸となってストロンガーに体当たりを仕掛ける。
その頑丈さの前には、ストロンガーのパンチすらも通じない。
そして、ユリ子たちが乗るロープウェーも突然揺れ始めた。
なんと、ロープウェーのロープを中継する鉄塔の上にデッドライオンが立っており、右腕の鋏でロープを切断してユリ子たちの乗るロープウェーを落下させようとしていたのだ。
このシーンでは本当に鉄塔の上にデッドライオンが立っており、危険な撮影だが迫力がある。
体を丸めた状態の奇械人アルマジロンの体当たり攻撃に、ストロンガーも有効打を与えることが出来ない。だが、ストロンガーは丸まった状態の奇械人アルマジロンを抱え上げ、空中に投げ飛ばしたところにキックを炸裂させる奇策で奇械人アルマジロンにダメージを与え、撤退させることに成功する。城茂はひとまず那須ビューホテルに向かい、ユリ子たちと合流しようとした。
だが、那須ビューホテルのフロントに確認したところ、ユリ子たちは戻ってきていなかった。
するとそこに、どこからともなくホテルマンが現れ、城茂に手紙を渡す。
その手紙は、ユリ子とおやじさんを人質に、那須ビューホテルのレストランシアターへ城茂を呼び出す、ブラックサタンの招待状だった。間違いなく、これはブラックサタンの罠。
だが、城茂はこれを、ブラックサタンの本拠地へ向かうチャンスとして利用しようとする。
レストランシアターでは、アフリカの民族舞踏のショーが開かれていた。
ホテルマンにレストランシアターの椅子に案内された城茂は、ブラックサタンがいかようにして襲ってくるのか、その出方を見るため、神経を尖らせて周囲の状況に気を配る。
やがて、ショーのステージの照明が消え、スポットライトに二人の人影が照らされる。
それは、デッドライオンに捕まったユリ子とおやじさんだった。
城茂は二人を助けようとしたその時、座っていた椅子から拘束具が出現。
拘束具に捕らわれた城茂は身動きが取れなくなってしまう。城茂がこのレストランシアターに入った時から、既にブラックサタンの罠が張り巡らされていたのだ。
城茂たちは、那須岳のデッドライオンのアジトへ連行された。
デッドライオンは、城茂を完全に絶望させるべく、あえて戦闘員に城茂の手袋を外させ、ストロンガーへ変身できるものならしてみろと挑発する。
奇械人アルマジロンが椅子に繋がれた装置のスイッチを入れると、城茂の身体から急激に電気エネルギーが吸い取られた。城茂を拘束する椅子は、電気人間である城茂を処刑するための、電気パワーを放出させる電気椅子だったのだ。苦しむ城茂。
デッドライオンはユリ子とおやじさんを部屋に連行し、城茂が電気パワーを完全に失い、戦闘員の一人も相手にできぬ弱いただの人間となって死ぬ様を見せつけようとする。
絶体絶命の窮地から抜け出すべく、城茂は苦悶の中で脱出方法を考え続ける。
そして、部屋に花が生けられた花瓶があることに気づくと、花瓶の水を利用し、電気椅子と電気パワー放電装置を繋ぐ電線を濡らすことでアースし、電気パワーを自らの身体に逆流させれば脱出出来ると思いつく。だが、拘束された状態で、どうやって花瓶を倒し、水を零すのか。
そこで、城茂はおやじさんが自分を励ますべく声をかけたのに乗じて、自分が死んだ時は花瓶の花を飾ってほしいと頼みながら、必死におやじさんにアイコンタクトを送る。
それは、花瓶というヒントを与えれば、おやじさんが自分の考えていることに気づいてくれると信じた、城茂の最後の賭けだった。そして、その賭けは見事に的中した。
おやじさんは城茂が花瓶の水を利用するつもりであることに気づく。
一方、勝利を確信したことで慢心し、城茂の考えに何も気づいていないデッドライオンたちは、死に際に花を飾ることを望む城茂を嘲笑う。
おやじさんはユリ子にも城茂の考えを密かに伝え、アジトの床の絨毯を二人で引き、花瓶を倒そうとする。だが、城茂の電気パワーも、もはや残り少ない。
デッドライオンたちが勝利を確信し、花瓶から目を離した瞬間、おやじさんたちは絨毯を思い切り引き、ついに花瓶を倒すことに成功する。花瓶は電気椅子と放電装置を繋ぐコードの上に倒れ、花瓶から漏れた水で漏電したコードがショート、城茂の身体に電気パワーが逆流した!
電気パワーを取り戻した城茂は再びストロンガーに変身。
デッドライオンと奇械人アルマジロンは二人がかりでストロンガーを抹殺すべく襲いかかる。
だが、デッドライオンはストロンガーの裏拳に吹き飛ばされる。
すると、ストロンガーの手には、デッドライオンがブラックサタン大首領から授かった、最高幹部の証であるサタンのペンダントが握られていた。
大首領の信任の証にして、自らの最高幹部というプライドの証であるペンダントを奪われたデッドライオンは、ペンダントを奪い返そうとする。
ユリ子もタックルに変身し、おやじさんとともにアジトから脱出を図る。
デッドライオンと共にストロンガーに襲いかかる奇械人アルマジロンは、二人がかりというアドバンテージを活かして戦いを優位に運んでいた。
すると突然、サタンのペンダントが光りだす。それはブラックサタン大首領からの、緊急事態発生を告げる、最高幹部デッドライオンへの帰還命令のサインだった。
なんと、ジェネラルシャドウがついにブラックサタンに反逆を起こしたのである。
最高幹部を慌てて呼び戻そうとする大首領の声と、ストロンガーを奇械人アルマジロンと二人がかりで倒す絶好のチャンスとの間の板挟みになるデッドライオン。
だが結局、デッドライオンは繰り返し最高幹部の出頭を求める大首領の命令に従うことになり、必ずペンダントを取り戻すと言い残してブラックサタン大首領の下へと向かった。
組織の命運が尽きようとしているこの期に及んで、ブラックサタン最高幹部という組織の中だけの栄光の証であるペンダントに拘るデッドライオンと、ストロンガー抹殺の絶好の機会にも関わらず、ジェネラルシャドウの反乱に怯えデッドライオンを呼び戻すブラックサタン大首領の姿は、完全に大局を見失っていたと言わざるを得ない。
ジェネラルシャドウの冷遇といい、滅ぶべくして滅んだ組織であると言えよう。
デッドライオンの帰投に伴い、ひとり残された奇械人アルマジロン。
それでも、懸命に体当たりでストロンガーを攻め立てた奇械人アルマジロンだが、1対1の勝負では結局ストロンガーには及ばず、ストロンガー電キックで敗れ去るのだった。
ブラックサタン大首領の前に出頭したデッドライオンは、信任の証であるサタンのペンダントを奪われたことを叱責されていた。サタンのペンダントは単なる最高幹部の証というだけでなく、ペンダントの中にブラックサタンの最高機密が秘められているのだ。
大首領は、デッドライオンに何を犠牲にしてもサタンのペンダントを取り戻すように命じる。
だがそれは、最高機密が秘められていることそのものよりも、自らが信任の証として授けたペンダントをみすみす奪われる失態を犯したデッドライオンが、雇われ幹部であるジェネラルシャドウに劣ると認めたくないゆえに、失態を挽回するように命じているに過ぎなかった。
この期に及んでも、組織の中のメンツだけを気にしているフシがある。
一方、ジェネラルシャドウは、サタンのペンダントが城茂の手に渡ったことで、城茂とブラックサタン大首領のどちらかが滅びることは避けられない状況になったことにほくそ笑んでいた。
ストロンガーとブラックサタン大首領の対決は、刻一刻と迫ろうとしているのである。
大首領が恐れるほどの、ブラックサタンの最高機密とは、なにか。
そして、ジェネラルシャドウの本当の狙いは。
ついに、謎の正体に近づこうとするストロンガー!頑張れ、正義の戦士!
最後の奇械人である奇械人アルマジロンは、体を丸めた体当たりが強力な強豪奇械人。
ブラックサタン直系幹部であるデッドライオンへの忠誠心も厚く、奇襲をかければジェネラルシャドウも苦戦を強いられるほどに強かった。
そして、最終決戦ではデッドライオンと二人がかりでストロンガーに襲いかかる。ともすれば、奇械人アルマジロンの戦いはブラックサタンがストロンガーに勝利する最後のチャンスだった。
だが、ジェネラルシャドウの反乱に怯えたブラックサタン大首領が、デッドライオンを慌てて呼び戻したことで、戦場に一人残された奇械人アルマジロンの命運も尽きてしまう。
一対一では流石にストロンガーに及ばなかった奇械人アルマジロンを失ったことで、ついにブラックサタンに残された戦力はデッドライオンだけになってしまった。
恐らく、ジェネラルシャドウも、自らの反乱によって大首領がデッドライオンを呼び戻してストロンガー抹殺の機会を失うことを予期したタイミングで反逆を起こしたのだろう。
だが、デッドライオンがストロンガーにサタンのペンダントを奪われたことはジェネラルシャドウにとっても僥倖だったようで、ついにブラックサタンへのクーデターを完遂することになる。
雇われ幹部のジェネラルシャドウを信用できず、タイタンやデッドライオンといった直系の大幹部への寵愛と雇われ幹部への憎悪を隠しきれなかったブラックサタン大首領。
組織を運営する身として、その行いはあまりにも狭量すぎた。
雇われ幹部のジェネラルシャドウに吠え面をかかせて冷遇するために、直系の幹部に手柄を立てさせることが主な目的になった時点で、ブラックサタンの命運は尽きていたのだろう…。