あらすじ
ヘドラー将軍の今度の作戦は、子供たちの好きなカブト虫に爆弾を仕掛けて恐怖を与え、森林を人間自らの手で危険地区として撤去させることだった。
そうとは知らない子供たちの間で、爆弾が仕込まれた赤いカブト虫の流行が広がる。
次々に爆発する赤いカブト虫の恐怖から、人々は森林を伐採し始め…。
恐怖のカブト虫爆弾!人は自ら自然を壊すのか?
今回のベーダー怪物は、切り株型の怪物であるキーラー。
人々に自然に対する恐怖心を植え付けることで、人間が生きていく自然環境に必要不可欠である森林を人間自らの手で伐採させることを目的とするベーダー怪物だ。
そのためにベーダー一族が利用したのが、子供たちのカブト虫への興味である。
爆弾を体内に内蔵した赤いカブト虫を用意したベーダーは、学校で悪さばかり行い、授業を途中で抜け出す不良少年、三平とその相棒に赤いカブト虫を見せる。
三平とその相棒は赤いカブト虫を大量に捕まえ、子供たちに売り捌くことで大儲けを目論見、カブト虫が好きな子供たちはこぞって珍しい赤いカブト虫を購入。
そうして赤いカブト虫を手に入れた子供たちの周囲で赤いカブト虫は次々に爆発し、その危険を問題視した大人たちはカブト虫が原因であることを突き止め、ベーダーの思惑通り、カブト虫が生息する森林を伐採する決定を下してしまうのだった。
人間の生息に必要な森林を自ら伐採する愚かさを嘲笑うベーダー一族。
電子戦隊はキーラーを倒し、ベーダー一族の陰謀を食い止めることが出来るのか。
ダストラーたちが持っていた、赤いカブト虫。それは、ヘドラー将軍が開発した秘密兵器だった。
カブト虫の内部には高性能爆弾が仕込まれており、投げたり踏みつけたりすれば一瞬で爆発する。
ヘドラー将軍はこの赤いカブト虫を使って、人間自らが自然を破壊する作戦を立てた。
緑の自然が増えれば酸素が増え、それはヘドロを好むベーダー一族にとって憎むべき敵。
さらに地球に緑が増えたことで、死滅したはずの昆虫も繁殖するようになった。
そこで、昆虫を好む子供たちの間に赤いカブト虫をバラ撒き、爆発させることで子供たちの心に昆虫への恐怖心を植え付け、その恐怖心によって人間自らが自然を追放するように仕向ける。
人間に自ら自分たちの生存に必要な自然を破壊させるのが、ヘドラー将軍の目論見だった。
ヘドリアン女王はこの作戦を大いに気に入り、早速実行に移させるのだった。
平和な小学校では、いわゆる悪ガキである三平とその相棒が、先生に廊下に立たされていた。
宿題もしなければ授業中に騒ぐ二人は、廊下に立たされても尿意を訴えて便所へ行き、先生の目を盗んで窓から抜け出し、学校から逃亡してしまう。
反抗心の塊である二人に、二人の美女が声をかけてきた。それは、ミラーとケラーの変装だ。
ミラーとケラーは三平たちの味方だと言い、カブト虫に目がないという二人を、珍しいカブト虫がいるという場所へと案内する。森の奥深くで三平たちが見たのは、一本の切り株だった。
その切り株の内部には、例の赤いカブト虫が大量に生息していた。
三平たちは瞬く間に、赤いカブト虫の虜になってしまう。
三平たちはこの珍しい赤いカブト虫を売れば、大金を稼げると銭ゲバ精神を発揮。
欲に目が眩んだ二人は、ミラーとケラーに虫籠を渡され、赤いカブト虫を乱獲する。
ミラーとケラーにこの場所を口止めさせた二人は、赤いカブト虫を売りさばくべく帰路についた。
二人が去った後、赤いカブト虫が生息する切り株は、ベーダー怪物・キーラーの正体を現す。
乱獲した赤いカブト虫で大儲けする計画を立てた三平たち二人は、その売上を元手に日本全国を旅行して歩く計画を立て、笑い合う。銭ゲバ精神が基の、汚い「スタンド・バイ・ミー」だ。
かくして、昆虫好きの子供たちを集めた三平たちは、面白いカブト虫を売りつける。
赤いカブト虫の代金として持っているお小遣い全てを差し出すように迫り、少額だとこれっぽっちかと言い放つその姿は、正直見ていてかなり印象が悪いが、別に良い子でもないので仕方ない。
そこに、パトロール中のチーコたちが通りかかり、三平たちを咎めようと迫る。
金儲けがバレて慌てる三平たちは逃亡するが、偶然通りかかった青梅と緑川にぶつかり、虫籠を落としてしまう。だが、三平たちはそれに気づかず逃げ去ってしまった。
押し売りを咎めようとしていたチーコは、二人を逃がした緑川と青梅に怒る。
青梅は、橋桁の済に引っかかっていた虫籠に気づき、それを拾おうとする。
大葉健二氏の身体能力で、さっそうと拾いに行く姿がかっこいい。
だが、手元が狂い、虫籠は川へと落下。
すると、その衝撃で虫籠の中の赤いカブト虫が爆発した。
緑川は、三平たちが売りつけた赤いカブト虫が爆弾であったことに戦慄する。
アスレチッククラブの赤城の生徒たちの中にも、赤いカブト虫を三平たちから買った子供がいた。
やってきた赤城とあきらが赤いカブト虫を見ていると、間一髪、青梅と緑川が駆けつけ、赤いカブト虫を回収。赤城たちはデンジランドへ向かい、黄山が赤いカブト虫を分析することになった。
黄山の分析で、赤いカブト虫の内部の高性能爆弾の存在が明らかにされ、ベーダー一族の陰謀を感じ取った電子戦隊は、赤いカブト虫を回収する必要性を感じる。
だが、そんなことを知る由もない三平たちは、またしても赤いカブト虫を売り捌く。
そこに駆けつけたチーコたちは、なんとか三平たちを捕まえ、警察で話を聞くことになった。
だが、三平の相棒は自分の家は貧しいから働かないといけないだの、三平は親が病気で妹や弟を食わせなきゃいけないなどと嘘八百を並び立て、反省する気配はない。
そこに青梅と緑川が駆けつけ、赤いカブト虫の出どころが美人の女性たちであったことを知る。
その頃、赤いカブト虫を買った子供たちがはしゃいでいると、突然赤いカブト虫が動かなくなった。子供たちが動かない赤いカブト虫を捨てると、内部の爆弾が爆発。
警察への通報を聞きつけた青梅と緑川が走り去っていくのにチーコが気を取られた隙に、三平たちは警察署から逃亡する。もう逮捕してしまおう…。
赤いカブト虫が爆発した現場は大騒ぎになっていた。
デンジブルーとグリーンも、ベーダー一族の狙いが読めずに困惑する。
すると、別の場所でまたしても赤いカブト虫が爆発を起こした。
赤いカブト虫の爆発騒ぎは一躍テレビでも取り上げられ、赤い斑点を持つ赤いカブト虫の恐ろしさが流布。警察も赤いカブト虫の回収を開始し、市井の人々の間でカブト虫全体への恐怖心が広がる。そして、カブト虫が生息する森林の伐採まで事態はエスカレートしてしまった。
ベーダーの作戦は的中し、不安な噂が広がったことで、緑の林は次々に切り倒されていった。
ベーダー魔城でそれを見ていたヘドリアン女王は、自分たちの生存に必要な酸素を生み出す緑を自らの手で破壊する人間の愚かさに狂喜乱舞し、地球が壊滅するまで破壊せよと盛り上がる。
だが、あまりの胸のときめきに盛り上がりすぎたせいで酸欠に陥ったのか、一瞬グロッキー状態になるヘドリアン女王。ヘドラー将軍も、流石に心配になってしまうのだった。
一方、電子戦隊の面々は、変装したミラーとケラーを発見。
その前に立ちふさがるが、ミラーとケラーは赤いカブト虫爆弾を投げつけ攻撃する。
出現したダストラーたちの足止めを買って出たデンジレッドたちは、ブルーとグリーンをミラーとケラーの追跡に向かわせるのだった。
その頃、自分たちが売り捌いた赤いカブト虫がとんでもない騒動を引き起こしていることを知ってか知らずか、三平たちは赤いカブト虫の売上の少なさに落胆していた。
自分たちの行動が騒動を引き起こしていることを知ったうえでこんなことを言っているのだったら流石に救いようがないので、家に帰っておらず騒動を知らないものと思いたい…。
これでは旅行は無理だと落胆する相棒に、三平はまた赤いカブト虫を捕まえて売り捌けば良いのだと言い、相棒も同意して再び切り株の地点まで向かう。
流石に赤いカブト虫が回収騒ぎになっていることを知っていれば、また赤いカブト虫を売れば良いとはならないはずなので、騒動のことは知らないのだろう。知らないよね?
ミラーとケラーを追うデンジブルーとグリーン。
だが、その追跡を撒いたミラーとケラーは、キーラーのもとへ向かう。
そこに、銭ゲバ精神で金に取り憑かれた三平たちが現れた。キーラーは再び切り株に擬態。
三平たちは切り株を調べ始め、赤いカブト虫を一匹残らず捕まえ尽くそうとする。
だが、赤いカブト虫は出てこない。キレた三平たちは、切り株を蹴飛ばす。無法すぎる。
三平の相棒は、虫眼鏡を取り出すと虫眼鏡で太陽の光を集光し、切り株を燃やして赤いカブト虫を炙り出そうと考えた。今度は山火事でも引き起こすつもりなのだろうか…。
集光された太陽の光の熱さに耐えかねたキーラーは、擬態を解いてしまう。
流石の三平たちもこれには驚き、逃亡するが、キーラーはそんなに赤いカブト虫が好きなら
くれてやると、赤いカブト虫爆弾を投げつける。因果応報。
その爆音を聞きつけたデンジブルーとグリーンは、爆音が聞こえた方向へ向かうのだった。
怒りのキーラーはダストラーに三平たちを捕まえさせると、二人の懐に赤いカブト虫爆弾を入れ、ローラースケートに縛りつけ、急斜面を頭から滑り落とす処刑を行った。
恐怖に慄く三平たち。そこに、デンジブルーとグリーンが駆けつけ、三平たちを救出した。
三平から赤いカブト虫が森の中の切り株にいることを聞き出したデンジブルーは、グリーンにレッドたちへの連絡を任せ、切り株の捜索を開始した。
森を調べるデンジブルー。だが、やみくもに切り株を探してもキーラーは見つからない。
キーラーは切り株に擬態した状態で、斧を投げつけ、蔓を伸ばしデンジブルーの足を絡め取る。
動きを封じられたデンジブルーにとどめを刺すべく、擬態を解いたキーラーが迫る。
だがそこに、デンジスティックが投擲され、キーラーの行く手を阻んだ。
デンジマンの仲間たちが間一髪、間に合ったのだ。
「見よ!電子戦隊!デンジマン!!」
5人揃ったデンジマンと、キーラーの最終決戦が始まった。
デンジマンたちは、5人全員がデンジパンチを装備し、レッドとブルーのパンチ、グリーンのクロスカウンター、ピンクの平手打ち、イエローのハンマーパンチを決めダストラーを倒す。
キーラーは丸太を振り回し攻撃するが、デンジマンはスライディングキックで反撃。
囲まれたキーラーは再び切り株に擬態して逃げ、木の表皮に溶け込んで隠れた。
だが、デンジブルーが偶然隠れていた木を殴りつけ、一瞬擬態が溶けてしまう。
キーラーが背後から斧でデンジブルーを狙うが、レッドがデンジスティックで火柱を走らせ、間一髪その危機を脱することが出来た。キーラーは再び赤いカブト虫爆弾を投げつける。
赤いカブト虫爆弾の威力に苦戦するデンジマンは、デンジタワーでエネルギーを高め、ドラゴンフライで反撃し、最後のトドメのデンジブーメランを炸裂させるのだった。
だが、キーラーは細胞組織を組み替えて巨大化し、最後の反撃を仕掛ける。
デンジタイガーが発進し、ダイデンジンが戦場に降臨した。
「戦う電子戦隊デンジマン」をBGMに、最終決戦が始まる。
ダイデンジンのデンジボールが炸裂し、キーラーの斧はデンジ剣で受け止められる。
再び切り株となってダイデンジンの目を欺く抵抗を見せたキーラーだが、ダイデンジンは電子満月斬りを繰り出し、キーラーを一刀両断、勝利するのだった。
ベーダーの作戦は失敗し、自然はまた蘇った。
しかし、ちっとも変わらない奴が、二人いる。
宿題を忘れ、また廊下に立たされた三平たちは、また学校を抜け出した。
すると、糸に吊るされた赤いカブト虫が目の前に現れ、三平たちはカブト虫爆弾のトラウマで逆戻り。それは電子戦隊が三平たちを反省させるため、普通のカブト虫に色を塗ったものだった。
それにしてもこの二人、この先も先生を悩ませるに違いない…。
ベーダーの手で自然を破壊するのではなく、赤いカブト虫爆弾への恐怖人間が自らの生存に必要な地球の自然を自らの手で破壊するという、恐怖心や不安を煽る噂に踊らされる人間の愚かさを利用した作戦が、ヘドリアン女王はたいそう気に入ったことが伝わる回。
狙い通りに人間が自分たちの手で自然を破壊し始めた瞬間、演じる曽我町子氏が本当に酸欠に陥ったのではないかと思う勢いで喜ぶヘドリアン女王の姿が面白くもあり、人間の心理を利用した作戦を立てたヘドラー将軍の恐ろしさも伝わる秀逸な描写だった。
赤いカブト虫を売りつける銭ゲバ、先生やチーコの叱責も聞く耳持たずの悪童ぶりを見せた三平たちだが、気の合う二人で日本全国を旅行して歩く夢を語るのはなんだか微笑ましくはある。
とはいえ、同級生から金を巻き上げ、大人には平気で嘘をつくのは流石に良くない。
カブト虫にはトラウマが出来たが、欲に目が眩むと足をすくわれることも覚えてほしいものだ…。