「電子戦隊デンジマン」第28話「呪いの館の密殺者」感想

2024年9月9日月曜日

電子戦隊デンジマン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

悪魔の祈祷師・デリンジャーが来日し、デンジマンにインターポールから依頼が来た。
デリンジャーはベーダーに協力して、呪術で赤城たちを苦しめる。
しかし、あきらにだけは呪いが効かず、洋館に閉じ込められてしまう。

あきらの笑顔に魅せられた呪術師 呪いの館を脱出せよ

今回のベーダー怪物は「なぞなぞ」そのものがモチーフのナゾラー。
クエスチョンマークのカリカチュアライズである頭部が特徴的なベーダー怪物で、知恵の輪で相手の動きを封じ、ナゾラー自身しかわからないような理不尽な回答のなぞなぞに答えさせて不正解の答えを答えた者を抹殺する、残虐な手口を得意としている。

そんなナゾラーの任務は、日本に来日した、悪魔の祈祷師・デリンジャーと共に電子戦隊の面々を呪い殺すこと。デリンジャーは世界各国の要人を次々に呪い殺したと恐れられ、インターポールにもマークされながら、直接手を下した証拠がないため逮捕することも出来ずにいた殺し屋である。
しかし、ナゾラー自身は人間に過ぎないデリンジャーを疎んでいるようだ。

一方、デリンジャーもベーダー一族の依頼で電子戦隊に次々に呪いをかけるが、ただひとり、あきらだけはその呪いの効力から免れていた。
それは、デリンジャーが来日した当初、偶然海に遊びに来ていたあきらと対面し、その笑顔に心惹かれていたためだったのである。果たしてあきらは、仲間たちを呪いから救えるのか。

海に遊びに来ていたあきらは、そこで謎の紳士と対面する。
紳士を怪しみ、そそくさとその場を離れたあきらは、コンパクトを落としてしまう。
紳士が海へ向かい、気合を込めた掛け声を放つと、なんと魚が海中から紳士の手の中へと飛んできた。そして、その様子を影から監視している男が一人いた。
男は、紳士の正体を暴こうとしているらしく、謎の洋館へ入っていく紳士を尾行する。

不気味な雰囲気の洋館に乗り込んだ男。
洋館の中は、蜘蛛の巣が張り不気味な人形が鎮座する、陰鬱な空間だった。
すると、突然雷鳴が鳴り響き、強風とともに男が入ってきた扉が閉じる。
不気味な笑い声が響き、人形たちがひとりでに動くポルターガイスト現象。
それが収まったかと思うと、男の耳に不気味な声が響く。
その声は、男になぞなぞを問うてきた。
「生きて出たくば問いに答えよ。朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足は?」
「そ…それは!人間だ!赤ん坊の時は4つ足、大人になって2本足!年取って杖ついて3本足!」
なぞなぞの王道とも言える問いに、普通なら正当になる回答を答える男。
だが、その謎の声は、非情かつ理不尽にもその答えは間違いだと宣告した。
「フフフ…君は間違っている。これは、スフィンクスの謎と答えねばならんのだ!死ねぃ!」

姿を現し、理不尽な自分ルールで男の処刑を宣告するベーダー怪物・ナゾラー。
だがそこに、先程の紳士が現れた。
紳士は、男を自分の手で殺ると言い放ち、それに反発したナゾラーは、ミラーとケラーに咎められる。ケラーは男を今のうちに逃げるようにと促す謎の行動に出た。
男は慌てて洋館から逃亡する。
だが、デリンジャーと呼ばれた例の紳士は、洋館の祭壇へ向けて、呪いの言葉を唱え始める。
デリンジャーの気合とともに、祭壇に炎が上がると、デリンジャーの口には鋭い牙が現れる。
そして、デリンジャーが男の写真に呪いをかけると、男は足を滑らせ崖から落下。
男はデリンジャーの呪いによって転落死へと追い込まれてしまったのだ。
その様子をベーダー魔城で見ていたヘドリアン女王は、悪魔の祈祷師であるデリンジャーの力を大いに気に入り、ベーダー魔城へと招聘するように命じるのだった。

アスレチッククラブで空手の稽古に励んでいた子供たち。珍しく、赤城ではなく青梅が空手着を着て子供達と走り込みを行っている中、青梅は子供たちからなぞなぞを出題される。
「食べるためにあるのに、絶対食べられないものは、なーんだ?」
「なになに?食べるためにあるのに食べられないもの?はてさて、そんなものあるんだべか?」
「それは、お箸!」
なぞなぞに弱い青梅は、子供たちに一杯食わされる。
そこに、あきらたちが現れ、青梅はデンジランドに向かうことになった。

赤城の招集でデンジランドに集まった電子戦隊。
なんでも、インターポールからの依頼が来たのだという。
インターポールとヒーローの協力関係といえば、この「電子戦隊デンジマン」へ繋がるヒーローと巨大ロボの組み合わせを確立した、「スパイダーマン」におけるスパイダーマン=山城拓也とインターポール秘密諜報部・間宮重三の協力関係が連想される描写だ。
インターポールから送られてきたフィルムには、デリンジャーの姿が収められていた。
その不気味さに、あきらは顔をしかめる。
デリンジャーは悪魔の祈祷師と恐れられており、人間を呪い殺すことで有名な存在。
世界の要人を何人も始末してきたものの、その死因は心臓麻痺や転落事故として処理されており、要人暗殺に関与していることは間違いないものの、証拠がないためにインターポールも手を出せずにいた。そのデリンジャーが、日本へ来日したのだという。

フィルムに映るデリンジャーの顔を見たあきらは、先日海に行った時に遭遇した不気味な紳士の顔が、デリンジャーと同じ顔であったことに気づく。
冒頭、デリンジャーに呪い殺された男も、インターポールの刑事だったのだ。
だが、何故デリンジャーが日本へ来日したのか。
インターポールはそれを探るため、電子戦隊に依頼を出したのだ。
赤城はあきらが遭遇した紳士が本当にデリンジャーなのか確かめる必要性を感じ、デリンジャーの右手にあるという、赤いサソリの痣の有無を確かめることになった。

その頃、ベーダー魔城に招かれたデリンジャーは、ヘドリアン女王と会談していた。
アフリカの奥地で、悪霊の神と呼ばれる祈祷師に修行をつけられたデリンジャーはヘドリアン女王に大いに気に入られ、ヘドラー将軍によって電子戦隊の抹殺を依頼される。
だが、見せられた電子戦隊の写真の中に、あきらの顔を見たデリンジャーは微かに動揺した。
標的である電子戦隊が何者か尋ねるデリンジャーに、電子戦隊への憎しみを語るヘドリアン女王。

すると、会談の場に居合わせていたナゾラーが口を挟んできた。
ベーダー怪物である自分がいるにも関わらず、人間のデリンジャーに電子戦隊抹殺を命ずる方針が気に入らないナゾラーだが、ベーダー怪物に過ぎない身分でありながらヘドリアン女王に意見する行いがヘドラー将軍の怒りを買い、見苦しいから消え失せるように命じられてしまう。
ヘドリアン女王は恨み骨髄に徹するデンジマンを、じわじわと苦しめて息の根を止める事が出来るのはデリンジャーだけだと大いに期待を寄せていた。

電子戦隊はインターポールの西刑事が謎の転落死した砂浜を起点にして調査を始めた。
釣り人に聞き込みをする赤城たちだが、デリンジャーを目撃した釣り人がその話をしようとした瞬間、デリンジャーの呪いによって苦しみだし、海へ転落してしまう。
さらに、デリンジャーが人形の頭を煮えたぎる水の中に突き立てると、青梅が苦しみ始め、海へ転落。さらに、物凄い力で海中へ引きずり込まれてしまう。
デリンジャーの呪術はなおも続き、人形の頭に輪っかをつけると黄山の頭が激しい頭痛に襲われた。そして、赤城は目の痛みを訴え、緑川も胸を押さえて苦しみ始める。
このまま、電子戦隊全滅か。デンジマンにとどめを刺すべく、ナゾラーが出撃した。
ひとり残されたあきらは、デンジピンクにデンジスパークする。

呪いに苦しむ赤城たちがまともに戦えない中、ひとり奮戦するデンジピンク。
ミラーとケラーは、デンジピンクにも呪いをかけるようにデリンジャーを急かすが、デリンジャーは呪いをかけるために集中することが出来ずにいた。
デリンジャーはその原因が、出しゃばって出撃したナゾラーにあると弁解。
ミラーとケラーはナゾラーを撤退させるのだった。

デンジランドに帰還した電子戦隊。
アイシーはあきらに、電子戦隊の苦しみの原因がデリンジャーの呪いにあると教える。
仲間を救うために、一刻も早くデリンジャーを見つけなくてはならない。
あきらはひとり、危険を承知で最初にデリンジャーと会った海へと向かうのだった。
あきらが海に現れたことを知ったミラーとケラーは、デリンジャーに呪いをかけるように命じる。デリンジャーはあきらの写真に呪いをかけようとするが、集中できない。
デリンジャーの目には、海で初めて会った時のあきらの笑顔が焼き付いていた。
あきらの美しさに、デリンジャーは心を奪われていたのだ。

気が散って上手く行かないと話すデリンジャーに、ナゾラーはあきらに心を奪われているから集中できないのだと指摘するが、ミラーとケラーに咎められる。
デリンジャーは再び人間の姿となり、あきらが佇む海岸へと向かった。
あきらは、内心の不安を押し殺し、笑顔でデリンジャーと相対する。
デリンジャーは、かつてあきらが落としたコンパクトを手渡す。
震える思いでありながら、眼の前の紳士がデリンジャーなのか確かめるべく、陽気に振る舞うあきらは、紳士の腕に赤いサソリの痣がなかったことを確かめる。
しかし、デリンジャーはそのあきらの心を見透かしていた。赤いサソリの痣を現し、怪人の姿となったデリンジャーは逃亡するあきらを念力で捕らえる。
「お前は俺のものだ…誰にも指一本触れさせはしない!」
デリンジャーは、前後不覚になったあきらを操り、洋館へと連れて行く。

海岸に残されたあきらのコンパクトに仕込まれていた発信機が、電子戦隊のデンジリングにSOS信号を送った。あきらの危機を知った赤城たちは海岸へと向かう。
洋館にあきらを横たえたデリンジャーは、その美しさに見惚れていた。
海岸であきらのコンパクトを発見したデンジマンたちの接近を知ったデリンジャーは、人形に剣を突きたて、再び呪いをかけ始めた。その痛みにデンジマンは苦しめられる。

一方、デリンジャーがあきらに心を奪われていることを知ったベーダー一族。
冷酷な殺し屋でありながら、人間への情愛を持つ不可解な心に憤るヘドラー将軍。
仇敵であるデンジマンの一人であるあきらに心惹かれる裏切り行為に、ヘドリアン女王は怒り、ナゾラーにデリンジャーとあきらの抹殺を命ずるのだった。

ナゾラーとダストラーに囲まれたデリンジャー。
だが、マントを翻し、風を起こしてダストラーを吹き飛ばす強さを見せる。
その騒ぎの中で、目を覚ましたあきらはデンジマンに呪いをかける人形に突き刺さった剣を抜く。呪いが解かれ、痛みから開放されたデンジマンはあきらの救出へ向かうのだった。

ナゾラーとデリンジャーの戦いは互角だった。
しかし、ナゾラーの知恵の輪型の武器がデリンジャーに直撃。
苦しむデリンジャーに気を取られたあきらを、ナゾラーの攻撃が襲う。
すると、デリンジャーはその攻撃からあきらを庇い、ナゾラーの攻撃を受ける。
心を奪われた相手を守ったデリンジャーは力尽きるのだった。

あきらはデンジピンクにデンジスパークし、洋館から脱出。
しかし、ナゾラーたちの攻撃の前に、多勢に無勢で追い詰められてしまう。
絶体絶命の危機。しかしそこに、デンジレッドたちが駆けつけた。
「見よ!電子戦隊!デンジマン!!」
デンジマンとベーダーの決戦が始まった。
デンジピンクは、デリンジャーの仇であるナゾラーと一騎打ち。
その戦いはお互いに痛み分けに終わり、駆けつけたデンジレッドのデンジパンチが炸裂する。
知恵の輪型の槍を振り回し、爆発を起こすナゾラーの猛威に、デンジマンはショットガンで対抗。
5方面から体当たりを直撃させる。

追い詰められたナゾラーは、デンジマンの腕に知恵の輪を出現させ、デンジマンの動きを封じると、死の宣告たる理不尽ななぞなぞを仕掛け始める。
「なぞなぞ第1問!バッタとカマキリが喧嘩したらどっちが勝つ!」
「ばったり倒れてバッタの負け!」
「凄い音で爆発したものは何だ!」
「土管だ!」
「いつも驚いている虫は何だ!」
「蟻!」
「よんでもよんでも返事しないものは何だ!」
「本だ!」
なぞなぞに正答し、知恵の輪を解除していくデンジマン。
最後に残ったデンジブルーに、ナゾラーはなぞなぞを問う。
「んんん…馬と豚が喧嘩したらどっちが勝つか!」
「へへん!とんかつで豚だ!」
「へへへん!違う!とんかつ食って、うま・かっただ!」
冒頭でなぞなぞが苦手だった通り、ブルーだけ知恵の輪からの脱出に失敗。
だが、業を煮やしたデンジレッドがナゾラーにデンジスティックを投げつけ、ブルーも脱出。
そして、今度はデンジマンがナゾラーに問う。
「5色のスティックを合わせると何だ!その答えは!デンジ!ブーメラン!」
なぞなぞ合戦最後のトドメのデンジブーメランが炸裂し、スパークする。

ナゾラーも細胞組織を組み替えて巨大化し、ダイデンジンが戦場に降臨。
ナゾラーは大量の知恵の輪を絡ませるが、ダイデンジンはデンジ剣でそれを脱出。
電子満月斬りでナゾラーを一刀両断し、戦いに終止符を打つのだった。
ベーダーが呼び寄せた、悪魔の祈祷師・デリンジャーはあきらの、爽やかな魅力の虜となり、それがために、自滅してしまったのである…。

いたくデリンジャーをお気に入りだったヘドリアン女王だが、あきらに心を奪われていることがわかった瞬間、自分への裏切り行為だと即決し処刑を命ずる冷酷さは、一見にこやかに見える態度の裏に恐ろしさが秘められている、ヘドリアン女王の二面性が演出されたシーン。
人間でありながら呪術を操り人を呪い殺すデリンジャーを人間よりもベーダーに近いと考えていたが、美しい人間に心を惹かれる人間の心を持っていたことに幻滅したともとれる。
何にせよ、ベーダーに一方的に利用され切り捨てられたデリンジャーは、多くの人間を呪い殺してきた因果応報とはいえ哀れな存在ではあった。

自身の存在を半ば無視されていたとはいえ、ヘドリアン女王に直接意見を言うナゾラーの無礼に、普段ベーダー怪物をそこまで酷使していないヘドラー将軍も激昂しているのが珍しい。
敬愛する女王への無礼は許さない、ヘドラー将軍の忠義が現れたシーンだった。

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