あらすじ
仮面ライダーストロンガーをめぐり、鋼鉄参謀と荒ワシ師団長の手柄の奪いあいが起きた。
ジェネラルシャドウは、ストロンガーが死ねばどちらの手柄になろうと良いと冷徹に計算する。
ストロンガーはこの窮地を脱し、反撃に転ずることが出来るのか。
狡猾なる荒ワシ師団長!起死回生の水中エレクトロファイヤー炸裂!
前回、鋼鉄参謀の猛威の前に死の淵まで追い詰められた城茂。
だが、デルザー軍団の指揮権を巡る内輪揉めの結果、荒ワシ師団長に連れ去られるという形でなんとか鋼鉄参謀の魔手から逃れることに成功する。
だが、荒ワシ師団長とて改造魔人のひとりであり、決して油断することの出来ない相手。
城茂のデルザー軍団との命がけの戦いは、まだ始まったばかりなのだ。
今回、ストロンガーと戦うことになる荒ワシ師団長は、武人肌で堂々とした勝負を好む鋼鉄参謀とは真逆の、狡猾かつ策略を好む性格の改造魔人だ。
トルコの砂漠の上空に棲むという竜巻魔人エキムの子孫と言われており、過去、信頼したものに裏切られたことから、人間不信に陥り疑い深い猜疑心に満ちた性格になったという。
改造電気人間であるストロンガーの戦力を分析したことから、絶縁体のネットでストロンガーの動きを封じることで無力化し、抹殺する計画を立てる戦略家である。
しかし、決して策を弄するだけの存在ではなく、鋼鉄参謀と同じくストロンガーのストロンガー電キックが通じない強靭な肉体を持ち、手にした斧と盾を駆使した攻防一体の戦闘スタイルでストロンガーを追い詰める。巨大な翼を展開すれば空を自在に飛行することも可能だ。
一方で、自らの策への自信と慢心が付け入る隙ではある。
果たして、城茂は荒ワシ師団長を倒し、鋼鉄参謀の追跡から逃れることは出来るのか…。
デルザー軍団の改造魔人、鋼鉄参謀の強烈な一撃を受けて気を失った城茂は、突然出現した、同じデルザー軍団の荒ワシ師団長の手で攫われ、遥かな空を何処ともなく連れ去られた。
城茂はなんとか意識を取り戻したものの、鎖に縛られた状態で脱出は叶わない。
「ええい!ジタバタするな!俺はデルザー軍団きっての強者、荒ワシ師団長だ!」
自らを強者であると誇る荒ワシ師団長の言動は、どこか精神的な小ささを感じさせる。
だが、鋼鉄参謀の作戦で電気パワーを地面に吸い取られてしまった今の城茂には、ストロンガーに変身する力すら残っていない。するとそこに、雷雲が現れた。
城茂は、雷雲の上を飛んでいこうとする荒ワシ師団長をなんとか雷雲の中へと引きずり込み、雷雲の電気エネルギーを吸収して復活する作戦に全てを賭ける。
城茂は鎖に縛られた状態で必死に体を動かし、なんとか荒ワシ師団長を雷雲へ引きずり込んだ。
雷雲の電気パワーを、両腕のコイルアームから「エレクトロチャージ」で吸収した城茂は電気エネルギーを取り戻し、ストロンガーに変身。
荒ワシ師団長に反転キックを炸裂させ、鎖の拘束から脱出することに成功する。
辛くもデルザー軍団の魔手から逃れたストロンガーは、その脅威に戦慄していた。
すると、休む間もなく子どもたちの悲鳴が聞こえてくる。
鋼鉄参謀配下の戦闘員が、子供たちを襲っていたのだ。ストロンガーはすぐさま助けに向かう。
必死の戦いで子供たちを守るストロンガーに、鋼鉄参謀配下の戦闘員が迫る。
子供たちを逃がしたストロンガーだが、そこに鋼鉄参謀が姿を現した。
「荒ワシ師団長の手からどうやって逃れた?今度は逃さんぞ!」
鋼鉄参謀とストロンガーの、第三ラウンドが始まった。
ストロンガーは鋼鉄参謀の重量級の身体に付け入る隙があると判断し、戦闘員の鎖をあえて身体に絡みつかせ、鋼鉄参謀が鉄球をぶつけようとするのに合わせ、鎖を逆に引っ張り戦闘員の身体を動かして、鉄球を受ける盾として使う奇策を用い、鋼鉄参謀の攻撃を凌ぐ。
だが、じわじわと迫る鋼鉄参謀によって、崖際に追い詰められるストロンガー。
鋼鉄参謀の一撃が炸裂したかに思えた瞬間、ストロンガーは素早く跳躍。
鋼鉄参謀の背後に回り込み、キックを炸裂させ鋼鉄参謀を崖下に落とすことに成功する。
鋼鉄参謀が地面に倒れている隙に、ストロンガー電キックを炸裂させようとするストロンガー。
だが、多少なりともダメージを加えたにも関わらず、鋼鉄参謀の肉体は未だなお電気パワーを逆流させる鉄壁の防御力を保っており、電キックは弾き返されてしまう。
電気パワーが全く通じない今、鋼鉄参謀を倒す方法が考えつくまでは、いくら戦っていても無駄だと判断したストロンガーは、カブトローを呼び撤退を選ぶ。
だが、カブトローに乗ったストロンガーを、突然飛んできた絶縁体の網が捕らえた。
執念深い荒ワシ師団長が、上空からストロンガーを捕まえる機会を窺っていたのだ。
獲物を奪われた鋼鉄参謀は怒りをむき出しにするが、荒ワシ師団長は網に捕らえたストロンガーを連れ、空中へ飛び去っていく。絶縁体の網に捕らえられたストロンガーは、身動きすら出来ない。
奇厳山のアジトに戻った鋼鉄参謀は、ストロンガー抹殺の順番を破り、手柄を横から攫っていく荒ワシ師団長への怒りを、ジェネラルシャドウにぶつけていた。
だが、ジェネラルシャドウは淡々と鋼鉄参謀を宥める。
「貴公の怒りは最もだ…と言って私には、荒ワシ師団長にライダーストロンガーを返せと命令するほどの力はないのでな…」
「しかし!ライダーストロンガーを倒した者が、我らデルザー軍団のリーダーになると決めたのは、お主ではなかったのか!荒ワシ師団長の奴は、それを狙っているのだ!」
「『力の強い者が勝つ』…それが我ら、デルザー軍団の掟だからな」
「よおし…腕尽くなら、荒ワシ師団長如きに負ける俺ではない!見てるが良い!」
鋼鉄参謀は、荒ワシ師団長からストロンガーを取り戻すべく、アジトを出ていった。
一方、デルザー軍団の世界支配を最終目標にするジェネラルシャドウにとって、最大の障害であるストロンガー抹殺さえ果たせば、それを誰が成し遂げようが関係のないことだった。
それは、ストロンガー抹殺よりも組織内の面子を気にして滅びたブラックサタンの惨状を目の当たりにしてきたがゆえの冷静な判断であると同時に、この場のリーダーが誰になろうとも、最期に笑うのは自分という自信ゆえの余裕の現れでもある。。
「お互いが手柄争いに必死になれば、それだけ早くライダーストロンガーが片付くということだ。後のことは、後のこと。さて、どっちがストロンガーを倒すかな?占ってみよう」
その頃、荒ワシ師団長のアジトでは、絶縁体の網に捕らえられたストロンガーが、必死に脱出を試みていた。しかし、絶縁体によって電気パワーを封じられた今、それは無駄な足掻き。
改造電気人間のことを研究し尽くしたと話していた通り、荒ワシ師団長は改造電気人間であるストロンガーの弱点が絶縁体であることを突き止めていたのである。
「その網は、電気を通さぬ絶縁体で出来ている。いくら足掻いても、何の効果もないぞ…」
「卑怯者め!俺を殺したければ、この網から出して勝負してみろ!その度胸もないのか!」
「その手には乗らん。それは無論、勝負したところでお前など問題ではないがな。俺は鋼鉄参謀のように、無駄な力は使わん。頭(ここ)で勝負する主義だ」
なんとか荒ワシ師団長を挑発し、網からの脱出を図るストロンガーだが、荒ワシ師団長も流石に狡猾で、万に一つの敗北の可能性を考慮し、直接対決を徹底的に避ける戦略に出た。
絶縁体の前で、いくら電気パワーを放っても糠に釘を打つようなもの。
それでも足掻くストロンガーに、荒ワシ師団長は諦めるように宣告する。
すると、アジトの警戒レーダーに反応があった。それは、鋼鉄参謀配下の戦闘員の襲撃だった。
鋼鉄参謀配下の戦闘員は、鎖で荒ワシ師団長配下の戦闘員を拘束。
一方、荒ワシ師団長配下の戦闘員もナイフで反撃、脱出し、鋼鉄参謀の到来を報告する。
荒ワシ師団長のアジトに乗り込んだ鋼鉄参謀に、荒ワシ師団長は飄々とした様子で応対する。
「これは珍しい、鋼鉄参謀ではないか。突然何の用だ?」
「黙れぃ!白々しいことを言うな!俺が捕らえたこのライダーストロンガーを、横から盗んでいったのは何処のどいつだ!」
「盗んだ?人聞きの悪いことを言ってはいかん…ライダーストロンガーは、我らデルザー軍団共同の敵。誰が捕まえようと、殺そうと、文句はあるまい」
「そうはいかん!ストロンガーの命には、デルザー軍団のリーダーの地位がかかっている!一番槍をつけたのはこの俺だ!返せ!」
「嫌だと言ったら?」
「腕尽くでもらっていく」
改造魔人同士の、一触即発の事態。だが、荒ワシ師団長は突然、鋼鉄参謀に謝罪する。
「俺の悪戯が過ぎたようだ。怒らせてすまん…。ライダーストロンガーを前に、同士討ちしても始まるまい。獲物は最初の矢の射手の物。潔く、お返ししよう」
ストロンガーを引き渡された鋼鉄参謀は、勝負から逃げた荒ワシ師団長を意気地なしと唾棄し、絶縁体の網に包んだまま、ストロンガーを連行するのだった。
デルザー軍団の改造魔人同士の一触即発のやり取りは、仮面劇として秀逸な描写。
この回と同時期に放送を開始したばかりの「アクマイザー3」が本格的な仮面劇としての作劇を導入したことに繋がるような、見ごたえのあるドラマを展開している。
絶縁体の網に包まれ、崖の上から吊るされるストロンガー。
言葉を発しない容姿に、怖気づいたのかと嘲笑う鋼鉄参謀は、ついにストロンガーの死刑を開始することを宣言し、フルパワーで鉄球を振り回し始めた。
その様子を物陰から見ていたユリ子とおやじさんの前で、ついに鋼鉄参謀の鉄球がストロンガーに直撃。ストロンガーは粉々になってしまう。サブタイトル回収だ。
ユリ子は、あまりの惨状に卒倒してしまう。
だがストロンガーの破片を見聞していた鋼鉄参謀は、異変に気づく。
粉々になったストロンガーは、荒ワシ師団長が替え玉として用意した人形だったのだ。
荒ワシ師団長に騙された鋼鉄参謀は、屈辱のあまり怒りに燃える。
その頃、荒ワシ師団長の隠しアジトでは、見事に鋼鉄参謀を出し抜いた荒ワシ師団長が、身動きの取れないストロンガーを前に嘲笑っていた。
自分の悪賢さを自慢する荒ワシ師団長を糾弾するストロンガーだが、未だ抵抗する手段はない。
ついに、荒ワシ師団長はストロンガーの死刑の用意を始めるのだった。
荒ワシ師団長は、滝口にストロンガーを連行した。刻一刻と迫る処刑の時。
だが、ストロンガーは最後まで絶望せず、抵抗する手段を考え続けていた。
「俺が死ねば、世界はこの恐るべきデルザー軍団の手に渡ってしまう…なんとかこの絶縁体の網を破壊する方法はないか…?待てよ!例え絶縁体でも、その中に水が染み込めば!」
滝を流れ落ちる水を見たストロンガーは、一か八か、絶縁体の網を濡らすことで電気パワーを通し、絶縁体の網を破壊する最後の賭けに出ることを決意する。
「どうだ?言い残すことがあるなら今のうちだぞ?」
「荒ワシ!貴様などにやられるストロンガーではない!」
荒ワシ師団長の油断の隙を突き、ストロンガーは滝壺に飛び込んだ。
そして、ストロンガーはついに、水中電気ビームで絶縁体の網を破壊することに成功する。
さらに、飛び込んだ滝壺の底の水の流れに沿って、処刑場を脱出するのだった。
その頃、ストロンガーを探すユリ子とおやじさんは、先程ストロンガーが飛び込んだ滝壺に辿り着いていた。そしてそこで、荒ワシ師団長たちと遭遇してしまう。
荒ワシ師団長の戦闘員が、空を飛びユリ子たちに襲いかかる。荒ワシ師団長配下の戦闘員の仮面は、どことなく「仮面の忍者赤影」や「超神ビビューン」を思い出させるデザインだ。
ユリ子は戦闘員に捕らえられ、荒ワシ師団長は二人を嬲り殺しにしようと迫る。
しかしそこに、無事にパワーを取り戻した城茂が駆けつけた。
「茂!無事だったのね!」
「ああ。実は俺も、一時は駄目かと思ったくらいだ…デルザー軍団というのは、ブラックサタンとは比べ物にならんほど恐るべき奴らだ!」
ついに、荒ワシ師団長との直接対決の時。ユリ子も懸命に戦闘員に立ち向かう。
「まんまと俺の手から逃れて、命拾いをしたと思っているだろうが、そうはいかんぞ!」
「変身…ストロンガー!天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ。俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
ストロンガーは荒ワシ師団長に敢然と立ち向かう。荒ワシ師団長の投げる手斧の威力は凄まじく、誤って斧に当たった戦闘員の首を容易に刎ね飛ばす程だった。
タックルとおやじさんも、協力して戦闘員と戦うが、苦戦は免れない。
荒ワシ師団長の攻撃も激しく、ストロンガーはダメージを負う。反撃の電パンチは荒ワシ師団長の盾に弾かれ、ストロンガー電キックもまた、荒ワシ師団長の肉体には通用しなかった。
「言っておくがなストロンガー。我々デルザー軍団の者に、電気キックは効かんぞ!」
荒ワシ師団長は翼を展開し、ストロンガーにとどめを刺すべく襲いかかる。
だが、窮地に追い込まれたストロンガーは、ここで逆転の一手を思いつく。
「そうだ!絶縁体の網と同じように…こいつも水の中なら!」
ストロンガーは一瞬の隙を突いて荒ワシ師団長に組み付くと、水中へ飛び込んだ。
ストロンガーは起死回生の水中エレクトロファイヤーを発動。
水の中では、荒ワシ師団長の肉体も電気を通してしまい、荒ワシ師団長は爆散する。
こうして、デルザー軍団の改造魔人の一人、荒ワシ師団長との戦いは、ストロンガーの辛勝に終わった。だが、ストロンガーは自らを追い詰めたデルザー軍団の脅威に、改めて戦慄する。
その頃、デルザー軍団のアジトで占いをしていたジェネラルシャドウも、占いの結果で荒ワシ師団長の死を知る。そして、鋼鉄参謀の対抗馬に、次は誰を選ぶか考え始めるのだった。
荒ワシ師団長を倒した、ライダーストロンガー。だが、恐るべきデルザー軍団の力に、今やストロンガーは、命がけの戦いを挑まねばならないのだ…。
改造電気人間を研究し尽くしたという慢心と、滝口をストロンガーの処刑場に選んだ失策に付け込み、なんとか絶縁体の網という絶体絶命の罠を脱し、荒ワシ師団長を倒したストロンガー。
しかし、正攻法では必殺技のストロンガー電キックも、電パンチも全く通じていないことに変わりはなく、策を弄さない鋼鉄参謀相手にどう形勢を逆転するか、その糸口すら掴めていない。
そして、ストロンガー抹殺という大目的のために改造魔人の手柄争いを仕組んだジェネラルシャドウによって、鋼鉄参謀だけでなく次なる刺客がストロンガーに迫りつつある。
ストロンガーの命がけの戦いは、まだ始まったばかりなのだ。
デルザー軍団の世界支配の障害となるストロンガーの排除を最優先にするジェネラルシャドウは、ストロンガー抹殺よりも軍団内の功名争いに取り憑かれて破滅したブラックサタンの末路を目の当たりにしたからこそのリアリストな判断。
ストロンガーさえ排除すれば、この場のリーダーが誰になろうとどうにでもなると判断する底知れなさは、今なお不気味だ。果たしてジェネラルシャドウの占いは、次の刺客に誰を選ぶのか。
ストロンガーとタックルにとって、最大の悲劇がすぐそこまで迫ろうとしている…。