「電子戦隊デンジマン」第30話「消えた盗んだ出た」感想

2024年9月16日月曜日

電子戦隊デンジマン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

愛すべき泥棒・サブは、忍び込んだ家に開かずの間を見つける。
そこでサブはベーダー怪物・チョウチンラーと遭遇する。
ベーダーの狙いは、この部屋から通じている四次元空間に眠っている慶長小判だった。

小判を巡る大騒動 ブラックホールに消えた奴がいる

今回のベーダー怪物は、提灯の怪物であるチョウチンラー。
大富豪の金杉家の祖先が、四次元空間に繋がっている「開かずの間」に隠した慶長小判の入手を目的とするベーダー怪物だ。そんなチョウチンラーの暗躍に遭遇してしまったのが泥棒のサブ。
サブは、病院で入院しているゆかりの入院費を稼ぐために、相棒のマツとシローと共に、決して強盗はしないなどのポリシーを持って泥棒稼業に勤しんでいた。
そして、チョウチンラーの話から、金杉家の開かずの間に慶長小判が隠されていることを知ったサブは、危険を承知で四次元空間へと飛び込んでいくこととなる。
ちなみに、サブを演じているのは、現在でも「笑点」で座布団運び役を務めている山田隆夫氏。このエピソードへの出演の4年後に6代目の座布団運び役に就任することになる。

一方、偶然チョウチンラーに追われるサブを助けた赤城も、サブの泥棒の目的やチョウチンラーの暗躍を知ることになり、電子戦隊はサブを救いベーダーの陰謀を粉砕すべく戦うことになる。
果たして、サブは四次元空間から生還できるのか。そして、慶長小判の行方はいかに…。

とある一室にて、泥棒稼業の三人が部屋へ潜入する道具をあらためていた。
彼らは、人を殺したり傷つけたりはしない、強盗とは違う真面目な泥棒であることがポリシーらしい。泥棒の時点で真面目も清く正しいもあったものではないとは思うが、彼らは社訓のようなものを唱え、土日の連休に備えて貯金を下ろす家を狙い、泥棒へ向かっていくのだった。

3人の泥棒のリーダー格だった男、サブは、いかにもお金持ちが住んでいそうな大きな屋敷に目星をつけ、屋敷の中へと潜入していった。サブはそこで、蜘蛛の巣だらけの怪しい部屋を見つける。
サブが鍵穴から部屋の中を覗くと、そこではベーダー怪物・チョウチンラーが、暖炉の中に広がる異空間へとダストラーを向かわせていた。だが、ダストラーが暖炉の中に吸い込まれた瞬間、爆音とともに暖炉から衝撃波が放たれる。部屋の外のサブにもその衝撃波の威力は伝わるほどだった。

やがて、吸い込まれたダストラーが暖炉から飛び出してきた。
ダストラーはその手に、黄金の慶長小判を握っており、それを見たサブは小判の存在に沸き立つ。
だが、騒いだことで部屋の中のチョウチンラーに存在を気づかれてしまった。
暗躍を目撃されたチョウチンラーは、ダストラーにサブを追跡させるのだった。

その頃、赤城は森で空手の稽古をしていた。するとそこに、サブの悲鳴が響く。
ダストラーに襲われるサブを、赤城は空手技で助け出すのだった。
赤城は調子の良いことを言って去ろうとするサブを呼び止め、ベーダー一族に襲われている理由を聞く。だが、サブは泥棒であることを知られるまいと、くだくだと話を伸ばして赤城を煙に巻き、一瞬の隙を突いて逃げ出してしまうのだった。

赤城から逃げおおせたサブの行き先は病院だった。
そこで、二人の仲間、マツとシローと合流したサブは、入院しているゆかりの病室を尋ねる。
サブたちは、面会日に揃ってゆかりの病室を見舞うのが日課だった。
サブがマツとシローと揃って病院を出ようとすると、どうしてもベーダーがサブを襲った事情が気になっていた赤城が、病院内で待ち構えていた。サブは慌てて逃げ出す。

おせっかいな赤城のしつこさに舌を巻くサブたちは、部屋の床面に隠されたはしごで地下室へと隠れる。冒頭で泥棒稼業の準備をしていた部屋は、この地下室から通じる部屋だったようだ。
だが、諦めきれない赤城はデンジレッドにデンジスパークし、デンジスコープで部屋を透視。
そこで、サブが泥棒に入った家で小判を見つけた話を聞くのだった。

一方、ベーダー魔城では、チョウチンラーが発見した小判をヘドリアン女王に献上していた。
チョウチンラーの話では、金杉家の「開かずの間」に四次元の入口が存在しており、四次元空間の中にはダストラーが発見した小判が山のように存在するのだという。
ヘドリアン女王は、小判を根こそぎ回収し、ベーダー魔城を黄金で埋め尽くすように命じた。

翌日、サブたちは小判を見つけるべく、意気揚々と金杉家へ向かっていた。
だが彼らはそこで、ダストラーたちと鉢合わせする。
そこに、サブたちの様子を監視していたデンジレッドたちデンジマンが駆けつけた。
逃げ出したサブたちの前に、チョウチンラーが現れる。
しかしサブは、デンジマンとベーダーの戦いの隙に乗じて金杉家に潜入。
それに気づいたチョウチンラーも、サブを追って開かずの間へ向かった。

開かずの間に辿り着いたサブは、追ってきたチョウチンラーから逃げるべく、一か八かで暖炉に存在する四次元空間への入口へ飛び込む。すると、四次元空間への入口から衝撃波が放たれた。
駆けつけたデンジレッドはチョウチンラーと戦うが、チョウチンラーの攻撃が誤って暖炉の四次元空間への入口に直撃してしまい、四次元空間への入口が消えてしまう。
小判の回収に失敗したチョウチンラーは、一時撤退した。

家の奥に捕らわれていた金杉氏を救出した電子戦隊は、開かずの間の四次元空間への入口について尋ねる。金杉氏の話では、四次元空間への入口は代々「黄金の通路」と呼ばれており、そこに入り込むことで黄金を持ち帰ることが出来ると言われていた。
だが、金杉家の人々はその不可思議な空間を危険視し、開かずの間として封印していた。
しかしベーダーがそれを嗅ぎつけたのだという。
黄山は、偶然四次元空間への入口が出来たことで、昔の人が小判をその中に隠したと推測する。
だが、四次元空間に消えたサブは、入口が消えた今、四次元空間に閉じ込められてしまっている。
四次元空間のことは現代科学でも解明しきれていないので、黄山にもどうにも出来ない。

四次元空間に消えたサブを想い涙するマツとシローに、赤城や緑川は、泥棒をした結果の自業自得で、これに懲りたら自首するように勧める。
だが、マツとシローは誰が自首なんかするかと悪びれることなく、自分たちは貧しい人からは盗まないものすごく真面目な泥棒なんだと開き直る。電子戦隊の面々も、流石に呆れてしまった。
その頃、四次元空間の内部では大量の小判を見つけたサブが喜びに沸いていたが、やがて空間が歪み始め、サブは身体の自由が利かなくなる。そして、一枚の小判がサブの手を離れた。

サブの手を離れた小判は、次元を超えて病室のゆかりの元へと届いた。
ゆかりを診察していた医者が驚く中、ゆかりは自分の名前を呼ぶサブの声を聞く。
赤城とともにゆかりの病室を訪れたマツとシローは小判が本当にあったことに喜ぶが、サブが何処に行ってしまったのかを聞かれてしまい、言葉に詰まるのだった。
四次元空間内のサブはゆかりの病室の様子を目撃するが、サブの声は病室に届かない。

ゆかりは、マツとシロー、そしてサブが働いていた会社が倒産していたことを思い出し、今はどんな会社で働いているのか二人に尋ねる。二人はもちろん、泥棒をしているなどと言い出せない。
ゆかりはさらに、自分の入院費を匿名で出してくれているのがサブたちではないかと問い詰める。
マツとシローが答えを誤魔化していると、ゆかりもいくら働いているとはいえ、長期入院している自分の入院費を出し続けていればお金が続くはずがないと考え直す。
だが、ゆかりは小判のことをサブが話していた、と二人が言ったのが気にかかっていた。

話を聞いていた赤城は、大体の事情を察した様子で笑顔を見せると、病室に置いてあった天使の置物を手に取り、サブが「天使に祈る人に小判が恵まれる奇跡が起きる」と話していたと話す。
マツとシローもその話に乗っかり、四次元空間で話を聞いていたサブも、赤城の機転と優しさに思わず拍手を送る。そこに、四次元空間からゆかりを呼ぶサブの声が響いてきた。
サブは四次元空間の混乱に再び巻き込まれ、富士山の洞窟を目撃する。

サブの声を聞いた赤城は富士山へ向かおうとするが、その前にマツとシローを呼び止めた。
四次元空間への入口が移動したと思った二人は、サブが小判を持って帰って来るのを迎えに行こうとしていたが、赤城は奇跡は一度しか起こらないと一喝。
ゆかりはかつて、サブたちと同じ会社に勤めていたが、体調を崩し入院。
手術をする必要があった。
サブたちは、ゆかりの入院費用や手術費用を稼ぐために、泥棒をしていたのである。
そして、手術をするにはまだお金が必要なのだ。
マツとシローは泣きながら、まだお金が必要だと赤城に泣きつく。
しかし、赤城は心を鬼にして、二人を叱った。一度の奇跡なら、ゆかりも信じてくれる。
後はデンジマンにまかせるように伝えた赤城は、電子戦隊の仲間とともに富士山へ向かった。

富士山へ向かったデンジマンだが、その動きはベーダーも察知していた。
空間の歪みとそのエネルギーを探知し、富士山の洞窟に辿り着いたデンジマン。
しかしそこに、チョウチンラーたちが現れた。
小判を回収すべく、四次元空間へ飛び込んだチョウチンラー。
それを追って、デンジレッドも四次元空間へ飛び込んでいく。
四次元空間内でサブと合流したデンジレッドは、チョウチンラーからサブを守り、時間も空間も歪んでいる四次元空間から必死に脱出。無事にサブを連れ戻すことに成功する。

チョウチンラーもなんとか四次元空間から脱出したが、四次元空間への入口は再び消えた。
撤退するチョウチンラーの前に、デンジマンが立ち塞がる。
「見よ!電子戦隊!デンジマン!!」
「輝け!デンジマン」をバックに名乗りを決めるデンジマンは、ショットガンで突撃。
イエローのフライングアタックや、グリーンのグリーンスピンキックが炸裂する。
怒りに燃えたチョウチンラーは、無数の提灯を出現させ、提灯爆弾でデンジマンを襲う。
さらに、捕り縄でデンジマンを振り回し、ダメージを与える。
しかし、デンジマンもデンジスティックで火柱を走らせ反撃し、崖から落下したチョウチンラーに、トドメの電子稲妻落としを炸裂させるのだった。

しかし、チョウチンラーは細胞を組み換え巨大化。
デンジマンもデンジタイガーを呼び、発進したダイデンジンに乗り込む。
「戦う電子戦隊デンジマン」をバックに、最終決戦が始まった。
ダイデンジンはデンジボールでチョウチンラーを痛めつけると、デンジ剣を抜く。
提灯となって逃げ回るチョウチンラーだが、電子満月斬りの直撃を受け倒されるのだった。

サブたちは、ゆかりに花束を渡すと、ヨーロッパに働きに行くことになったと別れを告げる。
ゆかりの入院費用や手術費用は、赤城たちが相談を請け負うことになった。
3人の泥棒は、涙に目を濡らしながら、笑ってゆかりに別れを告げるのだった。
一人残されたゆかりも、天使の像に頑張って病気を戦うことを誓う。
サブたちは自首し、刑務所で更生に取り組むことになった。
3人の泥棒天使は、刑務所でも一番真面目に勤めを果たしていた。
この分なら、晴れて出所の日も近いだろう。その日まで、さらば、泥棒天使。

高額の手術費用が必要なゆかりを見捨てることが出来ず、勤めていた会社も倒産する八方塞がりに追い込まれたサブたちにとって、泥棒稼業が唯一の道だったのだろう。
だが、そんな手段で稼いだお金で救われて、ゆかりがこの先堂々と生きることが出来たろうか。
赤城が彼らを叱責したのも、彼らがゆかりのことを本当に思うなら、真っ当に生きて助け合う道を選ぶべきだという思いがあったことにほかならない。

目的が手段を正当化することがあってはならないが、人間は過ちを犯すものでもあり、一度悪事に手を染めた者も、真摯に反省し、やり直すことが出来るはずだ。
赤城も、彼らが泥棒に手を染めたことが私欲だけではなく、誰かを助けるためにやむを得なかったことを理解していたからこそ、ゆかりに優しい嘘を付くことに協力、サブたちが刑に服している間、ゆかりのことを請け負い、サブたちには更生するように諭したのだろう。
赤城の優しさに触れたサブたちは、罪を償い更生し、真っ当にやり直す道を選べた。
過ちを犯したとしても、誰かのために生きようと真摯に願うなら、真っ当にやり直す道を選べるはずだという希望は、令和の世に改めて見るからこそ、その厳しくも優しい暖かさが眩しい。

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