あらすじ
城茂は非業の死を遂げたユリ子の墓前にて、デルザー軍団を倒すことを改めて誓う。
そこに迫るドクロ少佐の攻撃で重症を追った城茂は、元ブラックサタンの科学者・正木博士の改造出術を受ける。そして、仮面ライダーストロンガーは電気人間から超電子人間へと進化する。
超電子ダイナモ起動!ストロンガー起死回生の超パワーアップ!
デルザー軍団の改造魔人の圧倒的な力を前に、絶望的な戦いを強いられてきたストロンガー。
そしてついに、最愛の相棒である電波人間タックルを失ってしまう最大の悲劇に直面した。
タックル=ユリ子の墓前にデルザー軍団の壊滅を誓う城茂だが、その心意気も虚しく、ドクロ少佐の前には、奇襲を仕掛けてなお攻撃が通用しない窮地に追い込まれてしまう。
だが、ついにストロンガーのデルザー軍団への反撃の時が来た。
ドクロ少佐の攻撃で重症を負った城茂は、ブラックサタンを離反した科学者・正木博士がブラックサタンを倒すために研究していた超エネルギー・超電子の力を使うことが出来る超電子ダイナモの移植手術を受け、電気人間から超電子人間へと進化する。
超電子ダイナモを起動して1分間を過ぎれば自爆するという厳しい時間制限の代わりに、電気の力を1とするなら、超電子の力はその100倍とも言われる圧倒的な力を得たストロンガーは、超電子人間ストロンガーとなってデルザー軍団への反撃を開始するのだった。
ストロンガー抹殺に本格的に動き出したドクロ少佐に続き、デルザー軍団の指揮権を得るべくストロンガーに挑戦を仕掛けた改造魔人が、スフィンクスの子孫である岩石男爵だ。
ジェネラルシャドウをして「どうしようもない単細胞、柄の悪さ」と陰口を叩かれる岩石男爵は、頭脳戦にはめっぽう弱いが格闘戦ではストロンガーもかなわない剛力無双の戦士。
方言を交えて話す様子にはどこかとぼけた印象も受けるが、ストロンガーを誘き出すためなら子供たちを襲い岩石に封じ込めてしまうことも厭わない凶悪さこそが本性。
身体を岩石に変える「岩隠れ」「岩石落とし」「岩石弾」といった豪快な技を得意とする。
超電子人間に進化したストロンガーは、ドクロ少佐や岩石男爵を打ち破ることが出来るのか。
海が見える場所に、岬ユリ子の墓が立てられた。
恐るべき怪人集団・デルザー軍団のために、電波人間タックルはその魔手にかかって若い命を散らした。城茂は、その墓前に花を供えながら、自らの無力を悔いる。
「ユリ子…許してくれ…俺の力が至らなかったために…お前を死なせてしまった…」
おやじさんは、そんな城茂に前を向くように促し、城茂もそれに応える。
「おやじさん。俺は、デルザー軍団の、改造魔人の最後の一人を倒すまでは、ここには来ない…」
「その日が一日も早く来ることを、きっとユリ子も望んでいるだろう…」
「ユリ子…いや、電波人間タックル。安らかに眠ってくれ…」
ユリ子の墓前に、デルザー軍団殲滅を誓った城茂は、デルザー軍団が自分たちの監視を続けていることに気づいていた。電タッチで焼き尽くされたのは、ドクロ少佐配下の戦闘員。
おやじさんたちは慌てて追手を撒くべく移動を開始する。
デルザー軍団のアジトでは、ドクロ少佐がジェネラルシャドウにストロンガー抹殺を宣言した。
「シャドウ。ストロンガーは、俺が倒す!」
「ほほう?流石はデルザー軍きっての切れ者、ドクロ少佐。ストロンガー打倒の手はずは、打ってあるとでも?」
「もちろんのことよ。ドクロ少佐によって、鍛え抜かれた忍び集団が、ストロンガーに付かず離れず、機会を窺っているのよ。包囲が完成次第、トドメは、俺が直々に殺る!」
戦闘員から、城茂が白骨岬の麓にいる報告を受けたドクロ少佐は、出撃を決めるのだった。
白骨岬では、城茂が薪を燃やして煙を上げていた。
それは、ドクロ少佐たちを誘き寄せるために、城茂が仕組んだ罠である。
陰からその様子を窺っていたドクロ少佐の戦闘員だが、城茂が焚火へ向けてコイルアームを向けると、上がる煙が大きくなり、煙が晴れるとともに城茂とおやじさんは姿を消した。
城茂たちを見失ったドクロ少佐配下の戦闘員は、慌てて捜索を開始する。
捜索を開始した戦闘員を見下ろすように、ストロンガーが姿を見せた。
「逃げはせん。逃げたと見せて、お前たちを誘き出したのさ!」
ドクロ少佐配下の戦闘員、ドクロ忍び戦闘員は、連携攻撃でストロンガーを攻めるものの、ストロンガーは果敢に反撃してドクロ忍び戦闘員を全滅させ、戦闘員を利用してドクロ少佐の不意をつく奇襲作戦へと打って出る。だが、ドクロ少佐は余裕の構えを崩さない。
ジェネラルシャドウにデルザー軍団の実権を握ることを宣言したドクロ少佐は、ついにストロンガー抹殺へ向かい、火炎隠れで瞬間移動するのだった。
白骨岬に姿を現したドクロ少佐は、気絶した戦闘員を蹴り飛ばし、目を覚まさせようとする。
だが、その中の一人がドクロ少佐の足を掴み、転倒させた。その戦闘員は城茂の変装である。
タックルの恨みを晴らすべく、ドクロ少佐に挑みかかる城茂。
だが、離れた地点にもう一人のドクロ少佐が出現。
城茂がそれに気を取られた隙に、本物のドクロ少佐は火炎隠れで姿を消してしまうのだった。
ドクロ少佐は完全に気配を消し、城茂も察知することが出来ない。
姿を消したドクロ少佐は一方的に城茂を銃撃し、それが直撃した城茂の身体は大爆発を起こしてしまう。勝利を確信したドクロ少佐は姿を現し、高笑いする。
「見事仕留めたか!…ええい、隠れてもダメというものだ!この手で見つけ出してやる!」
ストロンガーもまた、爆発に紛れて岩陰に隠れていたが、ドクロ少佐はいとも容易くそれを発見。
ドクロ機関砲でストロンガーに熾烈な銃弾の雨を降らせる。
ドクロ機関砲を躱したストロンガーは、ドクロ少佐と決着をつける覚悟で戦いを挑む。
大鎌を振り回すドクロ少佐の猛威に、ストロンガーも反撃する。
だが、ドクロ少佐は「ドクロ分解」で身体を分裂させる。
頭部や手が宙を飛び、実体を捉えられないまま体力を消耗するストロンガー。
さらに、頭部から放たれた「ドクロ火炎」がストロンガーの身体を焼き尽くす。
「ドクロ再生」で再び合体したドクロ少佐が、大鎌を振りかざしストロンガーを倒そうとしたその時、突然飛んできた大岩がそれを阻み、ストロンガーは海へと落ちていった。
今一歩のところでストロンガーを逃がしたドクロ少佐。
その前に、先程飛んできた大岩の正体である改造魔人、岩石男爵が現れる。
彼もまた、ストロンガーを抹殺しデルザー軍団の実権を握ろうとしていた。
「岩石男爵!どうしてここへ!」
「ジェネラルシャドウがよ、ドクロ少佐の最期を見届けろって言っちょるんよ…ところが、話は大違い。ストロンガーの方がやべえ。んでま、あっさりおめえに手柄を立てさせたんじゃ、俺としちゃつまらんじゃろが」
一触即発のドクロ少佐と岩石男爵だが、ドクロ少佐はストロンガー抹殺を優先する。
しかし、岩石男爵も独自にストロンガー抹殺へ動き出すことを宣言し、「岩隠れ」で岩石へと姿を変えると、何処かへと去っていった。
ドクロ少佐は重症を負ったストロンガーがそう遠くに行けないと判断し、付近の捜索を開始する。
おやじさんは、姿を消した城茂の帰りを信じ、主なきカブトローを守っていた。
カブトローに憧れる子供たちと話しながら、城茂の帰りを待つおやじさん。
しかし、そんなおやじさんを、ドクロ少佐は陰から監視していた。
その頃、なんとか無事だった城茂は、奇襲作戦すら通じない改造魔人の力を思い知っていた。
「奇襲作戦も駄目だったか…俺の力では、デルザー軍団の改造魔人には勝てないのか…」
そこに、巨大な岩石が飛来する。それは、岩石男爵配下の戦闘員が化けた姿だった。
岩石男爵配下の戦闘員は、主人の名の通り岩石を模したデザインである。
戦闘員に追い込まれた城茂の背後から、岩隠れで岩石になっていた岩石男爵が姿を現す。
「デルザー軍団の新手か…!」
「その通り!スフィンクスの血を引き継いだ改造魔人、岩石男爵様よ!」
岩石男爵の棍棒に殴打され、大ダメージを負う城茂は、なんとかストロンガーに変身する。
「へぇ~ストロンガーになったかい。そう来なくっちゃ、物足りねえってもんよ」
余裕の構えを崩さない岩石男爵に対し、先程のドクロ少佐との戦いで負った傷が癒えていないストロンガーは、圧倒的に不利だった。
「ドクロ少佐に受けた傷が痛む…恐らく、奴にも俺の力が通じるかどうか…しかし、やらねばならんのだ!行くぞ!ストロンガー!電キック!」
残存エネルギーの少ないストロンガーは、初手のストロンガー電キックに全てを賭けたものの、やはり改造魔人に電キックは通じず、岩石男爵にも電キックは跳ね返されてしまう。
岩石男爵に投げ飛ばされたストロンガーは、撤退を選択。
岩石男爵は配下の戦闘員たちにそれを追跡させるのだった。
通りかかった車を怪しいと睨んだ岩石男爵は、戦闘員を岩に化けさせ、車の行く手を阻ませた。
そして、運転手が岩の様子を確認している隙に、車のトランクを開けて中を確認する。
しかし、その中には野菜が乗っているだけに見えた。見込み違いに失望した岩石男爵は姿を消す。
だが、城茂はその野菜の奥に隠れており、なんとか難を逃れたのだった。
気を失った城茂が目を覚ますと、そこは手術室のカプセルの中だった。手術室にいた男は、城茂が気を失っている間に体を調べ、改造人間であることを知ったのだという。
城茂は、悪と戦うために改造人間になったことを語るが、男は、城茂が今戦っている相手は、改造人間の電気の力では勝てないことを看破していた。
「その身体で、戦うのかな?」
「もちろんだ!俺は、悪と戦うために、改造人間になったんだ!」
「改造人間にも限度がある。違うかな?今、君が戦っている相手には、電気の力では勝てない!」
デルザー軍団の改造魔人との戦いで、城茂の身体の電気回路は深刻なダメージを受けていたのだ。
「身体の電気回路が、至るところで破損しバラバラになっている」
「貴方は、いったい何者なんだ?」
「正木洋一郎。元ブラックサタンの科学者だった。逃げ出し、戦うために超電子の研究をしている。電気のエネルギーを1とするなら、超電子のエネルギーはその100倍だ」
元ブラックサタンの科学者であり、反旗を翻した正木博士は、ブラックサタンを打ち破るための力として、電気のエネルギーの100倍のエネルギーを持つ超電子の研究をしていたのだ。
「電気と違って、長時間は使えない。せいぜい1分だが、超電子ダイナモの力は素晴らしい!」
「その超電子ダイナモは、人間には使えないのですか!」
「その改造手術の成功の確率は、10分の1」
「10分の1に賭けます!」
「死より以上の苦痛だが、それでもやるかね?」
「ああ…電気人間から、超電子人間になれるのでしたら、耐えてみせます!」
超電子ダイナモを完成させていた正木博士は、ブラックサタンが滅びてなお、世界を恐怖に陥れるデルザー軍団に対抗すべく、城茂にその力を託そうとしていたのだった。
そして、城茂もまた、死以上の苦痛に耐え、10分の1の成功確率に賭けて超電子人間へ生まれ変わることを決意する。自身の無力故に最愛の相棒を失った、悲劇を繰り返さないために…。
レーザー光線によって電気人間の肉体組織を変える処置が行われた。
その苦痛に、城茂でさえも気を失ってしまう。
だが、城茂の肉体はその処置に耐え抜いた。正木博士は超電子ダイナモを移植する。
ついに、城茂は改造電気人間から改造超電子人間へ生まれ変わったのだ。
正木博士は、改めて超電子の力のタイムリミットを警告する。
「念を押しておくが、超電子ダイナモの使用タイムは1分だけ。それを1秒でもオーバーすれば、君は自爆する」
城茂はおやじさんに無事を知らせるため起き上がろうとするが、処置が終わったばかりの身体を慮った正木博士がおやじさんへの連絡を請け負うことになった。
カブトローの傍らで城茂を待っていたおやじさんのもとに、正木博士が現れ、城茂のもとへと案内する。しかし、その様子はドクロ少佐によって監視され続けていた。
正木博士の研究所に到着したおやじさんたちの前に、ドクロ少佐が姿を現した。
ドクロ少佐は正木博士に炎を浴びせかける。
正木博士の悲鳴を聞いた城茂は正木博士を助けようとするが、正木博士は息絶えてしまった。
ドクロ少佐は配下の戦闘員を呼び出し、城茂を抹殺せんとする。
ユリ子のみならず、自分を助けた正木博士までも殺したデルザー軍団に、城茂は怒りを隠せない。
「罪もない、正木博士まで…!」
ドクロ少佐配下の戦闘員に包囲され、ドクロ少佐のマキビシ攻めを受ける城茂。
城茂は、ストロンガーへと変身し、ドクロ少佐に最後の戦いを挑むのだった。
ドクロ機関砲の銃弾に襲われ、ドクロ少佐の姿を消しての攻撃に幻惑されるストロンガー。
やはり、改造電気人間のままでは改造魔人には勝てないのか。
「駄目か…今は、正木博士の言葉を信じるのみだ!」
ドクロ少佐の連続攻撃を受けたストロンガーは、ついに超電子ダイナモを起動する!
「チャージ、アップ!!」
胸のカブテクターのSマークが高速回転、変身ベルト・エレクトラーが激しくスパークする。
そして、角のカブトショックが銀色に輝き、ストロンガーは超電子人間へ進化した!
「これが超電子ダイナモか…よし、行くぞ!」
チャージアップ・ストロンガーが空中に跳躍し、超電子の力が激しい爆発を起こす!
「超電子ドリルキック!!」
高速回転しながら放たれ敵を穿つ、超電子ドリルキックがドクロ少佐の頭部に直撃。
ドクロ少佐は頭部を吹き飛ばされ、超電子の力の前に敗れ去った。
これまでの電気の技で起こったものとは比べ物にならない、大規模な爆発が起こる。
それこそが、電気エネルギーの100倍の力を持つ、超電子エネルギーの力の証明だった。
「恐るべし、超電子…。おやじさん。この力が得られたのも、正木博士のおかげだ…」
恐ろしいほどの力を秘めた超電子エネルギーに戦慄するストロンガー。
しかし、この力こそ、改造魔人を打ち破る最後の切り札なのだ。
パワーアップしたライダーストロンガー。
それを迎え撃つデルザー軍団は、いかなる手段で向かってくるのであろうか。
デルザー軍団出現後、鋼鉄参謀の猛威に始まり苦戦と辛勝を強いられ続けたストロンガー。
そして、ドクターケイトの策謀の前に、最愛の相棒であるタックルまでも失ってしまった。
この絶望的な展開があったからこそ、今回の超電子ダイナモによるストロンガーの劇的なパワーアップのカタルシスが最大限に演出されており、シリーズ構成の巧みさがあまりにも見事すぎる。
ストロンガー自身が戦慄するほどの超電子の力で、いよいよストロンガーの反撃が始まるのだ。
デルザー軍団内の実権を巡る足の引っ張り合いも、いよいよ本格化してきた。
岩石男爵が乱入していなければストロンガーはドクロ少佐の前に敗れていたことは想像に難くなく、その後の岩石男爵との戦いでもドクロ少佐に負わされた傷で満足に戦えないという描写がされており、ドクロ少佐の強さも十二分に演出されている。
そして、それほどまでに強いドクロ少佐を一撃で完全に葬るチャージアップ・ストロンガーの超電子の力もまた、これ以上ない説得力を持って表現されていると言えるだろう。
超電子ドリルキックが直撃したドクロ少佐は、これまでにない規模の大爆発と共に倒された。
必殺技の余波とも言える爆発の規模を大きくすることで、チャージアップ・ストロンガーの超電子の技が、これまでの電気エネルギーによる技と比べ物にならないほどの威力を持つことを視覚的なインパクトで表現している演出が秀逸だ。
後の「仮面ライダークウガ」でも、ライジングフォームにパワーアップしたクウガが繰り出す技が、その余波で大きな爆発を起こしその飛躍的なパワーアップを表現しており、このチャージアップ・ストロンガーの手法が継承されていたのだと思われる。