「仮面ライダーストロンガー」第32話「必殺!超電三段キック!!」感想

2024年9月23日月曜日

仮面ライダーストロンガー 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

仮面ライダーストロンガーはドクロ少佐との戦いで、超電子ダイナモの威力を十分に知る。
そして、新たなる敵・狼長官が現れる。
だが、デルザーの改造魔人たちは、仲間割れからストロンガーに休戦を申し入れてくる。

策謀渦巻くデルザー軍団。真の敵は誰だ?

圧倒的な力を持つ超電子ダイナモの力で、ついに改造魔人を真正面から打ち破る力を手に入れたストロンガー。ドクロ少佐を撃破したその力は、ジェネラルシャドウも予想外のものだった。
さらに、デルザー軍団内部では指揮権を巡る足の引っ張り合いが加速していき、ジェネラルシャドウが気に入らない狼長官の出現でそれは激化の一途を辿っていく。
ジェネラルシャドウや狼長官はストロンガーを利用し、お互いの排除を図ろうと画策する一方、ストロンガーもこの機に乗じてデルザー軍団の壊滅を狙う。
ストロンガーと改造魔人、それぞれの思惑が交錯する戦いは混迷を極めていくのだった。

今回より本格的にストロンガーに挑戦する狼長官は、西洋妖怪の狼男の子孫であることを誇りとする、デルザー軍団きっての策略家である。
その由緒正しい出自ゆえか、ジェネラルシャドウのことを「成り上がり者」と唾棄する様子を見せ、そんなジェネラルシャドウがデルザー軍団の指揮権争いを主導していることが気に入らない狼長官は、岩石男爵と手を組みジェネラルシャドウの排除を図る。
さらに、ストロンガーに休戦を申し込み、共にジェネラルシャドウを倒そうと提案するのだった。
一方、ジェネラルシャドウもまた、ストロンガーに休戦を申し込んで狼長官の排除を狙う。
果たして、ストロンガーはデルザー軍団の策謀を見破り、改造魔人を打ち破れるのか。

「仮面ライダーストロンガー・城茂は、自ら進んで改造手術を受けて電気人間となり、日本の平和と正義を守るため、世界征服を狙う悪の組織・デルザー軍団を倒すべく、敢然と立ち上がった!」
今回より、OP映像にチャージアップ・ストロンガーや、デルザー軍団の戦闘員が登場する映像が追加され、最後のナレーションも、デルザー軍団との戦いを説明するものに変更となった。
いよいよ、ストロンガーの戦いは最終決戦へ向けて進んでいくことになる。

デルザー軍団のアジトでは、ジェネラルシャドウがカード占いを行っていた。
ジェネラルシャドウの計算では、ストロンガーの電気パワーではドクロ少佐を倒すことは出来ないはずだったが、ドクロ少佐が敗れた今、ストロンガーに新たな力が加わったことになる。
岩石男爵は、ストロンガーに新しい力が加わったなら直接ぶつかってみれば良いと短慮なところを見せ、ストロンガーを倒して自分がデルザー軍団の指揮権を握ることを目論む。
「ストロンガーの首を持ってくるってことなんよ。わかるかや…」
「フン。救いようのない単細胞、ガラの悪さだが…まあ、あれはあれなりに、使い道はある…」

子供たちが公園で遊んでいると、突然トラックが公園の近くにいくつもの岩石を運んできた。
その岩で遊ぼうとした子供たちは、岩石に化けていた岩石男爵配下の戦闘員に襲われる。
難を逃れた少女は、戦闘員に襲われた少年・一郎の母親に助けを求め、母親は急ぎ公園に向かった。少女が恐ろしさのあまり涙する中、城茂とおやじさんがそこに通りかかる。
少女から、子供たちが岩の化け物に襲われた話を聞いた城茂たちは、急ぎ公園へ向かった。

だが、公園は不気味なほどに静かだった。
しかし、城茂たちが耳を澄ますと、積まれた岩石の中から、助けを求める声が聞こえてきた。
城茂が急ぎ岩石の近くに向かうと、岩石の中から助けを求める手が伸びている。
城茂が急ぎ岩石をどかすと、一際巨大な岩石が城茂へ向かって落ちてきた。
その岩こそ、岩石男爵が岩隠れで化けたものだったのだ。
城茂はおやじさんに一郎の母親の救助を任せ、岩石男爵との戦いを開始する。
人質がいない今、五分と五分の勝負になったかと思われたが、岩石男爵は余裕の構えを崩さない。
「人質なんざ腐る程あるわい、どんどこと見せてやれぇ!」
岩石男爵の声に応え、岩石に化けていた戦闘員が、子供たちを捕らえて姿を現した。
人質を取られて十分に動けない城茂に、岩石男爵はその岩石のボディを活かした攻撃を加えていき、城茂を空中に投げ飛ばすと、岩石弾を飛ばして爆発させる。
勝利を確信した岩石男爵は高笑い。
「影も形もなく、おっちんだじゃろうて…ん?何者!?」
「俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
城茂はとっさにストロンガーに変身し、岩石弾を躱していたのだ。

「飽きずにいつもいい格好つけちゃって!やい人質ども、見ておれ!俺の方が強え、強え!」
ストロンガーと岩石男爵の戦いが始まった。
ストロンガーはストロンガー電キックを炸裂させるが、電気パワーはやはり改造魔人に通じない。
「なんじゃろけなんじゃろけ…ちっとも進歩してやせんのう!ドクロ少佐を殺ったのは、やっぱ偶然なんよ!」
岩石男爵はなおも飛びかかるストロンガーを正面から受け止め投げ飛ばすと、岩石となって体当りする岩石落としを仕掛ける。ストロンガーはそれを躱し、人質にされた子供たちを救出。
人質を失った岩石男爵は勝負を預けて撤退する。

ストロンガーは、岩石男爵の挑戦が自分の新たな力を探るためだと看破していた。
しかし、強大な力を持つ代わりに1分間の時間制限というリスクのある超電子の力を濫用すれば、狡猾なジェネラルシャドウは対策を練るに違いない。ストロンガーは超電子の力を隠していた。
「シャドウの差し金で俺の力を探りに来たな…だが、まだまだ超電子を使うわけにはいかん」

一方、ストロンガーと岩石男爵の戦いを監視していたジェネラルシャドウも、特段今までと変わった様子を見せないストロンガーに、ストロンガーのパワーアップへの懸念は自分の思い過ごしかと判断しアジトへ帰還しようとする。だがそこに、何者かが襲撃を仕掛けた。
ジェネラルシャドウは反撃のトランプショットを投げるが、トランプショットは標的を捉えることなくシャドウの手元に戻ってくる。戻ってきたカードには獣の体毛のような毛がついていた。

その頃、岩石男爵は、ストロンガーにまんまとしてやられた戦闘員たちの体たらくを叱責し、過酷な特訓を課していた。するとそこに、何者かの高笑いが響く。
声の主は、デルザー軍団の改造魔人の1人、狼長官だった。
「相変わらずだな、岩石男爵…」
「おめえも、シャドウに呼びつけられて、ストロンガーをやっつけにきたんじゃろけ!そうはさせねって!」
「この狼長官は、栄光ある狼男の子孫だ!シャドウ如きの成り上がり者の命令は受けぬ!」
「そんじゃ、何しに来たんじゃい!」
「デルザー軍団の改造魔人たちが、たった1人のシャドウに思うように使われ、利用されているのを見かねて、やって来たのだ!」
「何言いやがる!俺は、シャドウに使われちゃいねえ、ストロンガーをぶっ殺せば、デルザー軍団の親分になれるからやってんのよ!」
「ストロンガーとかいう奴を殺して、一番得をするのは、誰だと思う?」
「そりゃあ…ま、シャドウか?」
「そう。シャドウだ」
「そうだっちか…あんにゃろう…!」
「なあ岩石男爵。俺と手を組まんか?」
「狼の。おめっちと?」
「そうだ。2人してシャドウを消し、デルザー軍団を2人で支配するのだ!」
「ううん…それも、悪くねえっちのう…」
「よし。話は決まった!」
由緒正しい西洋妖怪の名門、狼男の子孫である狼長官は、ジェネラルシャドウを成り上がり者を嫌っており、岩石男爵を利用してジェネラルシャドウをデルザー軍団から排除しようと目論んでいたのだ。岩石男爵は狼長官の入れ知恵でシャドウを敵視し始め、2人は手を組むことになる。
改造魔人の寄り合い所帯であるデルザー軍団の手柄争いは、ついに内部崩壊に及び始めた。

その頃、岩石男爵の行方を追っていた城茂とおやじさんの前に、ジェネラルシャドウが現れる。
「久しぶりだな。城茂。立花藤兵衛…」
「デルザー軍団には任せておけず、直々のお出ましか!」
「いや。戦う目的で来たのではない。どうだ。しばらく休戦したいが…」
何者かが自分を狙っている策謀を張り巡らせていることを感じ取ったジェネラルシャドウは、ひとまずその排除を優先し、城茂との戦いを休戦する申し出に現れたのである。
「俺を差し置いて、誰かが何かを企んでいるのだ。その正体を確かめておきたいと思ってな…」
「ほほう。シャドウを蹴落として、取って代わる謎の魔人が出たのか…そいつは面白いな!」
「俺には面白くない!」
だがもちろん、ユリ子にデルザー軍団の改造魔人の殲滅を誓った城茂が、休戦の申し出を飲む筈はない。交渉が決裂した瞬間、何者かが城茂とシャドウを襲撃し始めた。

「俺にも敵、お前にも敵になる奴の仕業だ!解決まで、藤兵衛を預かっておく!」
ジェネラルシャドウはおやじさんを攫い、アジトへと撤退した。
城茂がそれを追うと、その行く手に満月を模した仮面がいくつも落ちていた。
それは、狼長官配下の戦闘員の仮面である。
地中より、狼長官配下の戦闘員が槍を持って現れ、城茂は包囲されてしまった。
しかし、包囲を脱出した城茂は、ストロンガーに変身する。

狼長官配下の戦闘員は槍を扱い、統制されたストロンガーを執拗に襲う。
しかし、突然戦闘員たちは撤退。入れ替わるように、狼長官が姿を現した。
狼長官もまた、ストロンガーの実力を見るために戦闘員をけしかけたのである。
「ストロンガー!待ち給え、仮面ライダーストロンガー!君の手並みは、俺の精鋭、狼舞台の戦いぶりで、よおくわかった!ストロンガー、話がある!君にとって、悪い話ではないぞ?」
「ジェネラルシャドウから、休戦の申し込み…今また、改造魔人、狼長官から話がある、か」
「何!?ジェネラルシャドウが君に休戦を申し入れたと!?本当か!?」
「成程…だんだん話が読めてきたな。シャドウが言っていた、謎の正体はお前か!」
「シャドウめ。薄々感づいて、手回し良く、君と休戦か…。なあ、聞いてくれストロンガー。俺は岩石男爵を焚き付けて、シャドウを始末させる計画だ。どうだ?力を貸さんか!」
「生憎だな。俺はシャドウに人質を取られてしまった」
「条件を出そう。人質は必ず返す」
「よし。人質の無事を確かめてから、話に乗ろう」
狼長官は、岩石男爵のみならず、ストロンガーをも利用してジェネラルシャドウの排除を目論み、ストロンガーへ協力を打診した。ストロンガーもまた、それを利用しておやじさんの救出を行う作戦を立てたのだ。三者三様の思惑が交錯する戦場は、混迷の度合いを深めていた。
「悪の軍団・デルザー軍団の中で仲間割れか…よし。これを利用して、一気に叩き潰してやるか」

デルザー軍団のアジトの地下牢へ潜入した岩石男爵は、自分の体の岩石を取り外し、「秘密戦法・岩石粘土細工」で岩石を粘土に変えると、それを捏ねておやじさんと同じ体格の人形を作る。
そして、地下牢で気絶しているおやじさんから服を剥ぎ取り、人形に被せ替え玉にすると、おやじさんを抱えてアジトを脱出した。しかし、牢屋の檻を閉めていないので、替え玉を置く意味もなさそうなのだが、そのへんが「救いようのない単細胞」たる所以かもしれない。
さらに、その様子はトランプのカードを通じてジェネラルシャドウは把握済みだったのだ。
「あの馬鹿、何を企んでいるんだ…こんな人形で、俺が騙されるか!」

こうして、おやじさんを脱獄させた岩石男爵は、狼長官と合流。
そしてそこに、城茂も現れる。
城茂への戦意をみなぎらせる岩石男爵だが、狼長官はそれを制するのだった。
「待て!慌てるな!今は戦う時ではない!」
「ム?そうかぁ…腕がムズムズしっぱなしなんよ!」
狼長官たちに、人質を引き渡す前に自分たちの要求を聞くように求められた城茂がそれに応じると、狼長官には城茂にシャドウを誘き出すための囮となるように要求する。
だがそこに、その必要はないとジェネラルシャドウが現れた。
「狼長官!陰で糸を引いていたのはお前か!」
「シャドウ!まあ待て!これも俺の計画なのだ!ストロンガーを倒すためのな!」
「言い逃れするか!」
「話が違うじゃろて!」
「仲間割れか…俺には関係なさそうだな」
改造魔人同士の醜い争いを尻目に、城茂はカブトローで改造魔人たちを蹴散らし、おやじさんを連れて脱出する。ジェネラルシャドウは狼長官に後を追わせようとするが、岩石男爵がそれを阻む。
「黙れ黙れぇ!野郎を殺るのは俺だ!どいつらも、手出しをする奴はぶっ殺してやる!」

岩石男爵は、戦闘員たちとともに岩石となり、カブトローを強襲する。
だが、城茂は間一髪、ストロンガーに変身してそれを躱していた。
岩石となって次々に襲いかかる戦闘員たちの攻撃を、ストロンガーは跳ね除けていく。
「間抜けの岩石男爵!何処だ!」
すると、一際巨大な岩石が飛んできた。それはもちろん、岩石男爵だ。
「人を間抜けと抜かしおってからに!ストロンガー!生き埋めにしてやっとるけ!」
岩石となって飛んできた岩石男爵は、そのままストロンガーの体を押し潰す。
改造電気人間としてのストロンガーの力では、岩石男爵を跳ね除けられない。
だがそこに、おやじさんが勇敢にも岩石男爵に体当たりをぶちかます。
岩石男爵は態勢を崩し、脱出したストロンガーは、岩石男爵に最後の戦いを挑む。

棍棒を振り回す超パワーと、攻撃を岩石となって受け止める防御力。
やはり改造魔人の一人だけあって、岩石男爵の力は本物だった。
「俺、頑丈なんよ…」
ストロンガーは、この戦いに終止符を打つべく、超電子ダイナモを起動する。
「チャージ、アップ!!」
ストロンガーは、超電子人間、チャージアップ・ストロンガーと進化した!
「俺の新しい技を見せてやる!超電子ドリルキック!!」
高速回転して敵を穿つ超電子ドリルキックが岩石男爵の首を刎ね飛ばし、大爆発が起こる。
「超電三段キック!!」
残った岩石男爵の胴体に、超電三段キックを直撃させ、大爆発と共に消し飛ばしたストロンガーは、ついに強敵・岩石男爵を完全に葬ることに成功したのだった。

その様子を見ていたジェネラルシャドウは、ストロンガーが本当にパワーアップしたことを知り、油断ならないストロンガーに、裏切りかねない狼長官をぶつけて戦わせることを思いつく。
岩石男爵を新パワーで倒したストロンガーに、次なる強敵・狼長官が牙を研いているのである。

今回から、エンディングテーマが「ストロンガーアクション」に変更され、チャージアップ・ストロンガーのパワフルな戦闘シーンが展開され、ヘビ女配下の戦闘員などが初披露された。
軽快かつ勇壮なメロディが力強い「ストロンガーアクション」が、チャージアップ・ストロンガーが見せる怒涛のアクションを盛り上げる迫力のエンディング映像となっている。

名門とも言える狼男の子孫であることにプライドを持つ狼長官の、ジェネラルシャドウへの反逆の策謀が展開される、改造魔人同士の仮面劇が見ごたえのあるエピソード。
岩石男爵やストロンガーを利用しジェネラルシャドウを始末しようとする狼長官に対し、一足早くストロンガーへの休戦を申し込み、人質を取ることで状況を有利に働かせたジェネラルシャドウが一枚上手な面を見せ、狼長官はジェネラルシャドウへの反逆に失敗してしまう。

怪力とタフネスに優れた岩石男爵だが、「どうしようもない単細胞」とジェネラルシャドウに陰口を叩かれていたように、おやじさんを地下牢から連れ去る際に単なる泥人形を替え玉にしたり、地下牢の檻を開けたままにしたりと迂闊さが目立った。
泥人形に関しては、普段の怪人なら人形が一瞬でおやじさんそっくりに変化する…くらいは普通に起こりそうだったので、泥人形のままで替え玉にしたことに逆に驚いてしまった。
何処か笑っている表情に見えるマスクの造形や、方言を用いて話すユーモラスな点が愛すべきキャラクターではあったが、その迂闊さで狼長官の計画を頓挫させ、自らも命を落としたことになる。

今回のチャージアップ・ストロンガーの技は、前回も披露した超電子ドリルキックと、超電三段キックの二段構え。2つも超電子の技が見られる豪華な構成は、戦闘中に変化するパワーアップ形態というシリーズ初の要素を強く印象付けることに成功している。

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