あらすじ
あきらは“古代織り”の家元・戸川六助から家元を継ぐように誘われるが断ってしまう。
代わりに後継者となった女性・岡道子の正体は、怪物・ドクガラーだった。
ドクガラーが織りなすベーダー織りとは…。
伝統芸に隠された真実 孤独な老人の心に付け入る毒蛾
今回のベーダー怪物は、毒蛾の怪物であるドクガラー。
その任務は、ベーダー一族に伝わるベーダー織りで紡いだ着物をヘドリアン女王に献上すること。
ベーダー織りは着用した者の生気を吸い取る性質を持ち、生気を吸い取ったベーダー織りをヘドリアン女王が着用することでヘドリアン女王が生気を得て若さを保つ事が出来る織物だ。
そしてそのベーダー織りとは、日本に伝わる古代織りの織物にドクガラーの鱗粉を織り込むことで完成する。古代織りとは、ベーダー織りが何らかの経緯を経て地球に伝わったものだったのだ。
その古代織りの家元である戸川六助は、家元を継承する「機織り姫」を求めていた。
そして、偶然公園で編み物をしていたあきらに目をつけ、機織り姫に任命しようとする。
何故か女性が古代織りを継承することに拘る六助の誘いを断ったあきらだが、ドクガラーが化けた女性・岡道子が六助に取り入り、機織り姫として古代織りを学び始めたことで事態は一変。
道子が織った古代織りはベーダー織りとなって人々を襲い始めてしまう。
だが、ようやく自らが守ってきた古代織りを継いでくれる機織り姫を見つけた六助は、道子を溺愛し、彼女がドクガラーであるということを信じようとしない。
果たしてあきらは六助を説得し、ドクガラーのベーダー織り復元を阻止できるのか。
公園で編み物をしていたあきらに、怪しい老人が迫ってきた。
あきらをまじまじと見つめる老人は、古代織家元・156代目の戸川六助と名乗る。
古代織りとは、戸川家に1000年もの間伝わる機織りの技術だという。
困惑するあきらに、六助は不躾に「機織り姫」にならないかと声をかけてきた。
機織り姫とは、古代織りの跡継ぎということらしい。
あきらが断ると、六助は物凄い形相であきらの手を取り、自分が教えるので家に住み込むように要求する。とんだエロ河童ジジイにしか見えない六助に、あきらも本気で嫌がる。
だが、六助はあきらが継がなければ古代織りは滅んでしまうと手を離そうとしない。
正直、あきらの美貌に魅入られ年甲斐もなく口説き落とそうとしているようにしか見えない六助にあきらが心底困っていると、そこに青梅が助けにやってきた。
青梅はそんなにお茶飲み友達がほしいならと、おばあさんを連れてくる。
六助がおばあさんに捕まっている間に、あきらと青梅はなんとか逃げおおせるのだった。
六助が自分の行いも反省せず青梅の失礼な物言いに立腹しながら帰宅すると、家の中には三つ指ついた女性がいた。女性は岡道子と名乗り、六助の弟子にしてほしいのだという。
六助は、自分の望み通り、機織り姫として古代織りを継いでくれる女性が現れたことが嬉しかったのか、満面の笑みで道子の手を取り弟子にすることを即決する。
やっぱりただのエロジジイなのでは…。
だが、首尾よく弟子となった道子は怪しい笑みを浮かべていた。
六助が寝ている間に、道子は懸命に機織りを行う。
街では、竹の子族の若者たちが踊り狂っていた。
アスレチッククラブの子供たちも、自分たちの街にまで現れたことを迷惑がる。
すると、竹の子族の若者たちのもとに、どこからともなく着物が飛来した。
その着物の柄を気に入った若者が着物を着用すると、途端に若者は苦しみ始める。
そして、あっという間に身体が消えてなくなってしまった。
竹の子族の若者や子供たちはあまりの出来事に逃げ惑う。
そして、着物は通りかかったあきらにも襲いかかり始めた。
あきらは着物から逃げながら助けを呼び、デンジレッドたちが駆けつける。
デンジレッドたちがデンジスティックを投げつけ着物を撃ち落とすと、着物から毒蛾が離れ、やがて毒蛾はベーダー怪物・ドクガラーヘと姿を変えた。
ドクガラーは鱗粉攻撃でデンジマンを撹乱し、何処かへと逃げ去ってしまう。
電子戦隊がデンジランドに着物の欠片を持ち帰り分析していると、アイシーが口を開いた。
アイシーによれば、この着物は人間の命を吸い取るベーダー織りであるという。
そして、人間の命を吸ったベーダー織りを着ることが出来るのはヘドリアン女王だけであり、ヘドリアン女王はそれによって若さと美貌を保ち続けているのだという。
ベーダー魔城では、ヘドリアン女王がドクガラーが織ったベーダー織りの着物を着てご満悦だったが、女王がサイズが合わずに無理やり着ようとした結果、着物は破れてしまった。
ミラーとケラーは女王に恥をかかせたドクガラーを叱責し、もう一度織り直すように命ずる。
だが、ヘドラー将軍はドクガラーが同じ過ちを犯さないように改めてヘドリアン女王のスリーサイズを教えておいたほうが良いとアドバイス。
ミラーとケラーの測定の結果、スリーサイズ全てが同じサイズだった女王はふくれっ面になる。
黄山がデンジランドのデータベースで調べたところ、ベーダー織りは既に滅びていた。
だが、あきらはベーダー織りの着物の欠片の柄を見て、六助が機織り姫に勧誘してきた際に手渡してきた古代織りのパンフレットに載っていた柄との類似性に気づく。
アイシーも、ベーダー織りと古代織りが同じであると結論付け、滅んだはずのベーダー織りが、日本に古代織りという名前で残っていた事が判明した。
あきらは、六助がベーダー織りの着物となにか関係があるのではないかと疑っていた。
その頃、六助は屋敷から道子が姿を消してしまい、落ち込んでいた。
するとそこに、道子が現れる。道子は自信を失い一度は山を降りたが、改めて考え直し戻ってきたのだという。その様子を外から見ていたあきらと青梅は、道子を怪しむ。
するとそこに、ダストラーが襲撃してきた。
あきらと青梅はその襲撃を躱すが、物音を聞きつけ様子を見に来た六助と出くわす。
あきらと青梅は、六助が継承してきた古代織りがベーダー織りと同一であることを話すが、自身の誇りである古代織りを貶められたように感じた六助は、当然その話を信じない。
だが、あきらは自分を襲った着物の欠片を見せ、その欠片が古代織りによるものであることと、この着物が人間の命を吸い取ったという事実を伝える。
だが、六助はそれを執拗に信じない。道子も、自分が織った着物は燃やしたと話していた。
道子のことを古代織りの美しさに惹かれた心美しい女性だと信じ込んでしまっている六助は、道子を貶めるあきらと青梅に怒り、石を投げつけて追い返すのだった。
あきらを勧誘した態度を思うと、スケベ根性で擁護しているように見えてしまうが…。
その様子を陰から見ていた道子は、驚くべき身体能力で屋敷に舞い戻る。
屋敷に戻った六助は、道子が古代織りに励む様子を見て満足そうに微笑む。
一方、デンジスパークしたデンジブルーとピンクは、デンジスコープで屋敷の様子を伺うが、機織りをしている物音はするにも関わらず、仕事場の様子を透視出来ない。
仕事場だけ、内側から透視を防ぐバリアが張られているのだ。
青梅は六助の目を覚まさせるべく、屋敷に忍び込んで道子がベーダー織りを行っている証拠を掴もうとするが、六助に見つかってしまい、なんと鉄砲で撃たれて屋敷から追い出される。
機織り姫に一歩も近づけない覚悟を見せる六助に、あきらはやっと見つけた跡取りを可愛がる気持ちを理解するのだった。あれほど手を握られて嫌がっていた相手とは思えない。
屋敷では、道子が六助に、2時間ほど全精力を懸けて機織りに集中したいと申し出ていた。
六助にも仕事場の部屋に入らないように頼んだ道子は、さらに六助にあきらと青梅を屋敷から遠ざけるように頼むのだった。六助はそれに答え、物凄い大きさの荷物を担いで屋敷を出る。
それを見かねたあきらと青梅は助けに入った。
織物が出来たので店に納めに行くという六助に、青梅は荷物を肩代わりする。
荷物の中には、どっさりと石が入っていた。
山道を抜けると、突然フィールドアスレチックが現れた。
こっちが近道だという六助の案内に従い、フィールドアスレチックに近づくと、あきらと青梅は突然ロープに足を取られ、フィールドアスレチックに捕らわれてしまう。
ひとりでに動く筏などに縛られ、身動きが取れないあきらと青梅。
さらに、六助もロープに縛られてしまった。そこにダストラーたちも現れる。
ダストラーは六助を捕らえるが、拘束を脱出したあきらと青梅が六助を助け出す。
六助は、道子がベーダーである可能性に震え、静止も聞かず屋敷へと戻っていくのだった。
あきらと青梅はダストラーに足止めされる中、六助は屋敷へと戻り、仕事場へ入った。
すると、そこにいたのはベーダー怪物・ドクガラー。
古代織りにドクガラーの毒を織り込むことで、ベーダー織りとなってしまうのだ。
騙された絶望に震える六助。あきらと青梅は六助を助けに向かう。
この世に機織姫は自分ひとりだと宣言するドクガラーの前に、デンジピンクが現れた。
自分こそ機織姫であり、古代織りは自分が守って見せると宣言するデンジピンクの声に、六助はあきらが機織姫になる宣言をしたことを喜び、避難する。そこにデンジレッドたちも駆けつけた。
「見よ!電子戦隊!デンジマン!!」
デンジマンはショットガンでダストラーたちに突撃し、ドクガラーへ向かっていく。
だが、女性怪人であるドクガラーはぶりっ子でブルーやイエローの攻撃を防ぐ。
男どもに任せておけないと、デンジピンクがドクガラーに相対した。
ドクガラーは織物を巻き付けデンジピンクの身動きを封じる。
だが、デンジマンは5人集合してドクガラーの攻撃を防ぎ、デンジブーメランを炸裂させた。
ドクガラーは細胞組織を組み替えて巨大化、デンジマンもダイデンジンを呼ぶ。
杖で攻撃するドクガラーは、さらに鱗粉攻撃でダイデンジンを苦しめる。
だが、ダイデンジンはデンジ毒蛾落としでそれを弾き返す。
なおも毒ガスを吐くドクガラーだが、ダイデンジンは電子満月斬りでドクガラーを倒した。
戦いが終わり、懲りない六助はあきらに機織姫になると言った真意を確かめていた。
あきらはベーダーを倒したらここに戻ってきて古代織りを継承すると約束する。
六助はその日が一日も早く来る日を願い、電子戦隊の安全を願うのだった。
いつの日か、世代を超え、友情の糸が織り継がれることを信じて。
桃井あきらたちは、静かな山里に別れを告げた。
ベーダー一族に伝わるベーダー織りが古代日本に伝来していた、という驚愕の事実が明らかになるエピソード。地球の文明に影響を与えてきたのは、デンジ姫たちデンジ星人だけでなく、ベーダー一族もまた地球の文明に影響を与えてきたことになる。
ベーダー魔城からこぼれ落ちたビーダマラーの卵が地球に流星となって辿り着いていたことといい、ベーダー魔城がある異次元は地球のある空間と近しい次元にあるのだろうか。
自らが守ってきた古代織りの継承者を探す孤独な老人の心につけこんだドクガラーの悪辣さが目立つエピソード…ではあるのだが、いかんせん冒頭のあきらを機織姫と見込んで勧誘する六助が強引過ぎて、なんだか同情心が湧きにくい気はする。
嫌がる女性の手を握って凄んでくるのは、当時の目線でも不審者だろう。
道子を擁護したのも、屋敷に住み込みで弟子入りする若い女性に目が眩んだのでは…と思わなくもないが、とはいえドクガラーに利用されたのは素直に気の毒。
あきらは戦い終わった後の進路を決めてしまったが、果たしてこの約束は守られるのだろうか…。