あらすじ
7人の仮面ライダーとデルザー軍団の死闘の果てに、デルザー軍団の大首領がその姿を現した。
デルザー軍団の大首領こそ、これまで仮面ライダーが戦ってきた全ての悪の組織を陰から操ってきた、全ての黒幕だったのである。巨大な手足が7人のライダーを踏み潰し、さらには投げ飛ばす。
ストロンガーたち7人のライダーは、世界平和のため、力を合わせて立ち向かうのだった。
全ての宿命に決着をつける時 戦え!栄光の7人ライダー!
1号と2号の参戦で、ついに7人の仮面ライダーが日本に集結した。
そして、捕らわれていたV3とライダーマンもXライダーとアマゾンライダーに救出される。
ついに、7人の仮面ライダーがデルザー軍団に勝利を収めるのか。
だがそこに、ライダーとデルザー軍団の戦いを監視していた奇厳山の人面岩が動き出した。
人面岩の攻撃によって救われたマシーン大元帥たちは、7人の仮面ライダーの「父」であるおやじさん、立花藤兵衛を最後の人質として、7人の仮面ライダーに最後の戦いを挑む。
7人の仮面ライダーは「父」を救うため、最後の戦いへと向かうのだった。
奇厳山の人面岩の力で蘇った再生怪人軍団、そしてマシーン大元帥たちとの戦いを制し、おやじさんの救出を果たした仮面ライダーたちは、素顔で並び立ち、おやじさんと対面する。
7人の仮面ライダーが素顔で揃い踏みした、5年間のシリーズを締めくくる感動的なシーンだ。
だが、戦いはまだ終わっていなかった。デルザー軍団のアジトがあると思われていた奇厳山の人面岩こそが、デルザー軍団を陰から操ってきた、デルザー軍団の大首領だったのである。
7人の仮面ライダーは、本当の最後の戦いへ向かう。
そして奇厳山より姿を現したのは、巨大な怪人・岩石大首領だった。
そして岩石大首領は、自らの声に聞き覚えがないかと尋ねる。
1号・2号にとっては、ショッカー・ゲルショッカーの大首領。
V3・ライダーマンにとっては、デストロンの大首領。
X・アマゾンもまた、その声にGODやゲドンの気配を感じ取る。
ストロンガーにとっては、その声はブラックサタンの大首領だった。
すなわち、目前にそびえ立つ巨人・岩石大首領こそが、7人の仮面ライダーが戦ってきた全ての悪の組織を陰から操り、正邪の果てしなき戦いを仕組んできた張本人だったのである。
人ならざる体に自分たちを作り変え、悪と戦う宿命を背負わせた元凶に対し、7人の仮面ライダーはその力を結集する。今こそ、全ての宿命に決着をつける時。
栄光の7人ライダー、最後の戦いが始まった。
仮面ライダー1号・2号も、ついに日本に帰ってきた。
ピンチを救われたストロンガーは、磁石団長の日本破壊作戦に敢然と立ち向かった。
それを阻むマシーン大元帥、ヨロイ騎士には、ライダー1号・2号が戦う。
デルザー軍団と、仮面ライダーたちの激しい三つ巴の戦いが展開したのである。
ストロンガーはエレクトロファイヤーを磁石団長に炸裂させる。
その頃、1号はヨロイ騎士を、2号はマシーン大元帥をそれぞれ追い詰めていた。
ストロンガーは超電子ダイナモを起動させ、チャージアップ・ストロンガーに進化。
磁石団長を超パワーで圧倒し、超電逆落としで地面に頭部を激突させる。
1号もライダーキックをヨロイ騎士に炸裂させ、ライダーたちは磁石団長とヨロイ騎士を捕らえることに成功した。1号とストロンガーは互いの健闘を称え、2号の応援に向かう。
流石にマシーン大元帥は強く、2号相手にも互角の攻防を繰り広げていた。
必殺の機関銃を構え、2号を牽制するマシーン大元帥。
そこに、1号とストロンガーが、捕縛したヨロイ騎士と磁石団長を連行して現れた。
「動けば仲間の命はない!」
「マシーン大元帥、助けてくれ!」
「俺達を見殺しにしないでくれ!」
「ええい!この臆病者めが!それでも栄光のデルザー改造魔人か!」
「そんな、冷たいこと言うなぁ…」
「もう、諦めよう…」
「そうするかぁ…」
マシーン大元帥の厳しい言葉に、すっかり諦めムードになる磁石団長とヨロイ騎士。
だが、マシーン大元帥は突然高笑いを始めた。
「貴様ら、忘れているな!馬鹿者、よおく考えてみろ!貴様らの仲間、V3と、ライダーマンが捕まっていることを忘れたのか!」
「そうだそうだ!」
「捕まっている2人と交換してもらおう!」
仲間の命を条件にされては、1号も捕虜交換の申し出を断ることが出来ない。
仕方なく、ストロンガーは磁石団長とヨロイ騎士の捕縛を解こうとする。
しかしそこに、Xライダーとアマゾンライダーが現れた。
「その必要はない!」
「あれを見ろ!」
「貴様ら…いつの間に出てきおったのだ!」
「Xライダーとアマゾンがな…」
「地下牢から助け出してくれたのだ!」
ストロンガーと別行動を取っていたXライダーとアマゾンライダーは、デルザー軍団の日本破壊作戦を1号たちに任せ、密かにV3たちの救出のために力を尽くしていたのである。
ここに、7人の仮面ライダーたちが一同に介した。
先程の威勢は何処へやら、取り囲まれたデルザー軍団は今度こそ諦めムードに包まれる。
「デルザー軍団も…」
「これで終わりかのう…」
だが、ヨロイ騎士が突然何かに気づいた。
その視線の先には、奇厳山の人面岩が。人面岩の目が開き、ライダーたちを見ていたのだ。
7人ライダーは危険を感じ、包囲を解いて散開すると、人面岩の目から光線が放たれた。
その隙に乗じて、マシーン大元帥たちは撤退する。
いったい、奇厳山の人面岩の正体は何なのか。
ストロンガーたちが訝しんでいると、そこにマシーン大元帥の声が響いてきた。
「見たか7人ライダーども!デルザー軍団は未だ滅びずだ!まだ人質を取ってあるのを忘れるな!」
「わかるか?」
「うぬらの育ての親だ…!」
「おやじさん…!」
いつの間にやらおやじさんを人質に取っていたデルザー軍団は、主なきおやじさんのジープを走らせ、決戦場への道案内をさせる。7人ライダーは「父親」を救うため、決戦へ向かうのだった。
おやじさんを縛り上げたマシーン大元帥に、おやじさんはマシーン大元帥たち3人で7人ライダーに勝てるはずはないと指摘する。だが、デルザー軍団は彼らだけではなかった。
奇厳山の人面岩の目が開き、「デルザー復活」の力で奇械人たちを復活させる。
ストロンガーに葬られた多くの奇械人たちが爆煙から現れる中、「アマゾン」のカニ獣人の両腕がすげ替えられた「カニ奇械人」という見たことのない奇械人が混じっていたり、デルザー軍団の改造魔人の中で超電子の力なしに撃退されたことで明確に格下扱いされたのか、荒ワシ師団長が1人だけ再生されて混ざっているのが面白い。
特にカニ奇械人は、仮面ライダー公式サイトの仮面ライダー図鑑ですら、「ブラックサタンに所属していたかもしれないがストロンガーやタックルと戦っていない」と何もかも存在があやふやなことが書かれているのが余計に面白みがある。
また、どうせ荒ワシ師団長を蘇らせるなら、デルザー軍団改造魔人全員を再生させてもバチは当たらなかった気もするが、結果的にカニ奇械人という面白キャラが生まれたので結果オーライか…。
ともかく、7人ライダーたちはそれぞれがマシンに乗り、再生怪人軍団が待つ決戦場へ到着した。
マシーン大元帥の攻撃開始の指令とともに、再生怪人軍団が7人ライダーに襲いかかる。
7人ライダーもまた、怒涛のような反撃で再生怪人たちを次々に排除。
磁石団長は1号と戦い、ヨロイ騎士はV3と戦う。
そして、ストロンガーは単身おやじさんを救出するため、マシーン大元帥に挑みかかる。
「デルザー軍団最後の時だ!仮面ライダーの敵ではない!あれを見ろ!」
ストロンガーの声とともに、6人のライダーは再生怪人軍団を撃破、一掃した。
この時、磁石団長は2号に、ヨロイ騎士はXに倒されている。
初登場以来、一度は超電ジェット投げで木端微塵になりながらも異常な生命力で登場し続けた磁石団長とヨロイ騎士だが、その最期は再生怪人軍団に紛れて爆死という寂しいものだった。
手勢を全て失い追い詰められたマシーン大元帥は、破れかぶれでストロンガーを道連れにしようと襲いかかる。しかし、ストロンガーも超パワーで反撃し、強烈なパンチで吹き飛ばす。
「ええい!聞け、ライダーども!デルザーは…デルザーは滅びぬ!」
超電子の技ですらない、ストロンガーのただのパンチでマシーン大元帥も滅びた。
こうしてついに、デルザー軍団12人の改造魔人は全て滅んだのである。
気を失っていたおやじさんが目を覚ますと、そこには素顔の勇者たちが並んでいた。
城茂。本郷猛。一文字隼人。風見志郎。結城丈二。神敬介。アマゾン。
仮面ライダーの「父親」は、ここに7人の教え子たちとの再会を果たしたのである。
デルザー軍団は全滅したと聞かされたおやじさんだが、おやじさんは奇厳山の人面岩が言葉を話し、奇械人たちを再生させたことをライダーたちに伝える。
それこそが、デルザー軍団最後の1人。死の数である、13番目の改造魔人。
「マシーン大元帥は、デルザーは滅びぬと言った」
「あの人面岩に、その秘密が…」
7人ライダーは、デルザー軍団との戦いを終わらせるべく、奇厳山へ向かうのだった。
奇厳山に到着したライダーたち。すると、人面岩の目が開き、言葉を話し始めた。
「遠路はるばる、御苦労だったな…仮面ライダーの諸君!」
人面岩の声を聞いた1号は、その声に聞き覚えがあるようだった。
「我こそは、デルザー軍団の大首領」
すると、奇厳山が崩れていき、その内部から岩石の体を持つ巨人が姿を現した。
それこそが、デルザー軍団の大首領、岩石大首領だ。
「見たか。デルザー軍団の大首領の、姿を…!」
従来の怪人とは全くスケールの違う、圧倒的な大巨人。
それまでの作品において、首領の正体という存在が得体のしれなさはあれど最後の敵として強敵というわけではない、という感じだったのに対し、岩石大首領は明確にラスボスとして7人ライダーを相手取る巨大な怪人として演出されているのが「仮面ライダー最終回」を盛り上げている。
「7人の仮面ライダーの諸君。それぞれ、ワシの声に聞き覚えがあるのではないかな?」
その声は、1号・2号にとっては。
「ショッカーの首領!」
「そしてまた」
「ゲルショッカーの首領!」
V3・ライダーマンにとっては。
「ある時は」
「デストロン!」
Xとアマゾン、そしてストロンガーもまた、その声に聞き覚えがあった。
「そしてまた」
「GOD!」
「…ゲドン!」
「ブラックサタンの首領!」
「その通り!7人の仮面ライダー共通の敵。それがワシなのだ!」
厳密に言えば、GODを指揮していたGOD総司令の声は違っていたし、最終回でその存在が明かされた「GODそのもの」だという呪博士の声も違っていた。
ゲドンの首領は十面鬼だし、「アマゾン」においてこの声はむしろナレーションの声だ。
ということで、岩石大首領がこれまでの全ての悪の組織を統べていた範囲にGODやゲドンがそれに含まれている扱いなのは強引ではある(もちろん、GODやゲドンの裏に岩石大首領の関与があった事自体は不自然ではないが、Xとアマゾンが首領の声で気づくという展開に関して)。
だが、同時に5年間のシリーズの総決算である「仮面ライダー最終回」として、結集した7人ライダーの戦い全てに決着をつけ展開として、7人の仮面ライダー共通の敵と戦うというクライマックスは、これ以上なく美しい展開であまりにも見事である。
「1人残らず、大首領が始末してやる!」
岩石大首領は、ついにその巨体を動かし始めた。
7人の仮面ライダーもまた、その巨体に臆せず立ち向かっていく。
だが、岩石大首領の巨体は、ただ歩いているだけでも脅威だった。
7人の仮面ライダーはまったく近づけないまま、岩石大首領の攻撃に吹き飛ばされる。
アマゾンライダーは果敢に足に飛びつくが、ジャガーショックも通じない。
V3とライダーマンが肩に飛び乗り、頭部に攻撃を仕掛ける。
しかし、それも何の効果も見せず、ストロンガーの電キックも片手で弾かれた。
背後から迫る1号と2号に、岩石大首領は巨体に見合わぬ敏捷性を見せて素早く振り返ると、口から火球を放ち攻撃する。1号と2号はなんとかそれを躱す。
さらに、岩石大首領は目から稲光を走らせた。それを躱したV3はV3キックを放つが、岩石大首領のパンチによって迎撃され、大地に叩きつけられてしまう。
さらに、Xライダーは掴み上げられ、地面に投げ捨てられてしまうが、仲間の助けで難を逃れる。
岩石大首領の力は圧倒的だった。7人の仮面ライダーは、力を結集し対抗する決意をする。
「仮面ライダーは、全て兄弟だ!」
「皆、手を握れ!」
「エネルギーを、集めるんだ!」
7人の仮面ライダーが手を合わせ、そのエネルギーを一つに集めた!
後年の展開を思うなら、これは「10号誕生!仮面ライダー全員集合」や「平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊」で見せた「ライダーシンドローム」なのだろう。
「この瞬間、7人の仮面ライダーのエネルギーが一つに結集。大首領の体内に飛び込んだ!」
エネルギーを結集させ光となり、大首領の体内の空間に飛び込んだ7人ライダー。
激しい熱と光が襲う地獄の空間を突破したライダーたちは、ついに大首領の実体を感知する。
「大首領!今度こそ逃げ道はないぞ!」
「貴様たちこそ、像もろとも木端微塵だっ!」
岩石大首領の姿もまた、大首領にとっては「像」、仮初の肉体に過ぎないのか。
7人ライダーは大首領の正体を突き止めるため、なおも進んでいく。
その先で7人ライダーが目撃した大首領の正体とは、目玉のついた巨大な脳髄だった。
「見たか、ワシの正体を…ワシは地球を捨てて、宇宙の果てに帰る」
全ての悪の組織を陰から操ってきた大首領は、宇宙から来訪した超生命体だったのだ。
「その前に、7人のライダーよ…死ねっ!」
大首領は岩石大首領の肉体を自爆させる。7人ライダーも、急ぎ脱出した。
大首領の正体だという巨大な脳髄は、爆炎の中に消えていく…。
「終わったのか…長い、長い、戦いが…」
7人ライダーの、悪との戦いの宿命。
それをずっと傍で見てきたおやじさんは、その宿命が終わったことを確信する。
デルザー軍団は壊滅し、ここに仮面ライダーの戦いは、終わったのだ。
「戦え!仮面ライダーV3」のNG版音源とともに、何処かへ走り去っていく7人ライダー。
それぞれの戦いの歴史が振り返られていく。
「平和と正義の、7人の戦士。仮面ライダー。彼らは、地上に悪のある限り、その勇姿を現すに違いない。だが、今は去っていく。さようなら、仮面ライダーよ。さようなら!」
「レッツゴー!! ライダーキック」とともに、7人ライダーは走り去っていく。
ようやく訪れた平和な世界を照らす、夕陽の向こうへと…。
5年間のシリーズの最終回として、7人ライダーの宿命全てに決着をつける共通の敵との戦いという最大のクライマックスを描ききった、伝説となる最終回。
多少の矛盾点はあれど、悪の組織によって運命を狂わされた7人ライダーが、全ての悪の組織を陰から操ってきた岩石大首領を倒し宿命に決着をつける最終回はあまりにも美しい。
前回、素顔では登場しなかった本郷猛と一文字隼人も登場し、素顔の戦士の揃い踏みもここでついに果たされ、シリーズをオールスターキャストで見事に締めくくっている。
デルザー軍団から開放され目を覚ました立花藤兵衛が目にしたのは、これまで彼が手塩にかけ育て、その苦闘の日々を傍で見守ってきた7人の勇者たちの姿だった。
本郷猛、一文字隼人、風見志郎、結城丈二、神敬介、アマゾン=山本大介、城茂。
その時点で登場していた歴代ライダーを演じたキャストが一人の欠員もなく揃ったこのシーンは、今なお伝説として語り継がれる奇跡のシーンだ。
大人気俳優としてキャリアを積んでいた藤岡弘氏、佐々木剛氏も数シーンとはいえ出演を果たし、7人の素顔の勇者が揃い踏みを果たしたこのシーンは、「ストロンガー」で5年間の「仮面ライダーシリーズ」の終了が決まったからこその実現した奇跡であり、5年間のシリーズを見届けてきたファンへの、最高のファンサービスだった。
7人の勇者の笑顔を目撃した立花藤兵衛の喜びは、彼らを見守ってきた小林昭二氏本人の喜びでもあり、「仮面ライダー」シリーズファンの声そのものであったと言えよう。
この奇跡のような共演が描かれた「7人ライダー編」は、人気のある間にシリーズを終わらせるという、終わりの美学が生んだ最高のクライマックスだった。
「変身ブーム」を打ち立て、数々の伝説を作り上げたシリーズだからこそ、ボロボロになるまで続けて誰からも見向きもされないまま終わるのではなく、惜しまれつつ終了するという有終の美を飾りたいという、終わりの美学の現れによって早期にシリーズ終了が決定したからこそ、多忙を極めるキャスト陣のスケジュール調整が行われ、見事に7人ライダーの共演が実現したのである。
そうしてシリーズとしての有終の美を見事に飾ったからこそ、このエピソードは伝説なのだ。
こうして、平和と正義の戦士、7人の仮面ライダーたちは、自分たちの宿命に決着をつけて世界に平和をもたらし、平和な世界を照らす夕陽の向こうへと去っていった。
だが、世に悪の種は尽きまじ。斗いの陽は、いずれまた昇ることになる。
だが、今は彼らの戦いの終わりを祝福し、感謝と別れを伝えたい。
ありがとう、仮面ライダー。さようなら、栄光の7人ライダー!