あらすじ
ショッカーからデルザー軍団まで、悪の組織との長く苦しい戦いを終えた仮面ライダーたち。
7人の仮面ライダーを助けて見守ってきた立花藤兵衛は、デルザー軍団壊滅後、町の子供たちを相手に歴代ライダーの武勇伝を語っていた。藤兵衛が子供たちにせがまれて、後楽園ゆうえんちの「仮面ライダーショー」の見物に行くと、そこに7人のライダーたちが現れる。
知らなくてはならない。世界の平和を守った、7人の勇者の戦歴を。
「仮面ライダーストロンガー」で、最終回を迎えた「仮面ライダーシリーズ」。
空前の「変身ブーム」を巻き起こし、5年間にわたって変身ヒーロー番組のトップランナーで有り続けたシリーズのカーテンコールとして、「ストロンガー」最終回放送の翌週、お正月特番として放送されたのがこの「全員集合!7人の仮面ライダー!!」だ。
デルザー軍団壊滅後、町の子供たちに歴代ライダーたちの武勇伝を語っていたおやじさんの前に、7人の勇者たちが次々に訪ねてくるという、「ストロンガー」最終回の後日談になっている。
7人ライダーたちの栄光の戦歴を、過去のフィルムを使用しておやじさんが振り返るという構成となっており、歴代ライダーとの最後の別れを惜しむ作品となっていた。
もちろん、そんな振り返りだけにとどまらず、新たなる敵も襲来する。
それが、後楽園ゆうえんちの「仮面ライダーショー」に本物の怪人軍団を紛れ込ませて子供たちを誘拐し、その身代金で世界征服の足掛かりを作らんとする暗黒大将軍だ。
デルザー軍団のベルトを付け、「大将軍」を名乗ることから彼もまた改造魔人と思われる。
だが、子供たち誘拐の実行現場に選んだ「仮面ライダーショー」におやじさんが、そしておやじさんに会いに来た7人ライダーが居合わせたのが運の尽き。
7人ライダーは結集し、新たな悪の芽を摘むべく戦いに挑むのだった。
OP映像の始まりは、マシンに乗り、疾走する栄光の7人ライダー。そして、各々の主題歌のインストに合わせ、彼らの姿とキャストクレジットが映る演出は、ファン感涙だ。
7人ライダーの活躍により、日本に平和が蘇った。
立花藤兵衛にとって、それは誰よりも嬉しい勝利であった。今日も藤兵衛は語る。
彼らの悪に立ち向かう勇気と、平和を愛し、子供を愛した優しい心を…。
戦いを終えたおやじさんは、7人ライダーの戦いの語り部として、彼らの戦いを未来を担う子供たちに伝えていた。子供たちもそれに興味津々だ。
「戦いが終わった時、ワシは思わず駆け出していった…。とにかくライダーの一人ひとりと抱き合い、握手したかったんだ…」
そんなおやじさんに、子供たちは仮面ライダーに会いに行こうとせがむ。おやじさんもそれを了承し、後楽園ゆうえんちの「仮面ライダーショー」へ子供たちを連れて行くのだった。
後楽園ゆうえんちでは、ライダーがジェネラルシャドウと対決するショーが開催されていた。
壇上でポーズを決める1号を見て、おやじさんは本郷猛に思いを馳せる。
「仮面ライダー1号、本郷猛。今頃あいつは何処でどうしているのやら…。思えば、本郷猛こそ、ショッカーの最初の犠牲者だった…」
身体を作り変えられた本郷猛に、ショッカー首領が語りかける様子。
ショッカーの怪人を相手に燃える怒りをぶつけた本郷猛の戦いが回想されていく。
コブラ男やゲバコンドルとの死闘が回想され、代役の納谷六朗氏が本郷ライダーの声を務めていた時期の声も回想に採用されているのは、「仮面ライダー」の歩みを振り返るにあたってこのアクシデントを乗り越えたことは外せないという考えだったのかもしれない。
1号の強さを称えるおやじさんは、1号を「力の1号」と呼んでいる。
V3のダブルタイフーンが「力と技の風車」と呼ばれるのは毎回主題歌で謳われているが、1号と2号が自ら「技の1号」と「力の2号」と本編中で名乗ることはなかったので、児童誌などで語られた設定を言及するにあたり、そのあたりに混乱があったのだろうか。
ちなみに、後年のリメイク作品「仮面ライダー THE FIRST」では、ショッカーを裏切り戦闘訓練を受けていない1号がパワーで戦う「力の1号」を、戦闘訓練を受けた2号が「技の2号」をイメージした殺陣になっており、この取り違えが後年のリメイク作品を予見したものになっている。
初めて仮面ライダーが特訓で身につけた技・電光ライダーキックも披露されて、おやじさんにとってもうひとりの教え子であるFBI捜査官・滝和也についても言及されているのが嬉しい。
そして、サボテグロン戦での一文字隼人の初変身の披露。
「ショッカーの敵、そして人類の味方」という自己紹介は、いつ見ても最高に格好良い。
手順を間違えたぎこちない初の変身ポーズも、今見ると御愛嬌だ。
ライダーガールズの活躍についても触れられ、仲間が増えた明るい作風への変化が現れている。
カニバブラーやドクガンダーとの死闘が披露される中、やはり「技の2号」と説明が入る。
シリーズ初の大幹部である、ゾル大佐との最終決戦も紹介された。
さらに、死神博士との決戦の紹介に合わせ、本郷猛の日本への帰還も紹介される。
「仮面ライダーの戦いぶりとともに、もう一つワシを喜ばせてくれたのは、少年仮面ライダー隊が出来たことだった…」
ショッカーに狙われる子どもたちの自衛組織であると同時に、ごく少数の理解者だけを味方に孤独な戦いを強いられていたライダーを助ける少年仮面ライダー隊。
仮面ライダーたちの孤独を癒やす彼らの存在は、おやじさんにとっても救いだったのだろう。
バラランガ、イモリゲスと新1号ライダーの死闘。
数々の技を使いこなす精悍な姿は、仮面ライダーが青空の似合うヒーローとなった証だった。
2号ライダーとベアーコンガーの雪原の死闘も挿入される。
そして、地獄大使の正体であるガラガランダとの決戦。
数々の戦いを思い出し、感慨ひとしおだったおやじさんの肩を、何者かが叩いた。
それは、本郷猛と一文字隼人、そして風見志郎と結城丈二だった。
4人の勇者が笑顔で自分の前に現れたことに、おやじさんも喜びと困惑でいっぱいになる。
「全く偶然なんですがね。羽田で、本郷先輩と一文字先輩に、ばったり会ったんですよ」
「俺と風見さんで相談して、おやじさんに会いに行こうということになったんですよ」
「俺たちも、おやじさんと昔話がしたくなってね」
「そうかいそうかい…!いやあ、よく来てくれた!おまえたちのショーでも見ながら、いろいろ昔の話をしようじゃないか!みんなのことを思い出してたんだ!」
正月の里帰りでばったり合流した本郷たちは、おやじさんの元へ帰省したのだった。
おやじさんたちは、ゲルショッカーについて話し始める。
より強くなった合成怪人や、6人のショッカーライダーとの死闘。
多彩な技を使いこなし戦った仮面ライダーは、ついに大幹部ブラック将軍を倒した。
おやじさんは、風見志郎にハサミジャガーのことについて話を振る。
そして、風見志郎もまた、ハサミジャガーによって父を、母を、妹を殺され、自らの改造人間となって悪と戦う宿命を背負ったことを回想するのだった。
話の流れとはいえ、その場のノリで話を振るにはヘビーな話題過ぎる。
1号と2号がV3に後を任せ、カメバズーカを道連れに海へと消え、第3の男、V3はその後継者として、正義と自由を守るためにデストロンの怪人と戦い続ける。
そして、V3が行った過酷な特訓が回想され、大幹部ドクトルGとの決戦へ移行。
ドクトルGがさそりの意匠を持ち、自身もサソリのような意匠を持ちながらカニの怪人であるカニレーザーとの決着や、キバ男爵、ツバサ大僧正との決着も描かれた。
おやじさんは、続いて結城丈二にヨロイ元帥について話を振る。
さっきから、当人のトラウマになった相手の話を振ってばっかりだ。
結城丈二はヨロイ元帥を最も残忍な幹部だったと断言し、自らが右腕を失い、復讐の鬼ライダーマンとなった事件を回想。ロープアームの力でオニヒトデの分裂を阻止し、V3の勝利に貢献した戦い、そして悪に加担した償いとして、自らを犠牲に日本を守った事件を回想する。
自身を犠牲に、人々を守ったライダーマンは、仮面ライダー4号の名を贈られた。
だが、どっこい生きていたライダーマンは、正義の戦士として今も戦っているのだ。
おやじさんはさらに、XライダーとGODの出現について回想を始めた。
神話怪人に対し、怒りのライドルを引き抜いて戦ったXライダー。
ライバルキャラクターとしての大幹部だった宿敵・アポロガイストとの死闘、そして大巨人キングダークと、それが率いたGOD悪人軍団がスピーディーに回想されていく。
「神敬介か…今頃、どこにいることやら」
「おやじさん。俺を呼んだかい」
「俺は呼ばれなかったよ」
おやじさんがキングダークの脅威に立ち向かったXライダーのことを思い出していると、そこに神敬介とアマゾンが現れた。彼らもまた、風見志郎に日本に集まることを教えられたのだ。
彼らと入れ替わりに、ひっそりと本郷猛がおやじさんの傍からいなくなっているあたりに、当時の藤岡弘氏の多忙を極める人気ぶりとスケジュール調整の困難さが窺える。
アマゾンとゲドンの戦いが回想される。
従来の怪人よりより野性味を増した獣人との、血で血を洗う死闘の数々。
ゲドンの首領、十面鬼との死闘や、アマゾンの「トモダチ」であるまさひことの友情。
そして、「勇気の士」であるモグラ獣人の仲間入り。獣人でありながら、臆病であったがゆえに生き延び、人間に馴染んで人のために生きようとした彼の生き様は、今も印象深い。
そして、ガランダー帝国と真のゼロ大帝との決着。
しかし、真のゼロ大帝も「これまでの悪の団体を陰から支配してきた」と言っていたあたり、彼もまた岩石大首領と同じような大首領の仮初の肉体のひとつだったのだろうか?
ともかく、ギギの腕輪とガガの腕輪を一つにしたアマゾンライダーは超エネルギーを身に着け、スーパー大切断で真のゼロ大帝を倒す。
おやじさんの回想は、ブラックサタンの出現と、城茂の登場へと映る。
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ。俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー」という名乗りは、まさに絶対の正義の象徴となる格好良さだった。
電気エネルギーを駆使した大技でブラックサタンの奇械人を打ち破るストロンガーと、彼の仲間である電波人間タックルの登場。ふたりで日本の平和を守る旅路が始まった。
ブラックサタン大幹部・1ツ目タイタンや、ストロンガー打倒だけを目的とするジェネラルシャドウ、夢よもう一度と再生された百目タイタン。
ブラックサタンは壊滅し、ジェネラルシャドウは新たにデルザー軍団を結成する。
ブラックサタン相手に無敵を誇ったストロンガーの電気パワーが全く通じないデルザー軍団の改造魔人の強さは、まさに絶望的なものだった。
タックルもその生命を散らし、徹底的に追い込まれたストロンガーが、超電子ダイナモの移植手術で超電子の力を得て逆転、反撃に転ずるドラマは、大きなカタルシスを生んでいた。
こうして、城茂はユリ子を失った哀しみを乗り越え、デルザー軍団を倒したのだ。
おやじさんが城茂に思いを馳せていると、「仮面ライダーショー」を観覧していた子供たちが突然騒ぎ始めた。おやじさんが壇上を見ると、仮面ライダーたちが皆怪人にやられている。
ショーの演出にしてはやりすぎだ。
このショーで仮面ライダーたちをいたぶっている怪人たちは、「ストロンガー」最終回で岩石大首領が蘇らせた面子も多く、みんな大好きなカニ奇械人もいるあたりが面白い。
異常事態を把握したおやじさんと歴代ライダーの前に、城茂も合流した。
「おやじさん!ヤツらは本物の怪人だ!」
おやじさんと歴代ライダーはショーを観覧していた人々を避難させ、変身する。
本物の仮面ライダーの登場に、怪人軍団も意表を突かれたのか、次々に蹴散らされる。
7人ライダーが怪人軍団を追って地下へ突入すると、謎の怪紳士が待ち受けていた。
狼長官と奇械人アリジゴクを従えるその存在は、自らを暗黒大将軍と名乗る。
「ミーは暗黒大将軍。怪人どもを利用して、日本征服をやろうと思ったが…とんだ邪魔が入ったようだな!」
暗黒大将軍の野望を阻止するべく、7人ライダーは次々に怪人軍団を排除。
「7人のエネルギーを併せて、必ず貴様を倒す!」
7人ライダーは手を重ね、そのエネルギーを結集。
変身ベルトから放たれたエネルギーが、暗黒大将軍の体を焼き尽くした。
「子供たちを人質にして大金を奪う。この計画が失敗するとは…!」
暗黒大将軍の目的は、「仮面ライダーショー」に本物の怪人を紛れ込ませて子供たちを誘拐し、身代金を得て世界征服の足掛かりにすることだったらしい。
最後の最後に、なんだか妙にミニマムな目的の敵だった。
ともかく、7人ライダーは暗黒大将軍を打ち破り、日本に再び平和が戻った。
子供たちは、栄光の7人ライダーに手を振り、彼らの勝利を祝福する。
おやじさんは、その様子を感慨ひとしおで眺めていた。
「この世に悪のある限り、仮面ライダーは必ず現れる。平和のために、正義のために戦い抜いた7人の仮面ライダー。その名は、永遠に僕らの胸から消えないだろう…」
おやじさんは7人ライダーと固い握手を交わす。7人の勇者と、おやじさんの絆が現れたこのシーンこそ、5年間のシリーズの締めくくりとして、これ以上なく相応しいものだろう。
こうして、7人ライダーの戦いは今度こそ終わったのだった。
暗黒大将軍の存在こそ意味不明気味ではあるが、7人の勇者が戦いを終え笑顔で現れ、おやじさんと旧交を温める姿にようやく訪れた平和を実感する特別編。
戦いを終え、おやじさんと握手を交わす7人ライダーの姿は、「ストロンガー」最終回で大団円を迎えたシリーズのカーテンコールとして、これ以上なく美しいものだった。
こうして栄光の7人ライダーは、平和な世界を見守るべく去って行った。
斗いの陽が再び昇る、その時まで…。