あらすじ
ヘドリアン女王の妖魔術が人々に災いをもたらす。
“妖魔術の会”は他人を憎む者が集う集会だった。友人の婚約者が被害にあったことから調査を進めた赤城は、逆に怪物・アクマラーに洗脳され、ダイデンジン破壊を命じられてしまう。
ヘドリアン女王、死の呪い!ダイデンジン爆破5秒前!
今回のベーダー怪物は、グロテスクな不気味な姿を持つアクマラー。
ヘドリアン女王の妖魔術によって、信者が恨みを抱いた人間に恨みを晴らす呪いをかける「妖魔術の会」の神官を務め、クー・クラックス・クランを思わせる白装束に身を包んでいる。
妖魔術の会では、アクマラーが漆黒の十字架である妖魔術人形を信者に与え、妖魔術人形に仕込まれた小型マイクを通し、信者の憎む相手への憎悪を聞き遂げたヘドリアン女王が妖魔術によって憎む相手に災いをもたらすことで、劇的に信者を増やしていた。
その教義は、他人を不幸に落とし込むこと、他人の不幸を喜ぶことである。
友人の婚約者が被害にあったことから妖魔術の会を調べ始めた赤城だが、逆にアクマラーによって洗脳されてしまい、ヘドリアン女王によって意のままに操られてしまう。
そのままデンジランドに戻った赤城は、ダイデンジンに爆弾を仕掛けて破壊する操り人形とされてしまった。果たして電子戦隊は赤城の異変に気づき、この危機を脱することが出来るのか。
ボートを漕ぎ、デートを楽しむ幸せな大学生カップルがいた。
しかし、彼らを車の中から苦々しい表情で見つめる男が1人。
男は首から下げていた、黒い十字架のような人形を握りしめ、ボートが転覆するように祈る。
すると、ベーダー魔城にいたヘドリアン女王が、水晶玉に妖魔術をかけた。
ヘドリアン女王がボートが沈むように魔力を込めると、ボートが転覆してしまう。
同じ頃、野球の試合でバッターボックスに立つ選手を見つめる男がいた。
男が、先程の男と同じ黒い十字架のような人形を握りしめボールが当たるように願うと、やはりヘドリアン女王が妖魔術をかけ、ボールはバッターボックスの選手の頭に直撃してしまう。
続発する怪事件を調査するべく、電子戦隊は出動した。
公園で、遊具で遊ぶ少女を物陰から一人の少年が見つめていた。
少年は、やはり黒い十字架のような人形を握りしめ、遊具で遊ぶ少女がテストに出られないようにと願う。ヘドリアン女王が妖魔術を行うと、少女が遊ぶ遊具が高速回転し始めた。
そこに通りかかったデンジレッドとピンクは遊具から逃げられずにいた少女たちを救う。
少女たちから、突然、勝手に遊具が回り始めたという話を聞いたデンジレッドは、物陰にいた少年がその場から慌てて逃げ出すのを目撃した。
彼は常にクラスで成績が2番目で、遊具で遊んでいた少女にはかなわないのだという。
少年の様子にどこか不審なものを感じたデンジレッドとピンクが後を追うと、そこには、怪事件の度に人々が願いを込めていた黒い十字架のような人形が落ちていた。
デンジレッドは、この不気味な人形と怪事件になにか関係があるのではないかと直感した。
デンジレッドたちは、デンジマシーンで少年の乗る自転車を追う。
すると、物陰からベーダー怪物・アクマラーが現れた。
アクマラーが目から閃光を放つと、デンジマシーンの計器が狂い、暴走してしまう。
木に激突したデンジマシーンから投げ出されたデンジレッドとピンクの前に、アクマラーが現れた。アクマラーたちは、黒い十字架のような人形を奪い返そうとする。
一時は人形を手に入れたのに、肩を叩かれうっかりデンジレッドに人形を渡してしまうアクマラーが面白い。そこに、デンジブルーたちも駆けつけ、アクマラーは撤退した。
デンジランドに戻った電子戦隊が人形を分析すると、人形の内部には超小型発信機とワイヤレスマイクが内蔵されていた。ベーダー怪物のような人形は、アイシーによれば妖魔術人形だという。
ヘドリアン女王が妖魔術をかける時に使用する人形だというのだ。
アイシーはさらに、他人を不幸に落とし込もうとする妖魔術の会がその人形を配り、災いを撒き散らしていると話す。少年もまた、成績が自分より良い少女を陥れるために妖魔術にすがったのか。
その頃、ベーダー魔城では、飲んで食べて寝るだけのバンリキ魔王に、ヘドリアン女王が呆れていた。ヘドラー将軍は、その隙をついてバンリキ魔王を始末しようとする。
だが、バンリキ魔王はその殺気に気づき、目を見開いた。
眠っていても隙を見せないバンリキ魔王に、ヘドラー将軍も戦慄する。
そこに、ケラーが報告に現れた。
ケラーは、赤城の友人である秋元が林典子という女性と婚約したことと、その幸せの影で香山久美子という女性が嫉妬と哀しみで恨みの炎を燃やしていることを調べ上げていた。
自分のボーイフレンドを親友に紹介し、親友にボーイフレンドを奪われた形になった久美子の心の隙に付け込んだベーダー一族は、久美子に黒い人形を手渡し、妖魔術の会に勧誘する。
秋元と典子のツーショット写真と、人形を見つめる久美子は、机の中に隠していた秋元と自分のツーショット写真を取り出し、自分こそが秋元と婚約したかった本音を漏らす。
そして、やがてその本音は秋元を奪った典子への怒りに変わり、久美子は人形に秋元と典子を乗せた車が事故でも起こせばいいと願ってしまうのだった。
それをワイヤレスマイクを通して聞き遂げたヘドリアン女王は、アクマラーを出動させる。
ミクロ化したアクマラーは、秋元と典子の乗る車に潜入。
アクマラーに気を取られた秋元はハンドル操作を誤り、事故を起こしてしまう。
入院していた典子から話を聞いた赤城たちは、車に現れた怪物がアクマラーであることを知ると、久美子が日曜日の度に何処かに出かけていることを調べ上げる。
赤城は久美子を尾行するが、実はそれがベーダーの作戦だった。
秋元と典子、久美子を狙ったのは、知人である秋元たちが襲われた赤城が彼らの身辺を調べ、妖魔術の会に辿り着かせることで、赤城を捕らえようとしていたのである。
久美子は妖魔術の会の集会場である倉庫に入っていった。
赤城はその後を追い、集会場に潜入する。
そこでは、白装束の神官の下、妖魔術の会の信者たちが、水晶玉を通してヘドリアン女王の
唱える妖魔術の会の教義を叩き込まれ、他人の不幸を喜ぶように洗脳されていた。
「他人を不幸に落とし込もう…他人の不幸を喜ぼう…」
赤城はその恐ろしさに戦慄する。
しかし、久美子を救い出すべく接近した赤城は発見されてしまい、久美子によって睡眠薬入りの水を飲まされてしまう。気絶したまま、黒い人形を首からかけられた赤城は、ヘドリアン女王の操り人形に仕立て上げられてしまうのだった。
ヘドリアン女王は水晶玉を通して赤城を操り、赤城をデンジランドへと向かわせる。
デンジランドでは、連絡が途絶えた赤城を仲間たちが心配していた。
そこに赤城が現れるが、どうにも受け答えがおかしい。
アイシーは赤城の胸に黒い人形が下がっていることを察知し、赤城が妖魔術にかかっていることを突き止め、ベーダーの使命を帯びて帰ってきたのだと看破。
赤城の目を覚まさせるため、青梅たちを集め作戦を伝える。
ヘドリアン女王は赤城に行動の時が来たと伝える。
赤城をデンジランドに戻し、ダイデンジンを爆破させることがヘドリアン女王の目的だった。
様子を窺いに来た赤城を、狸寝入りでやり過ごした青梅たちは、急ぎ行動を開始する。
ダイデンジンのコクピットに爆弾を仕掛けようとする赤城。
このままでは、ダイデンジンは操縦不可能になってしまう。
しかし、外で待機していた青梅たちは、ダイデンジンのコクピットに電気ショックの罠を仕掛けていた。感電したことで、赤城はヘドリアン女王の妖魔術から逃れた。
青梅たちはそのまま、ダイデンジンのコクピットが爆破された芝居をすると、赤城にはアイコンタクトでそのまま芝居を続けるように伝える。
電子戦隊は、妖魔術人形が通信機になっていることを逆利用し、ベーダーを騙したのだ。
芝居を真に受けたヘドリアン女王は、ダイデンジンの爆破成功に喜色満面だ。
妖魔術の会の集会場に戻っていく赤城を、用済みとして始末できることに大喜びするヘドリアン女王。集会場に到着した赤城はダストラーに捕縛され、十字架にかけられる。
白装束に身を包んだアクマラーは赤城を生贄にしようとする。
しかしそこに、デンジブルーたちがかけつけた。
電子戦隊は妖魔術人形に自分たちの発信機を取り付け、後を追跡できるようにしていたのだ。
まんまと騙されたヘドリアン女王は、赤城に怒りを燃やす。
バンリキ魔王は、またしてもドジを踏んだベーダー一族を嘲笑るのだった。
5人揃ったデンジマンは、ドラゴンフライでアクマラーを蹴り飛ばし、名乗りを上げる。
「見よっ!電子戦隊!デンジマン!!」
デンジマンはそのままベーダー一族に突撃。デンジレッドのデンジパンチが唸る。
アクマラーの願いを受けたヘドリアン女王は、アクマラーに妖魔術パワーを授ける。
ヘドリアン女王の妖魔術パワーは凄まじく、閃光が走る度にデンジマンは激烈なダメージを受ける。ヘドリアン女王は恨みを晴らすべく、そのまま一気に攻め立てるように命じるのだった。
すると、バンリキ魔王が水晶玉を覗き込んできた。
ヘドラー将軍は、ヘドリアン女王の邪魔をするバンリキ魔王に怒って引き剥がそうとするが、逆に投げ飛ばされてしまう。不敵な態度のバンリキ魔王に、ヘドラー将軍の怒りは募る。
デンジマンは5人が手を結び回転、遠心力で殴りつけるデンジスクランブルチェーンでアクマラーを攻め立て、そこから5人連続のクロスカットで痛めつける。
怒り心頭のアクマラーは巨大化し、デンジマンもデンジタイガーを発進させた。
デンジタイガーからデンジファイターが発進し、ダイデンジンに変形する。
ダイデンジンと巨大アクマラーの死闘が始まった。
ダイデンジンはデンジボールでアクマラーを痛めつける。
だが、ヘドリアン女王は渾身の力でアクマラーに再び妖魔術パワーを授けた。
ダイデンジンのコントロールが失われ、引き裂かれそうになる。
妖魔力パワーがデンジマンを圧倒するが、ダイデンジンはデンジ魔力落としでそれを跳ね返す。
そして、必殺の電子満月斬りが炸裂し、デンジマンが勝利した。
ベーダー魔城の水晶玉が破裂し、ヘドリアン女王は落胆する。
改めて、秋元と典子は婚約して結婚式が行われた。
それに参列した久美子も、心から2人の幸せを祈る娘になっていた。
電子戦隊の5人も、2人の幸せを祈り、手を振るのだった。
ヘドリアン女王の妖魔術というオカルト的な要素と、その媒体となる妖魔術人形に発信機とワイヤレスマイクが内蔵されたことで信者の恨み言がヘドリアン女王の耳に直接入るという、ハイテクとオカルトの融合したベーダーの作戦がなんだか面白いエピソード。
アクマラーの、グロテスクな外見からは想像もできないほどコミカルな台詞回しが面白く、オカルトチックなエピソードながら、おどろおどろしくなりすぎない匙加減になっている。
赤城の友人たちは痴情のもつれの三角関係をベーダーに付け込まれたわけだが、雨降って地固まるというべきか、久美子が内心抱いていた嫉妬が文字通り憑き物が落ちて消えたのは良いことだったのだろう。アクマラーの起こした交通事故で何事もなくて本当に良かった。