「電子戦隊デンジマン」第40話 「チャンピオンの敵」感想

2024年10月21日月曜日

電子戦隊デンジマン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

ヘドラー将軍が銀河拳ボクシングジムのロッキー鬼浜に姿を変え、ボクサーの岬達也に移籍交渉をしてくる。達也は弟の手術費用捻出のため、銀河拳ボクシングジムへの移籍を決意するが、彼を救いたい赤城は銀河拳所属の選手と闘うことになるのだった。

友を思う炎の友情 憎しみの氷を砕く魂の一撃!

今回のベーダー怪物は、リングを照らす照明の怪物であるピカリラー。
ヘドラー将軍がロッキー鬼浜と名乗って運営する銀河拳ボクシングジム所属の選手、KOジョーに姿を変え、ヘドリアン女王7600歳の誕生祝いに赤城と試合をし、血祭りに上げることが目的だ。
ヘドラー将軍はそのために、赤城の親友であり、弟の手術のために大金を必要としていたボクサー・岬達也に銀河拳ボクシングジムへの移籍交渉を行い、KOジョーとの試合を仕組む。
親友を救いたい赤城が、達也の代わりに試合に臨むことを見越していたのだ。
デンジリングを取り上げられたままリングに上った赤城は、KOジョーの前にグロッキー状態に。
果たして赤城はこの危機を脱し、達也を救うことが出来るのか。

今回、赤城の親友として登場する岬達也を演じたのは、後に「大戦隊ゴーグルファイブ」「科学戦隊ダイナマン」で2年連続ブラック戦士を演じ、スーパー戦隊シリーズに黒い戦士の系譜を築き上げた春田純一氏。スーパー戦隊シリーズのみならず、東映特撮全体に縁深い彼が春田純一名義で初めて東映特撮作品に参加したエピソードになっている。

天田ボクシングジムでは、多くの夢見るボクサーがトレーニングに励んでいた。
赤城とスパーリングをしていた岬達也は、赤城の親友である。
達也は弟の達次のために、チャンピオンを夢見ていた。
そこに、ロッキー鬼浜と名乗る怪しい男が声をかけてきた。
ロッキー鬼浜こそ、人間に化けたヘドラー将軍である。
ヘドラー将軍は達也に、自分が運営する銀河拳ボクシングジムへ移籍して大金を手にしないかと移籍交渉を行い始めた。ボクシングジムを運営する天田はヘドラー将軍を追い返す。
ヘドラー将軍が化けたロッキー鬼浜は、デスマッチを行う噂があり、業界で忌み嫌われていた。
天田は達也に、あんな男には近づかないようにと釘を刺す。

ヘドラー将軍が運営する銀河拳ボクシングジムでは、噂通りデスマッチが行われていた。
その様子をベーダー魔城から見ていたヘドリアン女王は、デスマッチを見物して文字通り血湧き肉躍る興奮に盛り上がる。そんな様子を、バンリキ魔王は呆れて見ていた。
ベーダー魔城に戻ったヘドラー将軍は、デスマッチが女王を満足させたことに喜ぶ。
だが、喜色満面だったヘドリアン女王は、突然様子を変えた。
女王には本当に見たい試合があるのだという。ヘドラー将軍も、それを承知の上だった。
先程まではしゃいでいたにも関わらず、瞬時に冷酷な声へと変わるヘドリアン女王の豹変ぶりが素晴らしい。曽我町子氏の確かな演技力が、ヘドリアン女王の二面性を見事に演じきっている。

公園に、元ボクシング世界チャンピオンの高山選手が現れた。
だが、その目は虚ろで、身体も傷だらけ。まともに喋ることも出来ない状態になっていた。
何を隠そう、先程銀河拳ボクシングジムで行われていたデスマッチで、何度殴られても傷だらけになるまで立たされ続け、ヘドリアン女王を楽しませていたのがこの高山だった。
子どもたちの知らせを受け、電子戦隊は高山を保護した。
高山の体は傷だらけで、拳の骨も砕けてしまっている。
赤城は、高山が銀河拳ボクシングジムに移籍したことを知っており、嫌な予感がして天田ボクシングジムに電話をかけ、達也が銀河拳ボクシングジムへの移籍交渉を持ちかけられたことを知る。

達也を心配した赤城は、弟の達次の見舞いに行っていた達也を訪ねた。
岬達也・達次の兄弟は孤児であり、達也は赤城に才能を見出されてボクサーの道を志していた。
達也は、歩くことの出来ない達次に手術を受けさせたい一心で、大金を得るために銀河拳ボクシングジムへの移籍を考えていることを赤城に打ち明ける。
赤城は懸命に銀河拳ボクシングジムの危険性を訴え、自分が銀河拳ボクシングジムを調べ上げるまで迂闊な行動をしないように忠告するのだった。
達也・達次兄弟の父は、防衛軍の科学者だったが、ベーダー一族に襲われて殺されていた。
達也・達次兄弟はデンジレッドに運良く助けられていたのである。
赤城が岬兄弟を気にかけていたのは、父を救えなかった償いなのかもしれない。

青梅が銀河拳ボクシングジムの車に発信機を取り付け、デンジレッドがデンジマシーンで、デンジイエローたちがデンジバギーで車の追跡を始めた。
そして、ひとり車を目視で追う青梅の前に、ベーダー怪物・ピカリラーが現れる。
ピカリラーは激しい閃光で青梅を襲い、合流したデンジマンたちもピカリラーによって足止めされる。デンジレッドは単身、銀河拳ボクシングジムの車を追うのだった。

車が停車した先のビルに潜入したデンジレッドは、そこで今まさにデスマッチが開催されようとしている現場を発見。さらに、ボクシングの有名選手たちが捕まっている現場に出くわす。
選手たちを救出しようとしたデンジレッドだったが、そこには罠が張り巡らされていた。
捕縛されたデンジレッドの前に、ヘドラー将軍たちが現れる。ヘドラー将軍はヘドリアン女王の7600歳の誕生日を迎える記念として、赤城をデスマッチのリングに上げて試合をさせようとしていた。達也に移籍交渉を行ったのも、全ては赤城を誘き出すためだったのだ。

連行されるデンジレッドを救うべく、デンジブルーが駆けつけた。
デンジブルーはデンジレッドを奪回することに成功する。
しかし、抜け目のないヘドラー将軍は、達也を利用して赤城を誘き出すことにした。
トレーニングする達也の前に現れたヘドラー将軍は、大金をちらつかせると同時に、達次の手術は早いほうが良いと急かすことで、達也の判断力を狂わせてしまう。

結局、達也は天田ボクシングジムに銀河拳ボクシングジムへ移籍する旨の連絡を入れていた。
そして、ヘドラー将軍は天田を通し、赤城に達也を奪い返したければ一人で来るように伝える。
バンリキ魔王は、自分ならそんな誘いに乗るわけはない、他人のために馬鹿馬鹿しいと唾棄する様子を見せるが、人間の情愛を利用する術を身に着けたヘドラー将軍は、人間はこころを大事にし、孤児である岬兄弟を弟のように思っている赤城は必ず来ると踏んでいた。

自分のために捕まった達也を救うため、赤城は一人で銀河拳ボクシングジムに乗り込む決意を固めた。仲間たちは、今度はうまく助けられるとは限らないと心配する。
しかし、他人を見殺しに出来ない赤城の心意気を知る仲間たちは、心配しながらも赤城を送り出す決心をし、アイシーもまた、赤城の幸運を祈って送り出すのだった。
赤城もまた、内心では死を覚悟していた。

天田ボクシングジムも悲しみに包まれる中、赤城は銀河拳ボクシングジムへ連行される。
その車の後を追ったデンジバギーも、ベーダーの攻撃によって足止めされるのだった。
ヘドラー将軍は達也を人質にすることで赤城の手からデンジリングを奪い、赤城をデスマッチのリングへと連行していく。そこでは、達也が傷だらけになりながら殴られ続けていた。
リングの外へ吹き飛ばされながら、達次のためになおもリングに上がろうとする達也。
赤城は達也を止めるが、ヘドラー将軍は試合を止めるには代役がリングに上がらなくてはならないと宣告し、赤城をリングの上へと上げることに成功する。
本日のメーンイベント。赤城一平対KOジョーのデスマッチが、ヘドリアン女王に捧げられた。

赤城は懸命に戦うが、激しい閃光に目が眩んだ隙にKOジョーのパンチを受けてしまう。
大喜びのヘドリアン女王。赤城は、KOジョーがベーダー怪物であることに気づく。
デンジリングを奪われたことで、赤城はデンジスパークすることも出来ず、仲間たちもベーダー一族の別働隊に足止めされていて救援に期待できない。
赤城はKOジョーに飛びかかるようにパンチを浴びせ、ダウンを奪うことに成功する。
すると、KOジョーはピカリラーとしての正体を現した。
怪物となったピカリラーには、人間の力では太刀打ちできない。
達也は、孤児となった自分たち兄弟を兄のように見守ってくれた赤城が、自分をかばって殺されようとしていることに、悲痛な思いに襲われる。
だが、ヘドラー将軍がデンジリングを持っていることに気づいた達也は、とっさにヘドラー将軍たちに飛びかかってデンジリングを奪い、赤城に手渡すことに成功する。
赤城は、デンジレッドにデンジスパークし、達也を庇いながら、脱出に成功するのだった。

仲間たちと合流したデンジレッドは、高らかに名乗りを上げる。
「見よ!電子戦隊!デンジマン!!」
デンジマンはショットガンでベーダーに突撃。一気に包囲網を突破する。
ピカリラーは第1ラウンドとして、デンジピンクに剣道で勝負を挑むが敗北。
ならばと、第2ラウンドとしてデンジイエローにレスリングで戦うがフォールされる。
第3ラウンドの射撃ではデンジグリーンに完敗。
第4ラウンドの拳法は、デンジブルーのヌンチャクがピカリラーを圧倒した。
最後の第5ラウンド、ボクシングでもデンジレッドの怒りのデンジパンチが炸裂する。
何をやっても勝てなかったピカリラーに、デンジマンは電子稲妻落としを決める。

ピカリラーは細胞組織を組み替えて巨大化し、デンジマンもダイデンジンを発進させた。
ボクシングのように、両の拳で殴り合うダイデンジンとピカリラー。
ダイデンジンのパンチが炸裂するが、ピカリラーは再び閃光を走らせ攻撃する。
ダイデンジンはデンジ光返しでそれを跳ね返し、電子満月斬りで勝利するのだった。

誕生祝いを台無しにされたヘドリアン女王は怒り心頭。
バンリキ魔王は、電子戦隊の実力をなかなかのものだと評価するのだった。
達也は改めて天田ボクシングジムでチャンピオンを目指し、トレーニングに励む。
達也がチャンピオンとなり、達次が手術を受けられる日もそう遠くはないだろう。

赤城一平は、命をかけて若いボクサーたちを救った。
岬達也よ、頑張れ!弟のために、栄光を目指して走るのだ!

他人のために自分を犠牲にする、人間の持つ自己犠牲の素晴らしさと、それを知ったことで最大限に利用して目的を果たそうとするヘドラー将軍の恐ろしさが描かれたエピソード。
人間が他人のために自分を犠牲にする心を大事にすることを知り、その情愛を利用して十重二十重にも罠を仕掛けて赤城をデスマッチのリングへ上げようとするヘドラー将軍は恐ろしい。

1人ずつ、様々な競技でデンジマンと戦うピカリラーの戦闘描写も楽しいエピソードだった。
そして巨大戦も、すっかりダイデンジンのあまりにも万能すぎる「デンジ剣・〇〇返し」が毎回のパターンとして定着して、さらダイデンジンの無敵具合が強調されるようになった。
理屈抜きであらゆる技を跳ね返す万能ぶりは、過剰なほどに頼もしい。

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